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47 アンナ視点
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(アンナ視点)
「ジュエルお姉様のせいで私まで虐められてるわよ。どうしてくれるの!」
「ごめんなさい。私が悪かったわ。もう二度とアンナやお母様に迷惑をかけないことを誓うわ」
ジュエルお姉様は自分勝手なことをしたくせに、どこか清々しい表情で毎日を過ごすようになった。ここにまで来てカンニングをするなんて本当にバカとしか思えないのに、今ではあれほど嫌がっていた家の手伝いも進んでしている。
掃除や食事の支度を鼻歌まで歌いながらせっせとして、自分の部屋には鳥の絵を描いて壁に貼っていた。いよいよ頭がおかしくなったのかも。
「この鳥はなぁに? ジュエルお姉様って絵がとても下手だわ」
「そうね、あまり上手とは言えないわ。でも、これは私の目標なの」
鳥が目標? 意味がわからない。ジュエルお姉様はやっぱり頭が悪いんだ。なのに、毎日教科書を広げて勉強をするようになった。どうせ今更なにをしたって無駄なのに。
ある日、お母様のお姉様がやって来た。
「あなたたちのせいで本当に迷惑したわ。義弟も姪も犯罪者だなんてあり得ないわよ」
「ポーリーナお姉様、ごめんなさい」
「私が住んでいるフィントン男爵領でもこの話題で持ちきりよ。平民出身でも侍女としてフィントン男爵家にお仕えしている私の立場がないわ。私はね、貴族にお仕えしているのよ。迷惑料を払ってよ」
ポーリーナ伯母様はとても上等なドレスを纏い、バッグも靴もかなり高そうだった。
(お母様の側にいるより、ポーリーナ伯母様と一緒にいた方がきっと贅沢ができそう)
「ポーリーナ伯母様。お願いがあります。私を伯母様の子にしてください。ジュエルお姉様は最近もカンニングしたし、お母様は夜中も仕事で帰って来ないで私達の世話なんてまるでしないし、私は一人でこの家の家事をして勉強も頑張っているんです」
本当は家の手伝いなんてジュエルお姉様に押しつけていたし、勉強だってほとんどしていない。お母様は夜勤で帰らないこともあったけれど、朝には家にいて学園に向かう私達にお弁当を作ってくれているのに。嘘をついた。
「まぁ、可哀想に。アンナばかりが苦労しているのね?」
「はい。あの試験問題のことだって、ジュエルお姉様とお父様が勝手にしたことなの。私はあんなことはしたくなかったんです」
お母様とジュエルお姉様は唖然としていたけれど、私はさらに二人を悪者にした。
「お母様はいつも仕事で疲れてイライラしています。よく私をぶつし、お姉様もです。こんな家にいたら、きっと大人になるまで生きられないわ。だって、ほらこの痣を見てください。お姉様に突き飛ばされました」
「なんて酷いことをするの! 確かにジュエルは意地悪な顔をしていますよ。妹を虐めるなんて恥を知りなさい」
私はポーリーナ伯母様に、すりむいた膝の傷を見せた。それは自分が誤って転んでできた傷だった。それを見てなんの疑いも無く、ポーリーナ伯母様がジュエルお姉様のせいだと思い込む。
「私はそのようなことはしておりません。アンナ、なぜそんな嘘を吐くの?」
「ジュエルお姉様こそ嘘吐きです。いつも私のお気に入りの物をわざと壊したり盗んだりするくせに。筆箱には私のネーム入りのペンが何本も入っています」
「そんなものあるわけないでしょう」
「学園で虐められている憂さ晴らしに私を虐めるのがそれほど楽しいのですか? もうこれ以上は私を虐めないでください」
否定するジュエルお姉様に私は涙を流して懇願した。ジュエルお姉様は困惑したような表情だ。身に覚えのないことを私に言われて、心底びっくりしている顔だった。
ポーリーナ伯母様はジュエルお姉様に筆箱を今すぐ見せるように言い、もちろんそこには私のネーム入りのペンが数本入っていた。この作戦の為に隙をみてこっそりと入れておいたのよ。
(ジュエルお姉様。私が幸せになる為に悪女になってください)
ポーリーナ伯母様はジュエルお姉様とお母様を責めた。もともとお母様とは性格が合わなかったポーリーナ伯母様は、簡単に私の話を信じ込み私を引き取ってくれた。
(やったわ。これで元の生活に戻れる)
ところが引き取られてみると、それほど伯母様の家はお金持ちではなかった。フィントン男爵邸で働くポーリーナ伯母様夫妻は見栄っ張りなだけで、借金してでも身を飾り立て分不相応な装飾品を身につけた。おまけにポーリーナ伯母様夫妻には三つ子の乳児がいたのだ。
「引き取ってあげたんだから子守をしなさいよ。あの家から救ってあげたのよ」
私は家の手伝いに追われ学園に通う暇も無い。
「どうせ勉強が好きじゃ無さそうだから、学園なんか行かなくたっていいわよね。ここにいさせてあげるのだから、せいぜい役に立ちなさい」
(こんなはずじゃなかった。おかしいよ、私がこんなことになるなんて・・・・・・)
それから5年の歳月が経った。
「はぁーー、アンナじゃなくてジュエルを引き取れば良かったわ。あの子は学園卒業後に獣医師学校に進学したそうよ。カンニングした子があと数年もすれば獣医師だわ。皆に自慢できたのに。それにセレーブは看護師長に出世したらしいわ。忌々しいったらありゃしない」
