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57 ベリンダ視点
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※ベリンダ視点です。
୨୧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈୨୧
王都の地下牢に放り込まれ、焼けるような顔の痛みに耐えきれず、看守にせめて顔を洗わせて欲しいと頼み込んだ。
「うわっ! 顔が腫れ上がって化け物みたいだぞ。罪状は聞いているがよくもこんな毒をこしらえたなぁ。まぁ、こっちも鬼じゃねーーから顔ぐらいは洗わせてやるけどよぉ」
「だって、自分が被害に遭うなんて思わなかったのよ。グレイスお姉様がこうなるはずだったのにぃーー」
悔しさを滲ませて呟くと、看守が首を振りながら呆れた。
「やれやれ。性根は直りそうもねーな。自業自得としか言えないよ。同情もできない」
(看守ごときに同情されたところで私の罪が軽くなるわけじゃないでしょう? うるさいわよっ)
綺麗な水を入れた洗面器を持って来てくれた看守に、礼も言う気になれず無言で冷たい水にそっと顔をつけた。水で洗っても毒の成分はもう肌が吸収している。痛みは少しも和らがず目の周りも腫れ上がっているようで、しっかりと瞼を開けることもできなかった。
「医者を呼んでよっ。私を処罰する前に死んだら困るでしょう? 薬ぐらいちょうだいよ」
しつこく騒ぎ立てるとまもなく医者が来たけれど、軟膏を塗るだけで自然治癒を待つしかないとのことだった。
「元通りの肌になるわよね? ずっとこのままなんてことにはならないでしょう?」
「時間の経過で治ってくるとは思いますが、これだけ酷いとすっかり元通りの肌にはなれないでしょうね。ですが、そのような効き目を望んだのはあなたでしょう? 事件のことは概ね聞いていますよ」
侮蔑の表情を浮かべ私を睨む医者にムッとしてしまう。
(医者は平等に患者を診るべきじゃないの? まだ罪が確定したわけじゃないのに、なぜ犯罪者扱いなの?)
この医者も看守も良い人ぶって吐き気がした。忌々しいグレイスお姉様に浴びせる為に生成した毒は強力な物を望むのは当然でしょう? 憎らしい人を懲らしめたいと思ったら皆そうするはずなのに。二人とも私を凶悪犯扱いして腹が立つわ。
それから数日後、国王陛下が直々に裁可を下すこととなり、陛下の御前に跪かされた。
「お前がフラメル家のベリンダか。顔をあげよ」
言われた通りに従うと、化け物を見るような目つきが四方から向けられた。国王陛下の他に偉そうに私を睨み付ける四人のおじさん達。
「罪状は不法に毒を生成した罪と、花売り娘に教唆した罪。アーネット子爵令嬢に対する傷害未遂罪ですね」
「未遂といっても記録石に寄れば、ポールスランド伯爵令息が阻止しなければ、完全に実行されたであろう犯罪です。実行する際に少しの迷いも感じられないし、グレイス嬢が水をかけられた時の喜び方は浅ましすぎますな」
「さよう。全ては用意周到すぎます。情状酌量の余地がない」
好き勝手に言うけれど、私に罪の自覚なんてものはない。グレイスお姉様に身の程をわからせてあげるのは、妹としての一種の優しさだとも思う。
「自分が作り出した毒でそのようなおぞましい顔になりどう思う? 手駒に使おうとした少女や襲わせようとしたグレイスに謝罪の言葉はないのか?」
「私はお姉様を居るべき場所に戻してあげようとしただけです。お姉様がポールスランド伯爵夫人になるなんておかしいですもの。グレイスお姉様が私より格上になることは許されないことですし、そうなったらグレイスお姉様だってきっと尊い身分に適応できなくて不幸になります」
「コンスタンティンの提出してきた数々の証拠でお前とリネータの罪は明らかだ。自分より幸せになろうとする姉が許せないという理由だけで、ここまで酷いことをしようとするお前の罪は重い。お前は・・・・・・」
