8 / 22
本編
第2話 初めての仕事
しおりを挟む
草むしりに必要な道具の場所を担当侍女の方から聞いて、取り出していると
「あーああ、何で寄りにもよって、奥庭の草むしりなのよっ!!」
「ホントホント!こんな所じゃ、王子様も誰も通らないじゃない!」
「ねぇ!アイツに全部押し付けて、探しに行かない?!」
(はぁ?!)
初っ端からサボろうっての?!
馬鹿なの?馬鹿じゃないの?!
イケメンが目当てなのは分かるけどさっ!私もだからっ!でも、任された仕事をサボったらダメでしょう?!
「それに何だか……この庭、臭いしっ」
「本当、何この匂い?!」
「やだ!服にも髪にも匂いが付いちゃう!」
そう言って、道具を放り出して走って行った下女仲間……
「え?マジで私一人でやるの?この庭……?」
え~~~
確かに、ちょっと臭うけど…
まぁ、これだけ雑草伸び放題なら、ゴミだって落ちてるかもだし、臭うのは当然か……はぁ
「…………仕方ない!固まってたって、あの人たちは帰って来ないんだから!やるしか無いでしょ!?わたし!」
軽く腕まくりをし、自分の頬をバチンと叩き気合を入れる。
そして鎌で、自分の背丈ほどもある雑草を刈り取っていく。
その後、根っこから引っこ抜くのだ。
その姿を、隣接する2階の渡り廊下から覗く人影……
「ふむ、彼女は真面目に働くようですね」
「そのようですね、他の3人は減点。……ですが、まだ違う仕事なら手を出すかも知れません。彼女も、真面目に働くのは今だけかも知れません。もう少し様子見ですね」
「そうだな…。全く、殿下目当てで来られて仕事を放棄されたら、本当困るんですがね」
2人はシュリの仕事ぶりを少しの間見て、その場を離れた。
太陽が沈み始め、夕焼け色に染まり出した頃、私は顔を上げ辺りを見回した。
「どうよ!綺麗になったんじゃない?!」
雑草を根っこから引っこ抜き、ゴミを拾い、土を均した奥庭は最初に見た時よりだいぶ変わっていた。
立ち上がって体を伸ばすと、腰や肩がバキボキと音がした。
「たー、腰いったっい」
ずっと中腰で草を刈り取り、しゃがんで草を毟っていたから、体が固まっちゃったみたい。
「はぁ、やっと終わったよ。…もう、4人でやればもっと早く終わったのにっ」
早々にサボった3人に文句を言いながらも、道具をしまい、侍女頭に報告に向かう。
侍女頭であるゼルダさんの部屋に向かっていると、他の人達も続々と集まってきた。
皆も、無事今日の仕事を終えられたようだ。
「ねぇ、あなた」
「ん?なに?」
歩いていると、突然声を掛けられ振り返る。すると、亜麻色の髪をおさげにした少女が私に話しかけてきた。
「何…やってたの?……その、凄く臭うし、汚れも……」
「あぁ、草むしりよ。これ、替えの服あるかな?洗濯しても明日には乾かないよね…」
「侍女頭に聞いてみたら?」
「そうする」
2人連れ立ってゼルダさんの元に向かう。
その途中、大きな荷物を抱えたおじぃさんがいた。下女仲間達はおじぃさんを無視し階段を上っていく。
「早く行きましょう?遅れたら、怒られてしまうしご飯も食べ損なってしまうわ」
「そうだけど……」
言いながら、おじぃさんの前を通り過ぎる。
腰が痛いのか、荷物を下ろし背中をトントンと叩いてる姿を横目で見る。
上り始めた階段の途中でシュリは「やっぱり無理!」と言って立ち止まった。
「どうしたの?」
「ごめん、やっぱり気になるから、先に行ってて」
-フン、偽善ね……
という声が聞こえたけど、気にしない!
