50 / 252
第50話
しおりを挟む
◆神坂冬樹 視点◆
俺があの空き教室で美波がされていたことを見ていたと知って混乱した美波が逃げるように部室を出ていきハルも追って出ていったあと、しばらく沈黙が部室を覆った。
その沈黙を破ったのは高梨先生だった。
「・・・神坂《かみさか》君が時々見せてくれていた映像は神坂君が撮影していたものだったのね」
「そうです。先生には余計な心配をおかけしたくなくて、刺激の少なそうな映像だけに絞っていましたが、一番多かったのは性的な内容です」
そのやり取りに二之宮さんが割って入ってきた。
「ところで神坂君、私以外の人達はどのくらい繰り返しあの教室に呼び出されていたのかしら?」
「仲村先輩は結構な頻度で何度も呼び出されていたけど、美波と芳川さんは1度ずつだね。
さっきのハルの話からすると芳川さんは学校へ来なくなったからだろうし、美波は最近だったから2回目の呼び出し前に今の状況になった感じだね」
「私以外の人がそんな状況になっているだなんて知らなかったわ。
どうしてそんな事になったのかしら?」
「二之宮さんで味をしめて繰り返していたように思うけど・・・
逆にどうして二之宮さんは自分以外の被害者が居ることを疑問に思ったの?」
「特に、理由は、ないわ。なんとなく、不思議に、思っただけ」
二之宮さんは少し引っかかりながら返答したけど、ここらも先生や美晴姉さんの引っ掛かったところと関係があるのかもしれない。
「そうなんだ。二之宮さんもそうだったと思うけど、仲村先輩も芳川さんも美波も鷺ノ宮と付き合うようになって、短期間で脅されるような状況になっていたみたいだよ」
「そうだったのね。教えてくれてありがとう」
「いいよ。一緒に対応していこうとしている仲間なんだし。
しかし、関係者が退学してしまうとなると、歯止めがなくなるから、最悪の事態も起きやすそうだと思うけど、そのあたりは大丈夫?」
「しょうがないわよ。隆史達のせいなのだし、その時は諦めるわ。
でも、そうなってしまった時には私を守ってくれるわよね?」
「その時はね。起きて欲しくないけど」
「その時はよろしくね。ところで、神坂君が撮った映像はどうしているのかしら?」
「漏洩しないように保存してるよ。余程のことがない限りは動画が流出することはないって感じだから心配しないでね」
「神坂君が流出しないと言うなら大丈夫そうね」
ここで先生が再び話に加わってきた。
「神坂君、今まで目を背けてたわたしには何も言う資格はないと思うのだけど、あなたが抱え込みすぎている様に見えるの。
その抱え込んでいる重荷をわたしにも負担させてもらえないかしら?」
「お気持ちは嬉しいですけど、先生だって今は大変な時なのですから、まずはご自身のことを解決するように頑張ってください」
「それを言われてしまうと、そうよね。
まずはわたしの問題を解決する事が先よね。
それができた時にはその重荷をわたしにも分けてね」
「・・・はい、その時はお願いします」
断るのは不自然なのでお願いすると返答したけど、正直なところ先生には負担をかけたくないなぁ・・・
そして、ここで姉さんも加わってきた。
「冬樹、私もお前に申し訳なかったと思っているし、お前のためにやれることはどんなことでも協力させてもらいたい。
美波や二之宮さんのことも心配だけど、何よりお前が一番大事で心配なんだ。頼むから無理をしないでくれ」
「姉さん、大丈夫だよ。無理なんか何もしてないからさ。そんな二之宮さんよりも辛そうな顔してないで、もっと気楽に構えなよ。生徒会長の力を貸して欲しい時にはお願いするから」
「ああ、生徒会の一存でできることなら何でもするぞ」
「期待してるよ、姉さん」
また二之宮さんが会話に入ってきた。
「美しい姉弟愛ですね。妬けちゃいますよ」
「二之宮さん、茶化すのは止めてくれ。被害者なのはわかるけど、そもそも君が冬樹を巻き込んだのが原因でもあるんだ。
気の毒だと思う気持ちもあるけど、弟や美波が巻き込まれて恨めしく思う気持ちもある。その事はわかってほしい」
「そうですよね。申し訳ありません。夏菜先輩の仰るとおり軽率でした」
そうこう言い合っている内にハルと美波が戻ってきたので、今日のところは解散することになった。
俺があの空き教室で美波がされていたことを見ていたと知って混乱した美波が逃げるように部室を出ていきハルも追って出ていったあと、しばらく沈黙が部室を覆った。
その沈黙を破ったのは高梨先生だった。
「・・・神坂《かみさか》君が時々見せてくれていた映像は神坂君が撮影していたものだったのね」
「そうです。先生には余計な心配をおかけしたくなくて、刺激の少なそうな映像だけに絞っていましたが、一番多かったのは性的な内容です」
