1 / 3
1 ダリル視点 (理想の婚約者の死)
しおりを挟む
1 婚約者の死(ダリル視点)
「ダリル様、貴方のことを心の底から愛しています」
いつも、優しい口調で囁いてくれた婚約者の死に、私は深い悲しみで立ち上がることもできなかった。
私の婚約者のリンダ・ミントは公爵令嬢で、気品のある素晴らしい女性だった。
私のハンカチにしてくれた彼女の刺繍は手が込んでいたし、私の為にいつも淹れてくれたお茶は、私の好みを研究してブレンドされていた。
香りの豊かな紅茶を楽しみたい私は、花のようなフレッシュな香りを好む。リンダは、ダージリンとヌワラエリア、キーマンを上手にブレンドしていた。
そして、たまにはその中にフルーツもいれた。
アップルティーやレモンティーは、甘くして一緒に楽しんだし、リンダの奏でるハープは天上の楽園にいるかのような響きだった。
艶やかな金髪にスミレ色の瞳の美しいリンダは聡明だった。生きていれば、さぞや偉大な王妃になっただろうに・・・・・・
あのような最愛の婚約者を失うなんて、この世に神はいないに違いない。
「ねぇーー。いつまでも、悲しんでいないでさ。私とまた、楽しみましょうよ? もう、リンダもいなくなったのだから、私達は、一緒になれるんじゃないかしら?」
私にしなだれかかってきたルル(リンダの義理の姉)を改めて見つめた。リンダには、似ても似つかない色気ばかりが漂う軽薄な女。なぜ、リンダが生きている時に、このルルに魅力を感じたのか自分でもわからない。
尽くしてくれるリンダがいる一方で、このルルと逢瀬を重ねていた。そして、一時期はこのルルこそが真実の愛の相手とさえ思っていたこともある。
なんて、愚かな私だ。落ち込んで、食欲もない私をさらに打ちのめしたのは、リンダの日記だった。
リンダの父親のミント公爵が、リンダの生前に自分になにかあったら、この日記を私に渡すように頼んだという。
私は、その日記を読んで・・・・・・絶句した。その日記の最後にはこう書かれていたのだった。
ダリル様はルルを愛している。私は、何度もダリル様とルルの逢い引きの様子を目撃した。ずっと、黙っていて、気がつかないふりをしようと思った。けれど、逢い引きの時に聞いた言葉が忘れられない。ダリル様は『真実の愛』だと言っていた。ならば、私は邪魔者だわ・・・・・・眠るように亡くなる薬を私はこれから飲むわ・・・・・・さようなら、ダラス様・・・・・・貴方の幸せをいつまでも願っています・・・・・・
「うわぁあああああああーーーーーーー!! あぁあーーーー!!あぁぁあぁぁーーーーーー!!」
私は、絶叫していた。・・・・・・リンダの死は、自殺なのか・・・・・・そんな・・・・・・違うんだ!
ルルなんて愛してるはずがない! ただの、セフレなんだ・・・・・・やるだけの関係だ・・・・・・愛は確実にリンダにある。ルルとも会っていた卑怯な私がリンダを死に追いやったのか・・・・・・・。
毎日、毎日、夢にでてくるリンダは、私を責めている。恨めしそうな顔をしている時もあれば、天使のように微笑んでいる時もある・・・・・・
本当に愛している人が自分のせいで、自殺したという事実に私は耐えられなかった。
毎日が、苦痛で、食欲もなく眠ることもできなくなった・・・・・・もはや、まともに生活はできなくなっていた。
王である父上の声が聞こえた。
「精神病院に連れて行け。五分ごとに奇声をあげる王太子では国が滅びるわい。廃嫡するしかなかろう」
「ダリル様、貴方のことを心の底から愛しています」
いつも、優しい口調で囁いてくれた婚約者の死に、私は深い悲しみで立ち上がることもできなかった。
私の婚約者のリンダ・ミントは公爵令嬢で、気品のある素晴らしい女性だった。
私のハンカチにしてくれた彼女の刺繍は手が込んでいたし、私の為にいつも淹れてくれたお茶は、私の好みを研究してブレンドされていた。
香りの豊かな紅茶を楽しみたい私は、花のようなフレッシュな香りを好む。リンダは、ダージリンとヌワラエリア、キーマンを上手にブレンドしていた。
そして、たまにはその中にフルーツもいれた。
アップルティーやレモンティーは、甘くして一緒に楽しんだし、リンダの奏でるハープは天上の楽園にいるかのような響きだった。
