2 / 2
第2話
しおりを挟む
「リリアンヌ!貴方には失望したわ!」
卒業パーティをルディウス様と楽しんでいると、急にアマリスが叫び出しました。
「お前は!俺という者がありながら、他の男と浮気するとは、いい度胸だな!」
「しかも、相手が私の婚約者だなんて酷いわっ!最っ低!ルディ様!早く離れて下さいっ、その女は見目麗しい男性をみると誘う阿婆擦れですのよぉ!」
……
阿婆擦れ……その言葉、そっくりそのまま返しますわ。
はぁ、全く自分の言った事を忘れたのかしら?
「婚約者を変えて欲しいと言ったのは、アマリスじゃないの」
「なっ!そんな事言うわけないでしょう!?ふざけないでっ!」
「お前は自分のした事を棚に上げ、アマリスを責めるのか?!いい加減にしろ!貴様のような女だと知っていれば婚約などしなかったものを!」
私だって家の事がなければ、貴方なんかと婚約なんてしなかったわ。自分のした事を棚に上げてるのは貴方達の方でしょう。なぜ私が責められるのかしら。
隣にいたルディウス様も、顔つきが怖いことになっています。今では私を愛してくれているルディウス様は、私を責める彼らを許せないのだと思いますわ。
それにしても、ルディウス様を愛称で呼ぶとは…何を考えているんでしょうか…それとも何も考えてないのかしらね。
私達の婚約はあの時すぐにルディウス様が陛下に報告し、積極的に話を進られたため今は私がルディウス様の婚約者です。
アマリスの婚約者は、ブレイズ様になった事は書面にて報告がなされご存知でしょうに……
なぜ急にこんなことを言い出したのかしら…と、横目でアマリスを見れば頬を赤らめルディウス様だけを見つめている。
……
そういう事ですか……
「ルディウス様……」
ルディウス様の本当の姿を目の当たりにして、惚れてしまったという事かしらね。
最近彼は、あの地味で陰気な姿ではなく本来の姿に戻ってますから。
「はは、何も分かってないようだな、彼らは…まっ、別に気にする事でもないだろ。1年前、国王陛下の名のもとに俺達は、正式に婚約者になってるんだからな。ましてや、来月には……なぁ」
彼女の視線を物ともせず、私の腰を引き寄せ見せつけるように耳元で囁いた。
そう、来月には……
私とルディウス様は、結婚しますの。
1年近く前に国王陛下に許可を貰ってから、お互いに情報交換をしたり、デートにも行きましたわ。
1年も経っていない付き合いですが、ずっと傍にいたような感覚さえします。それ程までに、お互いの話をしてきました。
私達がお互いの親交を深めている間、あの二人が何をしていたかなんて聞かずとも分かりますが……
婚約者を交換すると宣言した日から1年近く、私達は両国を行き来し、ルディウス様のご両親…隣国の国王夫妻に挨拶をしたり、私の両親にも話をしました。
私は隣国の王妃さまの計らいで妃教育を始めました、元々ブレイズ様に嫁ぐという事で学んでいた事が役に立ちました。
王太子ではありませんでしたが、あの方の仕事を私が肩代わりするにあたり学んだのです。
帝王学や、マナー、諸外国の言葉、交渉術など……
お陰で、ルディウス様のお母様からは教える事は殆どないとお墨付きを頂きましたわ。
こういうのを、怪我の功名と言うのかしらね。
最初は、政略結婚で愛の無い結婚だから仕方ないと諦めていたけれど……
静かに隣の男性を見上げる。
背の高い彼の黒髪に触れる、彼の翡翠の瞳が私を捉え、私より数倍大きい彼の手が垂れた私の髪を耳にかけた。
「どうした?」
「……あの時、彼らが交換を申し出てくれて良かったですわと思って…凄く、その、幸せなものですから」
恥ずかしくなって俯いた私に、彼の手が顎を捕まえる。
そのまま上に向かせられ、彼の顔が近付いてくる
その時
「ちょっと!私達を無視しないで!ルディ様を返しなさいよ!この泥棒猫っ!」
「そうだ!お前は俺の元に帰って来い!お前の婚約者は俺だろうがっ!」
まだ、喚いてましたの?
「いい加減にしてくれないか……」
「ルディ様ぁ」
「お前に、愛称で呼ばれる覚えはない」
「……え?」
辺りを一瞬で凍らせるような低く冷たい声と、冷たい眼差しでアマリスに睨むルディウス様。
「お前が1年ほど前に、婚約者を交換したいと言ったのは事実で、君とそこの彼は一緒に抱き合って離れて行ったじゃないか」
忘れたのか?と、ルディウス様は言った。
「それは、その女がそうしたいと私に相談を持ちかけてきたんですわぁ!だから私は仕方なく……」
「……お前の一挙手一投足全て俺は報告できるが……構わないのか?交換する前からその男としてきた事も、俺と婚約してから関係を持った全ての男の事も俺は言えるが?」
良いんだな?
とルディウス様は物凄くいい笑顔で言ました。
「言っておくが、あの後すぐに俺達は国王陛下を交え、婚約を交わし互いの両親にも挨拶が済んでいる」
「私達は、来月に結婚もするのよ」
「はぁ?!結婚っ?ふざけないでよ!私の婚約者よ?!」
「私の婚約者です。間違えないで下さいませ」
「お前の婚約者は、俺だ!」
「違う、俺の婚約者だ」
ルディウス様の手は、未だ私の顎に添えられています。
1度下がった私の顔を、再び上向かせるように動き「あっ」と思う間に彼の唇が私の唇に重なっていました。
目を閉じる余裕もありませんでしたわ。
周りから悲鳴に近い叫び声が上がり、目の前の2人は硬直してしまいました。
私の初めてを……こんな形で奪うなんて…
「酷いひ……ん」
でも、その言葉を最後まで言うことも無く、2度目の口付けが落とされました。
「何か言ったか?」
「~~~っ」
私の唇を舌でなぞるように離れ、自身の唇に付いた唾液を舐めとった。
その一つ一つの仕草が色っぽくて、見ていられなくなる。でも、視線を外そうにも、彼の手がそれを許してくれはない。
「ちょっ、ちょっとぉ!」
「お、おまっ!破廉恥だぞ!」
え?
貴方達にだけは言われたくないのだけれど……
「お前らには言われたくないな」
私はルディウスの顔を見つめ、彼もまた私を見つめ、2人同時に笑った。
「同じ事を思ってましたわ」
「だよな、同じ事思うよな!」
彼らが言い掛かりをつけてからだいぶ時間が経っていたらしく国王陛下が入場なされました。更に、今回は隣国の国王夫妻も参加しています。
私とルディウス様は、このパーティー後に隣国の国王夫妻とルディウス様と一緒に隣国に旅立つ事になっていますから……
我が国と隣国の国王夫妻が、騒ぎを聞き付け私達の元にやって参りました。
「これは、なんの騒ぎだね?」
「ブレイズ、あなた、何をやっているの?」
「父上!母上!聞いて下さい!リリアンヌが浮気したんです!」
ブレイズが2人に泣きつきました。
事情を知る人達は、彼の言葉に唖然としました。
当然ですよね?
さっきまで、怒り心頭に私に暴言を吐き続けた彼が今や両目に涙を浮かべ、我が国の国王夫妻に泣きついてるんですから……
正直私もルディウス様も、会場に集まった人々も、両国王夫妻も引きましたよ。
「何を言っている。リリアンヌ嬢の婚約者はルディウス殿下だ」
「父上こそ、何言ってるんですか!」
「お前が、婚約者を交換したんだろう?その現場を、ルディウス様の侍従の方も目撃しておる。儂がリリアンヌ嬢に付けた護衛も、証言しておるわ」
「あんなの、冗談に決まってるでしょう!本気じゃないことくらい分かるはずだ!」
あの時の言葉は冗談で、本気ではないと宣います。
ですが、もう遅いのです。
「自身の発言くらい、責任を持つべきですわ。ブレイズ様?」
「お前は!俺を愛してるくせに、何言ってるんだ!俺に嫉妬させたくて、こんな茶番を企てたんだろっ!」
しかも、私が彼を好きだと言うから驚きですわ……どこをどう見たら、そう思ったのか頭をかち割って覗いてみたいものです。
いや、実際には見たくありませんけど……
どうせ、たくさんの女性とのあれやこれやを見せられるでしょうから。
「お前、いい加減にしろっ!両国の国王陛下を前に嘘などつくかっ!馬鹿馬鹿しいっ。だいたい、お前に惚れる要素があるのか?」
私を抱いていたルディウス様は、いつの間にかブレイズ様に近づいて行った。
そして「無いだろ?」と、ブレイズ様の肩を軽く押した。軽く押しただけだったのに、ブレイズ様は大袈裟に倒れ、ルディウス様を指さして「俺に暴力を振るった」とか「あいつを捕まえろ!」とか喚きだしました。
彼の事は騎士に任せると、左右に騎士が立ち腕を掴んで引きずって会場を出ていかせました。
王族を引きずって大丈夫なのかと思いましたが、王妃をみると頷いていたので大丈夫なのでしょう。
「済まなかったね、折角の晴れ舞台を台無しにしてしまった」
「いえ……」
それでも、場内の空気は悪くみなの表情は暗く……そんな空気を変えるように、王妃様が手を叩き注目を集めましたわ。
「さぁ!まだまだ、パーティは終わっていませんよ!皆様、グラスをお持ちになって!」
戸惑いながらも、全員がグラスを持ったのを確認した王妃様は「乾杯!」と声高に宣言しました。
隣国にて、
「聞きました?ルディ様」
「バカ2人のことか?」
「あら、知ってましたの?」
ルディ様は、当然だろと言わんばかりの自信満々の笑みで答えた。
「結局2人は結婚したらしいな」
そうなんです、あのふたり結婚して子供もいるそうです。
子供が出来てしまったから、結婚したと言ってもいいかも知れませんね。
「働かない夫に、贅沢ばかりの妻……いつまで持つかな…くく」
私は外交関係で自国に戻る事が良くありますが、その時に聞いた話では既に離婚したけれど……結局戻ってきて、一緒に暮らし、また離れ、くっつくを繰り返しているそうです。
仲がいいのか悪いのか……分かりませんね。
「既に離婚したと、聞きましたけれど…」
「でも、結局くっつくんだろ?」
「既に渡された資金は底を尽き、悪徳商人に騙され続けてるとも聞きます」
……
最後に聞いた話では……
「悪徳商人に借りた金を返せず、奴らに殺されたそうだな…臓器を奪われた状態で発見されたんだろ?」
やっぱり知ってましたのね。
ブレイズ様もアマリスも、心臓や肺と言った臓器の殆どが無かったそうです。
最近の私達はというと、とても仲が良いと言えますわね。ただ…、ルディ様の触れ合いが過剰な気がしますけれど……!
「何を考えてるんだ?」
ルディ様の手が私の腰を捉えソファに引き込まれました。そのまま彼の膝の上に導かれ、横抱きにされ甘い口付けが降りてきます。
「はっ、ん……なに、も……ぅん」
「嘘つけ。顔を見れば分かるんだよ、存外俺は嫉妬深いんだ……だから、あまり嫉妬させるなよ?」
~完~
卒業パーティをルディウス様と楽しんでいると、急にアマリスが叫び出しました。
「お前は!俺という者がありながら、他の男と浮気するとは、いい度胸だな!」
「しかも、相手が私の婚約者だなんて酷いわっ!最っ低!ルディ様!早く離れて下さいっ、その女は見目麗しい男性をみると誘う阿婆擦れですのよぉ!」
……
阿婆擦れ……その言葉、そっくりそのまま返しますわ。
はぁ、全く自分の言った事を忘れたのかしら?