私はポーリーナ伯母夫妻の子供達の世話をしながら愚痴を聞かされた。
私は選ぶ道を明らかに間違えたんだ・・・・・・。
「ジュエルお姉様のせいで私まで虐められてるわよ。どうしてくれるの!」
「ごめんなさい。私が悪かったわ。もう二度とアンナやお母様に迷惑をかけないことを誓うわ」
ジュエルお姉様は自分勝手なことをしたくせに、どこか清々しい表情で毎日を過ごすようになった。ここにまで来てカンニングをするなんて本当にバカとしか思えないのに、今ではあれほど嫌がっていた家の手伝いも進んでしている。
掃除や食事の支度を鼻歌まで歌いながらせっせとして、自分の部屋には鳥の絵を描いて壁に貼っていた。いよいよ頭がおかしくなったのかも。
「この鳥はなぁに? ジュエルお姉様って絵がとても下手だわ」
「そうね、あまり上手とは言えないわ。でも、これは私の目標なの」
鳥が目標? 意味がわからない。ジュエルお姉様はやっぱり頭が悪いんだ。なのに、毎日教科書を広げて勉強をするようになった。どうせ今更なにをしたって無駄なのに。
ある日、お母様のお姉様がやって来た。
「あなたたちのせいで本当に迷惑したわ。義弟も姪も犯罪者だなんてあり得ないわよ」
「ポーリーナお姉様、ごめんなさい」
「私が住んでいるフィントン男爵領でもこの話題で持ちきりよ。平民出身でも侍女としてフィントン男爵家にお仕えしている私の立場がないわ。私はね、貴族にお仕えしているのよ。迷惑料を払ってよ」
ポーリーナ伯母様はとても上等なドレスを纏い、バッグも靴もかなり高そうだった。
(お母様の側にいるより、ポーリーナ伯母様と一緒にいた方がきっと贅沢ができそう)
「ポーリーナ伯母様。お願いがあります。私を伯母様の子にしてください。ジュエルお姉様は最近もカンニングしたし、お母様は夜中も仕事で帰って来ないで私達の世話なんてまるでしないし、私は一人でこの家の家事をして勉強も頑張っているんです」
本当は家の手伝いなんてジュエルお姉様に押しつけていたし、勉強だってほとんどしていない。お母様は夜勤で帰らないこともあったけれど、朝には家にいて学園に向かう私達にお弁当を作ってくれているのに。嘘をついた。
「まぁ、可哀想に。アンナばかりが苦労しているのね?」
「はい。あの試験問題のことだって、ジュエルお姉様とお父様が勝手にしたことなの。私はあんなことはしたくなかったんです」
お母様とジュエルお姉様は唖然としていたけれど、私はさらに二人を悪者にした。
「お母様はいつも仕事で疲れてイライラしています。よく私をぶつし、お姉様もです。こんな家にいたら、きっと大人になるまで生きられないわ。だって、ほらこの痣を見てください。お姉様に突き飛ばされました」
「なんて酷いことをするの! 確かにジュエルは意地悪な顔をしていますよ。妹を虐めるなんて恥を知りなさい」
私はポーリーナ伯母様に、すりむいた膝の傷を見せた。それは自分が誤って転んでできた傷だった。それを見てなんの疑いも無く、ポーリーナ伯母様がジュエルお姉様のせいだと思い込む。
「私はそのようなことはしておりません。アンナ、なぜそんな嘘を吐くの?」
「ジュエルお姉様こそ嘘吐きです。いつも私のお気に入りの物をわざと壊したり盗んだりするくせに。筆箱には私のネーム入りのペンが何本も入っています」
「そんなものあるわけないでしょう」
「学園で虐められている憂さ晴らしに私を虐めるのがそれほど楽しいのですか? もうこれ以上は私を虐めないでください」
否定するジュエルお姉様に私は涙を流して懇願した。ジュエルお姉様は困惑したような表情だ。身に覚えのないことを私に言われて、心底びっくりしている顔だった。
ポーリーナ伯母様はジュエルお姉様に筆箱を今すぐ見せるように言い、もちろんそこには私のネーム入りのペンが数本入っていた。この作戦の為に隙をみてこっそりと入れておいたのよ。
(ジュエルお姉様。私が幸せになる為に悪女になってください)
ポーリーナ伯母様はジュエルお姉様とお母様を責めた。もともとお母様とは性格が合わなかったポーリーナ伯母様は、簡単に私の話を信じ込み私を引き取ってくれた。
(やったわ。これで元の生活に戻れる)
ところが引き取られてみると、それほど伯母様の家はお金持ちではなかった。フィントン男爵邸で働くポーリーナ伯母様夫妻は見栄っ張りなだけで、借金してでも身を飾り立て分不相応な装飾品を身につけた。おまけにポーリーナ伯母様夫妻には三つ子の乳児がいたのだ。
「引き取ってあげたんだから子守をしなさいよ。あの家から救ってあげたのよ」
私は家の手伝いに追われ学園に通う暇も無い。
「どうせ勉強が好きじゃ無さそうだから、学園なんか行かなくたっていいわよね。ここにいさせてあげるのだから、せいぜい役に立ちなさい」
(こんなはずじゃなかった。おかしいよ、私がこんなことになるなんて・・・・・・)
それから5年の歳月が経った。
「はぁーー、アンナじゃなくてジュエルを引き取れば良かったわ。あの子は学園卒業後に獣医師学校に進学したそうよ。カンニングした子があと数年もすれば獣医師だわ。皆に自慢できたのに。それにセレーブは看護師長に出世したらしいわ。忌々しいったらありゃしない」
私はポーリーナ伯母夫妻の子供達の世話をしながら愚痴を聞かされた。
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