艶やかな金髪にスミレ色の瞳の美しいリンダは聡明だった。生きていれば、さぞや偉大な王妃になっただろうに・・・・・・
あのような最愛の婚約者を失うなんて、この世に神はいないに違いない。
「ねぇーー。いつまでも、悲しんでいないでさ。私とまた、楽しみましょうよ? もう、リンダもいなくなったのだから、私達は、一緒になれるんじゃないかしら?」
私にしなだれかかってきたルル(リンダの義理の姉)を改めて見つめた。リンダには、似ても似つかない色気ばかりが漂う軽薄な女。なぜ、リンダが生きている時に、このルルに魅力を感じたのか自分でもわからない。
尽くしてくれるリンダがいる一方で、このルルと逢瀬を重ねていた。そして、一時期はこのルルこそが真実の愛の相手とさえ思っていたこともある。
なんて、愚かな私だ。落ち込んで、食欲もない私をさらに打ちのめしたのは、リンダの日記だった。
リンダの父親のミント公爵が、リンダの生前に自分になにかあったら、この日記を私に渡すように頼んだという。
私は、その日記を読んで・・・・・・絶句した。その日記の最後にはこう書かれていたのだった。
ダリル様はルルを愛している。私は、何度もダリル様とルルの逢い引きの様子を目撃した。ずっと、黙っていて、気がつかないふりをしようと思った。けれど、逢い引きの時に聞いた言葉が忘れられない。ダリル様は『真実の愛』だと言っていた。ならば、私は邪魔者だわ・・・・・・眠るように亡くなる薬を私はこれから飲むわ・・・・・・さようなら、ダラス様・・・・・・貴方の幸せをいつまでも願っています・・・・・・
「うわぁあああああああーーーーーーー!! あぁあーーーー!!あぁぁあぁぁーーーーーー!!」
私は、絶叫していた。・・・・・・リンダの死は、自殺なのか・・・・・・そんな・・・・・・違うんだ!
ルルなんて愛してるはずがない! ただの、セフレなんだ・・・・・・やるだけの関係だ・・・・・・愛は確実にリンダにある。ルルとも会っていた卑怯な私がリンダを死に追いやったのか・・・・・・・。
毎日、毎日、夢にでてくるリンダは、私を責めている。恨めしそうな顔をしている時もあれば、天使のように微笑んでいる時もある・・・・・・
本当に愛している人が自分のせいで、自殺したという事実に私は耐えられなかった。
毎日が、苦痛で、食欲もなく眠ることもできなくなった・・・・・・もはや、まともに生活はできなくなっていた。
王である父上の声が聞こえた。
「精神病院に連れて行け。五分ごとに奇声をあげる王太子では国が滅びるわい。廃嫡するしかなかろう」
79
あなたにおすすめの小説
欲に負けた婚約者は代償を払う
京月
恋愛
偶然通りかかった空き教室。
そこにいたのは親友のシレラと私の婚約者のベルグだった。
「シレラ、ず、ずっと前から…好きでした」
気が付くと私はゼン先生の前にいた。
起きたことが理解できず、涙を流す私を優しく包み込んだゼン先生は膝をつく。
「私と結婚を前提に付き合ってはもらえないだろうか?」
私の婚約者でも無いのに、婚約破棄とか何事ですか?
狼狼3
恋愛
「お前のような冷たくて愛想の無い女などと結婚出来るものか。もうお前とは絶交……そして、婚約破棄だ。じゃあな、グラッセマロン。」
「いやいや。私もう結婚してますし、貴方誰ですか?」
「俺を知らないだと………?冗談はよしてくれ。お前の愛するカーナトリエだぞ?」
「知らないですよ。……もしかして、夫の友達ですか?夫が帰ってくるまで家使いますか?……」
「だから、お前の夫が俺だって──」
少しずつ日差しが強くなっている頃。
昼食を作ろうと材料を買いに行こうとしたら、婚約者と名乗る人が居ました。
……誰コイツ。
君の小さな手ー初恋相手に暴言を吐かれた件ー
須木 水夏
恋愛
初めて恋をした相手に、ブス!と罵られてプチッと切れたお話。
短編集に上げていたものを手直しして個別の短編として上げ直しました。
※毎度ですが空想であり、架空のお話です。史実に全く関係ありません。
ヨーロッパの雰囲気出してますが、別物です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる