イケメンが目当てですが、何か、問題でも?

紫宛

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本編

第2話 初めての仕事

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草むしりに必要な道具の場所を担当侍女の方から聞いて、取り出していると

「あーああ、何で寄りにもよって、奥庭の草むしりなのよっ!!」
「ホントホント!こんな所じゃ、王子様も誰も通らないじゃない!」
「ねぇ!アイツに全部押し付けて、探しに行かない?!」

(はぁ?!)

初っ端からサボろうっての?!
馬鹿なの?馬鹿じゃないの?!

イケメンが目当てなのは分かるけどさっ!私もだからっ!でも、任された仕事をサボったらダメでしょう?!

「それに何だか……この庭、臭いしっ」
「本当、何この匂い?!」
「やだ!服にも髪にも匂いが付いちゃう!」

そう言って、道具を放り出して走って行った下女仲間……

「え?マジで私一人でやるの?この庭……?」

え~~~

確かに、ちょっと臭うけど…
まぁ、これだけ雑草伸び放題なら、ゴミだって落ちてるかもだし、臭うのは当然か……はぁ

「…………仕方ない!固まってたって、あの人たちは帰って来ないんだから!やるしか無いでしょ!?わたし!」

軽く腕まくりをし、自分の頬をバチンと叩き気合を入れる。
そして鎌で、自分の背丈ほどもある雑草を刈り取っていく。
その後、根っこから引っこ抜くのだ。

その姿を、隣接する2階の渡り廊下から覗く人影……

「ふむ、彼女は真面目に働くようですね」
「そのようですね、他の3人は減点。……ですが、まだ違う仕事なら手を出すかも知れません。彼女も、真面目に働くのは今だけかも知れません。もう少し様子見ですね」
「そうだな…。全く、殿下目当てで来られて仕事を放棄されたら、本当困るんですがね」

2人はシュリの仕事ぶりを少しの間見て、その場を離れた。




太陽が沈み始め、夕焼け色に染まり出した頃、私は顔を上げ辺りを見回した。

「どうよ!綺麗になったんじゃない?!」

雑草を根っこから引っこ抜き、ゴミを拾い、土を均した奥庭は最初に見た時よりだいぶ変わっていた。

立ち上がって体を伸ばすと、腰や肩がバキボキと音がした。

「たー、腰いったっい」

ずっと中腰で草を刈り取り、しゃがんで草を毟っていたから、体が固まっちゃったみたい。

「はぁ、やっと終わったよ。…もう、4人でやればもっと早く終わったのにっ」

早々にサボった3人に文句を言いながらも、道具をしまい、侍女頭に報告に向かう。


侍女頭であるゼルダさんの部屋に向かっていると、他の人達も続々と集まってきた。
皆も、無事今日の仕事を終えられたようだ。

「ねぇ、あなた」
「ん?なに?」

歩いていると、突然声を掛けられ振り返る。すると、亜麻色の髪をおさげにした少女が私に話しかけてきた。

「何…やってたの?……その、凄く臭うし、汚れも……」
「あぁ、草むしりよ。これ、替えの服あるかな?洗濯しても明日には乾かないよね…」
「侍女頭に聞いてみたら?」
「そうする」

2人連れ立ってゼルダさんの元に向かう。
その途中、大きな荷物を抱えたおじぃさんがいた。下女仲間達はおじぃさんを無視し階段を上っていく。

「早く行きましょう?遅れたら、怒られてしまうしご飯も食べ損なってしまうわ」
「そうだけど……」

言いながら、おじぃさんの前を通り過ぎる。
腰が痛いのか、荷物を下ろし背中をトントンと叩いてる姿を横目で見る。

上り始めた階段の途中でシュリは「やっぱり無理!」と言って立ち止まった。

「どうしたの?」
「ごめん、やっぱり気になるから、先に行ってて」

-フン、偽善ね……

という声が聞こえたけど、気にしない!
たとえ偽善でも、困ってる人を放っておくなんて出来ないよ。



※※※※※

今日は息子夫婦が出かけており、騎士団に納品する武器や防具を届けてもらう事が出来なかったので、仕事終わりに自分で届けに来たのだが……私ももう歳だな…

騎士団の兵舎まで、まだ結構な距離があるというのに……どうしたものか…

誰か手伝ってくれないかと、辺りを見渡すが
、下女と思われる女性と目が合っても無視される。

-やだ、なにあれ?小汚いおっさんね
-城の中が汚れるじゃない…
-さっさと帰れよな、クソジジイ

彼女達はコソコソと話しておるのかもしれんが、私には「聴」のスキルがあり、どんなに小さな声も、目に映る距離ならば聞こえてしまうのだよ?お嬢さん方。

はぁ、仕方ない。

誰も手伝ってくれんようだし、もう少し頑張るかの。

そう思っていた。

そんな私の上に影が落ちる。

「おじぃさん、どうしたの?」

それは、先程通り過ぎた2人のお嬢さんのうちの一人だった。

「あぁ、お嬢さんか、実はな騎士団に届け物があったんだが、重たくてな」

そう言って荷物に目を落とすと、お嬢さんの目が急に輝き自分が運ぶと申し出てくれた。

「それは、申し訳ないよ。すごく重たいんだよ?」
「大丈夫よ。私「力」のスキル持ちだから」
「お嬢さんのスキルは「力」なのかい?だが、結構重たいよ?スキルレベルは?」
「大よ」
「おお!そりゃ凄いな。じゃ頼んでいいかい?」
「ええ、任せて!」

もうすぐ夜になるからと、お嬢さんは私に帰るよう言ってくれた。
だが、流石にお嬢さんに荷物を渡すだけ渡して、さっさと帰るわけに行かない。

私も一緒に行くと言えば、お嬢さんは諦めたように悲しげに「ありがとう」と言った。
私を思いやってくれる、とても優しいお嬢さんだと私は感心した。



だが、シュリの頭の中はおじぃさんの為と言うよりも「よっしゃ!ジークベルト様に会えるかも~!やっほーい」と、自分の最推しの1人に会えるかも知れない事を、喜んでいたのだった。

だが、おじぃさんが付いてくることになり、シュリの目論見は外れたのだった。
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