「婚約者を変えて欲しいと言ったのは、アマリスじゃないの」
「なっ!そんな事言うわけないでしょう!?ふざけないでっ!」
「お前は自分のした事を棚に上げ、アマリスを責めるのか?!いい加減にしろ!貴様のような女だと知っていれば婚約などしなかったものを!」
私だって家の事がなければ、貴方なんかと婚約なんてしなかったわ。自分のした事を棚に上げてるのは貴方達の方でしょう。なぜ私が責められるのかしら。
隣にいたルディウス様も、顔つきが怖いことになっています。今では私を愛してくれているルディウス様は、私を責める彼らを許せないのだと思いますわ。
それにしても、ルディウス様を愛称で呼ぶとは…何を考えているんでしょうか…それとも何も考えてないのかしらね。
私達の婚約はあの時すぐにルディウス様が陛下に報告し、積極的に話を進られたため今は私がルディウス様の婚約者です。
アマリスの婚約者は、ブレイズ様になった事は書面にて報告がなされご存知でしょうに……
なぜ急にこんなことを言い出したのかしら…と、横目でアマリスを見れば頬を赤らめルディウス様だけを見つめている。
……
そういう事ですか……
「ルディウス様……」
ルディウス様の本当の姿を目の当たりにして、惚れてしまったという事かしらね。
最近彼は、あの地味で陰気な姿ではなく本来の姿に戻ってますから。
「はは、何も分かってないようだな、彼らは…まっ、別に気にする事でもないだろ。1年前、国王陛下の名のもとに俺達は、正式に婚約者になってるんだからな。ましてや、来月には……なぁ」
彼女の視線を物ともせず、私の腰を引き寄せ見せつけるように耳元で囁いた。
そう、来月には……
私とルディウス様は、結婚しますの。
1年近く前に国王陛下に許可を貰ってから、お互いに情報交換をしたり、デートにも行きましたわ。
1年も経っていない付き合いですが、ずっと傍にいたような感覚さえします。それ程までに、お互いの話をしてきました。
私達がお互いの親交を深めている間、あの二人が何をしていたかなんて聞かずとも分かりますが……
婚約者を交換すると宣言した日から1年近く、私達は両国を行き来し、ルディウス様のご両親…隣国の国王夫妻に挨拶をしたり、私の両親にも話をしました。
私は隣国の王妃さまの計らいで妃教育を始めました、元々ブレイズ様に嫁ぐという事で学んでいた事が役に立ちました。
王太子ではありませんでしたが、あの方の仕事を私が肩代わりするにあたり学んだのです。
帝王学や、マナー、諸外国の言葉、交渉術など……
お陰で、ルディウス様のお母様からは教える事は殆どないとお墨付きを頂きましたわ。
こういうのを、怪我の功名と言うのかしらね。
最初は、政略結婚で愛の無い結婚だから仕方ないと諦めていたけれど……
静かに隣の男性を見上げる。
背の高い彼の黒髪に触れる、彼の翡翠の瞳が私を捉え、私より数倍大きい彼の手が垂れた私の髪を耳にかけた。
「どうした?」
「……あの時、彼らが交換を申し出てくれて良かったですわと思って…凄く、その、幸せなものですから」
恥ずかしくなって俯いた私に、彼の手が顎を捕まえる。
そのまま上に向かせられ、彼の顔が近付いてくる
その時
「ちょっと!私達を無視しないで!ルディ様を返しなさいよ!この泥棒猫っ!」
「そうだ!お前は俺の元に帰って来い!お前の婚約者は俺だろうがっ!」
まだ、喚いてましたの?
「いい加減にしてくれないか……」
「ルディ様ぁ」
「お前に、愛称で呼ばれる覚えはない」
「……え?」
辺りを一瞬で凍らせるような低く冷たい声と、冷たい眼差しでアマリスに睨むルディウス様。
「お前が1年ほど前に、婚約者を交換したいと言ったのは事実で、君とそこの彼は一緒に抱き合って離れて行ったじゃないか」
忘れたのか?と、ルディウス様は言った。
「それは、その女がそうしたいと私に相談を持ちかけてきたんですわぁ!だから私は仕方なく……」
「……お前の一挙手一投足全て俺は報告できるが……構わないのか?交換する前からその男としてきた事も、俺と婚約してから関係を持った全ての男の事も俺は言えるが?」
良いんだな?
とルディウス様は物凄くいい笑顔で言ました。
「言っておくが、あの後すぐに俺達は国王陛下を交え、婚約を交わし互いの両親にも挨拶が済んでいる」
「私達は、来月に結婚もするのよ」
「はぁ?!結婚っ?ふざけないでよ!私の婚約者よ?!」
「私の婚約者です。間違えないで下さいませ」
「お前の婚約者は、俺だ!」
「違う、俺の婚約者だ」
ルディウス様の手は、未だ私の顎に添えられています。
1度下がった私の顔を、再び上向かせるように動き「あっ」と思う間に彼の唇が私の唇に重なっていました。
目を閉じる余裕もありませんでしたわ。
周りから悲鳴に近い叫び声が上がり、目の前の2人は硬直してしまいました。
私の初めてを……こんな形で奪うなんて…
「酷いひ……ん」
でも、その言葉を最後まで言うことも無く、2度目の口付けが落とされました。
「何か言ったか?」
「~~~っ」
私の唇を舌でなぞるように離れ、自身の唇に付いた唾液を舐めとった。
その一つ一つの仕草が色っぽくて、見ていられなくなる。でも、視線を外そうにも、彼の手がそれを許してくれはない。
「ちょっ、ちょっとぉ!」
「お、おまっ!破廉恥だぞ!」
え?
貴方達にだけは言われたくないのだけれど……
「お前らには言われたくないな」
私はルディウスの顔を見つめ、彼もまた私を見つめ、2人同時に笑った。
「同じ事を思ってましたわ」
「だよな、同じ事思うよな!」
彼らが言い掛かりをつけてからだいぶ時間が経っていたらしく国王陛下が入場なされました。更に、今回は隣国の国王夫妻も参加しています。
私とルディウス様は、このパーティー後に隣国の国王夫妻とルディウス様と一緒に隣国に旅立つ事になっていますから……
我が国と隣国の国王夫妻が、騒ぎを聞き付け私達の元にやって参りました。
「これは、なんの騒ぎだね?」
「ブレイズ、あなた、何をやっているの?」
「父上!母上!聞いて下さい!リリアンヌが浮気したんです!」
ブレイズが2人に泣きつきました。
事情を知る人達は、彼の言葉に唖然としました。
当然ですよね?
さっきまで、怒り心頭に私に暴言を吐き続けた彼が今や両目に涙を浮かべ、我が国の国王夫妻に泣きついてるんですから……
正直私もルディウス様も、会場に集まった人々も、両国王夫妻も引きましたよ。
「何を言っている。リリアンヌ嬢の婚約者はルディウス殿下だ」
「父上こそ、何言ってるんですか!」
「お前が、婚約者を交換したんだろう?その現場を、ルディウス様の侍従の方も目撃しておる。儂がリリアンヌ嬢に付けた護衛も、証言しておるわ」
「あんなの、冗談に決まってるでしょう!本気じゃないことくらい分かるはずだ!」
あの時の言葉は冗談で、本気ではないと宣います。
ですが、もう遅いのです。
「自身の発言くらい、責任を持つべきですわ。ブレイズ様?」
「お前は!俺を愛してるくせに、何言ってるんだ!俺に嫉妬させたくて、こんな茶番を企てたんだろっ!」
しかも、私が彼を好きだと言うから驚きですわ……どこをどう見たら、そう思ったのか頭をかち割って覗いてみたいものです。
いや、実際には見たくありませんけど……
どうせ、たくさんの女性とのあれやこれやを見せられるでしょうから。
「お前、いい加減にしろっ!両国の国王陛下を前に嘘などつくかっ!馬鹿馬鹿しいっ。だいたい、お前に惚れる要素があるのか?」
私を抱いていたルディウス様は、いつの間にかブレイズ様に近づいて行った。
そして「無いだろ?」と、ブレイズ様の肩を軽く押した。軽く押しただけだったのに、ブレイズ様は大袈裟に倒れ、ルディウス様を指さして「俺に暴力を振るった」とか「あいつを捕まえろ!」とか喚きだしました。
彼の事は騎士に任せると、左右に騎士が立ち腕を掴んで引きずって会場を出ていかせました。
王族を引きずって大丈夫なのかと思いましたが、王妃をみると頷いていたので大丈夫なのでしょう。
「済まなかったね、折角の晴れ舞台を台無しにしてしまった」
「いえ……」
それでも、場内の空気は悪くみなの表情は暗く……そんな空気を変えるように、王妃様が手を叩き注目を集めましたわ。
「さぁ!まだまだ、パーティは終わっていませんよ!皆様、グラスをお持ちになって!」
戸惑いながらも、全員がグラスを持ったのを確認した王妃様は「乾杯!」と声高に宣言しました。
隣国にて、
「聞きました?ルディ様」
「バカ2人のことか?」
「あら、知ってましたの?」
ルディ様は、当然だろと言わんばかりの自信満々の笑みで答えた。
「結局2人は結婚したらしいな」
そうなんです、あのふたり結婚して子供もいるそうです。
子供が出来てしまったから、結婚したと言ってもいいかも知れませんね。
「働かない夫に、贅沢ばかりの妻……いつまで持つかな…くく」
私は外交関係で自国に戻る事が良くありますが、その時に聞いた話では既に離婚したけれど……結局戻ってきて、一緒に暮らし、また離れ、くっつくを繰り返しているそうです。
仲がいいのか悪いのか……分かりませんね。
「既に離婚したと、聞きましたけれど…」
「でも、結局くっつくんだろ?」
「既に渡された資金は底を尽き、悪徳商人に騙され続けてるとも聞きます」
……
最後に聞いた話では……
「悪徳商人に借りた金を返せず、奴らに殺されたそうだな…臓器を奪われた状態で発見されたんだろ?」
やっぱり知ってましたのね。
ブレイズ様もアマリスも、心臓や肺と言った臓器の殆どが無かったそうです。
最近の私達はというと、とても仲が良いと言えますわね。ただ…、ルディ様の触れ合いが過剰な気がしますけれど……!
