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6話(シェリア)
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なんで?どうしてよっ!
お姉様が言ったのよ!クロード様の婚約者になっても良いって!!
なのに、どうしてクロード様は断るの?!
私が婚約者になってあげるって言ってるのに!お姉様よりも胸だって大きいし、可愛いのに!!
沢山泣いていたら、お父様が優しく抱き締めてくれて、それでも涙が止まらなくて…!
そしたら、お姉様がお茶会に参加したら?って言ってくれたの!
いつもいつも、私のお願いを聞いてくれるお姉様。今回もクロード様を私に譲って下さったのに!
(実際は譲っていない。
ミューティアは、クロード様が許可をしたら良いわよ、と言ったのだ)
どうしてクロード様は、私に靡かないの?
地味でブスなのが好みなの?
ううん、違うわね。
お姉様が近くにいたから、私を好きだと言えなかったんだわ。言葉だって、お姉様にイライラして少し荒くなってしまっただけね。
家に帰ってきてお母様に抱き着いた。
甘えさせてくれるお母様が私は大好き!
「お母さまぁ」
「まぁまぁ、どうしたの?シェリア。お父様とクロード様の元に向かったのではなくて?」
「アリステラ、王妃のお茶会に参加することになった。支度しなさい」
「まぁ!それは良かったですわね!さぁ、シェリア行きましょう?可愛いドレスを選びましょうね」
私が選んだのは、裾がふわりと広がり腰付近のリボンが可愛いドレス。
背中を少し見せ、胸元は谷間が分かるぐらいに開けている。
お気に入りのドレス。
お母様もお父様も、可愛いって褒めてくれたの。
会ったらクロード様に伝えなきゃね!
うふふ、お姉様に遠慮して私を拒否しなくて大丈夫よって!
なのに、お姉様ったら、私のドレスは場に合わないって言ったの。お母様は大丈夫って言ってくれたのに!どうしてそんな酷いことを言うのかしら?もう!
もしかしてクロード様の視線を私が独り占めするのが気に入らないのかしら?
馬鹿なお姉様、クロード様は私の事が好きなのよ。だから、触れるのも見つめるのも、私だけの特権よ。もちろんエスコートだって!
でも、そうね、今だけはお姉様に譲ってあげる。
今はまだ、お姉様の婚約者ですものね。
にしても、もう少し華やかなドレスを着ればいいのに……他の人のドレスも地味だし。
何より、おばさんばっかり!
なんで、こんなおばさんばかりお茶会に呼ぶのかしら?
お母様にコソッと話してたらお姉様に睨まれたわ!
な、なによ……本当の事でしょ!?
お茶会が始まって王妃様がなぜ挨拶に来ないのか?ってお母様に言ってきた。
なぜ、私達が挨拶に行かなきゃいけないの?
私達はゲストでしょ?
向こうが挨拶に来るんじゃないの?
お母様が立ち上がって、お父様と私を促して王妃様の元に向かった。
挨拶したら、王妃様はお母様達を招待してないって言うし。
私の付き添いなんだから、問題ないでしょ?
なんで、そんなこと言うの?わけわかんない。
こんなのが王妃でこの国は大丈夫なの?王様も大変ね。私がクロード様のお妃になったら、この国も安泰よね!
「あら?シェリア様?カップの持ち方が間違っていてよ?」
「え?」
「ティーフーズの食べ方も間違っています」
「あら?それを言うなら、紅茶の飲み方も間違ってるわ」
な、なに?
近くに座っていた、私と歳の近そうな女達が声を掛けてきた。
カップ?
食べ方?
何を言ってるの?
何も間違ってないよね?
お母様を見ても、私と同じ飲み方だし。
カップを右手に持って、ハンドルに指を通して持ち上げて……何か間違ってる?
お菓子も食べたいものを食べてただけで、何も間違ってないよね?
家では何も言われたことないわ!
ケーキ食べたり、サンドウィッチ食べてただけだもん。
ティーフーズの食べる順番が決まってるなんて、シェリアは知らなかった。紅茶の飲み方も1杯目はストレートでなんて知らなかった。
筆頭公爵家でなくても、貴族なら誰でも勉強し知っていることをシェリアは知らなかった。
それは、彼女の家族が…………公爵夫妻と呼ばれるに相応しい人物では無かったから。
ただ、筆頭公爵家と呼ばれるその地位に、運良く座れただけの男だから。
今現在マグナリア公爵と呼ばれるベリオスは、公爵家長男として生まれたが、出来が悪く勉強嫌いで公爵家を継ぐに相応しい男では無かった。
そのため、次男だったリベオスが公爵家を継いだのだが……不幸な事故で亡くなってしまった。
両親も亡くし、公爵家を継ぐ者がベリオスのみとなってしまったため彼がマグナリア公爵となったのだ。
伯爵家の末娘と結婚し2人目の子供を授かった後の出来事だった。
※※※
お茶会が和やかに進み、クロード様を見つめていたら伯爵家の令嬢如きがクロード様に色目を使ってきた!
お姉様が婚約者って言うのが納得できないのは私も一緒だけど、クロード様に色目を使うのは許せない!!しかも、王妃様に気に入られようとしてるなんて!!
青薔薇なんて!ただの花じゃない!
そんなの、どこにだって咲いてるじゃない!
馬鹿なの?そんなので、王妃様やクロード様に気に入られるわけないわ。
その女は使用人から植木鉢を受け取ると、こちらに向かって歩いてきた。
ニコニコとムカつく笑顔で私達のテーブルを通り過ぎようとした。
だから私はほんの少し足を出したの。
足を出しただけよ……
勝手にあの女が私の足に引っかかって転んだだけ。そのせいで私のドレスや靴に泥がかかって汚れてしまったわ。
「ちょっと!何やってるのよ。ドレスも靴も汚れたじゃない!私のお気に入りのドレスなのよ!?どうしてくれるのよ」
「あ……そ、そん……な」
女は私を無視して、地面に転がった土や花を必死にかき集めている。
ちょっと!私のドレスよりも、汚い花を優先するの!?信じられない
泣きながら花を抱きしめ土を集める女、私はムカついたので地面に転がっていた残りの花を踏みつけてやったわ。
泣いて謝っても許してあげないんだから。
なのに、お姉様が私を責めるのよ。
私は悪くないのに、悪いのはその女なのに…!
「シェリア、謝りなさい」
「嫌よ!伯爵令嬢如きがクロード様に色目を使ったのがいけないんだから!」
「……貴方は何を言ってるの?カリナ様は、伯爵夫人ですわ。クロード様に色目など使うわけが無いでしょう」
「え?……」
「シェリアは、悪くないでしょう。勝手に転んだその女がドジなのよ」
お母様が私を庇ってくれた。
なのに、お姉様はお母様にも楯突いたの。
私はクロード様の妃になるのに、不敬って言葉を知らないの?お姉様は。
「お母様は黙っていて下さい」
「なっ!貴方、母親に向かってなんて口の利き方を!」
「例えお母様でも、王妃様の前で問題を起こせばどうなるか……分かってますわよね」
「……」
「この場にいる夫人達は、有力貴族で力ある貴族……敵に回せば、公爵家でも太刀打ちできませんのを理解できませんの!」
「お姉様こそ、何を言ってるの?私はクロード様の妃になるのよ?いずれは王妃になるの。私にそんなことを言って罰を受けるのは貴方達なのよ?」
すると、シーーンと辺りが静まった。
やっと、自分達の立場が理解出来たのかしら?
頭の悪い人達
お姉様が言ったのよ!クロード様の婚約者になっても良いって!!
なのに、どうしてクロード様は断るの?!
私が婚約者になってあげるって言ってるのに!お姉様よりも胸だって大きいし、可愛いのに!!
沢山泣いていたら、お父様が優しく抱き締めてくれて、それでも涙が止まらなくて…!
そしたら、お姉様がお茶会に参加したら?って言ってくれたの!
いつもいつも、私のお願いを聞いてくれるお姉様。今回もクロード様を私に譲って下さったのに!
(実際は譲っていない。
ミューティアは、クロード様が許可をしたら良いわよ、と言ったのだ)
どうしてクロード様は、私に靡かないの?
地味でブスなのが好みなの?
ううん、違うわね。
お姉様が近くにいたから、私を好きだと言えなかったんだわ。言葉だって、お姉様にイライラして少し荒くなってしまっただけね。
家に帰ってきてお母様に抱き着いた。
甘えさせてくれるお母様が私は大好き!
「お母さまぁ」
「まぁまぁ、どうしたの?シェリア。お父様とクロード様の元に向かったのではなくて?」
「アリステラ、王妃のお茶会に参加することになった。支度しなさい」
「まぁ!それは良かったですわね!さぁ、シェリア行きましょう?可愛いドレスを選びましょうね」
私が選んだのは、裾がふわりと広がり腰付近のリボンが可愛いドレス。
背中を少し見せ、胸元は谷間が分かるぐらいに開けている。
お気に入りのドレス。
お母様もお父様も、可愛いって褒めてくれたの。
会ったらクロード様に伝えなきゃね!
うふふ、お姉様に遠慮して私を拒否しなくて大丈夫よって!
なのに、お姉様ったら、私のドレスは場に合わないって言ったの。お母様は大丈夫って言ってくれたのに!どうしてそんな酷いことを言うのかしら?もう!
もしかしてクロード様の視線を私が独り占めするのが気に入らないのかしら?
馬鹿なお姉様、クロード様は私の事が好きなのよ。だから、触れるのも見つめるのも、私だけの特権よ。もちろんエスコートだって!
でも、そうね、今だけはお姉様に譲ってあげる。
今はまだ、お姉様の婚約者ですものね。
にしても、もう少し華やかなドレスを着ればいいのに……他の人のドレスも地味だし。
何より、おばさんばっかり!
なんで、こんなおばさんばかりお茶会に呼ぶのかしら?
お母様にコソッと話してたらお姉様に睨まれたわ!
な、なによ……本当の事でしょ!?
お茶会が始まって王妃様がなぜ挨拶に来ないのか?ってお母様に言ってきた。
なぜ、私達が挨拶に行かなきゃいけないの?
私達はゲストでしょ?
向こうが挨拶に来るんじゃないの?
お母様が立ち上がって、お父様と私を促して王妃様の元に向かった。
挨拶したら、王妃様はお母様達を招待してないって言うし。
私の付き添いなんだから、問題ないでしょ?
なんで、そんなこと言うの?わけわかんない。
こんなのが王妃でこの国は大丈夫なの?王様も大変ね。私がクロード様のお妃になったら、この国も安泰よね!
「あら?シェリア様?カップの持ち方が間違っていてよ?」
「え?」
「ティーフーズの食べ方も間違っています」
「あら?それを言うなら、紅茶の飲み方も間違ってるわ」
な、なに?
近くに座っていた、私と歳の近そうな女達が声を掛けてきた。
カップ?
食べ方?
何を言ってるの?
何も間違ってないよね?
お母様を見ても、私と同じ飲み方だし。
カップを右手に持って、ハンドルに指を通して持ち上げて……何か間違ってる?
お菓子も食べたいものを食べてただけで、何も間違ってないよね?
家では何も言われたことないわ!
ケーキ食べたり、サンドウィッチ食べてただけだもん。
ティーフーズの食べる順番が決まってるなんて、シェリアは知らなかった。紅茶の飲み方も1杯目はストレートでなんて知らなかった。
筆頭公爵家でなくても、貴族なら誰でも勉強し知っていることをシェリアは知らなかった。
それは、彼女の家族が…………公爵夫妻と呼ばれるに相応しい人物では無かったから。
ただ、筆頭公爵家と呼ばれるその地位に、運良く座れただけの男だから。
今現在マグナリア公爵と呼ばれるベリオスは、公爵家長男として生まれたが、出来が悪く勉強嫌いで公爵家を継ぐに相応しい男では無かった。
そのため、次男だったリベオスが公爵家を継いだのだが……不幸な事故で亡くなってしまった。
両親も亡くし、公爵家を継ぐ者がベリオスのみとなってしまったため彼がマグナリア公爵となったのだ。
伯爵家の末娘と結婚し2人目の子供を授かった後の出来事だった。
※※※
お茶会が和やかに進み、クロード様を見つめていたら伯爵家の令嬢如きがクロード様に色目を使ってきた!
お姉様が婚約者って言うのが納得できないのは私も一緒だけど、クロード様に色目を使うのは許せない!!しかも、王妃様に気に入られようとしてるなんて!!
青薔薇なんて!ただの花じゃない!
そんなの、どこにだって咲いてるじゃない!
馬鹿なの?そんなので、王妃様やクロード様に気に入られるわけないわ。
その女は使用人から植木鉢を受け取ると、こちらに向かって歩いてきた。
ニコニコとムカつく笑顔で私達のテーブルを通り過ぎようとした。
だから私はほんの少し足を出したの。
足を出しただけよ……
勝手にあの女が私の足に引っかかって転んだだけ。そのせいで私のドレスや靴に泥がかかって汚れてしまったわ。
「ちょっと!何やってるのよ。ドレスも靴も汚れたじゃない!私のお気に入りのドレスなのよ!?どうしてくれるのよ」
「あ……そ、そん……な」
女は私を無視して、地面に転がった土や花を必死にかき集めている。
ちょっと!私のドレスよりも、汚い花を優先するの!?信じられない
泣きながら花を抱きしめ土を集める女、私はムカついたので地面に転がっていた残りの花を踏みつけてやったわ。
泣いて謝っても許してあげないんだから。
なのに、お姉様が私を責めるのよ。
私は悪くないのに、悪いのはその女なのに…!
「シェリア、謝りなさい」
「嫌よ!伯爵令嬢如きがクロード様に色目を使ったのがいけないんだから!」
「……貴方は何を言ってるの?カリナ様は、伯爵夫人ですわ。クロード様に色目など使うわけが無いでしょう」
「え?……」
「シェリアは、悪くないでしょう。勝手に転んだその女がドジなのよ」
お母様が私を庇ってくれた。
なのに、お姉様はお母様にも楯突いたの。
私はクロード様の妃になるのに、不敬って言葉を知らないの?お姉様は。
「お母様は黙っていて下さい」
「なっ!貴方、母親に向かってなんて口の利き方を!」
「例えお母様でも、王妃様の前で問題を起こせばどうなるか……分かってますわよね」
「……」
「この場にいる夫人達は、有力貴族で力ある貴族……敵に回せば、公爵家でも太刀打ちできませんのを理解できませんの!」
「お姉様こそ、何を言ってるの?私はクロード様の妃になるのよ?いずれは王妃になるの。私にそんなことを言って罰を受けるのは貴方達なのよ?」
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