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本編
シルヴィアス家
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私はセシリア。
フラウゼル王国で付加魔法士の家系に生まれました。家族みんなお母さんは違うけれど、優秀な付加魔法士です。
私だけ、無能で……家族と認められていません。なので、使用人と一緒に掃除したり食事の用意をしたりしてます。
魔力が……無いんです。
無い……と言うか少ない?んです。
近くにいる友達は、本当は少なくないって言ってくれますが、ちょっとだけ信じられません。
それを言うと、プンプン怒るので言わないですけど。
『リア~精霊石作ろ~』
『水っ!』
『違うよ~風だよっ』
『え~光は?』
精霊石と言うのは友達が言うには、私の魔力と友達の霊力が合わさって出来る特別な石なんだって。魔法石や魔晶石とは違うらしいです。
その精霊石に精霊さんを入れると、1度だけ助けてくれるんです。
もっと大きい石を作れば、何度も助けてくれるらしいけど……私の魔力じゃ無理です。
小さい石を作るのにも時間がかかるし、全ての魔力を使ってもほんの小さいのしか作れませんから。
「セシリア!セシリアはどこにいるの!!」
「あっ、いけない!シェイラ様だ……みんな、精霊石はまた後でね!」
数日前から、隣国の偉い人達が王様の元に訪ねているそうで、旦那様や奥様、シェイラ様達が忙しそうにしていました。
先日は、この御屋敷にも訪ねてきたけど、私は地下から出してもらえなかった。
明日、国に帰るそうで今日の夜はパーティがあるとレイディア様が言っていた気がします。
パタパタと廊下を走り、シェイラ様の元に向かう。急がないと怒られちゃう!
「シェイラ様、何か御用でしょうか?」
シェイラ様の前まで行き、腰を90度曲げてお辞儀をする。相手が許可するまで顔を上げてはいけない。
それをすれば、血が出るまで鞭で打たれてしまうから。
「どこ行ってたのよ!!全く!お父様が呼んでるから行くわよ!」
「分かりました」
シェイラ様が歩き出したのを気配で察知し、顔を上げ付いていく。
屋敷の1番大きな部屋に行くと、バルディオス伯爵様が座っていた。
マリアシア夫人と長男マーシェル様、次女のレイディア様もいた。
シェイラ様が空いてる席に座り、私は座る許可を貰ってないので、扉付近で立っていたら、バルディオス様に呼ばれた。
近くまで行き、立っていると床を指さされた。床に座れという指示。
床に手を付き正座をすると、マーシェル様が話を切り出した。
「父上、セラフィム帝国は付加魔法士を欲していると聞きましたが、誰が行くことになったんですか?」
「あんな野蛮な国に行きたい人なんて、我が国にはいないでしょう」
野蛮な国?
『違うよ、良い国だよ』
『ぼく達と契約してる人が王様だからね』
『契約してる人、多いよ』
近くにいた友達が声を掛けてくれる。
友達は精霊という種族で、この国には私しか見える人はいないらしい。だから近くにいても、バルディオス様達には見えてないんだって。
「陛下から、セシリアをご指名下さった」
「あらまあ、それは良い事ではありませんか」
「無能が役に立つ時が来たな」
私の名前が呼ばれて顔を上げれば、ニヤニヤと笑う家族がいました。
え?わたし?
「あ、の、でも、わたし、まりょく…」
わたしは、付加魔法士としては働けないと思います……。
陛下はなぜ、私なんかを指名したんだろう…
「優秀な付加魔法士を大国で同盟国とは言え送りたくないのでな…落ちこぼれでも付加魔法士の血を引いているお前が選ばれたんだ。まぁ、お前を犯し子をなせば、その子が優秀な付加魔法士となるかもな!あははは!」
そんな……!
