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第64話
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◆神坂夏菜 視点◆
先刻美晴さんから連絡をもらった冬樹が学校を辞める事について考えていたら、友人たちだけのグループへのメッセージの着信があった。
【フットサル部の仲村さんが大会を目前に出られなくなったらしくて、チームメイトが困惑しているんだって】
熱心に部活に取り組んでいた仲村さんがこの時期に出場できなくなったというのは、私が持っている情報と繋ぎ合わせて嫌な予感がした。思案している間に別の友人がメッセージを繋げる。
【フットサル部ってたしか人数ギリギリだったよね?】
【うん、だから対応をどうするかで揉めているみたい】
【仲村さん、そんな部活を投げ出すような無責任な人じゃないよね?】
【それだから他の部員も気遣って理由を聞いたみたいで、辛そうな顔をして謝るんだけど理由は言ってくれないんだって】
その先もトラブルを気にした友人達のメッセージが続いていたが、私には察しがついた。
メッセージアプリを閉じて仲村さんへ電話した。
『はい、仲村です』
「もしもし、神坂です。今、お話しできますか?」
『え~と、大丈夫です』
「単刀直入に聞くけど、大会に出られなくなった理由は私が察した内容で良いのだろうか?」
『神坂さんは事情を知ってますものね。おそらく想像通りの理由ですよ』
「そうか・・・
それで仲村さん・・・今はどういう状況なんだ?」
『・・・昨日吐き気がして、ツキノモノが来てなかったし、検査薬を試したら陽性で、今日病院で検査してもらったらやっぱりデキてた。
今日は話だけ聞いてきたけど、相手もはっきりわからないし堕ろすしかないってなった。
当たり前だけど、お母さんがものすごく怒って、そして大泣きされて、まだお父さんにはこれから話すんだけどたぶんお母さん以上に怒られると思う』
「やはりか・・・学校は知っているのか?」
『言わなきゃわからないだろうし、黙っているつもり』
「・・・そうか・・・そうだな、無理に言う必要はないな。
何ができるかわからないけど、私は協力するから必要なことがあれば言ってくれ。大したことはできないと思うが生徒会長だしな。」
『うん、ありがとう。その時は神坂さんを頼らせてもらうね』
「ああ、それでは何でもいいから相談したいことがあったら連絡してくれ。では」
仲村さんとの電話を終えてグループのメッセージを確認したらメッセージのやりとりは止まっていた。
大した情報もなければ話題も盛り上がらないか・・・
◆岸元美波 視点◆
お姉ちゃんが伝えてきた冬樹の話について思い倦ねていたら、夏菜お姉ちゃんがひとりで訪問してきた。
わたしの部屋でふたり見合いながら夏菜お姉ちゃんが言いづらいことを聞きたそうだけど聞き方を考えているようだったので私から振ってみた。
「夏菜お姉ちゃん、どうしたの?」
「うん、実は仲村さんが妊娠していたらしい。それで美波のことが気になって聞きに来たんだ」
「仲村先輩が妊娠!?」
「そうだ。今日病院へ行ってはっきりしたらしいが、相手もわからないから堕ろすつもりとのことだ。
お前は大丈夫そうか?」
「うん、検査はしてないけどあの日は安全日だったし、生理もきたから大丈夫だと思う」
「そうだよな。小母さん達にも言いづらいし、病院にもいけないよな」
「そうなの・・・でも、仲村先輩がそうなったって・・・」
「仲村さんは回数が多かったわけだし、お前は1回なんだろ?生理も来たなら大丈夫だよ」
「そうだよね・・・大丈夫だよね・・・」
「ああ、そうそうできたりはしないよ。
それと、春華は今寝ているのもあって仲村さんのことを伝えていない。
伝えると私みたいに美波のことを心配してくるだろうから伝えないで良いと思っているんだけど、それで良いか?」
「うん、春華ちゃんに気を使わせるだけだしね。他の誰かから聞いたなら良いけど夏菜お姉ちゃんは言わないでくれると良いな」
「わかった。そうする」
夏菜お姉ちゃんが帰ってひとりになった途端に無意識に身体が震えだし、恐怖で心が乱れ、得体の知れない蟲に全身を這い回られる様な感覚に襲われた。
他人事のように蓋をしていたあの日の出来事の記憶が鮮明に蘇り吐き気がしてきた。
トイレへ駆け込み胃の中のものを全て吐き出す様な勢いで繰り返し吐き出した。
「・・・生理だって来たんだし、わたしは大丈夫だよね?」
先刻美晴さんから連絡をもらった冬樹が学校を辞める事について考えていたら、友人たちだけのグループへのメッセージの着信があった。
【フットサル部の仲村さんが大会を目前に出られなくなったらしくて、チームメイトが困惑しているんだって】
熱心に部活に取り組んでいた仲村さんがこの時期に出場できなくなったというのは、私が持っている情報と繋ぎ合わせて嫌な予感がした。思案している間に別の友人がメッセージを繋げる。
【フットサル部ってたしか人数ギリギリだったよね?】
【うん、だから対応をどうするかで揉めているみたい】
【仲村さん、そんな部活を投げ出すような無責任な人じゃないよね?】
【それだから他の部員も気遣って理由を聞いたみたいで、辛そうな顔をして謝るんだけど理由は言ってくれないんだって】
その先もトラブルを気にした友人達のメッセージが続いていたが、私には察しがついた。
メッセージアプリを閉じて仲村さんへ電話した。
『はい、仲村です』
「もしもし、神坂です。今、お話しできますか?」
『え~と、大丈夫です』
「単刀直入に聞くけど、大会に出られなくなった理由は私が察した内容で良いのだろうか?」
『神坂さんは事情を知ってますものね。おそらく想像通りの理由ですよ』
「そうか・・・
それで仲村さん・・・今はどういう状況なんだ?」
『・・・昨日吐き気がして、ツキノモノが来てなかったし、検査薬を試したら陽性で、今日病院で検査してもらったらやっぱりデキてた。
今日は話だけ聞いてきたけど、相手もはっきりわからないし堕ろすしかないってなった。
当たり前だけど、お母さんがものすごく怒って、そして大泣きされて、まだお父さんにはこれから話すんだけどたぶんお母さん以上に怒られると思う』
「やはりか・・・学校は知っているのか?」
『言わなきゃわからないだろうし、黙っているつもり』
「・・・そうか・・・そうだな、無理に言う必要はないな。
何ができるかわからないけど、私は協力するから必要なことがあれば言ってくれ。大したことはできないと思うが生徒会長だしな。」
『うん、ありがとう。その時は神坂さんを頼らせてもらうね』
「ああ、それでは何でもいいから相談したいことがあったら連絡してくれ。では」
仲村さんとの電話を終えてグループのメッセージを確認したらメッセージのやりとりは止まっていた。
大した情報もなければ話題も盛り上がらないか・・・
◆岸元美波 視点◆
お姉ちゃんが伝えてきた冬樹の話について思い倦ねていたら、夏菜お姉ちゃんがひとりで訪問してきた。
わたしの部屋でふたり見合いながら夏菜お姉ちゃんが言いづらいことを聞きたそうだけど聞き方を考えているようだったので私から振ってみた。
「夏菜お姉ちゃん、どうしたの?」
「うん、実は仲村さんが妊娠していたらしい。それで美波のことが気になって聞きに来たんだ」
「仲村先輩が妊娠!?」
「そうだ。今日病院へ行ってはっきりしたらしいが、相手もわからないから堕ろすつもりとのことだ。
お前は大丈夫そうか?」
「うん、検査はしてないけどあの日は安全日だったし、生理もきたから大丈夫だと思う」
「そうだよな。小母さん達にも言いづらいし、病院にもいけないよな」
「そうなの・・・でも、仲村先輩がそうなったって・・・」
「仲村さんは回数が多かったわけだし、お前は1回なんだろ?生理も来たなら大丈夫だよ」
「そうだよね・・・大丈夫だよね・・・」
「ああ、そうそうできたりはしないよ。
それと、春華は今寝ているのもあって仲村さんのことを伝えていない。
伝えると私みたいに美波のことを心配してくるだろうから伝えないで良いと思っているんだけど、それで良いか?」
「うん、春華ちゃんに気を使わせるだけだしね。他の誰かから聞いたなら良いけど夏菜お姉ちゃんは言わないでくれると良いな」
「わかった。そうする」
夏菜お姉ちゃんが帰ってひとりになった途端に無意識に身体が震えだし、恐怖で心が乱れ、得体の知れない蟲に全身を這い回られる様な感覚に襲われた。
他人事のように蓋をしていたあの日の出来事の記憶が鮮明に蘇り吐き気がしてきた。
トイレへ駆け込み胃の中のものを全て吐き出す様な勢いで繰り返し吐き出した。
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