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5 真実が明かされる
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「さてここで重大な発表がある。皆のもの、よく聞いて欲しい」
国王陛下と王妃殿下がお出ましになり貴族全員に向かって声を張り上げたのだった。
国王陛下と王妃殿下がゆっくりとこちらにやって来る。私はこれから何が起こるのかさっぱりわからない。
「ここにいるハーバート公爵令嬢のアメリアはワシと王妃の娘である。」
この発表にその場にいた貴族たちはざわつき始めた。
「まさか……そんなことが。ですが確かにアメリア様と王妃殿下が並んでいらっしゃると……とても似ておいでですわ」
「あら、ほんとですわね。そっくりです。……と言う事は、本当に王女殿下であられるのですね」
「まさか! ハーバート公爵令嬢は平民の子だと確かな筋から聞いたのだぞ! そんな訳がない」
最後のセリフはディッシュ侯爵の言葉だった。
「これには迷信が関係している。皆も承知の通りウィリアム王子は私の一人息子ではあるが、実は王妃のお腹にはもう1人子供がいたのだ。ウィリアムとアメリアは双子なのだ」
「なんですって! 不吉な双子だったんですね」
「なんてことだ! 双子が生まれた家は傾きその一族は原因不明の病に犯され没落する、と言う昔からの言い伝えがある。王家に双子が生まれたのならば、当然どちらかは殺さねばならない。そうしなければ流行病が起こり山は噴火し海は荒れる。多くの災いがこの国を襲う」
大臣達はまゆ潜めてそのような言葉を発した。
「我が子を殺すなど誰ができようか? わしは娘をハーバート公爵に託した。さて皆の者に聞きたい。今現在、双子が王家に生まれどちらも元気に生きている。もし言い伝えの通りであれば今頃この国はなくなっているであろう? ワシや王妃は大病を患い、天変地異が起こっているはずだ。ところがどうだ? 国はますます栄えワシも王妃もすこぶる健康である。このような意味のないくだらない迷信はこの国には不必要である。そして今ここでこのアメリアを我が娘と認め王女としての権利を与えようと思う」
先ほどまで戸惑っていた貴族たちも、国王陛下の演説を聞き深くうなずいた。
「本当にその通りですね。もしその言い伝えが本当であればこの国はとっくになくなっているはずです」
「確かに不幸な出来事はどこにでもある。それを双子のせいにしてきただけなんだ。人は不幸を誰かのせいにしすぎる。罪もない子供にこれからはそんな濡れ衣を着せてはいけない」
「まったくだ。これからはそんな不幸な子を出してはいけない。それどころかこれだけこの国が繁栄していると言う事は双子は神の御恵みである。不吉ではなくその逆、幸せのお使いだと思うべきだ」
多くの貴族が国王陛下のお考えに賛同し意見を述べていく。
けれど納得のいかない者もその場にはおり、それはディッシュ侯爵親子だった。
「まさかアメリアが王女だなんて思わなかった!こんなの詐欺じゃないか!」
ジョージは恨めしそうに私を睨んでいる。
「おかしいなぁ。私はほんとにハーバート公爵家の乳母から聞いたはずなんだ。「お嬢様は平民の夫婦の子供なんですよ」と。それは確かな情報のはずだった。なぜなんだ?」
ジョージの父親、ディッシュ侯爵のその言葉を聞いてマックスがニヤリと笑った。
「王女殿下の婚約者のジョージは先ほど婚約破棄を言い出しました。慰謝料は通常よりもたくさんもらいたいそうです。理由はアメリア様が浮気者の平民出身だからということです」
穏やかな微笑を浮かべながら氷の声でマックスは国王陛下にそう申しあげたのだった。
「僕はそんなことは言っておりません。何かの間違いです。国王陛下、信じてください」
ジョージの必死の弁解に周りの貴族の何人かが語りだしたのだった。
「あー、それは私も聞きました! 『アメリアは浮気者の平民なんだから僕にそれなりの礼を尽くせよ!』と、確かそんなふうにおっしゃっていましたわね」
「そうそう、このようなこともおっしゃっていましたよね。『一応ハーバート公爵令嬢だから持参金があると思って付き合ってやったんだ!』と。とても横柄に偉そうにおっしゃっていましたよ」
社交界の重鎮のご婦人たちがジョージへの不快感をにじませながら国王陛下に申し上げる。
「ジョージ! とても興味深い話だな。詳しくワシに聞かせてくれまいか?」
