【完結】魔王を倒す前に俺が倒れます!

ゆい

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番外編

エルと首脳会談の話

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ジークから弁当を受け取った際に、チラッと首筋のキスマークを見つける。
ジークはユーリを抱くと対面座位ですることが多い。その時にユーリはジークの首筋を噛んだり、吸ったりして、いき過ぎる快楽を逃そうとする。その時のユーリの可愛さったら…と思うと、

「ジークだけ狡い!」

と言ってしまうのは仕方ないのかもしれない。
ジークは『ちゃんと渡したからな』と立ち去って行った。僕も言い分くらい聞いていってほしい。

思わぬ2人の時間を作ってしまった僕って、可哀想すぎないか?
本当だったら5日も離れるから、昨夜はユーリといちゃいちゃしたかった。
僕のキスでユーリを蕩けさせたかった。
……城で僕のものをおっ勃ててはまずいので、厳つい父上の顔を思い浮かべれば、自然に萎える。
未だ不能という扱いだから、これを知られたら間違いなく勝手に離縁されて、勝手に女性と結婚されて、勝手に子供を作らされる。
抱くのも抱かれるのも、もうユーリ以外とはする気ないし。
それにそんなことで出来た子が可哀想じゃないか。



馬車の旅は思ったより1日で疲れた。まだおっさん騎士はいいが、僕の年代の騎士の何人かはアピールをしてくる。浮気?するわけないでしょ。
多分ジークを敵視している奴らだ。
僕が昔からジークを離さなかったから、勘違いをしている奴らだ。
ジークが結婚したから、僕はジークに捨てられたと思っている奴ら。僕も結婚したんだからね!
僕の容姿、立場で大量に釣書は届いていたが、勇者の立場でもあるから全部断っていた。
結婚していいように身体を弄ばれ、魔王を討伐に行き死ぬなんて、何回かの転生で経験済み。そんなのはもうごめんだ。

なんだかんだと、僕達を気遣い、優しく接してくれたのは、ユーリとラインハルトだけ。ユーリは料理で、ラインハルトは王として出来る権限を使ってくれた。
なんの見返りも求めていない。ただ、支えたかったって。
寧ろこの2人がいなかったら、僕もジークもリリーもロドリーも今笑っていることはなかっただろう。
なるべく同僚の魔法士か、父上といることを心掛けた。



隣国の城に1日で着き、会議の時に父上の後ろに控えるのは騎士団長と僕。後は、部屋の外で待機だ。
部屋に入るまで、他国の騎士達に見られている視線はうざったいが我慢をする。

「おう、エルンストではないか?」

部屋に入ってから、声をかけてきたのはラインハルトだった。
他国の王が、皇帝より先に皇帝の護衛に声をかけるなんてまずないと思うんだが?
でも父上とラインハルトは披露宴より仲を深めているらしいから、父上は気にしていないみたいだ。

「お久しぶりでございます。私共の結婚式にお越しいただきありがとうございました。」

「よいよい。思わず新婦の父親役もやれて良かった。」

「儂がやりたかったのに。」

まだ言うかな、この人は。

「皇帝は新郎の父親なんだから、でんと構えておればいいのじゃ。そうじゃ、ロドリーも来ておるぞ。夕食の時に時間が取れるから、話でもしたら良い。」

「お心遣いありがとうございます。」

王様は自分の席へと戻り、護衛騎士達は僕に頭を下げて王様の後ろに付いた。
王様の護衛騎士はいつもの2人だった。
王様を守る気持ちが強い2人は、城に滞在中に何回か練習で剣を交えた。
2人はそれなりに強かった。強いが型通りの動きしかしない。戦いに卑怯も待ったもないから、ジークの多種多様な剣戟についてこれなかった。
僕もそれなりにできるが、剣に関してはジークとロドリーには負けてしまう。
魔法であらゆる事態の想定をしながら鍛練をした結果、僕とジークは懐かれた。
純粋に強いからと尊敬の眼差しをもらうのは、むず痒い気持ちになったよ。


今回の会議は、魔王がいなくなったが、未だに強い魔物の出現による対策と、女性の出生率の低下についてだった。
男と女の割合が国平均で7:3もしくは8:2までになってきている。
酷いと女性が生まれてこない村もある。

ユーリ曰く『BLの世界』だから男が多いらしい。
そこは上手い具合に女性も生まれるように、神様(作者様)が采配するだろうって言っていた。
まあ誰かにわざわざ言う必要もないから、黙っているけど。
女性が生まれたら国で保護するとか、バカバカしい話をしている。
尚更子供が、女性が少なくなるとは思わないのかな?


