学校の空き教室へ仕掛けた防犯カメラにマズい映像が映っていた

したらき

文字の大きさ
66 / 252

第66話

しおりを挟む
神坂冬樹かみさかふゆき 視点◆

興信所からの連絡は、まず鷺ノ宮さぎのみやに関してで、ひとつは父親がもう失脚しそうだということだった。

学校がSNSで炎上した際に週刊誌でも事件が取り扱われ主犯が鷺ノ宮だというところまで特定されてしまい、それを鷺ノ宮の父親の会社の敵対派閥の人間に利用され、先日その情報が社内の全社一斉配信メールで暴露され、会社を辞めざるを得なくなったらしい。

子供のしつけがちゃんとできてなかったとは言え気の毒にも思える。

姉は婚約者の家族が犯罪者と親族になるのが嫌だと反対し始めたらしい。今のところ婚約者自身はその反対に抗って予定通り結婚したいと主張しているけど、今後どうなるのかはわからないとのこと。

当の鷺ノ宮本人はこれから裁判が行われ少年院送致になる見通しとのことだ。

また、現在の家を売却し近々神奈川のアパートへ引っ越しするらしいとのことなので、もう会うこともないだろうと思う。


次に二之宮にのみやさんについてで、彼女は俗に援助交際とかパパ活と呼ばれる事を行っているとのこと。それで得たお金の多くを美容に費やしているそうだ。目をみはるほどの美人だと思っていたけど、そういった影の努力が物を言ったのかもしれない。

もっともそれをいつから行っていたのかがわからず鷺ノ宮たちに凌辱され心が壊された結果なのかもしれないので、偏見の目で見ないようにしようと思う。

家庭環境にも問題がある様な気配があるとのことで、そう言ったことも援助交際の背景にあるのかもしれない。

また、二之宮さんは夏休みだというのに頻繁に学校へ登校し長い時間を学校で過ごしているとのことで、これも目的がわからない。部活は暫定的に作った法律研究部にしか所属していないし、生徒会活動も文化祭実行委員も参加していないので違和感がある。





美晴みはる姉さんと買い物に行くためにエレベーターで下っていたら途中の階で止まり、乗り込んできた人を見て驚いた・・・


「先生、こんにちは。
 このマンションにお住まいなのですか?」


「え、ええ。そうだけど、冬樹君もこのマンションに引っ越してきたの?」


「はい、先日越してきました。まさか先生と同じマンションだったとは思いもしませんでしたよ」


先生は隣りにいた美晴姉さんを見てから尋ねてきた。


「ここでも岸元きしもとさんと一緒に暮らしているのかしら?」


「はい、そうです。今は美晴姉さんとふたりで暮らしています。
 今回も急いで探したので部屋を余らせてて、使っていない部屋がありますよ。
 一応まだ学校に籍は残っていますけど生徒と教師の関係ではなくなりますし、お時間ができたら遊びに来てください。
 腕によりをかけてご飯を作らせてもらいます」


「そうね、冬樹君の近況も聞きたいし、その時はお願いね」


「はい、よろこんで。
 では、僕らはこっちなので。では」



◆岸元美波みなみ 視点◆

両親にはわたしが鷺ノ宮くん達にされたことを言えずにいたけど、事件が公になり仲村なかむら先輩が妊娠してしまっていたこともあり夏休みに入ってすぐに学校を交えて彼らの保護者からの謝罪の場が設けられ、結局わたしがされたことやそのきっかけである冬樹や春華はるかちゃん達と関係が疎になっていたことなどを知られてしまった。

怒られることもなく、むしろ心身の心配をしてもらったけど、どうして冬樹を信じずに卑劣な男に騙されたのかと呆れらたのが一番インパクトが大きかった。そして、お姉ちゃんが冬樹の家へ住み込みをした理由も察したらしい。


あの日は安全日だったし生理は来ていたものの仲村なかむら先輩が妊娠したという話を聞き念のため妊娠検査薬で確認をし陰性だったから大丈夫だろうと思っていたけど、いつもなら来ている頃なのに来ない。

精神的に全然落ち着いていなかったからそのせいだと思いたいけど、改めて検査薬で確認をしたら・・・陽性だった。



たった1日のことなのにどうしてと思う気持ちがあったけど、このままにするわけにもいかないのでお母さんに付き添ってもらって病院へ行きちゃんと検査してもらったらやはり子供を宿していた。検査薬では本来陽性でも陰性と結果が出ることがあるらしいとのことだけど、よりにもよってなんでわたしがそんな事になるのという恨めしい気持ちでいっぱいだった。

