聖獣物語~人狼の森のロウとカイナ~

tobu_neko_kawaii

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六章

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「なんだ?ロウの回りに女と聞いて心配していたのか?バカな、ロウはお主以外に異性とは思ってはいないさ」

「……そんなの何の保障にもならないんだよ、だって、今はロウが私の傍にいないの、だから彼の傍にいられるのは私だけだって、そう思いたいから」

 ホウデンシコウはカイナの言葉に、ふむふむと言いながら何かを旨に定めて立ち上がる。

「よし、お前を奪おう」
「……え?」

「こんな事を思うのは初めてだが、お前を吾輩のものにしたい」

 座っているカイナの隣まで歩いて移動するホウデンシコウは、彼女の手を引っ張ってフワリと浮かせると、居間の奥に少し段差を越えるとある座敷に仰向けに押し倒す。

 カイナは少し驚いた様子でいるが、ホウデンシコウの目が本気だと気づいて言う。

「私は手に入らないよホウデンシコウさん」
「吾輩は仙である、仙とは知識の深い者であり、女が抱かれた男を好きになるように脳が作られているという事も知っている。何年もかけて吾輩に振り向かせてみせよう」

 顔と体を近付けてくるホウデンシコウに、カイナは怯えることなく。

「私は私が死ぬその時まであなたに屈することも、ロウへの気持ちも失いはしないわ……人の命は永遠ではないのよ、ホウデンシコウさん」

 そう言われ彼はピタリと動きを止めた、何かをじっくりと考えているような表情に、カイナは更に言葉を続けて言う。

「それに、私の娘に会っていないでしょ?カロナって言うんだけど、是非あの子に会ってあげて、そして、ロウにあの子の様子と私の様子を聞かせてあげて、そして、その様子を私にまた聞かせて、その時にはまた手料理を振舞うわ」

 サッとカイナを立たせるホウデンシコウは、スッと頭を下げると、悲しげな目をして言う。

「カイナが振り向いてくれる補償があるなら仙を捨ててでも、そう考えもしたが、カイナはそんな女ではないのは吾輩の見立てである以上、これ以上は理に適わない、すまなかった」

 ホッと一息ついたカイナは、カロナが帰るまでのつもりで泊まるように言う。

「それじゃ、カロナが帰るまでうちに泊まっていかないかな?ホウデンシコウさん」

「……いや、吾輩の気持ちは寝ているカイナを見て間違いを犯しかねない、毎日尋ねるとするさ、吾輩は仙人である野宿には慣れておる故」
「え?なら隣の小屋を使って、昔人が泊まっていたのをそのままなの、毎日掃除もしてるからすぐに使えるわ」

 ホウデンシコウは、カイナの言葉に背を向けて隻眼を隠して言う。

「言葉に甘えよう、姿さえ見えなければ間違いなどは起こさんだろうしな」

 ホウデンシコウがそう言うと、カイナは安心した様子で、悪戯心が擽られてしまう。

「私これからお風呂に入ろうと思うんだけど、一緒にどう?」
「……けしからん!」

 怒鳴ったホウデンシコウは頬を赤くして、カイナを一瞥すると口元を右腕で覆い隠す。

「吾輩はもう寝る!隣!借りるぞ!」
「はいはい――」

 ホウデンシコウをからかい終えたカイナは、満足そうにニマニマして最後に呟いた。

「頬真っ赤にして、カワイイ~な~」

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