会議以外は自由時間となるから、護衛が終わった足でロドリーに会いに行った。

「ロドリー!」

「おお!エル!」

と、再会の抱擁をする。周りは騒つく。なんで?

「元気だったか?」

「ロドリーこそどう?…少し太った?」

「いやぁ、かみさんのメシが美味くて。ユーリと手紙のやり取りで、料理のレシピももらっているみたいで。ユーリに感謝を伝えておいてくれ。」

「相変わらず仲が良くて何よりだね。ちゃんと伝えておくよ。」

「エルこそ、結婚したんだろ。おめでとう!式に行けなく悪かったな。」

「まだ子供が小さいから無理しなくていいよ。でも大きくなったら、みんなに会いにきてね。」

「もちろん。」

僕達は連れ立って夕食を食べに行った。
まあごはんの期待はしていなかったから、特に感想はない。

「エル、お前ユーリから弁当作ってもらっているだろ?ちょっと分けろよ。」

「恐喝かな?」

「俺だって偶には食べたい。」

「…もうちょっとだけだよ?」

と、重箱を1つ出す。
蓋を開ければ、丁度からあげが入っている弁当だった。

「おお、当たりだな!」

「ユーリの弁当にハズレはないよ。」

「そりゃそうだ。」

と、笑いながら食べる。
2人で近況を伝えながら、食べていく。
リリーやロドリーの子供の成長の話ばかりだけど。

「あのぅ、ご一緒してもいいですか?」

と、ラインハルトの護衛騎士2人に聞かれた。僕とは顔見知りだし、ロドリーは騎士仲間だ。

「「いいよ(ぞ)。」」

と、2人は返事した。2人は席に着くと、

「ユーリさんの手料理ですか?」

と、重箱を覗かれる。

「おう、美味いぞ。1個だけなら食ってもいいぞ。」

「いや、なんでロドリーが答えるのさ。」

「エルは相変わらず狭量だな。ジークもか。」

「うるさいよ。」

「では遠慮なくいただきます。」

「いただきます。」

と、2人は、からあげをフォークに刺して食べる。
もぐもぐと美味しそうに食べてくれる。

「やっぱり、かみさんのとユーリのじゃ、違うんだよな。もぐもぐ。」

「ヨシュア料理長も上手く揚がらないって悩んでいました。」

「あの暑苦しい料理長が?」

「「ぶふっ。」」

2人は笑い出す。

「エルンスト様の結婚式にいただいたステーキも美味しかったです。実は陛下の命令で一枚アイテムボックスに入れて持って帰りました。事後報告ですみません。」

「ヨシュア料理長に食べさせてあげたいと、陛下がいうもので。本当に申し訳ないです。」

「料理長が食べてくれたんなら、別に構わないよ。ユーリもその方が嬉しいだろうし。」

「で、あの肉はどんな魔物の肉ですか?料理長が『肉から違う』って言ってました。確かに初めてあんな蕩ける肉を食べましたよ。」

「本当に、美味しかったです。」

「ええ、俺も食べたかったなぁ。」

ちょっと拗ねるロドリー。

「あれ?あれはドラゴンだよ。魔石が欲しくて狩りに行こうとしたら、ユーリが食べてみたいと言ったから、肉はついでだったけど、食べてみたら美味しかっただけだよ。」

「「ドラゴン?!」」

「どうだった?単騎でいけたか?」

「いけた!丁度アースドラゴンだったから、リリーに習いたての雷魔法を1発落としたら、倒れたよ。ちょっと呆気なかったな。ジークなんて出番なかったから、拗ねて解体するまでに時間がかかったし。」

「俺も力試しに行こうかな。肉美味いなら食べてみたいし。」

「そうしたら。城に持って行けば、料理長張り切って焼いてくれるんじゃない?」

エル達3人にかかれば、ドラゴンさえ食材になる。騎士が100人いても倒せるかわからない魔物をいとも簡単に倒してしまう。そう思えば絶対敵に回してはいけない。改めて勇者達の凄さを実感した護衛騎士2人であった。

周りで話を聞いていた騎士達の半分は恐れ、半分はホラ吹きと思い込んだ。単騎でドラゴンを倒せる者なんている訳がないと。

皇国の騎士達の中で、エル達の結婚披露宴に出席していた者もいて、『あのステーキは美味かった』と、思い出していた者もいた。
しばらくしてから皇国では、高値でドラゴン肉が取引されることになる。
今のエルには知る由もない。








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