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本編
精霊さん
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『ムカつく~ファルク様、呼んじゃう?』
『消し炭にしちゃう?』
『ディーネ様呼んで、溺れさそ!』
『だ、ダメだよっ!ファルクもディーネも呼んじゃダメ!』
ファルクは火の精霊さんで、ディーネは水の精霊さんです。
名前持ちの精霊さんは、上位の精霊さんなんだって、みんなが教えてくれました。
私が生まれてから、お母さんは数年後に亡くなったそうです。だから、屋敷の人が最低限の世話をして、でも殆ど精霊さん達に育てられたんだそうです。
ファルクが暖めてくれて、ディーネがお水をくれて、ノーブルとフィールが果物や野菜を持って来てくれたそうです。
私が今も生きてられるのは、精霊さん達お友達のおかげなんです。
でも、最近みんな、シェイラ様たちに攻撃的です。シェイラ様たちが私に手をあげるのは私が失敗ばかりで悪い子だからです。
だから、仕方ないことだとみんなを説得してるんだけど…聞き入れて貰えません。
このままじゃ本当に、ファルクに消し炭にされちゃう。
あっでも、帝国に行ったら気にしなくても大丈夫なのかな?
「セシリア!この服をあげるわ。私にはもう小さくなったから」
「レイナ!レイナ!この子に湯を使わせてやってちょうだい。急いで!」
「畏まりました!!」
使用人のレイナさんが私をお風呂に入れてくれました。
普段は入れないので、嬉しいです。
髪も丁寧に洗ってくれました。
「お嬢様…お嬢様が隣国に行くならば、このレイナも共に参ります」
「え?ダメだよ。レイナさんは家族がいるでしょ?」
レイナさんは、前に精霊石で助けた事があって、私の一番の理解者です。
他の使用人の人や家族には内緒ですけど。
いつも、こっそり助けてくれます。
『えー、一緒に行ってもらおうよ~』
『家族も一緒に連れてけば~』
『それいい!一緒、行く!』
精霊達も、レイナやレイナの家族には好意的だった。
「父も母も、兄も一緒に。もう話してあります。旦那様には辞表を出しましたから、問題ありません」
レイナさん行動早いです……しかも、許可してくれなくても、勝手に付いてくるとまで言ってくれました。
お風呂から出て、髪を整えてもらって、綺麗な服を着て、お化粧もしてもらいました。
鏡を見ると、お嬢様に見えました!!
「少しはマシになったわね。さっさと行くわよ」
奥様が、私を見て鼻を鳴らし腕を取りました。昼から準備してたけど、時間は既に夜になっていて、パーティが始まりそうだから急ぐぞと旦那様が言いました。
旦那様達とは違う馬車に乗って、お城に向かいました。
お城の中は、明るくてキラキラしてて空いた口が塞がりませんでした。
すると、奥様にみっともないから止めなさいと手を叩かれました。
旦那様に手を引かれ、王様と使者の方たちがいるパーティ会場に行きました。
旦那様が、奥様が、レイディア様が
「いいか、この場だけ、私達を父と呼ぶ事を許してやる!良いか、使者の方の前で私達を旦那様と呼ぶでない!」
「私の事もお義母様と呼びなさい。マーシェルの事はお義兄様、シェイラとレイディナの事はお義姉様と呼ぶように!」
お父様、お義母様、お義兄様、お義姉様と呼ぶように言われました。
「シルヴィアス家、ご入場!!」
衛兵の人が扉を開けてくれて、私達は揃って中に入ります。
すると、沢山の人達が私たちを見てました。
付加魔法士として、沢山の功績を上げた一族だから、皆さんの期待が凄いです。
もちろん私はゴミを見るような目で見られてます。魔力が低く、付加魔法士としての能力が低い私は、皆さんにとってゴミでしかないんだと思います。
『そんな悲しい事、言わないで』
『リアは、ゴミじゃない』
『彼奴らの方が、ゴミだよっ』
精霊さん達が慰めてくれました。
本当の事だから、気にしてないのに、みんなは優しいです。