たとえ偽善でも、困ってる人を放っておくなんて出来ないよ。
※※※※※
今日は息子夫婦が出かけており、騎士団に納品する武器や防具を届けてもらう事が出来なかったので、仕事終わりに自分で届けに来たのだが……私ももう歳だな…
騎士団の兵舎まで、まだ結構な距離があるというのに……どうしたものか…
誰か手伝ってくれないかと、辺りを見渡すが
、下女と思われる女性と目が合っても無視される。
-やだ、なにあれ?小汚いおっさんね
-城の中が汚れるじゃない…
-さっさと帰れよな、クソジジイ
彼女達はコソコソと話しておるのかもしれんが、私には「聴」のスキルがあり、どんなに小さな声も、目に映る距離ならば聞こえてしまうのだよ?お嬢さん方。
はぁ、仕方ない。
誰も手伝ってくれんようだし、もう少し頑張るかの。
そう思っていた。
そんな私の上に影が落ちる。
「おじぃさん、どうしたの?」
それは、先程通り過ぎた2人のお嬢さんのうちの一人だった。
「あぁ、お嬢さんか、実はな騎士団に届け物があったんだが、重たくてな」
そう言って荷物に目を落とすと、お嬢さんの目が急に輝き自分が運ぶと申し出てくれた。
「それは、申し訳ないよ。すごく重たいんだよ?」
「大丈夫よ。私「力」のスキル持ちだから」
「お嬢さんのスキルは「力」なのかい?だが、結構重たいよ?スキルレベルは?」
「大よ」
「おお!そりゃ凄いな。じゃ頼んでいいかい?」
「ええ、任せて!」
もうすぐ夜になるからと、お嬢さんは私に帰るよう言ってくれた。
だが、流石にお嬢さんに荷物を渡すだけ渡して、さっさと帰るわけに行かない。
私も一緒に行くと言えば、お嬢さんは諦めたように悲しげに「ありがとう」と言った。
私を思いやってくれる、とても優しいお嬢さんだと私は感心した。
だが、シュリの頭の中はおじぃさんの為と言うよりも「よっしゃ!ジークベルト様に会えるかも~!やっほーい」と、自分の最推しの1人に会えるかも知れない事を、喜んでいたのだった。
だが、おじぃさんが付いてくることになり、シュリの目論見は外れたのだった。
「あーああ、何で寄りにもよって、奥庭の草むしりなのよっ!!」
「ホントホント!こんな所じゃ、王子様も誰も通らないじゃない!」
「ねぇ!アイツに全部押し付けて、探しに行かない?!」
(はぁ?!)
初っ端からサボろうっての?!
馬鹿なの?馬鹿じゃないの?!
イケメンが目当てなのは分かるけどさっ!私もだからっ!でも、任された仕事をサボったらダメでしょう?!
「それに何だか……この庭、臭いしっ」
「本当、何この匂い?!」
「やだ!服にも髪にも匂いが付いちゃう!」
そう言って、道具を放り出して走って行った下女仲間……
「え?マジで私一人でやるの?この庭……?」
え~~~
確かに、ちょっと臭うけど…
まぁ、これだけ雑草伸び放題なら、ゴミだって落ちてるかもだし、臭うのは当然か……はぁ
「…………仕方ない!固まってたって、あの人たちは帰って来ないんだから!やるしか無いでしょ!?わたし!」
軽く腕まくりをし、自分の頬をバチンと叩き気合を入れる。
そして鎌で、自分の背丈ほどもある雑草を刈り取っていく。
その後、根っこから引っこ抜くのだ。
その姿を、隣接する2階の渡り廊下から覗く人影……
「ふむ、彼女は真面目に働くようですね」
「そのようですね、他の3人は減点。……ですが、まだ違う仕事なら手を出すかも知れません。彼女も、真面目に働くのは今だけかも知れません。もう少し様子見ですね」
「そうだな…。全く、殿下目当てで来られて仕事を放棄されたら、本当困るんですがね」
2人はシュリの仕事ぶりを少しの間見て、その場を離れた。
太陽が沈み始め、夕焼け色に染まり出した頃、私は顔を上げ辺りを見回した。
「どうよ!綺麗になったんじゃない?!」
雑草を根っこから引っこ抜き、ゴミを拾い、土を均した奥庭は最初に見た時よりだいぶ変わっていた。
立ち上がって体を伸ばすと、腰や肩がバキボキと音がした。
「たー、腰いったっい」
ずっと中腰で草を刈り取り、しゃがんで草を毟っていたから、体が固まっちゃったみたい。
「はぁ、やっと終わったよ。…もう、4人でやればもっと早く終わったのにっ」
早々にサボった3人に文句を言いながらも、道具をしまい、侍女頭に報告に向かう。
侍女頭であるゼルダさんの部屋に向かっていると、他の人達も続々と集まってきた。
皆も、無事今日の仕事を終えられたようだ。
「ねぇ、あなた」
「ん?なに?」
歩いていると、突然声を掛けられ振り返る。すると、亜麻色の髪をおさげにした少女が私に話しかけてきた。
「何…やってたの?……その、凄く臭うし、汚れも……」
「あぁ、草むしりよ。これ、替えの服あるかな?洗濯しても明日には乾かないよね…」
「侍女頭に聞いてみたら?」
「そうする」
2人連れ立ってゼルダさんの元に向かう。
その途中、大きな荷物を抱えたおじぃさんがいた。下女仲間達はおじぃさんを無視し階段を上っていく。
「早く行きましょう?遅れたら、怒られてしまうしご飯も食べ損なってしまうわ」
「そうだけど……」
言いながら、おじぃさんの前を通り過ぎる。
腰が痛いのか、荷物を下ろし背中をトントンと叩いてる姿を横目で見る。
上り始めた階段の途中でシュリは「やっぱり無理!」と言って立ち止まった。
「どうしたの?」
「ごめん、やっぱり気になるから、先に行ってて」
-フン、偽善ね……
という声が聞こえたけど、気にしない!
たとえ偽善でも、困ってる人を放っておくなんて出来ないよ。
※※※※※
今日は息子夫婦が出かけており、騎士団に納品する武器や防具を届けてもらう事が出来なかったので、仕事終わりに自分で届けに来たのだが……私ももう歳だな…
騎士団の兵舎まで、まだ結構な距離があるというのに……どうしたものか…
誰か手伝ってくれないかと、辺りを見渡すが
、下女と思われる女性と目が合っても無視される。
-やだ、なにあれ?小汚いおっさんね
-城の中が汚れるじゃない…
-さっさと帰れよな、クソジジイ
彼女達はコソコソと話しておるのかもしれんが、私には「聴」のスキルがあり、どんなに小さな声も、目に映る距離ならば聞こえてしまうのだよ?お嬢さん方。
はぁ、仕方ない。
誰も手伝ってくれんようだし、もう少し頑張るかの。
そう思っていた。
そんな私の上に影が落ちる。
「おじぃさん、どうしたの?」
それは、先程通り過ぎた2人のお嬢さんのうちの一人だった。
「あぁ、お嬢さんか、実はな騎士団に届け物があったんだが、重たくてな」
そう言って荷物に目を落とすと、お嬢さんの目が急に輝き自分が運ぶと申し出てくれた。
「それは、申し訳ないよ。すごく重たいんだよ?」
「大丈夫よ。私「力」のスキル持ちだから」
「お嬢さんのスキルは「力」なのかい?だが、結構重たいよ?スキルレベルは?」
「大よ」
「おお!そりゃ凄いな。じゃ頼んでいいかい?」
「ええ、任せて!」
もうすぐ夜になるからと、お嬢さんは私に帰るよう言ってくれた。
だが、流石にお嬢さんに荷物を渡すだけ渡して、さっさと帰るわけに行かない。
私も一緒に行くと言えば、お嬢さんは諦めたように悲しげに「ありがとう」と言った。
私を思いやってくれる、とても優しいお嬢さんだと私は感心した。
だが、シュリの頭の中はおじぃさんの為と言うよりも「よっしゃ!ジークベルト様に会えるかも~!やっほーい」と、自分の最推しの1人に会えるかも知れない事を、喜んでいたのだった。
だが、おじぃさんが付いてくることになり、シュリの目論見は外れたのだった。
31
あなたにおすすめの小説
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
魚人族のバーに行ってワンナイトラブしたら番いにされて種付けされました
ノルジャン
恋愛
人族のスーシャは人魚のルシュールカを助けたことで仲良くなり、魚人の集うバーへ連れて行ってもらう。そこでルシュールカの幼馴染で鮫魚人のアグーラと出会い、一夜を共にすることになって…。ちょっとオラついたサメ魚人に激しく求められちゃうお話。ムーンライトノベルズにも投稿中。
義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話
よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。
「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。
兄様達の愛が止まりません!
桜
恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。
そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。
屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。
やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。
無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。
叔父の家には二人の兄がいた。
そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる