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6 マックスにやられた(ジョージ視点)
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「申し訳ありません。なんていうかその……アメリア様が王女だとは思わなかったものですから、父上からは平民の子供と言うように聞いておりましたのでつい……」
「平民の子供であればそのようなことを言ってもいいと、そういうわけだな? アメリアの価値もわからずその人柄を愛することもなく、ただ平民出身と言うことでそのようなふざけた言葉を吐いたのか?」
「えっと、王女殿下だと知っていればそのような失礼な事は決して申し上げませんでした」
「 平民がいるから私たち貴族がこの世に存在することができる。この世に貴族だけであればどうやってこの世界を維持することができるんだ?そのような歪んだ考えの持ち主はアメリアにはふさわしくないだろう。婚約破棄は認めよう。だが慰謝料の件はどういうことだ? 浮気者とはいったいアメリアが何をしたというのだ?」
「それはこのような場所で私以外の男性と踊っていたからです」
「それだけで浮気者と決めつけたのか? このような公の場所でアメリアを責め立てて婚約破棄を突き付けたとは何たる痴れ者。皆の者どう思う?」
「それはもちろん慰謝料はジョージ様こそが払うべきです」
「そうですね、全くその通りです。このような場所で婚約破棄をするなど女性を貶める行為です」
ーー僕はピンチだ。どうしたらいいんだ?
追い詰められた僕はアメリアにすがるような眼差しを向ける。だがアメリアの肩はマックスに守るように抱かれていてその視線は僕を少し見ていなかった。マックスは心底軽蔑したような眼差しを僕に向けニヤリと笑った。
「国王陛下に申し上げます。僕はずっと弟としてアメリア様を守ってきました。しかし、僕のせいでアメリア様は婚約破棄をされました。変装してアメリア様をエスコートし踊った愚かな僕の行動のせいです。このようなくだらない男からでも婚約破棄されたとあってはアメリア様は傷物と呼ばれてしまいます。その責任を取り僕はアメリア様を一生かけてお守りすることを誓います」
マックスは国王陛下に丁寧に頭を下げしっかりとした口調でそう申し上げた。
ーーちょっと待てよ! それってずいぶん計算された言い分じゃないのかよ?
「ところでなんで変装していたのだ? マックスが変装していなければアメリアもこのような誤解をされなかっただろう?」
「そうだよ! なんで変装なんかしたんだよ? 詐欺だろう?」
僕もこの時とばかり疑問をぶつけた。
「実はずっと姉としてではなく1人の女性としてアメリア様をお慕いしておりました。ですがアメリア様には他に婚約者がおり、本日王女殿下に戻られるということは父上から聞いておりましたので、最後の思い出としてアメリア様をエスコートし踊りたかったのです。弟としてではなくほんのいっときだけでもいい、一緒にいたかったので変装しました。今日きっぱりとアメリア様への切ない気持ちを封印するために・・・・・・」
その最大限に美しい顔を切なげに歪め眉尻を落とし、まるで従順なワンコの垂れ下がった耳が頭の上に見えるかのようだ!
ーー嘘だ! こんな性格じゃないだろう? 僕が知っているのは俺様のマックスだぞ!
「まぁ、そのようなお話であれば封印などする必要はありませんわ。そのままアメリアの婚約者になっていただきましょう。家柄も妥当ですし今までアメリアを守ってきたマックスならば安心ですわ」
王妃殿下は目を細めて満足気に頷いた。
ーーえ? こんな言い分があっさりと通る? イケメンって・・・・・・
「まぁ、なんて素敵! 忍ぶ恋だったなんて……それほどの思いであれば本物じゃありませんか? お似合いじゃありませんか」
「とてもロマンチックですわ。弟として守っていたけれど実は恋い焦がれていたなんてまるで物語のようですわ!」
女性陣を完璧に味方につけ国王陛下には臣下の礼で忠誠を誓い跪き、ウィリアム王子殿下には爽やかに笑いかけてやはり優雅に礼をする。完璧な所作に感嘆の声さえ漏れる。そしてその結果は……
「王女アメリアの婚約者はこのマックス・ハーバート公爵家嫡男とする!」
国王陛下はにこにこと宣言し王妃殿下は涙を流し喜び、ウィリアム王子殿下はマックスと祝いの杯を交わし始めたのだった。
僕は完璧にマックスにしてやられたんだ、そう気がついたがもう今更どうにもならなかった。
今まで融資してもらった額に慰謝料が積み重ねられてその重い負担にディッシュ侯爵家は破産し没落したのだった。
「平民の子供であればそのようなことを言ってもいいと、そういうわけだな? アメリアの価値もわからずその人柄を愛することもなく、ただ平民出身と言うことでそのようなふざけた言葉を吐いたのか?」
「えっと、王女殿下だと知っていればそのような失礼な事は決して申し上げませんでした」
「 平民がいるから私たち貴族がこの世に存在することができる。この世に貴族だけであればどうやってこの世界を維持することができるんだ?そのような歪んだ考えの持ち主はアメリアにはふさわしくないだろう。婚約破棄は認めよう。だが慰謝料の件はどういうことだ? 浮気者とはいったいアメリアが何をしたというのだ?」
「それはこのような場所で私以外の男性と踊っていたからです」
「それだけで浮気者と決めつけたのか? このような公の場所でアメリアを責め立てて婚約破棄を突き付けたとは何たる痴れ者。皆の者どう思う?」
「それはもちろん慰謝料はジョージ様こそが払うべきです」
「そうですね、全くその通りです。このような場所で婚約破棄をするなど女性を貶める行為です」
ーー僕はピンチだ。どうしたらいいんだ?
