49 / 252
第49話
しおりを挟む
◆岸元美波 視点◆
冬樹があの空き教室でわたしがされていたことを見ていたと知って混乱してしまい思わず逃げ出してしまった。しばらく無我夢中で校舎内を走りまわっていたら春華ちゃんの声が聞こえてきたので、走るのを止めたら後ろから抱きつかれた。
春華ちゃんがわたしを落ち着かせて話を聞いてくれていたのだけど、鷺ノ宮くんと付き合って初めてを体験した事自体を責めるような言い方をされ少しムッとした。
更には冬樹との関係修復も時間をかけるべきと考えているみたいだし、そんな待っていたらお姉ちゃんが関係を深めてわたしが入る余地がなくなってしまうから何とかしたいし、それには春華ちゃんの協力は欲しいから翻意してもらいたい。
「美晴お姉って、フユのこと好きなの?
だったら美晴お姉にまかせた方がうまくいきそうだよね」
「なに言ってるの春華ちゃん。お姉ちゃんはわたし達と5歳も年が離れてるんだよ。高校生と大学生で価値観だって違うだろうし重荷になるだけだよ」
「5歳差って言っても学年で言えば4つだし、あと数年もしたら誤差みたいなものになるよ。
それに今のフユをまかせられる人は他にいないと思うし、義務感ではなくて愛情で見守っててくれるのならあたしからお願いしたいよ」
「ほ、本当にそうだったら、お姉ちゃんにまかせた方が良いかもしれないけど、それだってわたしが何となく『そうかな?』って思ったくらいだし、まだわかんないよ」
「じゃあ、聞いてみようか・・・ってスマホはカバンごと部室に置きっ放しか・・・」
「わたしから聞いておくよ!」
「え?いいよ。これからの事も相談したいし、あたしが聞くよ」
これはしくじった。春華ちゃんを翻意させるどころじゃなく、お姉ちゃんを後押しする気持ちになってる。春華ちゃんが後押しするなら夏菜お姉ちゃんもお姉ちゃんを後押しする方に大きく気持ちが傾くだろうし、ここで春華ちゃんの考えをわたしに向けさせないとまずい。
「あのさ、春華ちゃん。ちゃんと聞いて欲しいのだけど、わたしね、やっぱり冬樹と付き合いたいんだ。だから協力して欲しい。
お姉ちゃんには悪いけど、わたしの方が先に好きになっていたんだし、春華ちゃんにはわたしの味方になって欲しいの」
「ごめん、美波ちゃんの事は大事な親友以上の家族と同じ様な存在だと思っているけど、フユはあたしの片割れでなによりも大事な存在なの。
二之宮さんの冤罪の時は疑って追い詰めちゃったけど、二度と同じ間違いはしないし、それ以上にフユには一番幸せになってもらいたい。
美晴お姉がフユのことを大事に思ってくれているのは伝わってくるし、それが恋心なんだったらあたしはそれを応援する。
第一さ、美波ちゃんは鷺ノ宮と付き合ったんだから、今更フユのことが一番好きだと言われても信じられないよ」
「違うの!
わたしは鷺ノ宮くんに騙されていただけ!
気持ちも身体も弄ばれたの!
卑怯な事をされなかったらずっと冬樹一筋だった!」
「美波ちゃん、言ってることがおかしいよ。いくら騙されたからって、2ヶ月も経たずに付き合い始めてすぐに身体を許してさ。
結果的には騙されてひどいことをされたにしても、最初に許したのは美波ちゃんの意思でじゃない。
美波ちゃんが言ったんだよ『鷺ノ宮がカッコいいし、そういうことに興味があったから受け入れた』って!」
「だから!冬樹を信じられないようにされて、判断力が失われていたの!」
「結果が全てなんだよ。美波ちゃんはフユを騙して陥れた男と付き合って身体まで許した。
これは変えられない事実で、フユと付き合いたい人にとっては大きなマイナス要素なんだよ」
「なんでわかってくれないの!」
「わかるわけないよ。第一、美波ちゃんはそういう事に興味があったからカッコよければ誰でも良かったんでしょ!」
「春華ちゃんだって、興味くらいあるでしょ!