事が公になってから鷺ノ宮くん達の保護者も交えて話し合いをし相応の示談金をもらっていたので手術費用は問題がないけど、お姉ちゃんや春華ちゃん達にも知られたくなかったのでお母さんとお父さんにはお姉ちゃんを含み誰にも言わないようにお願いした。

お姉ちゃんはずっと冬樹の家に行ったきり帰ってこないし、連絡もメッセージでしかやり取りしていないから気付かれることはないだろうし、この先も知られずに済ませたい。



◆神坂春華 視点◆

夏休みが始まった日、フユの家に泊まった日から4週間くらい過ぎた。

この間はフユは引っ越しをしたり学校を辞める手続きをしたりしていたらしいけど、あたしは特に何もなかった。今までなら長期連休にはフユやお姉や美波ちゃんと一緒に遊びへ出掛けたりもしていたけど、フユとは絶縁状態だしお姉の受験勉強に付き合ってあたしも勉強ばかりしていた。

夏休みに入ってからは美波ちゃんも一緒に勉強する事が多かったけど今日は4日ぶりで、お父さんに来客があるので美波ちゃんのお部屋にお邪魔している。

美波ちゃんが飲み物を用意してくれている時に、持ってきていない資料集を見たくなり借りようと本棚から引き抜いたら、チラシのような印刷物も巻き込んで引っ張り出してしまった。

巻き込んで落としてしまった印刷物を慌てて拾い、ふとそれを見ると『人工中絶について』と書かれていた。


「お姉!これ!」


「どうした春華?
 これはっ!」


「美波ちゃん、もしかして・・・」


「たぶん、そうだろうな。昨日までの3日間、体調が悪いからと会わなかったのはこれだったんだろうな。
 美波が言わなかったということは私たちには知られたくないんだろう。
 それは戻して美波が言ってくるまでは知らないフリをしよう」


「う、うん。そうだね」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

付き合う前から好感度が限界突破な幼馴染が、疎遠になっていた中学時代を取り戻す為に高校ではイチャイチャするだけの話

頼瑠 ユウ
青春
高校一年生の上条悠斗は、同級生にして幼馴染の一ノ瀬綾乃が別のクラスのイケメンに告白された事を知り、自身も彼女に想いを伝える為に告白をする。 綾乃とは家が隣同士で、彼女の家庭の事情もあり家族ぐるみで幼い頃から仲が良かった。 だが、悠斗は小学校卒業を前に友人達に綾乃との仲を揶揄われ、「もっと女の子らしい子が好きだ」と言ってしまい、それが切っ掛けで彼女とは疎遠になってしまっていた。 中学の三年間は拒絶されるのが怖くて、悠斗は綾乃から逃げ続けた。 とうとう高校生となり、綾乃は誰にでも分け隔てなく優しく、身体つきも女性らしくなり『学年一の美少女』と謳われる程となっている。 高嶺の花。 そんな彼女に悠斗は不釣り合いだと振られる事を覚悟していた。 だがその結果は思わぬ方向へ。実は彼女もずっと悠斗が好きで、両想いだった。 しかも、綾乃は悠斗の気を惹く為に、品行方正で才色兼備である事に努め、胸の大きさも複数のパッドで盛りに盛っていた事が発覚する。 それでも構わず、恋人となった二人は今まで出来なかった事を少しずつ取り戻していく。 他愛の無い会話や一緒にお弁当を食べたり、宿題をしたり、ゲームで遊び、デートをして互いが好きだという事を改めて自覚していく。 存分にイチャイチャし、時には異性と意識して葛藤する事もあった。 両家の家族にも交際を認められ、幸せな日々を過ごしていた。 拙いながらも愛を育んでいく中で、いつしか学校では綾乃の良からぬ噂が広まっていく。 そして綾乃に振られたイケメンは彼女の弱みを握り、自分と付き合う様に脅してきた。 それでも悠斗と綾乃は屈せずに、将来を誓う。 イケメンの企てに、友人達や家族の助けを得て立ち向かう。 付き合う前から好感度が限界突破な二人には、いかなる障害も些細な事だった。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

友達の妹が、入浴してる。

つきのはい
恋愛
 「交換してみない?」  冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。  それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。  鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。  冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。  そんなラブコメディです。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

処理中です...