私はその裁可に耳を疑った。裁可が予想よりもあり得ないほど重かったからだ。
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王都の地下牢に放り込まれ、焼けるような顔の痛みに耐えきれず、看守にせめて顔を洗わせて欲しいと頼み込んだ。
「うわっ! 顔が腫れ上がって化け物みたいだぞ。罪状は聞いているがよくもこんな毒をこしらえたなぁ。まぁ、こっちも鬼じゃねーーから顔ぐらいは洗わせてやるけどよぉ」
「だって、自分が被害に遭うなんて思わなかったのよ。グレイスお姉様がこうなるはずだったのにぃーー」
悔しさを滲ませて呟くと、看守が首を振りながら呆れた。
「やれやれ。性根は直りそうもねーな。自業自得としか言えないよ。同情もできない」
(看守ごときに同情されたところで私の罪が軽くなるわけじゃないでしょう? うるさいわよっ)
綺麗な水を入れた洗面器を持って来てくれた看守に、礼も言う気になれず無言で冷たい水にそっと顔をつけた。水で洗っても毒の成分はもう肌が吸収している。痛みは少しも和らがず目の周りも腫れ上がっているようで、しっかりと瞼を開けることもできなかった。
「医者を呼んでよっ。私を処罰する前に死んだら困るでしょう? 薬ぐらいちょうだいよ」
しつこく騒ぎ立てるとまもなく医者が来たけれど、軟膏を塗るだけで自然治癒を待つしかないとのことだった。
「元通りの肌になるわよね? ずっとこのままなんてことにはならないでしょう?」
「時間の経過で治ってくるとは思いますが、これだけ酷いとすっかり元通りの肌にはなれないでしょうね。ですが、そのような効き目を望んだのはあなたでしょう? 事件のことは概ね聞いていますよ」
侮蔑の表情を浮かべ私を睨む医者にムッとしてしまう。
(医者は平等に患者を診るべきじゃないの? まだ罪が確定したわけじゃないのに、なぜ犯罪者扱いなの?)
この医者も看守も良い人ぶって吐き気がした。忌々しいグレイスお姉様に浴びせる為に生成した毒は強力な物を望むのは当然でしょう? 憎らしい人を懲らしめたいと思ったら皆そうするはずなのに。二人とも私を凶悪犯扱いして腹が立つわ。
それから数日後、国王陛下が直々に裁可を下すこととなり、陛下の御前に跪かされた。
「お前がフラメル家のベリンダか。顔をあげよ」
言われた通りに従うと、化け物を見るような目つきが四方から向けられた。国王陛下の他に偉そうに私を睨み付ける四人のおじさん達。
「罪状は不法に毒を生成した罪と、花売り娘に教唆した罪。アーネット子爵令嬢に対する傷害未遂罪ですね」
「未遂といっても記録石に寄れば、ポールスランド伯爵令息が阻止しなければ、完全に実行されたであろう犯罪です。実行する際に少しの迷いも感じられないし、グレイス嬢が水をかけられた時の喜び方は浅ましすぎますな」
「さよう。全ては用意周到すぎます。情状酌量の余地がない」
好き勝手に言うけれど、私に罪の自覚なんてものはない。グレイスお姉様に身の程をわからせてあげるのは、妹としての一種の優しさだとも思う。
「自分が作り出した毒でそのようなおぞましい顔になりどう思う? 手駒に使おうとした少女や襲わせようとしたグレイスに謝罪の言葉はないのか?」
「私はお姉様を居るべき場所に戻してあげようとしただけです。お姉様がポールスランド伯爵夫人になるなんておかしいですもの。グレイスお姉様が私より格上になることは許されないことですし、そうなったらグレイスお姉様だってきっと尊い身分に適応できなくて不幸になります」
「コンスタンティンの提出してきた数々の証拠でお前とリネータの罪は明らかだ。自分より幸せになろうとする姉が許せないという理由だけで、ここまで酷いことをしようとするお前の罪は重い。お前は・・・・・・」
私はその裁可に耳を疑った。裁可が予想よりもあり得ないほど重かったからだ。
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