「何を考えてるんだ?」
ルディ様の手が私の腰を捉えソファに引き込まれました。そのまま彼の膝の上に導かれ、横抱きにされ甘い口付けが降りてきます。
「はっ、ん……なに、も……ぅん」
「嘘つけ。顔を見れば分かるんだよ、存外俺は嫉妬深いんだ……だから、あまり嫉妬させるなよ?」
~完~
47
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(4件)
あなたにおすすめの小説
いざ離婚!と思ったらそもそも結婚していなかったですって!
ゆるぽ
恋愛
3年間夫婦としての実態が無ければ離婚できる国でようやく離婚できることになったフランシア。離婚手続きのために教会を訪れたところ、婚姻届けが提出されていなかったことを知る。そもそも結婚していなかったことで最低だった夫に復讐できることがわかって…/短めでさくっと読めるざまぁ物を目指してみました。
知りませんでした?私再婚して公爵夫人になりました。
京月
恋愛
学生時代、家の事情で士爵に嫁がされたコリン。
他国への訪問で伯爵を射止めた幼馴染のミーザが帰ってきた。
「コリン、士爵も大変よね。領地なんてもらえないし、貴族も名前だけ」
「あらミーザ、知りませんでした?私再婚して公爵夫人になったのよ」
「え?」
私から略奪婚した妹が泣いて帰って来たけど全力で無視します。大公様との結婚準備で忙しい~忙しいぃ~♪
百谷シカ
恋愛
身勝手な理由で泣いて帰ってきた妹エセル。
でも、この子、私から婚約者を奪っておいて、どの面下げて帰ってきたのだろう。
誰も構ってくれない、慰めてくれないと泣き喚くエセル。
両親はひたすらに妹をスルー。
「お黙りなさい、エセル。今はヘレンの結婚準備で忙しいの!」
「お姉様なんかほっとけばいいじゃない!!」
無理よ。
だって私、大公様の妻になるんだもの。
大忙しよ。
国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。
樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。
ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。
国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。
「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」
【完結】たぶん私本物の聖女じゃないと思うので王子もこの座もお任せしますね聖女様!
貝瀬汀
恋愛
ここ最近。教会に毎日のようにやってくる公爵令嬢に、いちゃもんをつけられて参っている聖女、フレイ・シャハレル。ついに彼女の我慢は限界に達し、それならばと一計を案じる……。ショートショート。※題名を少し変更いたしました。
【完結】王女の婚約者をヒロインが狙ったので、ざまぁが始まりました
miniko
恋愛
ヒロイン気取りの令嬢が、王女の婚約者である他国の王太子を籠絡した。
婚約破棄の宣言に、王女は嬉々として応戦する。
お花畑馬鹿ップルに正論ぶちかます系王女のお話。
※タイトルに「ヒロイン」とありますが、ヒロインポジの令嬢が登場するだけで、転生物ではありません。
※恋愛カテゴリーですが、ざまぁ中心なので、恋愛要素は最後に少しだけです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
おばか同士で仲良くあの世に逝ったのね(..)(__)(´-ω-`)妙ーに印象的なお馬鹿だした(..)(__)😔
この作品を読んで頂きありがとうございます(*ᴗˬᴗ)⁾
ちょっーと、お馬鹿過ぎましたかね><
馬鹿二人の事は自業自得でどうでもいいけど、子供はどうなったのか気になる。
どうせロクに世話してないと思うけど……
この作品を読んで頂き、ありがとうございます(*ᴗˬᴗ)⁾
子供がその後どうなったのかを、おまけとして追加予定です。現在執筆してますので、お待ち頂けたら嬉しいです。ありがとうございました。
子供が可哀想😢
この作品を読んで頂きありがとうございます(*ᴗˬᴗ)⁾
おまけとして、残った子供の話を追加予定です。ただいま執筆中なので、もう少しお待ち下さいませ。ありがとうございました。