読書探偵

2 分かってはいたはずだけどさ、

あの日から数日経った日の休み時間……
僕は今日も机に突っ伏して溜め息をついていた。
煩い教室、耳障りな音……
どれもこれも、だいっきらいな物ばかり。
(まぁ、実際には大嫌いって訳でもないんだけど、
　全てはあの母さんが悪いんだから……)
その時、何故か耳にこんな会話が入ってきた。

「ヒトリー!!昨日のあのテレビ見た!?」
「うん、見たー」
「へー。面白かったよな!!」

……何だこの落差社会。

てかこの三人組、髪色明るすぎ……
不良ヤンキー…なのかな。
にしても、いくら不良ヤンキーでも
面白いテレビの話とかするんだ……

とやかく言って(正確には「思って」)も、
やっぱり重要なのは僕のこと……
何でだろう。

こっちに来てから、もう3日も経ったはずなのに。

何で、誰も話しかけてこないのか。

理由はそりゃまぁ、
嫌でも流石に分かるけどさ。

こんなことになるなんて分かってはいたはずだけどさ、

何でこんなに僕、落ち込んでんだろ。

と思っていたその時、

「あっ……転校生の、仲井君??」

ただでさえ煩い教室だったけど、
正気に戻った僕の耳にとっては大きい声が聴こえたんだ。


しかも、僕を呼ぶ声が。