4 / 6
第4話 毒紋
しおりを挟む
その日の夜……
「……っ?!」
毒紋っが……っ!!
(指先が……痺っれ……)
「おい!どうした?!」
「……ソ…?」
何でここに、ソル様が……?!
確か……一緒に食事をとって、地下水で沐浴して……それぞれのテントに戻ったはず…っ
ここにいるはずがないのに……!
「おい……っ!誰かっ」
「へ、……いき、だ……」
「何が平気だっ」
「すぐ、なお……るから、だれも……よばな、ぃで」
「…………」
衛生兵を呼ぼうとするソル様を、痺れる手で服を掴み何とか止める。
私が止めると彼は、掴んでいた私の手を解き自身の体に寄せた。
「俺に寄りかかれ」
唇や舌先が痺れ、上手く話せなくなる。
彼に引き寄せられ、広い胸板に頬を寄せると彼の心音が聞こえてくる。
……彼は私を胸に抱き寄せても、ドキドキしてる感じはないみたい。そうよね……政略結婚だし、大っ嫌いな敵国の姫だもんね……
背中をポンポンと叩く彼の手が心地よく、次第に意識が薄れていく。この毒は、段階的に進行するもの……1段階目は軽い痺れに襲われるだけのはず…眠くなる要素……なんて……
「……スー」
「……寝たのか?」
「……」
ソルは、アマルを抱き上げ布団に寝かせた。
「もう良いぞ、入って来い」
外に向かって声を掛けるが、中々そいつは入って来ない。「どうした?」と声を掛ければ「失礼します」と言う言葉と共にラシードが入ってきた。
「敵とはいえ、女性ですからね。女性の部屋に無断で入るのは……ねぇ」
「…………」
非難の目が俺に向けられる。
いや、だって、大きな音がしたんだっ!
何かあったのかと思うだろ?!しかも、入ったら姫が蹲ってるから……尚のことっ
確かに、姫の了承を得ないで勝手に入ったのは悪かったと思っているが……。
「兎に角、アマル姫を布団に寝かせた方が良いのではありませんか?」
「……そうだな」
俺は姫を抱き上げ、布団に……布団……?
布団はどこだ?
目の前にあるのは、薄い布の上に小さなクッションを置いたような簡素な布団?だった。
「これが、布団か?姫の寝床と言うには、簡素すぎないか?」
「……ええ、そうですね」
「知ってたか?」
「知るわけないでしょう」
「だよな……」
とりあえず、ひざ掛けの様な布を捲り姫を寝かせた。小さなテントの中には荷物などなく、小さな小箱がひとつ置いてあるだけだった。俺のテントの中だって、もっと荷物はあるぞ……。
「ラシード、俺のテントからクッションをいくつか持って来い」
「はっ?」
ラシードはソルに正気ですか?という視線を送るが、ソルは「早くしろ」と言うだけだった。
仕方なさそうにため息をつくと、ラシードはテントから出ていく。
……『月華の姫』
ソルは穏やかに眠るアマルを見て、昔出会った一人の少女を思い出していた。
銀色に輝く長い髪を持ち、言語能力を持った強く美しい少女……『月華の姫』
ずっと、また会いたいと思っていた。
だが、会えないまま時は流れ、今では顔を思い出せないが……それでも、あの美しい銀の髪と、強き心は色褪せることなく覚えている。
アマル姫……銀の髪を持つ、敵国の姫……
彼女は少し『月華の姫』に似ている気がする……
「お待たせしました。ですが、宜しいんですか?」
「構わない。姫の寝床に敷いてやってくれ」
今は、まだ……
姫の事は分からない。
敵なのか、味方なのか……
それに……苦しんでいた理由も…
ラシードと共にテントを出て、振り返る。
「ラシード、彼女が『月華の姫』だったら俺は……」
俺は……どうするんだろうか……
俺が彼女を認めたとしても…仲間が、民が、敵国の人間である姫を認めるとは思えない。
「貴方が信じたならば……私達は、付いて行くだけですよ」
「…………」
そんな2人を、たまたま起きていた地竜が見ていた。
グル、グルルゥ
『若いというのは、いいもんじゃのぉ』
グゥルルル、ルッルッル
『約束したからのぉ。ほっほっほ』
小さく唸り、目を閉じた地竜。
「……っ?!」
毒紋っが……っ!!
(指先が……痺っれ……)
「おい!どうした?!」
「……ソ…?」
何でここに、ソル様が……?!
確か……一緒に食事をとって、地下水で沐浴して……それぞれのテントに戻ったはず…っ
ここにいるはずがないのに……!
「おい……っ!誰かっ」
「へ、……いき、だ……」
「何が平気だっ」
「すぐ、なお……るから、だれも……よばな、ぃで」
「…………」
衛生兵を呼ぼうとするソル様を、痺れる手で服を掴み何とか止める。
私が止めると彼は、掴んでいた私の手を解き自身の体に寄せた。
「俺に寄りかかれ」
唇や舌先が痺れ、上手く話せなくなる。
彼に引き寄せられ、広い胸板に頬を寄せると彼の心音が聞こえてくる。
……彼は私を胸に抱き寄せても、ドキドキしてる感じはないみたい。そうよね……政略結婚だし、大っ嫌いな敵国の姫だもんね……
背中をポンポンと叩く彼の手が心地よく、次第に意識が薄れていく。この毒は、段階的に進行するもの……1段階目は軽い痺れに襲われるだけのはず…眠くなる要素……なんて……
「……スー」
「……寝たのか?」
「……」
ソルは、アマルを抱き上げ布団に寝かせた。
「もう良いぞ、入って来い」
外に向かって声を掛けるが、中々そいつは入って来ない。「どうした?」と声を掛ければ「失礼します」と言う言葉と共にラシードが入ってきた。
「敵とはいえ、女性ですからね。女性の部屋に無断で入るのは……ねぇ」
「…………」
非難の目が俺に向けられる。
いや、だって、大きな音がしたんだっ!
何かあったのかと思うだろ?!しかも、入ったら姫が蹲ってるから……尚のことっ
確かに、姫の了承を得ないで勝手に入ったのは悪かったと思っているが……。
「兎に角、アマル姫を布団に寝かせた方が良いのではありませんか?」
「……そうだな」
俺は姫を抱き上げ、布団に……布団……?
布団はどこだ?
目の前にあるのは、薄い布の上に小さなクッションを置いたような簡素な布団?だった。
「これが、布団か?姫の寝床と言うには、簡素すぎないか?」
「……ええ、そうですね」
「知ってたか?」
「知るわけないでしょう」
「だよな……」
とりあえず、ひざ掛けの様な布を捲り姫を寝かせた。小さなテントの中には荷物などなく、小さな小箱がひとつ置いてあるだけだった。俺のテントの中だって、もっと荷物はあるぞ……。
「ラシード、俺のテントからクッションをいくつか持って来い」
「はっ?」
ラシードはソルに正気ですか?という視線を送るが、ソルは「早くしろ」と言うだけだった。
仕方なさそうにため息をつくと、ラシードはテントから出ていく。
……『月華の姫』
ソルは穏やかに眠るアマルを見て、昔出会った一人の少女を思い出していた。
銀色に輝く長い髪を持ち、言語能力を持った強く美しい少女……『月華の姫』
ずっと、また会いたいと思っていた。
だが、会えないまま時は流れ、今では顔を思い出せないが……それでも、あの美しい銀の髪と、強き心は色褪せることなく覚えている。
アマル姫……銀の髪を持つ、敵国の姫……
彼女は少し『月華の姫』に似ている気がする……
「お待たせしました。ですが、宜しいんですか?」
「構わない。姫の寝床に敷いてやってくれ」
今は、まだ……
姫の事は分からない。
敵なのか、味方なのか……
それに……苦しんでいた理由も…
ラシードと共にテントを出て、振り返る。
「ラシード、彼女が『月華の姫』だったら俺は……」
俺は……どうするんだろうか……
俺が彼女を認めたとしても…仲間が、民が、敵国の人間である姫を認めるとは思えない。
「貴方が信じたならば……私達は、付いて行くだけですよ」
「…………」
そんな2人を、たまたま起きていた地竜が見ていた。
グル、グルルゥ
『若いというのは、いいもんじゃのぉ』
グゥルルル、ルッルッル
『約束したからのぉ。ほっほっほ』
小さく唸り、目を閉じた地竜。
0
あなたにおすすめの小説
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
「君を愛するつもりはない」と言ったら、泣いて喜ばれた
菱田もな
恋愛
完璧令嬢と名高い公爵家の一人娘シャーロットとの婚約が決まった第二皇子オズワルド。しかし、これは政略結婚で、婚約にもシャーロット自身にも全く興味がない。初めての顔合わせの場で「悪いが、君を愛するつもりはない」とはっきり告げたオズワルドに対して、シャーロットはなぜか歓喜の涙を浮かべて…?
