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19.質問と再びの提案3
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「あなたが年下の婚約者の件で慎重になっている事は分かっていますが、私を少しでもいいので信じてほしいと思います。年上の婚約者はいいものだと証明してみせます。今は、私の心の内を信じられないのなら、とりあえず婚約者としては優良物件として見てくれていいです」
きっぱりとした口調だったが、優良物件すぎて警戒しているんだとはっきり口に出すのは躊躇われた。
婚約者の件があって警戒しすぎている点は確かに認めるが、だからといってクレメンスとルドヴィックが同じだとは思っていない。
「お願いします。私にも機会を与えていただけないでしょうか?」
懇願するような問いかけをヴィクトリアはどうやって上手く切り抜けるか考えていた。言っている事は向こうの方が正論であるからこそ、断りづらい。
メリット、デメリットを考える以前に、普通に考えておかしい提案だが、あまりにもルドヴィックがおかしいことなどないという態度でヴィクトリアに提案するので、考えがまとまらない。
そんなヴィクトリアにルドヴィックは微笑みながらあっさりと言った。
「お断りの言葉がないという事は、良いということでいいですね?」
「え?」
「考え込むと言うのは、私の提案に一理あると思っていたという事でしょう?」
「一理あるとは思いましたが、それとこれとは別物で――」
「同じことです。それに、ヴィクトリア嬢も気持ちを疑われたら、気持ちがいいものではないでしょう? 挽回する機会があるのなら、そうしたいはずです。違いますか? 私にその機会も与えてくれないのですか?」
「そのようなことはないです。ただ、もう少し違うやり方があるのではないかと」
「例えば? 具体案がなければ私の提案を押します」
騎士団長なのに、歴戦の腹黒商人かもしくは文官役人のようだ。
「待ってください! いきなり婚約者とか恋人とか言われても、どうすればいいのか分かりません!」
一応婚約者のいた身ではあるが、婚約者らしいことなどしてもらった事もなければ、それこそ恋人の様に甘い時間を過ごすなど考えた事もなかった。
しかし、考えるべきところはそこではない。
もっと根本的にルドヴィックの提案がおかし事を指摘しなければいけなかったが、相手の雰囲気に呑まれてしまった。
ルドヴィックは気づいていても、それを気づかせない様に先に進む。
「気になるところが、そこならば大丈夫ですよ。私が教えます。手取り足取り、しっかりと」
ルドヴィックは、目を輝かせてヴィクトリアに言いつのる。
そして、がたりと席を立つとつかつかとヴィクトリアの元へやってきて、ひじ掛けに両手を置き、まるで逃がさないと言わんばかりにヴィクトリアを閉じ込めた。
まるで小説の一節のような振る舞いで、上から見下ろす様にしているルドヴィックは、誰が見ても王子様の様だった。
「これも人生経験の一つですよ、そう思うのはいかがでしょう? もし私と上手くいかなくても、この経験はその先の人生できっと役に立つと思いませんか?」
利用してくださいと言われ、それは無理ですと断るのはあまりにも不義理な気がして、結局ヴィクトリアはルドヴィックの提案を受け入れる事しかできなかった。
きっぱりとした口調だったが、優良物件すぎて警戒しているんだとはっきり口に出すのは躊躇われた。
婚約者の件があって警戒しすぎている点は確かに認めるが、だからといってクレメンスとルドヴィックが同じだとは思っていない。
「お願いします。私にも機会を与えていただけないでしょうか?」
懇願するような問いかけをヴィクトリアはどうやって上手く切り抜けるか考えていた。言っている事は向こうの方が正論であるからこそ、断りづらい。
メリット、デメリットを考える以前に、普通に考えておかしい提案だが、あまりにもルドヴィックがおかしいことなどないという態度でヴィクトリアに提案するので、考えがまとまらない。
そんなヴィクトリアにルドヴィックは微笑みながらあっさりと言った。
「お断りの言葉がないという事は、良いということでいいですね?」
「え?」
「考え込むと言うのは、私の提案に一理あると思っていたという事でしょう?」
「一理あるとは思いましたが、それとこれとは別物で――」
「同じことです。それに、ヴィクトリア嬢も気持ちを疑われたら、気持ちがいいものではないでしょう? 挽回する機会があるのなら、そうしたいはずです。違いますか? 私にその機会も与えてくれないのですか?」
「そのようなことはないです。ただ、もう少し違うやり方があるのではないかと」
「例えば? 具体案がなければ私の提案を押します」
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「待ってください! いきなり婚約者とか恋人とか言われても、どうすればいいのか分かりません!」
一応婚約者のいた身ではあるが、婚約者らしいことなどしてもらった事もなければ、それこそ恋人の様に甘い時間を過ごすなど考えた事もなかった。
しかし、考えるべきところはそこではない。
もっと根本的にルドヴィックの提案がおかし事を指摘しなければいけなかったが、相手の雰囲気に呑まれてしまった。
ルドヴィックは気づいていても、それを気づかせない様に先に進む。
「気になるところが、そこならば大丈夫ですよ。私が教えます。手取り足取り、しっかりと」
ルドヴィックは、目を輝かせてヴィクトリアに言いつのる。
そして、がたりと席を立つとつかつかとヴィクトリアの元へやってきて、ひじ掛けに両手を置き、まるで逃がさないと言わんばかりにヴィクトリアを閉じ込めた。
まるで小説の一節のような振る舞いで、上から見下ろす様にしているルドヴィックは、誰が見ても王子様の様だった。
「これも人生経験の一つですよ、そう思うのはいかがでしょう? もし私と上手くいかなくても、この経験はその先の人生できっと役に立つと思いませんか?」
利用してくださいと言われ、それは無理ですと断るのはあまりにも不義理な気がして、結局ヴィクトリアはルドヴィックの提案を受け入れる事しかできなかった。
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