幼い妹をもつぼっち、実は世界一。

雀の涙

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一日の終わり

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 家に着いた俺は咲と洗面所に行き、手洗いとうがいを済ませる。その後俺はお風呂場のお風呂の湯を貯めるスイッチを押す。

「咲、ご飯の準備するからノル君観て待っててくれるか?」

「うん! のるくんみるー!」

 リビングに戻りテレビの電源を入れてチャンネルを一番にする。

「のるくんだー!」

「咲少し離れてみなさい」

「はーい」

 ノル君というのは教育テレビで放送されている『すごいぞノル君』という犬のノル君が主人公の番組である。おっちょこちょいでどこか抜けている飼い主のゆうきが毎回何かに困ってしまうのだが、その度にノル君が助けてハッピーエンドになる話だ。
 今小さい子に人気があるらしい。

 咲がちゃんとテレビから離れて座りすぐにノル君に夢中になったところで、俺はキッチンへと移動して夜ご飯を作り始める。

 まずは二合分の米を研ぎ、米を炊飯器の釜に移して水を入れて蓋をする。炊飯器のスタートボタンを押して米を炊く。

 次はカレーの準備に入っていく。
 人参、じゃがいも、玉ねぎ、豚肉を切っていくが、玉ねぎはみじん切りに、じゃがいもと人参は咲の食べやすい大きさにさいの目切りにしていく。豚肉も食べやすい大きさに適当に切る。

 鍋にごま油を引き玉ねぎが飴色になるまで炒め、その後豚肉を入れて少し炒める。そして人参とじゃがいもを入れて中火で炒めたらそこに水600mlとブイヨンを加えて10分間アクを取りながら煮る。

 そしてそこにトマト缶を投入し今度は15分煮込む。後は一度火を止め甘口のカレールーとバターを入れて弱火で5分煮込んで完成だ。

 俺は約30分で調理を終えテレビに目をやるとちょうどノル君の番組が終わるところだった。

「ノル君終わったらお風呂にしような」

 声をかけると集中して観ている咲は頷いて返事をした。そしてエンディングテーマが流れると咲は立ち上がってテレビに映し出されているノル君の動きに合わせて踊りながら歌い始めた。

「お~いの・る・く・ん! あそぼーよ! いっつもいっちょにいーてくれる~ こまったーらわんわん! たすけーてわんわん! きみのえがおがみたいのよ~」

 こんな感じで1分ほど続くのだがこの踊りの振り付けはとても可愛らしい。なのでそれを踊る咲はもっと可愛くずっと見ていられる。

「おにーたんおわったよー」

「じゃあお風呂に行こっか」

 咲はおもちゃ箱からお気に入りのカメのおもちゃを持ってお風呂場へ行く。

「おにーたんやってー」

 最近は自分で頭や体を洗うといって聞かなかったのだがどうやら今日は甘えん坊の日のようだ。

「シャンプー流すからちゃんと目瞑ってるんだぞ」

「はーい、はやくちてーー」

 前に洗い流したシャンプーが目に入ったことがあり、それ以来少し苦手になってしまったのでなるべく早く流すように努力している。ちなみにシャンプーハットは嫌だったようでつけてくれないのでお互い頑張っている。

 無事に頭を洗い終わった後体も洗い、湯に浸からせる。

「かめたんすーいすいっ! おふろはいいきもち~」

 咲がカメで遊んでいる間に俺も頭と体を洗って咲と一緒に湯に浸かる。

「さきもーでるー」

「じゃあ十を数えてからにしようか」

「いーち、にーい、さーん、ちーい―――じゅー!」

 三分ほどして咲がお風呂を出たがったので十を数えてから一緒に出る。

 それから着替えをして髪を乾かしリビングに戻る。そして咲を椅子に座らせてご飯の用意をする。

「今ご飯にするからな」

「かれーたんたべる!」

 俺は鍋を火にかけて温めている間に食器を机の上に並べて、冷蔵庫から朝の残りのサラダを出す。
 そしてカレーが温まったところでお皿にご飯を盛り、その横にカレーをかけて机に持っていく。

「う~ん! いいにおーい」

 咲がスプーンを片手に握りながら体をくねらせているので待たせないように食事を始める。

「それじゃあ食べようか」

「「いただきます!」」

 一口食べるとほっぺに手を当てニヤニヤしながら変な声を出す。

「うみゃ~ん」

「美味しいか?」

 咲の様子を見れば分かるのだが聞いてみる。

「おいち~いよ~」

 そう言いながら勢いよくカレーを頬張る咲は口をパンパンにしながら喋り始めた。

「おりいらんのんもんもれらんなねなりいりね」

 何言ってるか全く分からない。

「咲、口の中が全部なくなってからお喋りしなさい」

 そう言われてしっかり頷いた咲は一生懸命もぐもぐしてから、あーんと口を開けて何もなくなったことを見せてから先程何を言っていたのか教えてくれた。

「おにーたんのかれーたんはせかいいちだね!」

「そっか! ありがとうな」

 言い終えた咲は再びカレーを口いっぱいに入れもぐもぐする。咲は何をしてても可愛いな。

 そして完食し食休みをしてから歯磨きをする。その後寝室に行って咲を寝かせるのだが、ここからは甘えん坊タイムだ。

「おにーたーん。ぎゅーはー?」

「はーい、よしよし」

 寝る前は最大限甘えん坊になり寝るまで少し時間がかかる。平日は放課後しか長く一緒にいることができないので、この時間はできる限り甘えさせてあげる。

「いっちょにねるー? ずっといっちょー?」

「ずっと一緒にいるよ」

「さきのことすきー? いいこー?」

「大好きだよ。それに咲はすっごくいい子だよ」

「えへへ~、さきもおにーたんだいすきー」

「ありがとう」

「ずーっとおにーたんといっちょだよー」

 それから頭を撫でて背中をトントンとゆっくり優しくたたいてると咲はウトウトして少し経って寝た。

 ぐっすりと寝ている咲の可愛い寝顔を見て、俺は再びキッチンに戻り食器を洗う。それから洗濯をした後に勉強をする。
 苦手な科目である化学だけはこうして家でも勉強しないとテストで点数を取れない。実際中間テストでは化学だけズバ抜けて点数が悪かった。
 自分の決めた範囲を勉強し終えたところで寝室に移動して寝る。

 こうして俺の一日が終わった。
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