そのやり取りに二之宮さんが割って入ってきた。
「ところで神坂君、私以外の人達はどのくらい繰り返しあの教室に呼び出されていたのかしら?」
「仲村先輩は結構な頻度で何度も呼び出されていたけど、美波と芳川さんは1度ずつだね。
さっきのハルの話からすると芳川さんは学校へ来なくなったからだろうし、美波は最近だったから2回目の呼び出し前に今の状況になった感じだね」
「私以外の人がそんな状況になっているだなんて知らなかったわ。
どうしてそんな事になったのかしら?」
「二之宮さんで味をしめて繰り返していたように思うけど・・・
逆にどうして二之宮さんは自分以外の被害者が居ることを疑問に思ったの?」
「特に、理由は、ないわ。なんとなく、不思議に、思っただけ」
二之宮さんは少し引っかかりながら返答したけど、ここらも先生や美晴姉さんの引っ掛かったところと関係があるのかもしれない。
「そうなんだ。二之宮さんもそうだったと思うけど、仲村先輩も芳川さんも美波も鷺ノ宮と付き合うようになって、短期間で脅されるような状況になっていたみたいだよ」
「そうだったのね。教えてくれてありがとう」
「いいよ。一緒に対応していこうとしている仲間なんだし。
しかし、関係者が退学してしまうとなると、歯止めがなくなるから、最悪の事態も起きやすそうだと思うけど、そのあたりは大丈夫?」
「しょうがないわよ。隆史達のせいなのだし、その時は諦めるわ。
でも、そうなってしまった時には私を守ってくれるわよね?」
「その時はね。起きて欲しくないけど」
「その時はよろしくね。ところで、神坂君が撮った映像はどうしているのかしら?」
「漏洩しないように保存してるよ。余程のことがない限りは動画が流出することはないって感じだから心配しないでね」
「神坂君が流出しないと言うなら大丈夫そうね」
ここで先生が再び話に加わってきた。
「神坂君、今まで目を背けてたわたしには何も言う資格はないと思うのだけど、あなたが抱え込みすぎている様に見えるの。
その抱え込んでいる重荷をわたしにも負担させてもらえないかしら?」
「お気持ちは嬉しいですけど、先生だって今は大変な時なのですから、まずはご自身のことを解決するように頑張ってください」
「それを言われてしまうと、そうよね。
まずはわたしの問題を解決する事が先よね。
それができた時にはその重荷をわたしにも分けてね」
「・・・はい、その時はお願いします」
断るのは不自然なのでお願いすると返答したけど、正直なところ先生には負担をかけたくないなぁ・・・
そして、ここで姉さんも加わってきた。
「冬樹、私もお前に申し訳なかったと思っているし、お前のためにやれることはどんなことでも協力させてもらいたい。
美波や二之宮さんのことも心配だけど、何よりお前が一番大事で心配なんだ。頼むから無理をしないでくれ」
「姉さん、大丈夫だよ。無理なんか何もしてないからさ。そんな二之宮さんよりも辛そうな顔してないで、もっと気楽に構えなよ。生徒会長の力を貸して欲しい時にはお願いするから」
「ああ、生徒会の一存でできることなら何でもするぞ」
「期待してるよ、姉さん」
また二之宮さんが会話に入ってきた。
「美しい姉弟愛ですね。妬けちゃいますよ」
「二之宮さん、茶化すのは止めてくれ。被害者なのはわかるけど、そもそも君が冬樹を巻き込んだのが原因でもあるんだ。
気の毒だと思う気持ちもあるけど、弟や美波が巻き込まれて恨めしく思う気持ちもある。その事はわかってほしい」
「そうですよね。申し訳ありません。夏菜先輩の仰るとおり軽率でした」
そうこう言い合っている内にハルと美波が戻ってきたので、今日のところは解散することになった。
0
あなたにおすすめの小説
クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について
沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。
かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。
しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。
現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。
その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。
「今日から私、あなたのメイドになります!」
なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!?
謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける!
カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!
友達の妹が、入浴してる。
つきのはい
恋愛
「交換してみない?」
冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。
それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。
鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。
冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。
そんなラブコメディです。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
恋人、はじめました。
桜庭かなめ
恋愛
紙透明斗のクラスには、青山氷織という女子生徒がいる。才色兼備な氷織は男子中心にたくさん告白されているが、全て断っている。クールで笑顔を全然見せないことや銀髪であること。「氷織」という名前から『絶対零嬢』と呼ぶ人も。
明斗は半年ほど前に一目惚れしてから、氷織に恋心を抱き続けている。しかし、フラれるかもしれないと恐れ、告白できずにいた。
ある春の日の放課後。ゴミを散らしてしまう氷織を見つけ、明斗は彼女のことを助ける。その際、明斗は勇気を出して氷織に告白する。
「これまでの告白とは違い、胸がほんのり温かくなりました。好意からかは分かりませんが。断る気にはなれません」
「……それなら、俺とお試しで付き合ってみるのはどうだろう?」
明斗からのそんな提案を氷織が受け入れ、2人のお試しの恋人関係が始まった。
一緒にお昼ご飯を食べたり、放課後デートしたり、氷織が明斗のバイト先に来たり、お互いの家に行ったり。そんな日々を重ねるうちに、距離が縮み、氷織の表情も少しずつ豊かになっていく。告白、そして、お試しの恋人関係から始まる甘くて爽やかな学園青春ラブコメディ!
※夏休み小話編2が完結しました!(2025.10.16)
※小説家になろう(N6867GW)、カクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録、感想などお待ちしています。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
隣の家の幼馴染と転校生が可愛すぎるんだが
akua034
恋愛
隣に住む幼馴染・水瀬美羽。
毎朝、元気いっぱいに晴を起こしに来るのは、もう当たり前の光景だった。
そんな彼女と同じ高校に進学した――はずだったのに。
数ヶ月後、晴のクラスに転校してきたのは、まさかの“全国で人気の高校生アイドル”黒瀬紗耶。
平凡な高校生活を過ごしたいだけの晴の願いとは裏腹に、
幼馴染とアイドル、二人の存在が彼の日常をどんどんかき回していく。
笑って、悩んで、ちょっとドキドキ。
気づけば心を奪われる――
幼馴染 vs 転校生、青春ラブコメの火蓋がいま切られる!
イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について
のびすけ。
恋愛
春から一人暮らしを始めた大学一年生、天城コウは――ただの一般人だった。
だが、再会した義妹・ひよりのひと言で、そんな日常は吹き飛ぶ。
「お兄ちゃんにしか頼めないの、私の“中の人”になって!」
ひよりはフォロワー20万人超えの人気Vtuber《ひよこまる♪》。
だが突然の喉の不調で、配信ができなくなったらしい。
その代役に選ばれたのが、イケボだけが取り柄のコウ――つまり俺!?
仕方なく始めた“妹の中の人”としての活動だったが、
「え、ひよこまるの声、なんか色っぽくない!?」
「中の人、彼氏か?」
視聴者の反応は想定外。まさかのバズり現象が発生!?
しかも、ひよりはそのまま「兄妹ユニット結成♡」を言い出して――
同居、配信、秘密の関係……って、これほぼ恋人同棲じゃん!?
「お兄ちゃんの声、独り占めしたいのに……他の女と絡まないでよっ!」
代役から始まる、妹と秘密の“中の人”Vライフ×甘々ハーレムラブコメ、ここに開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる