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第2話
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シグルト様の、間を開けた言い方は周りの人々に混乱を与えたみたいですの。更に、先程聞こえた平手打ちの様な音も関係してると思います。
「今度は何を企んでましたの?」
「ん?」
シグルト様はいつも、私には何も仰って下さいませんのよね。「心配させたくないから」と、よく言われますけれど……
「まぁ、もういいかな」
そう言って、バッシュ様の方に向くと……
頬に赤く、手のひらの形の跡を残したバッシュ様がメアリーという女性に支えられて立ち上がった所でした。
平手打ちしたであろうフィレニア様は、叩いた方の手を軽く振って「婚約破棄、喜んでしてあげます!」と宣言しましたの。
そして、近くにいらしたクォーツ様がメアリーさんを押さえつけ、その事に文句を言うバッシュ様の前には、無言で立ち睨みつける彼の弟……第2王子のアシュト様が……
「静かにして下さい兄上、これ以上醜態を晒さないで下さい。恥ずかしい」
「アシュト貴様!次期国王である俺に……!」
「ふざけた事を言わないで下さい。兄上は、立太子していないのに」
「は?」
「まぁ……こんな醜態を晒しておいて国王になど、なれるはずがないでしょうけど」
……そうですね。
流石に婚約者がいる身でありながら、他の女性にうつつを抜かし挙句に婚約破棄ですものね。
婚約破棄と言った訳じゃないけど、メアリーさんを王妃にすると言ってましたもの。
他の貴族が多くいるこの場所での発言……責任が発生しますの。
それに、次期宰相であるシグルト様、次期騎士団長に抜擢されたクォーツ様もいらっしゃいます。
もう、発言も行動も取り返しがつきませんの。
「え?アシュト様?何言ってるの?」
「申し訳ありませんが、あなたの発言を許した覚えはありませんよ。メアリー嬢」
何を思ってるのか知りませんが、 メアリーさんはアシュト様に敬語を使わないんですの。そのうえ、1番身分が低いのに発言しますし……本当に何がしたいのでしょう?
「なんで?どうして?アシュト様もクォーツ様もシグルト様も私の事が好きでしょう?!そう言ってたじゃない!」
「言ってません。私はキナイに不誠実になるような事はしてませんし言ってません」
「俺もだ。婚約者を裏切るような真似をした覚えはない」
「当然、僕もです。 兄上と一緒にしないで下さい」
メアリーさんは、妄想癖でもあるのでしょうか?
シグルト様とクォーツ様、アシュト様から好きだと言われたと言いましたけど……
シグルト様は分かりませんけど、クォーツ様は正義感が強く義に厚いお方です。婚約者の方を裏切るとは思えません。
アシュト様は、婚約者第一主義ですの。
王族としての義務や責務はしっかりと行いますが、婚約者様を蔑ろにする事は一切ないと聞きますし、
婚約者様に近付く男性への牽制も凄いと聞きましたの。
シグルト様は、分かりませんの。
「キナイ、今なにか失礼な事考えてないか?」
「知りませんの」
「ふーん、そう。……後で話そう」
と、シグルト様は最後の言葉を私の耳元で囁くように言いましたの。
「そ、そんな……私を虐めたその女を断罪するんでしょう?ね?」
「私の大事な婚約者を、その女呼ばわりしないで下さい。貴方よりも身分は上ですし、何よりキナイは貴方を虐めてないでしょう」
「いいえ!いいえ!その女が私を虐めたのは本当です!」
えっと……?
どうしましょう、私は本当に覚えがないんですの。それとも無意識に、彼女に何かしてしまったのでしょうか?
えっと、先程彼女が言ってた事は……
私が彼女のドレスを破ったり、教科書を破ったり階段から突き落としたりでしたね。
……流石に、やりませんの。
嫉妬に狂ったとしても、狂いませんけど……相手に怪我を負わせるようなことはしませんの。
それくらいの理性は、ありますから。
「信じて!信じてよ!」
叫べば叫ぶだけ、真実味は無くなっていきますの。
彼女は、それを理解してるのでしょうか?
それに、シグルト様やアシュト様が本気になれば真実は直ぐに明らかになりますの。嘘だとバレれば、王族を謀ったとして処罰の対象になりますのに、勇気ありますのね。
バッシュ様とメアリーさんは、連れて行かれましたの。バッシュ様は王城の陛下の元でしょうけど、メアリーさんはどこに連れて行かれるのでしょう?
チラリとシグルト様に視線を向けますが、ニコッと笑うだけで教えてはくれなさそうですの。
いつも、そうですの。
いつも、何も教えて下さらない。
何も知らせて下さらない。
終わっても、何も……
私だけが、何も知らされませんの。
その事に対して不安であると訴えても、どこ吹く風で……はぐらかされるだけですの。
ですから、もしかしたら私はシグルト様にとって居てもいなくても問題のない存在なのかも知れません。
きっと私は、シグルト様に必要とされてませんの……
「今度は何を企んでましたの?」
「ん?」
シグルト様はいつも、私には何も仰って下さいませんのよね。「心配させたくないから」と、よく言われますけれど……
「まぁ、もういいかな」
そう言って、バッシュ様の方に向くと……
頬に赤く、手のひらの形の跡を残したバッシュ様がメアリーという女性に支えられて立ち上がった所でした。
平手打ちしたであろうフィレニア様は、叩いた方の手を軽く振って「婚約破棄、喜んでしてあげます!」と宣言しましたの。
そして、近くにいらしたクォーツ様がメアリーさんを押さえつけ、その事に文句を言うバッシュ様の前には、無言で立ち睨みつける彼の弟……第2王子のアシュト様が……
「静かにして下さい兄上、これ以上醜態を晒さないで下さい。恥ずかしい」
「アシュト貴様!次期国王である俺に……!」
「ふざけた事を言わないで下さい。兄上は、立太子していないのに」
「は?」
「まぁ……こんな醜態を晒しておいて国王になど、なれるはずがないでしょうけど」
……そうですね。
流石に婚約者がいる身でありながら、他の女性にうつつを抜かし挙句に婚約破棄ですものね。
婚約破棄と言った訳じゃないけど、メアリーさんを王妃にすると言ってましたもの。
他の貴族が多くいるこの場所での発言……責任が発生しますの。
それに、次期宰相であるシグルト様、次期騎士団長に抜擢されたクォーツ様もいらっしゃいます。
もう、発言も行動も取り返しがつきませんの。
「え?アシュト様?何言ってるの?」
「申し訳ありませんが、あなたの発言を許した覚えはありませんよ。メアリー嬢」
何を思ってるのか知りませんが、 メアリーさんはアシュト様に敬語を使わないんですの。そのうえ、1番身分が低いのに発言しますし……本当に何がしたいのでしょう?
「なんで?どうして?アシュト様もクォーツ様もシグルト様も私の事が好きでしょう?!そう言ってたじゃない!」
「言ってません。私はキナイに不誠実になるような事はしてませんし言ってません」
「俺もだ。婚約者を裏切るような真似をした覚えはない」
「当然、僕もです。 兄上と一緒にしないで下さい」
メアリーさんは、妄想癖でもあるのでしょうか?
シグルト様とクォーツ様、アシュト様から好きだと言われたと言いましたけど……
シグルト様は分かりませんけど、クォーツ様は正義感が強く義に厚いお方です。婚約者の方を裏切るとは思えません。
アシュト様は、婚約者第一主義ですの。
王族としての義務や責務はしっかりと行いますが、婚約者様を蔑ろにする事は一切ないと聞きますし、
婚約者様に近付く男性への牽制も凄いと聞きましたの。
シグルト様は、分かりませんの。
「キナイ、今なにか失礼な事考えてないか?」
「知りませんの」
「ふーん、そう。……後で話そう」
と、シグルト様は最後の言葉を私の耳元で囁くように言いましたの。
「そ、そんな……私を虐めたその女を断罪するんでしょう?ね?」
「私の大事な婚約者を、その女呼ばわりしないで下さい。貴方よりも身分は上ですし、何よりキナイは貴方を虐めてないでしょう」
「いいえ!いいえ!その女が私を虐めたのは本当です!」
えっと……?
どうしましょう、私は本当に覚えがないんですの。それとも無意識に、彼女に何かしてしまったのでしょうか?
えっと、先程彼女が言ってた事は……
私が彼女のドレスを破ったり、教科書を破ったり階段から突き落としたりでしたね。
……流石に、やりませんの。
嫉妬に狂ったとしても、狂いませんけど……相手に怪我を負わせるようなことはしませんの。
それくらいの理性は、ありますから。
「信じて!信じてよ!」
叫べば叫ぶだけ、真実味は無くなっていきますの。
彼女は、それを理解してるのでしょうか?
それに、シグルト様やアシュト様が本気になれば真実は直ぐに明らかになりますの。嘘だとバレれば、王族を謀ったとして処罰の対象になりますのに、勇気ありますのね。
バッシュ様とメアリーさんは、連れて行かれましたの。バッシュ様は王城の陛下の元でしょうけど、メアリーさんはどこに連れて行かれるのでしょう?
チラリとシグルト様に視線を向けますが、ニコッと笑うだけで教えてはくれなさそうですの。
いつも、そうですの。
いつも、何も教えて下さらない。
何も知らせて下さらない。
終わっても、何も……
私だけが、何も知らされませんの。
その事に対して不安であると訴えても、どこ吹く風で……はぐらかされるだけですの。
ですから、もしかしたら私はシグルト様にとって居てもいなくても問題のない存在なのかも知れません。
きっと私は、シグルト様に必要とされてませんの……
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