「よくぞ来た、バルディオス伯よ」
「陛下に置かれましては……」
「挨拶は良い。して、例の娘は?」
「はっ、こちらでございます。セシリア!」
「はい、お父様」
旦那様に呼ばれて陛下の前に行きます。
頭を下げて、奥様に叩き込まれたカーテシーというものを披露しました。
「顔を上げよ。シェイド殿、この娘は優秀なシルヴィアス家の末娘セシリアです。きっと帝国でお役にたてましょう」
そう言って王様はニヤニヤと笑みを浮かべました。
「そうですか……」
使者の方は、真剣な顔をして私を見ます。
きっと、この人、気付いてる。
私が、無能で、力のない役立たずな魔法士だって。
「貴方の名前は?レディ」
「セシリア・シルヴィアスです」
「では、セシリア嬢、私と共に帝国へ来て頂けますか?」
「私で良ければ…」
なのにこの人は、私の名前を聞いてくれる。
手を差し伸べてくれる。
「ふむ、シェイド殿。良ければこの娘は、帝国に差し上げよう。良いな、バルディオス」
「それは良いですな。私共の娘が役に立てるならば喜んで」
「お待ち下さい。それでは、セシリア嬢は帝国に売ると?彼女の意思はどうなるのですか!?」
使者の方が、私の事で王様や旦那様に怒ってくれてるみたい。でも……
「セシリアも納得しよう。そうだな?」
「はい、お父様の言う通りに」
私は…帝国に売られるらしい。
帝国の使者の人が、怖い顔で旦那様達を見ていました。そしてふと、私と目が合うとなんとも言えない顔になりました。
私は、要らない子……だから分かっていました。
いつか、捨てられると。
それが…今というだけ。
だから、その人に向かって微笑みました。
大丈夫だからと言う意味を込めて。
私は明日、この方と護衛の方達と共にセラフィム帝国に向かいます。
もちろん、レイナとレイナの家族と共に。
『消し炭にしちゃう?』
『ディーネ様呼んで、溺れさそ!』
『だ、ダメだよっ!ファルクもディーネも呼んじゃダメ!』
ファルクは火の精霊さんで、ディーネは水の精霊さんです。
名前持ちの精霊さんは、上位の精霊さんなんだって、みんなが教えてくれました。
私が生まれてから、お母さんは数年後に亡くなったそうです。だから、屋敷の人が最低限の世話をして、でも殆ど精霊さん達に育てられたんだそうです。
ファルクが暖めてくれて、ディーネがお水をくれて、ノーブルとフィールが果物や野菜を持って来てくれたそうです。
私が今も生きてられるのは、精霊さん達お友達のおかげなんです。
でも、最近みんな、シェイラ様たちに攻撃的です。シェイラ様たちが私に手をあげるのは私が失敗ばかりで悪い子だからです。
だから、仕方ないことだとみんなを説得してるんだけど…聞き入れて貰えません。
このままじゃ本当に、ファルクに消し炭にされちゃう。
あっでも、帝国に行ったら気にしなくても大丈夫なのかな?
「セシリア!この服をあげるわ。私にはもう小さくなったから」
「レイナ!レイナ!この子に湯を使わせてやってちょうだい。急いで!」
「畏まりました!!」
使用人のレイナさんが私をお風呂に入れてくれました。
普段は入れないので、嬉しいです。
髪も丁寧に洗ってくれました。
「お嬢様…お嬢様が隣国に行くならば、このレイナも共に参ります」
「え?ダメだよ。レイナさんは家族がいるでしょ?」
レイナさんは、前に精霊石で助けた事があって、私の一番の理解者です。
他の使用人の人や家族には内緒ですけど。
いつも、こっそり助けてくれます。
『えー、一緒に行ってもらおうよ~』
『家族も一緒に連れてけば~』
『それいい!一緒、行く!』
精霊達も、レイナやレイナの家族には好意的だった。
「父も母も、兄も一緒に。もう話してあります。旦那様には辞表を出しましたから、問題ありません」
レイナさん行動早いです……しかも、許可してくれなくても、勝手に付いてくるとまで言ってくれました。
お風呂から出て、髪を整えてもらって、綺麗な服を着て、お化粧もしてもらいました。
鏡を見ると、お嬢様に見えました!!
「少しはマシになったわね。さっさと行くわよ」
奥様が、私を見て鼻を鳴らし腕を取りました。昼から準備してたけど、時間は既に夜になっていて、パーティが始まりそうだから急ぐぞと旦那様が言いました。
旦那様達とは違う馬車に乗って、お城に向かいました。
お城の中は、明るくてキラキラしてて空いた口が塞がりませんでした。
すると、奥様にみっともないから止めなさいと手を叩かれました。
旦那様に手を引かれ、王様と使者の方たちがいるパーティ会場に行きました。
旦那様が、奥様が、レイディア様が
「いいか、この場だけ、私達を父と呼ぶ事を許してやる!良いか、使者の方の前で私達を旦那様と呼ぶでない!」
「私の事もお義母様と呼びなさい。マーシェルの事はお義兄様、シェイラとレイディナの事はお義姉様と呼ぶように!」
お父様、お義母様、お義兄様、お義姉様と呼ぶように言われました。
「シルヴィアス家、ご入場!!」
衛兵の人が扉を開けてくれて、私達は揃って中に入ります。
すると、沢山の人達が私たちを見てました。
付加魔法士として、沢山の功績を上げた一族だから、皆さんの期待が凄いです。
もちろん私はゴミを見るような目で見られてます。魔力が低く、付加魔法士としての能力が低い私は、皆さんにとってゴミでしかないんだと思います。
『そんな悲しい事、言わないで』
『リアは、ゴミじゃない』
『彼奴らの方が、ゴミだよっ』
精霊さん達が慰めてくれました。
本当の事だから、気にしてないのに、みんなは優しいです。
「よくぞ来た、バルディオス伯よ」
「陛下に置かれましては……」
「挨拶は良い。して、例の娘は?」
「はっ、こちらでございます。セシリア!」
「はい、お父様」
旦那様に呼ばれて陛下の前に行きます。
頭を下げて、奥様に叩き込まれたカーテシーというものを披露しました。
「顔を上げよ。シェイド殿、この娘は優秀なシルヴィアス家の末娘セシリアです。きっと帝国でお役にたてましょう」
そう言って王様はニヤニヤと笑みを浮かべました。
「そうですか……」
使者の方は、真剣な顔をして私を見ます。
きっと、この人、気付いてる。
私が、無能で、力のない役立たずな魔法士だって。
「貴方の名前は?レディ」
「セシリア・シルヴィアスです」
「では、セシリア嬢、私と共に帝国へ来て頂けますか?」
「私で良ければ…」
なのにこの人は、私の名前を聞いてくれる。
手を差し伸べてくれる。
「ふむ、シェイド殿。良ければこの娘は、帝国に差し上げよう。良いな、バルディオス」
「それは良いですな。私共の娘が役に立てるならば喜んで」
「お待ち下さい。それでは、セシリア嬢は帝国に売ると?彼女の意思はどうなるのですか!?」
使者の方が、私の事で王様や旦那様に怒ってくれてるみたい。でも……
「セシリアも納得しよう。そうだな?」
「はい、お父様の言う通りに」
私は…帝国に売られるらしい。
帝国の使者の人が、怖い顔で旦那様達を見ていました。そしてふと、私と目が合うとなんとも言えない顔になりました。
私は、要らない子……だから分かっていました。
いつか、捨てられると。
それが…今というだけ。
だから、その人に向かって微笑みました。
大丈夫だからと言う意味を込めて。
私は明日、この方と護衛の方達と共にセラフィム帝国に向かいます。
もちろん、レイナとレイナの家族と共に。
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