追い詰められた僕はアメリアにすがるような眼差しを向ける。だがアメリアの肩はマックスに守るように抱かれていてその視線は僕を少し見ていなかった。マックスは心底軽蔑したような眼差しを僕に向けニヤリと笑った。
「国王陛下に申し上げます。僕はずっと弟としてアメリア様を守ってきました。しかし、僕のせいでアメリア様は婚約破棄をされました。変装してアメリア様をエスコートし踊った愚かな僕の行動のせいです。このようなくだらない男からでも婚約破棄されたとあってはアメリア様は傷物と呼ばれてしまいます。その責任を取り僕はアメリア様を一生かけてお守りすることを誓います」
マックスは国王陛下に丁寧に頭を下げしっかりとした口調でそう申し上げた。
ーーちょっと待てよ! それってずいぶん計算された言い分じゃないのかよ?
「ところでなんで変装していたのだ? マックスが変装していなければアメリアもこのような誤解をされなかっただろう?」
「そうだよ! なんで変装なんかしたんだよ? 詐欺だろう?」
僕もこの時とばかり疑問をぶつけた。
「実はずっと姉としてではなく1人の女性としてアメリア様をお慕いしておりました。ですがアメリア様には他に婚約者がおり、本日王女殿下に戻られるということは父上から聞いておりましたので、最後の思い出としてアメリア様をエスコートし踊りたかったのです。弟としてではなくほんのいっときだけでもいい、一緒にいたかったので変装しました。今日きっぱりとアメリア様への切ない気持ちを封印するために・・・・・・」
その最大限に美しい顔を切なげに歪め眉尻を落とし、まるで従順なワンコの垂れ下がった耳が頭の上に見えるかのようだ!
ーー嘘だ! こんな性格じゃないだろう? 僕が知っているのは俺様のマックスだぞ!
「まぁ、そのようなお話であれば封印などする必要はありませんわ。そのままアメリアの婚約者になっていただきましょう。家柄も妥当ですし今までアメリアを守ってきたマックスならば安心ですわ」
王妃殿下は目を細めて満足気に頷いた。
ーーえ? こんな言い分があっさりと通る? イケメンって・・・・・・
「まぁ、なんて素敵! 忍ぶ恋だったなんて……それほどの思いであれば本物じゃありませんか? お似合いじゃありませんか」
「とてもロマンチックですわ。弟として守っていたけれど実は恋い焦がれていたなんてまるで物語のようですわ!」
女性陣を完璧に味方につけ国王陛下には臣下の礼で忠誠を誓い跪き、ウィリアム王子殿下には爽やかに笑いかけてやはり優雅に礼をする。完璧な所作に感嘆の声さえ漏れる。そしてその結果は……
「王女アメリアの婚約者はこのマックス・ハーバート公爵家嫡男とする!」
国王陛下はにこにこと宣言し王妃殿下は涙を流し喜び、ウィリアム王子殿下はマックスと祝いの杯を交わし始めたのだった。
僕は完璧にマックスにしてやられたんだ、そう気がついたがもう今更どうにもならなかった。
今まで融資してもらった額に慰謝料が積み重ねられてその重い負担にディッシュ侯爵家は破産し没落したのだった。
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