こめかみの血管をピクピクさせて国王陛下はジョージを鋭い眼差しで睨みつけたのだった。
国王陛下と王妃殿下がお出ましになり貴族全員に向かって声を張り上げたのだった。
国王陛下と王妃殿下がゆっくりとこちらにやって来る。私はこれから何が起こるのかさっぱりわからない。
「ここにいるハーバート公爵令嬢のアメリアはワシと王妃の娘である。」
この発表にその場にいた貴族たちはざわつき始めた。
「まさか……そんなことが。ですが確かにアメリア様と王妃殿下が並んでいらっしゃると……とても似ておいでですわ」
「あら、ほんとですわね。そっくりです。……と言う事は、本当に王女殿下であられるのですね」
「まさか! ハーバート公爵令嬢は平民の子だと確かな筋から聞いたのだぞ! そんな訳がない」
最後のセリフはディッシュ侯爵の言葉だった。
「これには迷信が関係している。皆も承知の通りウィリアム王子は私の一人息子ではあるが、実は王妃のお腹にはもう1人子供がいたのだ。ウィリアムとアメリアは双子なのだ」
「なんですって! 不吉な双子だったんですね」
「なんてことだ! 双子が生まれた家は傾きその一族は原因不明の病に犯され没落する、と言う昔からの言い伝えがある。王家に双子が生まれたのならば、当然どちらかは殺さねばならない。そうしなければ流行病が起こり山は噴火し海は荒れる。多くの災いがこの国を襲う」
大臣達はまゆ潜めてそのような言葉を発した。
「我が子を殺すなど誰ができようか? わしは娘をハーバート公爵に託した。さて皆の者に聞きたい。今現在、双子が王家に生まれどちらも元気に生きている。もし言い伝えの通りであれば今頃この国はなくなっているであろう? ワシや王妃は大病を患い、天変地異が起こっているはずだ。ところがどうだ? 国はますます栄えワシも王妃もすこぶる健康である。このような意味のないくだらない迷信はこの国には不必要である。そして今ここでこのアメリアを我が娘と認め王女としての権利を与えようと思う」
先ほどまで戸惑っていた貴族たちも、国王陛下の演説を聞き深くうなずいた。
「本当にその通りですね。もしその言い伝えが本当であればこの国はとっくになくなっているはずです」
「確かに不幸な出来事はどこにでもある。それを双子のせいにしてきただけなんだ。人は不幸を誰かのせいにしすぎる。罪もない子供にこれからはそんな濡れ衣を着せてはいけない」
「まったくだ。これからはそんな不幸な子を出してはいけない。それどころかこれだけこの国が繁栄していると言う事は双子は神の御恵みである。不吉ではなくその逆、幸せのお使いだと思うべきだ」
多くの貴族が国王陛下のお考えに賛同し意見を述べていく。
けれど納得のいかない者もその場にはおり、それはディッシュ侯爵親子だった。
「まさかアメリアが王女だなんて思わなかった!こんなの詐欺じゃないか!」
ジョージは恨めしそうに私を睨んでいる。
「おかしいなぁ。私はほんとにハーバート公爵家の乳母から聞いたはずなんだ。「お嬢様は平民の夫婦の子供なんですよ」と。それは確かな情報のはずだった。なぜなんだ?」
ジョージの父親、ディッシュ侯爵のその言葉を聞いてマックスがニヤリと笑った。
「王女殿下の婚約者のジョージは先ほど婚約破棄を言い出しました。慰謝料は通常よりもたくさんもらいたいそうです。理由はアメリア様が浮気者の平民出身だからということです」
穏やかな微笑を浮かべながら氷の声でマックスは国王陛下にそう申しあげたのだった。
「僕はそんなことは言っておりません。何かの間違いです。国王陛下、信じてください」
ジョージの必死の弁解に周りの貴族の何人かが語りだしたのだった。
「あー、それは私も聞きました! 『アメリアは浮気者の平民なんだから僕にそれなりの礼を尽くせよ!』と、確かそんなふうにおっしゃっていましたわね」
「そうそう、このようなこともおっしゃっていましたよね。『一応ハーバート公爵令嬢だから持参金があると思って付き合ってやったんだ!』と。とても横柄に偉そうにおっしゃっていましたよ」
社交界の重鎮のご婦人たちがジョージへの不快感をにじませながら国王陛下に申し上げる。
「ジョージ! とても興味深い話だな。詳しくワシに聞かせてくれまいか?」
こめかみの血管をピクピクさせて国王陛下はジョージを鋭い眼差しで睨みつけたのだった。
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