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乃々花の心配
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私は先程から目の前でボケーっとしながらニヤニヤしている女にイライラしている。
「ちょっと聞いてるの?」
「んー?」
私は声をかけても上の空のようなので一喝する。
「愛華!!!」
「うわっ! いきなり大声出さないでよー!」
「あんたが話聞いてないからでしょ! このバカ!」
今日の愛華はどこかおかしい。下手な嘘を私に見破られて問い詰められた時はいつもシュンとして、ついた嘘は私に心配をかけたくないからと涙ぐんでしまう。
しかし今回はどうだろうか。何故授業を休んだのかを聞く前はいつものように私に問い詰められるのを恐れていたのだが、愛華がその理由を話し始めた途端にニヤニヤし始めた。そして話は止まりニヤニヤしたままボケーっとする始末。
これはちゃんと話を聞かないといけないね。
「愛華。あんたが嘘つくのっていつも嫌なことがあった時でしょ? 今回はどういうことなのかちゃんと話してもらうよ」
「うっ。わ、分かってるよ! 今回の嘘は授業をサボったのがバレないようにってついただけなの」
「わかった。で、何があったの? あんなにニヤニヤする愛華初めて見たよ?」
「うん…… 私ね、一目惚れしちゃったみたい」
「はぁぁぁぁあ⁈」
頬に手を当ててきゃっと言いながら照れる愛華に私は大声を出してしまった。
「やばっ。ちょっと行くわよ」
私は教室で話してクラスメイトに聞かれてはいけないと思い、人気のない階段下へと愛華を連れて行く。
「ここなら誰にも見られないし、そんな大きな声で話さなければ聞かれることもないと思うから。さぁ詳しく聞かせなさい」
「わざわざこんなところにこなく——」
「何言ってるの!! あんたが一目惚れしたなんて知られた日にはどれだけの人間が私たちの教室に攻め込んでくると思う? 間違いなく死ぬわよ」
「ごめんなさい……」
「はぁ。今まで一目惚れなんてあるわけないとか言ってたあんたが一目惚れしましたなんて言ったら男どもは黙ってないだろうし、嫌がらせだって今までよりもひどくなると思う。だからこのことは私と愛華だけの秘密よ。わかった?」
「わかった。乃々花、いつもありがとうね」
「今更何言ってんのよ。大丈夫よ」
「うん……! それでね、私が生徒会長に書類を渡しに——」
そこから愛華の話してくれた内容はとても意外なものだった。
愛華が助けたのは英才科一年の東野徹という人で、彼は愛華を特別扱いすることなく、むしろ雑な態度で接していたこと。
彼が授業をサボるというので愛華も一緒にサボったこと。
それも無理矢理サボるように言われたのではなく、愛華自身がサボると言ったこと。
普段はおばけの貞子のような髪の毛で顔の大半が隠れているが、 髪をかきあげて後ろで縛った時に見た顔がとてつもなくイケメンで、それに愛華がドキッとしたこと。
彼に可愛いと言われたのを愛華が嫌がらなかったこと。
そして愛華の方から知り合いになろうとしたこと。
私の知っている愛華なら男子を助けるようなことはあっても事が済めばすぐに逃げるし、真面目だから授業をサボることはしなかった。可愛いと言われるのを嫌うし、今までにだってイケメンと言われる人の告白を何回も断ってる。
何より私が一番考えられないのは愛華から男子と知り合いになろうとしたことだ。中学の時の出来事以降は極端に男子を嫌うようになっていたから。
愛華のことは信用しているがもしかしたらその徹という男に騙されてるんじゃないかと心配してしまう。
もし彼に会うことがあれば愛華の代わりに私が見極めなくては。そんなことを幸せそうな顔をしてる愛華を見ながら思うのであった。
「ちょっと聞いてるの?」
「んー?」
私は声をかけても上の空のようなので一喝する。
「愛華!!!」
「うわっ! いきなり大声出さないでよー!」
「あんたが話聞いてないからでしょ! このバカ!」
今日の愛華はどこかおかしい。下手な嘘を私に見破られて問い詰められた時はいつもシュンとして、ついた嘘は私に心配をかけたくないからと涙ぐんでしまう。
しかし今回はどうだろうか。何故授業を休んだのかを聞く前はいつものように私に問い詰められるのを恐れていたのだが、愛華がその理由を話し始めた途端にニヤニヤし始めた。そして話は止まりニヤニヤしたままボケーっとする始末。
これはちゃんと話を聞かないといけないね。
「愛華。あんたが嘘つくのっていつも嫌なことがあった時でしょ? 今回はどういうことなのかちゃんと話してもらうよ」
「うっ。わ、分かってるよ! 今回の嘘は授業をサボったのがバレないようにってついただけなの」
「わかった。で、何があったの? あんなにニヤニヤする愛華初めて見たよ?」
「うん…… 私ね、一目惚れしちゃったみたい」
「はぁぁぁぁあ⁈」
頬に手を当ててきゃっと言いながら照れる愛華に私は大声を出してしまった。
「やばっ。ちょっと行くわよ」
私は教室で話してクラスメイトに聞かれてはいけないと思い、人気のない階段下へと愛華を連れて行く。
「ここなら誰にも見られないし、そんな大きな声で話さなければ聞かれることもないと思うから。さぁ詳しく聞かせなさい」
「わざわざこんなところにこなく——」
「何言ってるの!! あんたが一目惚れしたなんて知られた日にはどれだけの人間が私たちの教室に攻め込んでくると思う? 間違いなく死ぬわよ」
「ごめんなさい……」
「はぁ。今まで一目惚れなんてあるわけないとか言ってたあんたが一目惚れしましたなんて言ったら男どもは黙ってないだろうし、嫌がらせだって今までよりもひどくなると思う。だからこのことは私と愛華だけの秘密よ。わかった?」
「わかった。乃々花、いつもありがとうね」
「今更何言ってんのよ。大丈夫よ」
「うん……! それでね、私が生徒会長に書類を渡しに——」
そこから愛華の話してくれた内容はとても意外なものだった。
愛華が助けたのは英才科一年の東野徹という人で、彼は愛華を特別扱いすることなく、むしろ雑な態度で接していたこと。
彼が授業をサボるというので愛華も一緒にサボったこと。
それも無理矢理サボるように言われたのではなく、愛華自身がサボると言ったこと。
普段はおばけの貞子のような髪の毛で顔の大半が隠れているが、 髪をかきあげて後ろで縛った時に見た顔がとてつもなくイケメンで、それに愛華がドキッとしたこと。
彼に可愛いと言われたのを愛華が嫌がらなかったこと。
そして愛華の方から知り合いになろうとしたこと。
私の知っている愛華なら男子を助けるようなことはあっても事が済めばすぐに逃げるし、真面目だから授業をサボることはしなかった。可愛いと言われるのを嫌うし、今までにだってイケメンと言われる人の告白を何回も断ってる。
何より私が一番考えられないのは愛華から男子と知り合いになろうとしたことだ。中学の時の出来事以降は極端に男子を嫌うようになっていたから。
愛華のことは信用しているがもしかしたらその徹という男に騙されてるんじゃないかと心配してしまう。
もし彼に会うことがあれば愛華の代わりに私が見極めなくては。そんなことを幸せそうな顔をしてる愛華を見ながら思うのであった。
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