そんな事したら、相手の国を怒らせちゃうんじゃ…
なのに、マリアシア様は話を進めます。
「そうと決まれば……少し身なりを整えないといけませんね。レイディア!服をセシリアにあげなさい」
「えーー、仕方ないですね」
「シェイラ、シルヴィアス家の名に恥ずかしくないぐらいにはしときなさい」
「はぁ、分かりました」
「ふん、クズがどんな格好しても貧相なのは変わらんがな」
「それでも何もしないよりはマシでしょう。今夜のパーティにお前も連れて行くから、余計な事を相手に話すんじゃないよ!分かったね!」
「分かり……ました」
シェイラ様と、レイディア様に引き摺られるように部屋から出された。
マーシェル様は、そんな私を笑って見ていた。
フラウゼル王国で付加魔法士の家系に生まれました。家族みんなお母さんは違うけれど、優秀な付加魔法士です。
私だけ、無能で……家族と認められていません。なので、使用人と一緒に掃除したり食事の用意をしたりしてます。
魔力が……無いんです。
無い……と言うか少ない?んです。
近くにいる友達は、本当は少なくないって言ってくれますが、ちょっとだけ信じられません。
それを言うと、プンプン怒るので言わないですけど。
『リア~精霊石作ろ~』
『水っ!』
『違うよ~風だよっ』
『え~光は?』
精霊石と言うのは友達が言うには、私の魔力と友達の霊力が合わさって出来る特別な石なんだって。魔法石や魔晶石とは違うらしいです。
その精霊石に精霊さんを入れると、1度だけ助けてくれるんです。
もっと大きい石を作れば、何度も助けてくれるらしいけど……私の魔力じゃ無理です。
小さい石を作るのにも時間がかかるし、全ての魔力を使ってもほんの小さいのしか作れませんから。
「セシリア!セシリアはどこにいるの!!」
「あっ、いけない!シェイラ様だ……みんな、精霊石はまた後でね!」
数日前から、隣国の偉い人達が王様の元に訪ねているそうで、旦那様や奥様、シェイラ様達が忙しそうにしていました。
先日は、この御屋敷にも訪ねてきたけど、私は地下から出してもらえなかった。
明日、国に帰るそうで今日の夜はパーティがあるとレイディア様が言っていた気がします。
パタパタと廊下を走り、シェイラ様の元に向かう。急がないと怒られちゃう!
「シェイラ様、何か御用でしょうか?」
シェイラ様の前まで行き、腰を90度曲げてお辞儀をする。相手が許可するまで顔を上げてはいけない。
それをすれば、血が出るまで鞭で打たれてしまうから。
「どこ行ってたのよ!!全く!お父様が呼んでるから行くわよ!」
「分かりました」
シェイラ様が歩き出したのを気配で察知し、顔を上げ付いていく。
屋敷の1番大きな部屋に行くと、バルディオス伯爵様が座っていた。
マリアシア夫人と長男マーシェル様、次女のレイディア様もいた。
シェイラ様が空いてる席に座り、私は座る許可を貰ってないので、扉付近で立っていたら、バルディオス様に呼ばれた。
近くまで行き、立っていると床を指さされた。床に座れという指示。
床に手を付き正座をすると、マーシェル様が話を切り出した。
「父上、セラフィム帝国は付加魔法士を欲していると聞きましたが、誰が行くことになったんですか?」
「あんな野蛮な国に行きたい人なんて、我が国にはいないでしょう」
野蛮な国?
『違うよ、良い国だよ』
『ぼく達と契約してる人が王様だからね』
『契約してる人、多いよ』
近くにいた友達が声を掛けてくれる。
友達は精霊という種族で、この国には私しか見える人はいないらしい。だから近くにいても、バルディオス様達には見えてないんだって。
「陛下から、セシリアをご指名下さった」
「あらまあ、それは良い事ではありませんか」
「無能が役に立つ時が来たな」
私の名前が呼ばれて顔を上げれば、ニヤニヤと笑う家族がいました。
え?わたし?
「あ、の、でも、わたし、まりょく…」
わたしは、付加魔法士としては働けないと思います……。
陛下はなぜ、私なんかを指名したんだろう…
「優秀な付加魔法士を大国で同盟国とは言え送りたくないのでな…落ちこぼれでも付加魔法士の血を引いているお前が選ばれたんだ。まぁ、お前を犯し子をなせば、その子が優秀な付加魔法士となるかもな!あははは!」
そんな……!
そんな事したら、相手の国を怒らせちゃうんじゃ…
なのに、マリアシア様は話を進めます。
「そうと決まれば……少し身なりを整えないといけませんね。レイディア!服をセシリアにあげなさい」
「えーー、仕方ないですね」
「シェイラ、シルヴィアス家の名に恥ずかしくないぐらいにはしときなさい」
「はぁ、分かりました」
「ふん、クズがどんな格好しても貧相なのは変わらんがな」
「それでも何もしないよりはマシでしょう。今夜のパーティにお前も連れて行くから、余計な事を相手に話すんじゃないよ!分かったね!」
「分かり……ました」
シェイラ様と、レイディア様に引き摺られるように部屋から出された。
マーシェル様は、そんな私を笑って見ていた。
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