5 / 6
金魚
しおりを挟む
福岡のおじいちゃん(曾祖父)の話を聞かせて欲しいと父親にLINEすると、こんな返信が来た。
私が大学生時代の夏休み、祖父に頼まれ、家に行って庭の池の掃除をした。
コンクリートを張って造られた人工の池で、祖父は朝夕に金魚やコイに餌やりをしていた。池には落ち葉がたまり、苔が生えている。
水抜きの穴に金網を張り、魚たちが逃げないようにして池の水を抜いていたのだが、何かの拍子で網がずれたのだろう、金魚やコイが、水抜きの穴から逃げ出してしまった。
祖父の家は坂の上にあり、穴からつながる20mほど下の排水溝に走って下りていくと、そこにコイたちが跳ねていた。
何匹かは捕獲することができたが、小さな金魚たちは排水溝を伝って流れていったようだ。
祖父のお気に入りの金魚も交じっていたので、申し訳ないことをしたと謝った。
夜、祖父とビールを飲みながら、再び謝ると「いやいや、気にしないでいいよ」という言葉に恐縮した。
毎年、祖父の家に行くと酒の席でその話になり、一緒に笑い合ったが、六年前、祖父も他界してしまった。
私が大学生時代の夏休み、祖父に頼まれ、家に行って庭の池の掃除をした。
コンクリートを張って造られた人工の池で、祖父は朝夕に金魚やコイに餌やりをしていた。池には落ち葉がたまり、苔が生えている。
水抜きの穴に金網を張り、魚たちが逃げないようにして池の水を抜いていたのだが、何かの拍子で網がずれたのだろう、金魚やコイが、水抜きの穴から逃げ出してしまった。
祖父の家は坂の上にあり、穴からつながる20mほど下の排水溝に走って下りていくと、そこにコイたちが跳ねていた。
何匹かは捕獲することができたが、小さな金魚たちは排水溝を伝って流れていったようだ。
祖父のお気に入りの金魚も交じっていたので、申し訳ないことをしたと謝った。
夜、祖父とビールを飲みながら、再び謝ると「いやいや、気にしないでいいよ」という言葉に恐縮した。
毎年、祖父の家に行くと酒の席でその話になり、一緒に笑い合ったが、六年前、祖父も他界してしまった。
応援ありがとうございます!
10
お気に入りに追加
1
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる