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第53話
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◆神坂冬樹 視点◆
今日を含め3日の登校で夏休みに入るというのに、学校は騒ぎになっている。
まず、鷺ノ宮たちは再度取り調べを受けることとなった。少年事件であり目下の被害者である二之宮さんが最初の取り調べで最低限しか供述してなかったのもあって警察の対応が甘かった様で、昨夜裏サイトにアップされたの件で追加で調査されるとの事らしい。また昨日の時点では自主退学を勧告となっていたが、学校側が関わっていた生徒全員を退学処分とすると発表した。鷺ノ宮を含む多くの生徒が所属していたサッカー部は廃部、それ以外も関係した生徒がいる部活は当面活動停止となった。
実態は掴みきれないが主犯は鷺ノ宮だろうし、一番重い処分を課せられるだろう。当然、俺からの民事訴訟も上乗せするし、これからもっと大変になるだろう。
正直なところ鷺ノ宮のお仲間はどうでも良いのだけど、彼らもこれから大変なことになると思うが自業自得としか言いようがない。
芳川さんは元々不登校になってしまっていたけど、仲村先輩も今日は登校していないらしい。どんな好奇の目で見られるか考えたら来たくない気持ちは察せられる。
むしろ、美波も休むかと思ったが登校しているのが不気味だ。
一番わからないのは二之宮さんだ。何かに堪えている様な美波とは違い、とても良いことがあったかの様に満面の笑みを浮かべている。そのせいで想像と違う方向でクラスから浮いている。渦中のふたりが登校しているからか、教室内は異様な雰囲気になっている。
「神坂君、こんな状況になってしまったし、約束通り一緒に居て守って欲しいのだけど、良いわよね?」
「あ、ああ。そういう約束だったな」
「え?どういうことなの?」
二之宮さんと話をしていたら隣の席の大山さんが話に加わってきた。
「どうもこうも、私は鷺ノ宮達に脅されて尊厳を貶められていた様子の動画をバラ撒かれてしまったから周囲の目が怖いの。
それを神坂君が守ってくれると約束してくれていたからお願いをしたのよ」
「怖がっているようには見えないけど・・・」
「あら、大山さんだって内容くらいは知っているでしょ?
あなたはそんな事をされた動画がバラ撒かれて周囲の目が気にならないの?」
「それは気になるだろうし、たぶん学校には来れなくなると思うけど・・・」
「そうよ!そういう事だから、わたしのことも守ってね、冬樹!」
今度は美波も加わってきた。渦中のふたりが揃ったことでいよいよ教室中の注目を一点に集める状況になった。
「そ、そうよね。ごめんなさい、わたし用事を思い出したからちょっと席を外すね」
大山さんが逃げるように席から離れていった。できたら俺も一緒に何処かへ行きたい・・・
「ふたりとも、守るというのは良いんだけど、少なくとも夏休み前は学校へ来ない方が良かったんじゃないか?
なんだったら今からでも帰った方がいいだろう」
「それはそうなんだけど、学校へ来ないと冬樹に会えなくなるからさ」
「あら岸元さん、神坂君のお家を知らないの?
お姉さんは来たことがあるのに」
「誰のせいでこんな状況になったと思っているの。
・・・って、二之宮さんは冬樹の家を知っているの?」
「ええ。神坂君に招待されてお邪魔させてもらったこともあるわよ」
「ええ!?どういう事!冬樹!!」
「鷺ノ宮の件で話をするのに内容が内容だから、万が一にも他の誰かに聞かれない場所をと言うことで俺の家に来てもらっただけだよ」
「そんなのズルい!わたしだって冬樹の家に行きたい!」
「別に美波とはお前の家で話をしただろ?」
「そういう問題じゃない!
第一、お姉ちゃんは一緒に住みはじめたのに、わたしは家も知らないなんて薄情じゃない!」
「薄情ってなんだよ・・・」
「ちょっと待って、岸元さんのお姉さんは神坂君の家に住んでいるの?」
「そうよ!お姉ちゃんは今冬樹の家に住んでて、大学の近くのアパートだって解約するっていうんだから!」
美波の話を聞いてからか、二之宮さんの俺を見る目付きが一瞬鋭いものになった気がした
「なるほどね。ところで、神坂君。岸元さんのお姉さんの他にも一緒に住んでいる人がいるでしょう?」
「ああ、いるよ。美晴姉さんとふたりきりではまずいからね」
「そういうことにしてあるのね。わかったわ。
私もそういうことにしておいてあげる」
「そういうことって何だ?
そういう事もどういう事も何もないんだけど」
始業のベルが鳴り始めたため、まだ何か言いたげな様子の美波と二之宮さんが自分の席へ戻っていき、隣の大山さんも自席へ戻ってきた。
二之宮さんの追及に惚けてみたけど、これは高梨先生も住んでいると思っているだろうな・・・事実だけど。
このまま二之宮さんの疑念を放っておいて何が起こるかわからないし、美波も二之宮さんが俺の家に来たことがあるという事実で思うところがあるみたいだし、どうにかしないといけないなと思いながらSHRの塚田教諭の話を聞いていた。
今日を含め3日の登校で夏休みに入るというのに、学校は騒ぎになっている。
まず、鷺ノ宮たちは再度取り調べを受けることとなった。少年事件であり目下の被害者である二之宮さんが最初の取り調べで最低限しか供述してなかったのもあって警察の対応が甘かった様で、昨夜裏サイトにアップされたの件で追加で調査されるとの事らしい。また昨日の時点では自主退学を勧告となっていたが、学校側が関わっていた生徒全員を退学処分とすると発表した。鷺ノ宮を含む多くの生徒が所属していたサッカー部は廃部、それ以外も関係した生徒がいる部活は当面活動停止となった。
実態は掴みきれないが主犯は鷺ノ宮だろうし、一番重い処分を課せられるだろう。当然、俺からの民事訴訟も上乗せするし、これからもっと大変になるだろう。
正直なところ鷺ノ宮のお仲間はどうでも良いのだけど、彼らもこれから大変なことになると思うが自業自得としか言いようがない。
芳川さんは元々不登校になってしまっていたけど、仲村先輩も今日は登校していないらしい。どんな好奇の目で見られるか考えたら来たくない気持ちは察せられる。
むしろ、美波も休むかと思ったが登校しているのが不気味だ。
一番わからないのは二之宮さんだ。何かに堪えている様な美波とは違い、とても良いことがあったかの様に満面の笑みを浮かべている。そのせいで想像と違う方向でクラスから浮いている。渦中のふたりが登校しているからか、教室内は異様な雰囲気になっている。
「神坂君、こんな状況になってしまったし、約束通り一緒に居て守って欲しいのだけど、良いわよね?」
「あ、ああ。そういう約束だったな」
「え?どういうことなの?」
二之宮さんと話をしていたら隣の席の大山さんが話に加わってきた。
「どうもこうも、私は鷺ノ宮達に脅されて尊厳を貶められていた様子の動画をバラ撒かれてしまったから周囲の目が怖いの。
それを神坂君が守ってくれると約束してくれていたからお願いをしたのよ」
「怖がっているようには見えないけど・・・」
「あら、大山さんだって内容くらいは知っているでしょ?
あなたはそんな事をされた動画がバラ撒かれて周囲の目が気にならないの?」
「それは気になるだろうし、たぶん学校には来れなくなると思うけど・・・」
「そうよ!そういう事だから、わたしのことも守ってね、冬樹!」
今度は美波も加わってきた。渦中のふたりが揃ったことでいよいよ教室中の注目を一点に集める状況になった。
「そ、そうよね。ごめんなさい、わたし用事を思い出したからちょっと席を外すね」
大山さんが逃げるように席から離れていった。できたら俺も一緒に何処かへ行きたい・・・
「ふたりとも、守るというのは良いんだけど、少なくとも夏休み前は学校へ来ない方が良かったんじゃないか?
なんだったら今からでも帰った方がいいだろう」
「それはそうなんだけど、学校へ来ないと冬樹に会えなくなるからさ」
「あら岸元さん、神坂君のお家を知らないの?
お姉さんは来たことがあるのに」
「誰のせいでこんな状況になったと思っているの。
・・・って、二之宮さんは冬樹の家を知っているの?」
「ええ。神坂君に招待されてお邪魔させてもらったこともあるわよ」
「ええ!?どういう事!冬樹!!」
「鷺ノ宮の件で話をするのに内容が内容だから、万が一にも他の誰かに聞かれない場所をと言うことで俺の家に来てもらっただけだよ」
「そんなのズルい!わたしだって冬樹の家に行きたい!」
「別に美波とはお前の家で話をしただろ?」
「そういう問題じゃない!
第一、お姉ちゃんは一緒に住みはじめたのに、わたしは家も知らないなんて薄情じゃない!」
「薄情ってなんだよ・・・」
「ちょっと待って、岸元さんのお姉さんは神坂君の家に住んでいるの?」
「そうよ!お姉ちゃんは今冬樹の家に住んでて、大学の近くのアパートだって解約するっていうんだから!」
美波の話を聞いてからか、二之宮さんの俺を見る目付きが一瞬鋭いものになった気がした
「なるほどね。ところで、神坂君。岸元さんのお姉さんの他にも一緒に住んでいる人がいるでしょう?」
「ああ、いるよ。美晴姉さんとふたりきりではまずいからね」
「そういうことにしてあるのね。わかったわ。
私もそういうことにしておいてあげる」
「そういうことって何だ?
そういう事もどういう事も何もないんだけど」
始業のベルが鳴り始めたため、まだ何か言いたげな様子の美波と二之宮さんが自分の席へ戻っていき、隣の大山さんも自席へ戻ってきた。
二之宮さんの追及に惚けてみたけど、これは高梨先生も住んでいると思っているだろうな・・・事実だけど。
このまま二之宮さんの疑念を放っておいて何が起こるかわからないし、美波も二之宮さんが俺の家に来たことがあるという事実で思うところがあるみたいだし、どうにかしないといけないなと思いながらSHRの塚田教諭の話を聞いていた。
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