※他サイトでも掲載しております。
婚約者の幼馴染?それが何か?
仏白目
恋愛
タバサは学園で婚約者のリカルドと食堂で昼食をとっていた
「あ〜、リカルドここにいたの?もう、待っててっていったのにぃ〜」
目の前にいる私の事はガン無視である
「マリサ・・・これからはタバサと昼食は一緒にとるから、君は遠慮してくれないか?」
リカルドにそう言われたマリサは
「酷いわ!リカルド!私達あんなに愛し合っていたのに、私を捨てるの?」
ん?愛し合っていた?今聞き捨てならない言葉が・・・
「マリサ!誤解を招くような言い方はやめてくれ!僕たちは幼馴染ってだけだろう?」
「そんな!リカルド酷い!」
マリサはテーブルに突っ伏してワアワア泣き出した、およそ貴族令嬢とは思えない姿を晒している
この騒ぎ自体 とんだ恥晒しだわ
タバサは席を立ち 冷めた目でリカルドを見ると、「この事は父に相談します、お先に失礼しますわ」
「まってくれタバサ!誤解なんだ」
リカルドを置いて、タバサは席を立った
婚約破棄の日の夜に
夕景あき
恋愛
公爵令嬢ロージーは卒業パーティの日、金髪碧眼の第一王子に婚約破棄を言い渡された。第一王子の腕には、平民のティアラ嬢が抱かれていた。
ロージーが身に覚えのない罪で、第一王子に糾弾されたその時、守ってくれたのは第二王子だった。
そんな婚約破棄騒動があった日の夜に、どんでん返しが待っていた·····
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
【完結】悪役令嬢ですが、断罪した側が先に壊れました
あめとおと
恋愛
三日後、私は断罪される。
そう理解したうえで、悪役令嬢アリアンナは今日も王国のために働いていた。
平民出身のヒロインの「善意」、
王太子の「優しさ」、
そしてそれらが生み出す無数の歪み。
感情論で壊されていく現実を、誰にも知られず修正してきたのは――“悪役”と呼ばれる彼女だった。
やがて訪れる断罪。婚約破棄。国外追放。
それでも彼女は泣かず、縋らず、弁明もしない。
なぜなら、間違っていたつもりは一度もないから。
これは、
「断罪される側」が最後まで正しかった物語。
そして、悪役令嬢が舞台を降りた“その後”に始まる、静かで確かな人生の物語。
転生先が意地悪な王妃でした。うちの子が可愛いので今日から優しいママになります! ~陛下、もしかして一緒に遊びたいのですか?
朱音ゆうひ@『桜の嫁入り』発売中です
恋愛
転生したら、我が子に冷たくする酷い王妃になってしまった!
「お母様、謝るわ。お母様、今日から変わる。あなたを一生懸命愛して、優しくして、幸せにするからね……っ」
王子を抱きしめて誓った私は、その日から愛情をたっぷりと注ぐ。
不仲だった夫(国王)は、そんな私と息子にそわそわと近づいてくる。
もしかして一緒に遊びたいのですか、あなた?
他サイトにも掲載しています( https://ncode.syosetu.com/n5296ig/)
冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる