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第56話
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◆神坂冬樹 視点◆
放課後になり、塚田教諭から渡された緊急連絡先を知らせる届け出をその場で書いて提出し、その際に美晴姉さんの知り合いは泊まらなくなり代わりに俺の姉妹が泊まりに来るようになったと伝えた。
塚田教諭とのやりとりが終わったら、姉さんと合流して自宅へ一時帰宅した。
「夏菜ちゃん!あなた何しに来たの!」
先に帰宅していた美晴姉さんは、俺と一緒にいた姉さんを見た途端に怒り出した。
「冬樹くんがどうして救急車で運ばれることになったのか忘れたの!
冬樹くんとのやりとりは私が間に入るってことにしたよね!」
「み、美晴さん、すみません。そうなのですが、高梨先生が冬樹の家にいると学校で知られそうな状況になり、先生が自宅へ帰られるために先生の荷物を取りに来たのです」
「そ、そうだったの。いきなり怒鳴りつけてしまってごめんなさい」
「いえ、でも冬樹が拒まないでくれるのを良いことに昨日今日と近付きすぎていましたし、高梨先生から冬樹と美晴さんをふたりきりにするのは良くないから私と春華が交代でここに泊まった方が良いと言われて、その通りだと思ってしまいましたし・・・
あと言いにくいのですが、春華と美波はここに泊まるつもりでこの後やって来ます」
「その軽率さは夏菜ちゃんらしくないけど、夏菜ちゃんなりに冬樹くんの心配をしていたのよね。
美波と春華ちゃんは考えが甘すぎる気がするけど、たしかに私と冬樹くんがふたりきりなのは外聞が良くないというのはあるわよね」
「美晴さんが言うように私たちがいるのは良くないですから、最初に言っていた通り美晴さんにおまかせしていた方が良いですよね」
「でも、美波と春華ちゃんがこれから来るのよね?
春華ちゃんは帰ってと言っても納得しないわよねぇ」
「あの娘はそうですね・・・冤罪の時こそ短絡的に冬樹を責めましたけど、冬樹に一番近い存在だと思っているし、2ヶ月離れていたのもあって駄々を捏ねそうです」
「この間もあなた達と一緒に美波の部屋に居た時は大丈夫だったわけだし、とりあえず春華ちゃんだけ居てもらって美波は帰らせましょうか」
「そうですね。冬樹の負担を考えたらそれがベターである様に思います」
「じゃあ、美波にはこっちに来ないようにメッセージを送っておきましょう。冬樹くん、良いわよね?」
「はい、美晴姉さんの言う通りで大丈夫です」
「もうっ、そうやって何でもいいみたいな感じで流されたんでしょう。
冬樹くんは救急車で病院へ運ばれたんだって自覚を持ってね」
「すみません。ご心配おかけして・・・」
「いいのよ。私が冬樹くんの心配をするのは私のためでもあるのだから。
ただね、冬樹くんにはもっと自分で自分を守ってもらいたいの」
「そうだな。私が言えた義理ではないが、前にも増して流されすぎだ」
「姉さん、美晴姉さん、心配してくれてありがとう。気を付けるようにするよ」
話がまとまったところで3人で先生の荷物をまとめていたら、みゆきさんのものと思われる荷物も出てきた。
「さすがにみゆきさんの荷物は予想外でした。
また来るとか言っていたし、思っていた以上に高い頻度で来るつもりだったのですかね?」
「そうかもしれないね。冬樹くんのこと気に入ったとか言っていたし・・・」
「そのみゆきさんって高梨先生のご友人なんですよね?
なんで冬樹が気に入られているんですか?」
「なんかよくわからないけど、少し一緒に居たらすごく近い距離感で接するようになってて私も驚いたくらいよ」
「う~ん、なんか俺が先生のことを心配しているのが嬉しかったみたいだけど、よくわからないね。
なにせ出会って数時間の出来事だからね。翌朝は仕事だからとすぐに帰っていったし・・・
とりあえず、みゆきさんの荷物をどうするかは先生に聞いてみましょう」
先生とメッセージで相談したところ、みゆきさんの荷物は量が多いこともあり俺の家で預かって後日宅配便で送ることにし、今日のところは先生の荷物だけ渡すことになった。
姉さんと荷物を持って学校へ戻り、第2音楽室用の準備室で待っていた高梨先生と合流した。
「こちらが先生の荷物です。確認してください。
それと、みゆきさんとは連絡が取れましたか?」
「ありがとう神坂君、それに夏菜さんも。
みゆきにはメッセージを送ったけど返信はまだだわ。たぶん、仕事中でスマホを見られないのだと思う」
「そうですか。でもうちに置いていったということはすぐに使うものでもないでしょうし、連絡が取れたら送らせてもらうので良いですよね。
それと、先生。なんで姉さんが名前呼びで俺が名字呼びなんですか?」
「特に意識していたわけではないけど、神坂君はずっと神坂君と呼んでいたし、神坂さんではわかりにくくなると思っただけで他意はないのだけど・・・」
「じゃあ、俺のことも名前で呼んでください」
「ええっ?」
「良いじゃないですか、学校には姉さんだけでなく妹のハルもいるのだし常にわかりにくくならないように呼ぶということで」
「そ、そうね。じゃあ、これからは名前で呼ぶわね、か・・・冬樹君」
「ありがとうございます。
それと先生、これも持っていてください」
先生にICボイスレコーダーを渡した。
「これは録音する機械よね?」
「そうです。ICレコーダーとかボイスレコーダーなどと言われている録音機です。
先生が何か言われたら証拠として残して置いてもらえればと思って、うちに余っていたものを持ってきました」
「説明書もありますけど、簡単に使い方を説明しますね」
先生に録音・充電・不要なデータの削除の方法を説明した。
「実際に音声を残したいのに操作がわからなかった時はレコーダーごと渡してくれれば俺の方でその作業はしますし、それが聞かれたくない内容ならやり方はそのとき説明しますので言ってください」
「何から何まで本当にありがとう。実際にどうなるかわからないけど、神・・・冬樹君からのお守りと思って大事にするわね」
放課後になり、塚田教諭から渡された緊急連絡先を知らせる届け出をその場で書いて提出し、その際に美晴姉さんの知り合いは泊まらなくなり代わりに俺の姉妹が泊まりに来るようになったと伝えた。
塚田教諭とのやりとりが終わったら、姉さんと合流して自宅へ一時帰宅した。
「夏菜ちゃん!あなた何しに来たの!」
先に帰宅していた美晴姉さんは、俺と一緒にいた姉さんを見た途端に怒り出した。
「冬樹くんがどうして救急車で運ばれることになったのか忘れたの!
冬樹くんとのやりとりは私が間に入るってことにしたよね!」
「み、美晴さん、すみません。そうなのですが、高梨先生が冬樹の家にいると学校で知られそうな状況になり、先生が自宅へ帰られるために先生の荷物を取りに来たのです」
「そ、そうだったの。いきなり怒鳴りつけてしまってごめんなさい」
「いえ、でも冬樹が拒まないでくれるのを良いことに昨日今日と近付きすぎていましたし、高梨先生から冬樹と美晴さんをふたりきりにするのは良くないから私と春華が交代でここに泊まった方が良いと言われて、その通りだと思ってしまいましたし・・・
あと言いにくいのですが、春華と美波はここに泊まるつもりでこの後やって来ます」
「その軽率さは夏菜ちゃんらしくないけど、夏菜ちゃんなりに冬樹くんの心配をしていたのよね。
美波と春華ちゃんは考えが甘すぎる気がするけど、たしかに私と冬樹くんがふたりきりなのは外聞が良くないというのはあるわよね」
「美晴さんが言うように私たちがいるのは良くないですから、最初に言っていた通り美晴さんにおまかせしていた方が良いですよね」
「でも、美波と春華ちゃんがこれから来るのよね?
春華ちゃんは帰ってと言っても納得しないわよねぇ」
「あの娘はそうですね・・・冤罪の時こそ短絡的に冬樹を責めましたけど、冬樹に一番近い存在だと思っているし、2ヶ月離れていたのもあって駄々を捏ねそうです」
「この間もあなた達と一緒に美波の部屋に居た時は大丈夫だったわけだし、とりあえず春華ちゃんだけ居てもらって美波は帰らせましょうか」
「そうですね。冬樹の負担を考えたらそれがベターである様に思います」
「じゃあ、美波にはこっちに来ないようにメッセージを送っておきましょう。冬樹くん、良いわよね?」
「はい、美晴姉さんの言う通りで大丈夫です」
「もうっ、そうやって何でもいいみたいな感じで流されたんでしょう。
冬樹くんは救急車で病院へ運ばれたんだって自覚を持ってね」
「すみません。ご心配おかけして・・・」
「いいのよ。私が冬樹くんの心配をするのは私のためでもあるのだから。
ただね、冬樹くんにはもっと自分で自分を守ってもらいたいの」
「そうだな。私が言えた義理ではないが、前にも増して流されすぎだ」
「姉さん、美晴姉さん、心配してくれてありがとう。気を付けるようにするよ」
話がまとまったところで3人で先生の荷物をまとめていたら、みゆきさんのものと思われる荷物も出てきた。
「さすがにみゆきさんの荷物は予想外でした。
また来るとか言っていたし、思っていた以上に高い頻度で来るつもりだったのですかね?」
「そうかもしれないね。冬樹くんのこと気に入ったとか言っていたし・・・」
「そのみゆきさんって高梨先生のご友人なんですよね?
なんで冬樹が気に入られているんですか?」
「なんかよくわからないけど、少し一緒に居たらすごく近い距離感で接するようになってて私も驚いたくらいよ」
「う~ん、なんか俺が先生のことを心配しているのが嬉しかったみたいだけど、よくわからないね。
なにせ出会って数時間の出来事だからね。翌朝は仕事だからとすぐに帰っていったし・・・
とりあえず、みゆきさんの荷物をどうするかは先生に聞いてみましょう」
先生とメッセージで相談したところ、みゆきさんの荷物は量が多いこともあり俺の家で預かって後日宅配便で送ることにし、今日のところは先生の荷物だけ渡すことになった。
姉さんと荷物を持って学校へ戻り、第2音楽室用の準備室で待っていた高梨先生と合流した。
「こちらが先生の荷物です。確認してください。
それと、みゆきさんとは連絡が取れましたか?」
「ありがとう神坂君、それに夏菜さんも。
みゆきにはメッセージを送ったけど返信はまだだわ。たぶん、仕事中でスマホを見られないのだと思う」
「そうですか。でもうちに置いていったということはすぐに使うものでもないでしょうし、連絡が取れたら送らせてもらうので良いですよね。
それと、先生。なんで姉さんが名前呼びで俺が名字呼びなんですか?」
「特に意識していたわけではないけど、神坂君はずっと神坂君と呼んでいたし、神坂さんではわかりにくくなると思っただけで他意はないのだけど・・・」
「じゃあ、俺のことも名前で呼んでください」
「ええっ?」
「良いじゃないですか、学校には姉さんだけでなく妹のハルもいるのだし常にわかりにくくならないように呼ぶということで」
「そ、そうね。じゃあ、これからは名前で呼ぶわね、か・・・冬樹君」
「ありがとうございます。
それと先生、これも持っていてください」
先生にICボイスレコーダーを渡した。
「これは録音する機械よね?」
「そうです。ICレコーダーとかボイスレコーダーなどと言われている録音機です。
先生が何か言われたら証拠として残して置いてもらえればと思って、うちに余っていたものを持ってきました」
「説明書もありますけど、簡単に使い方を説明しますね」
先生に録音・充電・不要なデータの削除の方法を説明した。
「実際に音声を残したいのに操作がわからなかった時はレコーダーごと渡してくれれば俺の方でその作業はしますし、それが聞かれたくない内容ならやり方はそのとき説明しますので言ってください」
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