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第1話 植物の巫女
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「また貴方は……何時まで掃除をしてるつもりです?早く終わらせて次の場所に向かいなさい!」
綺麗なローブを着て、私に命令するのは……プフランツェ王国で唯一の聖の力を持つ巫女セイクレイ様です。
この世界には、巫女と呼ばれる女神様に選ばれた存在がいます。巫女は、産まれる前から女神様に選定され、額に聖痕を持って産まれます。そして教会で修業をすると、その身に力を宿し発言されます。
女神様が、眷属たる精霊様を巫女の元に使わすと言われています。精霊様が力を貸すと、巫女は人智を超えた力を使うことが出来るのです。更に精霊様は、巫女が暮らす国に加護を与え国を豊かにすると言い伝えられています。
これらは、神書に書かれた内容で、巫女は必ず覚えるほどに読み込ませられるんです。
多くの巫女を有した国は、他国よりも有利に立つことが出来るのだとキルシュ様が仰ってました。
キルシュ様というのは、プフランツェ王国の王太子様です。
恐れ多い事ですが、私の婚約者でもあります。
私の名はイルフィルナ、平民で孤児の巫女です。
……私の力は巫女の中では、強いらしいのですが……この国では、全く役に立たない植物の力です。
プフランツェ王国は、国の大半を植物で埋め尽くされた国です。人々が暮らす町や村にも、当然王都内も植物で埋めつくされています。
この国で取れる植物は、良質なものが多く珍しい薬草も良く育つのだそうです。
私の力ではありません。
私が産まれる前から、植物は国を覆っていたのですから……
だから、私は必要とされてないのです。
私が居なくてもこの国は、豊かで食物が枯渇することは無いのですから……
……私が生まれた時、両親は旅の途中だったそうです。旅行の帰りだったと……その途中で私を身ごもり、プフランツェの王都で産んだそうです。
生まれた時には、私の額に聖痕があり教会に引き取られたそうです。街の人に聞いたのですが……両親は酷く反対し、私を連れて帰ろうとしたけれど王家の方が現れ強制的に国を出されたそうです。そして、二度とプフランツェに足を踏み入れるなと、踏み入れた瞬間に射殺の対象にする……と。
私は、両親の顔を見ずに……平民で孤児の、巫女となったのです。
「さて、と次の掃除の場所は……」
イルフィルナは、両手に掃除用具を持って階段を登っていく。元々教会内の清掃は下女の役目なのだが、他の巫女の嫌がらせでイルフィルナがやらされていた。当然教会に属する司祭や司教は、この事実を知っていたが黙認していた。
力は強いが役に立たない植物の力……と彼らも認識していたからだった。
それよりも、他国でもあまり見かけない聖の力を持つセイクレイや、光の力を持つルス、生きる上で大事な水の力を持つイシュケを彼らは重宝していた。
だが……植物の力。イルフィルナ……彼女に力を与えている精霊の本来の力を、加護の力の存在を……馬鹿にしている彼女達の力が国にどういった影響を与えてるのか、彼らは本当の意味で何も知らなかった。イルフィルナでさえも。
綺麗なローブを着て、私に命令するのは……プフランツェ王国で唯一の聖の力を持つ巫女セイクレイ様です。
この世界には、巫女と呼ばれる女神様に選ばれた存在がいます。巫女は、産まれる前から女神様に選定され、額に聖痕を持って産まれます。そして教会で修業をすると、その身に力を宿し発言されます。
女神様が、眷属たる精霊様を巫女の元に使わすと言われています。精霊様が力を貸すと、巫女は人智を超えた力を使うことが出来るのです。更に精霊様は、巫女が暮らす国に加護を与え国を豊かにすると言い伝えられています。
これらは、神書に書かれた内容で、巫女は必ず覚えるほどに読み込ませられるんです。
多くの巫女を有した国は、他国よりも有利に立つことが出来るのだとキルシュ様が仰ってました。
キルシュ様というのは、プフランツェ王国の王太子様です。
恐れ多い事ですが、私の婚約者でもあります。
私の名はイルフィルナ、平民で孤児の巫女です。
……私の力は巫女の中では、強いらしいのですが……この国では、全く役に立たない植物の力です。
プフランツェ王国は、国の大半を植物で埋め尽くされた国です。人々が暮らす町や村にも、当然王都内も植物で埋めつくされています。
この国で取れる植物は、良質なものが多く珍しい薬草も良く育つのだそうです。
私の力ではありません。
私が産まれる前から、植物は国を覆っていたのですから……
だから、私は必要とされてないのです。
私が居なくてもこの国は、豊かで食物が枯渇することは無いのですから……
……私が生まれた時、両親は旅の途中だったそうです。旅行の帰りだったと……その途中で私を身ごもり、プフランツェの王都で産んだそうです。
生まれた時には、私の額に聖痕があり教会に引き取られたそうです。街の人に聞いたのですが……両親は酷く反対し、私を連れて帰ろうとしたけれど王家の方が現れ強制的に国を出されたそうです。そして、二度とプフランツェに足を踏み入れるなと、踏み入れた瞬間に射殺の対象にする……と。
私は、両親の顔を見ずに……平民で孤児の、巫女となったのです。
「さて、と次の掃除の場所は……」
イルフィルナは、両手に掃除用具を持って階段を登っていく。元々教会内の清掃は下女の役目なのだが、他の巫女の嫌がらせでイルフィルナがやらされていた。当然教会に属する司祭や司教は、この事実を知っていたが黙認していた。
力は強いが役に立たない植物の力……と彼らも認識していたからだった。
それよりも、他国でもあまり見かけない聖の力を持つセイクレイや、光の力を持つルス、生きる上で大事な水の力を持つイシュケを彼らは重宝していた。
だが……植物の力。イルフィルナ……彼女に力を与えている精霊の本来の力を、加護の力の存在を……馬鹿にしている彼女達の力が国にどういった影響を与えてるのか、彼らは本当の意味で何も知らなかった。イルフィルナでさえも。
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