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50 ベリンダ視点 / カツラ業者視点
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※ベリンダ視点です。
୨୧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈୨୧
リネータお姉様達は王都に旅だって行った。一家揃って新しい衣装に身を包み、まるで舞台に立つベテラン俳優のように自信に溢れて見える。
私の家族になる方達がこのように立派なことが、ありがたくて涙が出てきた。リネータお姉様と私は本当の姉妹のように仲良しで、今では髪の秘密まで共有しているカツラ仲間なのよ。
ある日のこと、いつものようにリネータお姉様と我が家のサロンでおしゃべりをしていた。最近ではデリク様よりも頻繁にフラメル家に遊びにいらっしゃる。
「ベリンダちゃんの髪はいつも綺麗に手入れされているのね。すごい艶よね、羨ましいわ」
「実のところ、これは自毛ではありません。あの憎たらしいネズミのせいで髪が絡まって切らざるを得なかったのですわ。でもカツラは便利ですよ。自分の髪は短い方がなにかと楽です」
短い自毛は洗うのも乾くのもあっという間で快適だった。カツラは安くはないけれど二つ買わされる。自分で洗ってはカツラが傷んでしまうとのことで、カツラ屋に預けて洗ってもらう。専用の洗髪剤があるらしく、それはプロではないと取り扱いが難しいと言われた。カツラのクリーニング代はそれほど高くないし、寒い間は防寒用の帽子代わりにもなって重宝した。
「まぁ、それはいいわね。私もカツラが欲しいわ。早速そこで注文するわね。そうだ、ベリンダちゃん、私の髪も切ってくれない? カツラをつけるのにちょうど良い長さまで切ってちょうだい」
リネータお姉様に頼まれて切ったら、お母様達のような仕上がりになって気絶されたけれど、私達の仲は相変わらず良好だ。この義姉妹の麗しい友情関係は永遠に続くはずよ。
でもだんだん暑くなってくると、カツラは不便だということが少しづつわかってきた。蒸れた頭は汗だらけでシラミの温床になる。汗を拭くためにカツラをとりやすい構造になっていたことも、便利な反面とれやすいというデメリットにもなった。
「お母様、頭皮が痒くてたまらないわ。それにカツラのメンテナンス料金を行く度に取られるわ。最初の2倍もお金がかかっているのよ」
「そうね、行く度になにかとお金を取られるわね。でも、自分で手入れが出来ないのだから仕方ないわよ。それよりリネータ様が心配だわね。王都はフィントン男爵領よりも暖かいわよ。きっとカツラの下は汗まみれよ」
私は大好きなリネータお姉様の為に祈った。同じカツラ仲間としても、この友情と義姉妹愛は変わらない。
୨୧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈୨୧
※カツラ業者視点
ある日のこと、刈り上げたように髪を短く切った一家が来店し、最高級のカツラを作れと騒いだ。具体的なことも言えず、ただ最高級のものを望む客は大抵良いカモになる。物の価値がわからない人間だ。
俺は貧しい女性達から安く買いあげた髪を使い、わざと手入れが難しいようなカツラに仕上げた。専用の洗髪剤を使用して丁寧に洗い、陰干ししないとカツラからは髪が抜けていく。
もちろん専用の物を使って俺らが洗っても少しづつは抜けていく。その抜けていく髪を増毛するのも定期的に金を取る方法だった。ひとつのカツラが長い歳月にわたり、変わりなく使い続けることができては、売る側としてはあまり嬉しくないのだ。定期的に手入れをする必要があって、さらにお金が搾り取れるようにしなければ完璧な商売とは言えない。
だからわざと品質向上はしない。ほどほどにこちら側が儲かるようにしか商品は作らないのが賢い商人だ。初めは安めに設定してあるクリーニング及びメンテナンス代もほんの少しづつだが値上げしていく。客はそれを誰もやめることができない。一度買ったらずっと払い続けるシステム万歳!
蒸れやすい作りにしたのもわざとで、こうすることでどうやら髪が薄くなる効果があるようだった。つまり俺の客達は将来ハゲるかもしれない危険性がある。
俺は医者じゃねーーから詳しいことはわからんが、そうだとしたら客は永遠に生きている限りはこの店に来続ける。
少しぐらい通気性の悪いカツラを作ってシラミの育成を助け、育毛を妨げてもバチはあたらない。髪の根本的悩みは医者の仕事で俺の仕事じゃないんだからな。
୨୧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈୨୧
※頭皮が蒸れると、過剰分泌された皮脂をエサに雑菌が繁殖し、臭いの発生やかゆみを伴います。そのまま放置することで、雑菌がさらに増えて炎症を起こしてしまう可能性があるそうです。
頭皮は髪が生えるための土台となるので、炎症を起こしていると十分な栄養が髪に与えられず、健康な髪の毛が生えてこなかったり、抜け毛の原因にもなるそうですよ。
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リネータお姉様達は王都に旅だって行った。一家揃って新しい衣装に身を包み、まるで舞台に立つベテラン俳優のように自信に溢れて見える。
私の家族になる方達がこのように立派なことが、ありがたくて涙が出てきた。リネータお姉様と私は本当の姉妹のように仲良しで、今では髪の秘密まで共有しているカツラ仲間なのよ。
ある日のこと、いつものようにリネータお姉様と我が家のサロンでおしゃべりをしていた。最近ではデリク様よりも頻繁にフラメル家に遊びにいらっしゃる。
「ベリンダちゃんの髪はいつも綺麗に手入れされているのね。すごい艶よね、羨ましいわ」
「実のところ、これは自毛ではありません。あの憎たらしいネズミのせいで髪が絡まって切らざるを得なかったのですわ。でもカツラは便利ですよ。自分の髪は短い方がなにかと楽です」
短い自毛は洗うのも乾くのもあっという間で快適だった。カツラは安くはないけれど二つ買わされる。自分で洗ってはカツラが傷んでしまうとのことで、カツラ屋に預けて洗ってもらう。専用の洗髪剤があるらしく、それはプロではないと取り扱いが難しいと言われた。カツラのクリーニング代はそれほど高くないし、寒い間は防寒用の帽子代わりにもなって重宝した。
「まぁ、それはいいわね。私もカツラが欲しいわ。早速そこで注文するわね。そうだ、ベリンダちゃん、私の髪も切ってくれない? カツラをつけるのにちょうど良い長さまで切ってちょうだい」
リネータお姉様に頼まれて切ったら、お母様達のような仕上がりになって気絶されたけれど、私達の仲は相変わらず良好だ。この義姉妹の麗しい友情関係は永遠に続くはずよ。
でもだんだん暑くなってくると、カツラは不便だということが少しづつわかってきた。蒸れた頭は汗だらけでシラミの温床になる。汗を拭くためにカツラをとりやすい構造になっていたことも、便利な反面とれやすいというデメリットにもなった。
「お母様、頭皮が痒くてたまらないわ。それにカツラのメンテナンス料金を行く度に取られるわ。最初の2倍もお金がかかっているのよ」
「そうね、行く度になにかとお金を取られるわね。でも、自分で手入れが出来ないのだから仕方ないわよ。それよりリネータ様が心配だわね。王都はフィントン男爵領よりも暖かいわよ。きっとカツラの下は汗まみれよ」
私は大好きなリネータお姉様の為に祈った。同じカツラ仲間としても、この友情と義姉妹愛は変わらない。
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※カツラ業者視点
ある日のこと、刈り上げたように髪を短く切った一家が来店し、最高級のカツラを作れと騒いだ。具体的なことも言えず、ただ最高級のものを望む客は大抵良いカモになる。物の価値がわからない人間だ。
俺は貧しい女性達から安く買いあげた髪を使い、わざと手入れが難しいようなカツラに仕上げた。専用の洗髪剤を使用して丁寧に洗い、陰干ししないとカツラからは髪が抜けていく。
もちろん専用の物を使って俺らが洗っても少しづつは抜けていく。その抜けていく髪を増毛するのも定期的に金を取る方法だった。ひとつのカツラが長い歳月にわたり、変わりなく使い続けることができては、売る側としてはあまり嬉しくないのだ。定期的に手入れをする必要があって、さらにお金が搾り取れるようにしなければ完璧な商売とは言えない。
だからわざと品質向上はしない。ほどほどにこちら側が儲かるようにしか商品は作らないのが賢い商人だ。初めは安めに設定してあるクリーニング及びメンテナンス代もほんの少しづつだが値上げしていく。客はそれを誰もやめることができない。一度買ったらずっと払い続けるシステム万歳!
蒸れやすい作りにしたのもわざとで、こうすることでどうやら髪が薄くなる効果があるようだった。つまり俺の客達は将来ハゲるかもしれない危険性がある。
俺は医者じゃねーーから詳しいことはわからんが、そうだとしたら客は永遠に生きている限りはこの店に来続ける。
少しぐらい通気性の悪いカツラを作ってシラミの育成を助け、育毛を妨げてもバチはあたらない。髪の根本的悩みは医者の仕事で俺の仕事じゃないんだからな。
୨୧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈୨୧
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