カッコいい男の子に付き合って欲しいと言われたら付き合って、身体だって許すでしょ!」
「本当に好きになったらそうするけど、ミーハーな気持ちで身体は許さないし、そもそもそれは論点が違うでしょ!
あたしは身体を許しておきながら、別の男性がずっと好きだったなんて言わないよ!」
さすがにそれ以上は何も言えず、しばらくしてふたりとも落ち着いてから一言「春華ちゃん、ごめんね」とだけ告げてから一緒に部室へ戻った。
春華ちゃんが言うことが正しいのは頭では理解できてるけど、どうしても感情が諦められなくてみっともなく足掻いてしまったし、夏菜お姉ちゃんにもお願いをしてみようと思う。
冬樹があの空き教室でわたしがされていたことを見ていたと知って混乱してしまい思わず逃げ出してしまった。しばらく無我夢中で校舎内を走りまわっていたら春華ちゃんの声が聞こえてきたので、走るのを止めたら後ろから抱きつかれた。
春華ちゃんがわたしを落ち着かせて話を聞いてくれていたのだけど、鷺ノ宮くんと付き合って初めてを体験した事自体を責めるような言い方をされ少しムッとした。
更には冬樹との関係修復も時間をかけるべきと考えているみたいだし、そんな待っていたらお姉ちゃんが関係を深めてわたしが入る余地がなくなってしまうから何とかしたいし、それには春華ちゃんの協力は欲しいから翻意してもらいたい。
「美晴お姉って、フユのこと好きなの?
だったら美晴お姉にまかせた方がうまくいきそうだよね」
「なに言ってるの春華ちゃん。お姉ちゃんはわたし達と5歳も年が離れてるんだよ。高校生と大学生で価値観だって違うだろうし重荷になるだけだよ」
「5歳差って言っても学年で言えば4つだし、あと数年もしたら誤差みたいなものになるよ。
それに今のフユをまかせられる人は他にいないと思うし、義務感ではなくて愛情で見守っててくれるのならあたしからお願いしたいよ」
「ほ、本当にそうだったら、お姉ちゃんにまかせた方が良いかもしれないけど、それだってわたしが何となく『そうかな?』って思ったくらいだし、まだわかんないよ」
「じゃあ、聞いてみようか・・・ってスマホはカバンごと部室に置きっ放しか・・・」
「わたしから聞いておくよ!」
「え?いいよ。これからの事も相談したいし、あたしが聞くよ」
これはしくじった。春華ちゃんを翻意させるどころじゃなく、お姉ちゃんを後押しする気持ちになってる。春華ちゃんが後押しするなら夏菜お姉ちゃんもお姉ちゃんを後押しする方に大きく気持ちが傾くだろうし、ここで春華ちゃんの考えをわたしに向けさせないとまずい。
「あのさ、春華ちゃん。ちゃんと聞いて欲しいのだけど、わたしね、やっぱり冬樹と付き合いたいんだ。だから協力して欲しい。
お姉ちゃんには悪いけど、わたしの方が先に好きになっていたんだし、春華ちゃんにはわたしの味方になって欲しいの」
「ごめん、美波ちゃんの事は大事な親友以上の家族と同じ様な存在だと思っているけど、フユはあたしの片割れでなによりも大事な存在なの。
二之宮さんの冤罪の時は疑って追い詰めちゃったけど、二度と同じ間違いはしないし、それ以上にフユには一番幸せになってもらいたい。
美晴お姉がフユのことを大事に思ってくれているのは伝わってくるし、それが恋心なんだったらあたしはそれを応援する。
第一さ、美波ちゃんは鷺ノ宮と付き合ったんだから、今更フユのことが一番好きだと言われても信じられないよ」
「違うの!
わたしは鷺ノ宮くんに騙されていただけ!
気持ちも身体も弄ばれたの!
