学校の空き教室へ仕掛けた防犯カメラにマズい映像が映っていた

したらき

文字の大きさ
45 / 252

第45話

しおりを挟む
鷺ノ宮隆史さぎのみやたかし 視点◆

俺は高校に入学するまでは順風満帆だった。特に努力をしているわけでもなかったけど、運動も勉強もでき、容姿も女子に好意を持ってもらいやすい見た目だった。ただ、女子に興味がなかったので煩わしく思う時もあったし、素気ない態度で女子に白い目を向けられることもあったけれども、男友達とワイワイやることの方が好きで性に合っていると思っていたので特に問題だとは思っていなかった。

女子に興味を持ったのは高校へ進学してしばらくした頃に岸元美波きしもとみなみさんに出会ったからだ。クラスは違うし部活や委員会でも接点がなかったため、美人がいるというクラスの男子が名前を挙げていることでしか知らなかったのだが、偶然廊下で擦れ違った時に一目惚れした。

一目惚れしてからは意図的に岸元さんを見るようになったのだが、何度も岸元さんを見ている内に幼馴染みの神坂冬樹かみさかふゆきの事が好きで、神坂も岸元さんを好きな両片思いという状況なのだと悟り、それからは少し距離を置くようにした・・・一方的に知っているだけの俺と物心付いた時からの付き合いの幼馴染みの神坂では勝負にならないと逃げたのだ。


しかし、運命の悪戯なのか2年に進級した際、岸元さんだけでなく神坂もいるクラスになった。1年の時は岸元さんと神坂はクラスが違っていたので、それぞれクラスメイトと一緒にいることが多かったが、同じクラスになったからか、何をするにも一緒に行動していてそれを見ているのが辛かった。



「ねぇ、あなたが岸元さんと付き合い、私が神坂君と付き合うようになるために協力しあわない?」


ある日、2年になってからクラスメイトになった二之宮凪沙にのみやなぎさから声を掛けられた。言いたいことはわかるけど、ふたりは付き合っていないだけで両方がそれぞれに気持ちを持っている。そんなところに割って入るなど野暮だし、そもそもうまくいくとも思えなかったので断った・・・



・・・断ったのだが、毎日繰り返される岸元さんと神坂の両片思いのやり取りを見ていて『諦めたくない』『足掻きたい』と思ってしまった・・・思ってしまったのだ。



「二之宮さん、このあいだ言っていた協力しあうって話はまだ有効かな?」


大きな代償を伴う悪魔との契約だなんて知りもせず、二之宮凪沙と協力し合うことにした。




最初に実行することになった作戦は、凪沙が神坂を人気ひとけのない空き教室へ呼び出し、断られることを前提で告白をするが諦めきれず神坂の腕を掴み凪沙が自分の身体を触らせるので、そのタイミングで俺が踏み入り神坂を凪沙へ襲いかかったとして学校へ突き出すというものだ。

俺は『凪沙を襲っているように見えたから神坂を捕まえた』と主張し、凪沙は『感情が暴走して神坂に触らせた』と主張する。被害者の凪沙本人が潔白を主張するので神坂が処罰されることはないだろうが、話し方で違和感を匂わせて学校側へ不信感を持たせるし、その後の流れとして凪沙の主張は封殺して俺の主張だけを学校内に流布することで神坂を孤立させる。更には、最初は神坂を信じるかもしれない岸元さんや神坂姉妹きょうだいにも疑念を抱かせるように噂を流し続け、仲を引き裂いていくというものだ。

そうなったら、俺は岸元さんと凪沙は神坂と関係を深めていく様にそれぞれが動いていくし、必要であれば互いに協力もし合うというものだった。


結論から言えば初動は思惑以上に効果があり、俺らが何をするでもなく岸元さんや神坂姉妹きょうだいとの関係は急速に悪化した。俺はそこに突け入り岸元さんと少しずつ関係を深めていける手応えを感じつつあった。





しかし、悪魔が本性を顕してきた。俺と学校では一番仲が良いと言っても良かった佐藤さとう鈴木すずきが俺の家へ遊びに来た時にそれは起こった。ふたりは突如現れた凪沙の指示に従い、俺が主導して佐藤と鈴木の3人で凪沙を強引に襲っているとしか見えない写真や動画を撮り、凪沙はこれをバラ撒かれたくなかったら自分の指示に従えと言ってきた。

凪沙の狙いはまったく理解できなかった・・・例の空き教室で凪沙を脅迫して俺の仲間とともに手籠にする。しかも、演技などではなく実際に性的な接触をするのだ。これを頻繁にやらされて精神がおかしくなりそうだったが、何よりも堪えたのは佐藤・鈴木だけでなくサッカー部の仲間や先輩など親しい人達が次々に凪沙に篭絡されて性欲に塗れたクソ野郎に堕ちていったことだ。彼らは俺と違って凪沙に強制されているわけではないけど女の身体が刺激的だったのか行われる時には積極的に参加してくるし、なんなら『次はいつやるんだ?』などと笑いながら問い掛けてくる様にもなっていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

付き合う前から好感度が限界突破な幼馴染が、疎遠になっていた中学時代を取り戻す為に高校ではイチャイチャするだけの話

頼瑠 ユウ
青春
高校一年生の上条悠斗は、同級生にして幼馴染の一ノ瀬綾乃が別のクラスのイケメンに告白された事を知り、自身も彼女に想いを伝える為に告白をする。 綾乃とは家が隣同士で、彼女の家庭の事情もあり家族ぐるみで幼い頃から仲が良かった。 だが、悠斗は小学校卒業を前に友人達に綾乃との仲を揶揄われ、「もっと女の子らしい子が好きだ」と言ってしまい、それが切っ掛けで彼女とは疎遠になってしまっていた。 中学の三年間は拒絶されるのが怖くて、悠斗は綾乃から逃げ続けた。 とうとう高校生となり、綾乃は誰にでも分け隔てなく優しく、身体つきも女性らしくなり『学年一の美少女』と謳われる程となっている。 高嶺の花。 そんな彼女に悠斗は不釣り合いだと振られる事を覚悟していた。 だがその結果は思わぬ方向へ。実は彼女もずっと悠斗が好きで、両想いだった。 しかも、綾乃は悠斗の気を惹く為に、品行方正で才色兼備である事に努め、胸の大きさも複数のパッドで盛りに盛っていた事が発覚する。 それでも構わず、恋人となった二人は今まで出来なかった事を少しずつ取り戻していく。 他愛の無い会話や一緒にお弁当を食べたり、宿題をしたり、ゲームで遊び、デートをして互いが好きだという事を改めて自覚していく。 存分にイチャイチャし、時には異性と意識して葛藤する事もあった。 両家の家族にも交際を認められ、幸せな日々を過ごしていた。 拙いながらも愛を育んでいく中で、いつしか学校では綾乃の良からぬ噂が広まっていく。 そして綾乃に振られたイケメンは彼女の弱みを握り、自分と付き合う様に脅してきた。 それでも悠斗と綾乃は屈せずに、将来を誓う。 イケメンの企てに、友人達や家族の助けを得て立ち向かう。 付き合う前から好感度が限界突破な二人には、いかなる障害も些細な事だった。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

友達の妹が、入浴してる。

つきのはい
恋愛
 「交換してみない?」  冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。  それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。  鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。  冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。  そんなラブコメディです。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

処理中です...