卑怯な事をされなかったらずっと冬樹一筋だった!」
「美波ちゃん、言ってることがおかしいよ。いくら騙されたからって、2ヶ月も経たずに付き合い始めてすぐに身体を許してさ。
結果的には騙されてひどいことをされたにしても、最初に許したのは美波ちゃんの意思でじゃない。
美波ちゃんが言ったんだよ『鷺ノ宮がカッコいいし、そういうことに興味があったから受け入れた』って!」
「だから!冬樹を信じられないようにされて、判断力が失われていたの!」
「結果が全てなんだよ。美波ちゃんはフユを騙して陥れた男と付き合って身体まで許した。
これは変えられない事実で、フユと付き合いたい人にとっては大きなマイナス要素なんだよ」
「なんでわかってくれないの!」
「わかるわけないよ。第一、美波ちゃんはそういう事に興味があったからカッコよければ誰でも良かったんでしょ!」
「春華ちゃんだって、興味くらいあるでしょ!
カッコいい男の子に付き合って欲しいと言われたら付き合って、身体だって許すでしょ!」
「本当に好きになったらそうするけど、ミーハーな気持ちで身体は許さないし、そもそもそれは論点が違うでしょ!
あたしは身体を許しておきながら、別の男性がずっと好きだったなんて言わないよ!」
さすがにそれ以上は何も言えず、しばらくしてふたりとも落ち着いてから一言「春華ちゃん、ごめんね」とだけ告げてから一緒に部室へ戻った。
春華ちゃんが言うことが正しいのは頭では理解できてるけど、どうしても感情が諦められなくてみっともなく足掻いてしまったし、夏菜お姉ちゃんにもお願いをしてみようと思う。
0
あなたにおすすめの小説
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
付き合う前から好感度が限界突破な幼馴染が、疎遠になっていた中学時代を取り戻す為に高校ではイチャイチャするだけの話
頼瑠 ユウ
青春
高校一年生の上条悠斗は、同級生にして幼馴染の一ノ瀬綾乃が別のクラスのイケメンに告白された事を知り、自身も彼女に想いを伝える為に告白をする。
綾乃とは家が隣同士で、彼女の家庭の事情もあり家族ぐるみで幼い頃から仲が良かった。
だが、悠斗は小学校卒業を前に友人達に綾乃との仲を揶揄われ、「もっと女の子らしい子が好きだ」と言ってしまい、それが切っ掛けで彼女とは疎遠になってしまっていた。
中学の三年間は拒絶されるのが怖くて、悠斗は綾乃から逃げ続けた。
とうとう高校生となり、綾乃は誰にでも分け隔てなく優しく、身体つきも女性らしくなり『学年一の美少女』と謳われる程となっている。
高嶺の花。
そんな彼女に悠斗は不釣り合いだと振られる事を覚悟していた。
だがその結果は思わぬ方向へ。実は彼女もずっと悠斗が好きで、両想いだった。
しかも、綾乃は悠斗の気を惹く為に、品行方正で才色兼備である事に努め、胸の大きさも複数のパッドで盛りに盛っていた事が発覚する。
それでも構わず、恋人となった二人は今まで出来なかった事を少しずつ取り戻していく。
他愛の無い会話や一緒にお弁当を食べたり、宿題をしたり、ゲームで遊び、デートをして互いが好きだという事を改めて自覚していく。
存分にイチャイチャし、時には異性と意識して葛藤する事もあった。
両家の家族にも交際を認められ、幸せな日々を過ごしていた。
拙いながらも愛を育んでいく中で、いつしか学校では綾乃の良からぬ噂が広まっていく。
そして綾乃に振られたイケメンは彼女の弱みを握り、自分と付き合う様に脅してきた。
それでも悠斗と綾乃は屈せずに、将来を誓う。
イケメンの企てに、友人達や家族の助けを得て立ち向かう。
付き合う前から好感度が限界突破な二人には、いかなる障害も些細な事だった。
友達の妹が、入浴してる。
つきのはい
恋愛
「交換してみない?」
冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。
それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。
鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。
冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。
そんなラブコメディです。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる