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第72話
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◆神坂冬樹 視点◆
昨夜はみゆきさんに迫られてセックスをしてしまった・・・それも初体験だ。
みゆきさんの悲しげな表情を見てたらなんでもしてあげたいと思ってしまったし、そのことで後悔もしてない。少しは気が晴れたみたいだったので、身体を張った甲斐はあったと思う。
しかし、みゆきさんの本心が見えない。第一印象から飄々としたところがある人だとは思っていたけど、これから俺とどうしていきたいのかわからない。昨夜のことは大したことではない日常のコミュニケーションと思っているのではないかと見えるくらいには雰囲気が変わらない。
みゆきさんはもう立派な大人だし子供の俺とは感覚が違うのかもしれないけど、それにしたってみゆきさんにとっても初めてだったのにそれで良かったのだろうか?
◆岸元美晴 視点◆
泣き明かして寝不足気味だったけど、朝はちゃんと起きられた。
朝食のとき、冬樹くんと赤堀さんは少し緊張気味だったけど平静を装っていたのが、とてつもない疎外感を覚えさせた。
朝食が終わった後、赤堀さんから話をしたいと声を掛けられて私の部屋ですることになった。
本当は話をしたくなかったけど、冬樹くんも見ているのに露骨な態度を取るのも憚られて話を聞くことにした。
「美晴ちゃんに謝らないといけない事があるの」
「なんでしょうか?」
「あのね、昨日の夜にね、冬樹の部屋へ行って彼と寝たの。
あなたから寝取るつもりがあったわけではないけど、どうしても心が苦しくて縋ってしまったの」
「寝取るなんて・・・私は冬樹くんと付き合っているわけではないですし」
「泣いていたんでしょ?こっそり見ていたんじゃないの?」
「・・・見ては・・・少しドアのところで聞いてましたけど・・・」
「そう、面と向かって言われると気恥ずかしいわね」
「それは・・・すみません」
「私が悪いんだし、気にしないで。
それに繰り返しになるけど、本当にごめんなさい。
ただね、別に冬樹と付き合いたいと思っているわけではないから、それは安心して欲しいかな」
「私は冬樹くんが幸せになるならそれで良いのですけど、逆にヤリ捨ては無責任ではないですか?」
「じゃあ、やっぱり責任を取ってちゃんとお付き合いを・・・
・・・って、やっぱり嫌なんじゃない」
「・・・顔に出てました?
ずっと冬樹くんのことを想っていましたから・・・
1ヶ月以上二人きりで一緒に暮らしていたのに、色々と考えてしまって何もできなかった私が悪いんですよ。
赤堀さんが付き合う気がないというのなら、本当に手遅れになってしまう前に冬樹くんに想いを伝えます」
「私が言うのも変な話だけど、頑張ってね」
「はい、ありがとうございます。
でも、お互い初めて同士が良かったなんて子供みたいなことを言うつもりはないですから気にしないでくださいね」
「そう言ってもらえると助かるわ」
「本心から良い刺激だったのだと思ってますよ。
これまでの関係を壊したくなさすぎて身動きが取れなかったんですから。
あと伝えていなかったのですけど、冬樹くんは・・・」
1ヶ月前に赤堀さんが泊まった後に起きた春華ちゃんが家に泊まって冬樹くんが嘔吐してしまい、その後に病院で診断されたことなどを話したら「知らなかったとは言え本当に悪いことをしたわ」と落ち込ませてしまった。
知っていたら自制してくれていたかと思うと、昨日の内にちゃんと話しておけば良かったという後悔する気持ちも出てきてしまう。
赤堀さんに言った通りで、このまま10年一緒に暮らしてても関係を壊したくなくて平行線のままだったと思うし、そんな中で冬樹くんと付き合いたいとアプローチしてくる女が現れて付き合い出してしまったら本当にチャンスすらないまま他の女と付き合うのを見守るしかない状態になっていた事は想像に難くない。
そう考えれば、昨夜は泣き明かしたけど自分の甘さを認識させてもらったのだから感謝しなければならないと思う・・・さすがに悔しい気持ちもあるから面と向かって言うつもりはないけど。
◆高梨百合恵 視点◆
みゆきから話があるから来て欲しいと言われ、仕事帰りに冬樹君の家へ訪問したらみゆきが宛行われた部屋へ通され、みゆきだけでなく岸元さんも隣に座り2対1で向かい合った状態になったところでみゆきが話し始めた。
「単刀直入に言うわね。
私は昨日の夜、冬樹と寝たわ」
「え?それって添い寝とかじゃないわよね?」
「そうよ、いわゆる男女の仲になったの」
「ええっ?
みゆき、あなた、わたしのことが好きと言っていたわよね?」
「ええ、そうよ。それは今でも変わらないわ。
でも、色々な葛藤があって冬樹に縋ってしまったの」
「ピアノ講師を辞めさせられたり、あんなに仲が良かったご両親と喧嘩してしまったりしていたから、気持ちがぐちゃぐちゃになってしまっていたのは察することはできるけど、それにしても・・・」
そう言いながら、みゆきの隣に座っている岸元さんの方へ目を向けると察した彼女がその先の言葉を繋げた。
「私はいいんです。1ヶ月以上二人きりで暮らしていたのに何の進展もできなかったんですから。
むしろ、危機感を持たせてくれて良かったと思っています。
美波が側に居なくなって自分しかいないと油断していた私が悪いんです」
「岸元さんが良いのならわたしから言えることは、せいぜい冬樹くんの年齢が16歳でそこが問題になりかねないってことくらいね」
「そこはね・・・さすがに悪かったと思うけど、冬樹って高校生離れした落ち着きを持っているじゃない。
私の知っている中では一番頼りになる感じよ」
「たしかにそうね。うちの悠一さんよりも頼りがいがあるわね」
みゆきの大胆な行動については驚かされたけど、悪影響は出ていなそうなので良かったと思う。
3人で話している間に冬樹君が夕食の用意をしてくれていてご相伴に与った上に悠一さんの分までお裾分けでもらってしまい、それを食べた悠一さんの感想が「今日の夕飯は特に旨いな」で非常に複雑な心境になってしまった。
昨夜はみゆきさんに迫られてセックスをしてしまった・・・それも初体験だ。
みゆきさんの悲しげな表情を見てたらなんでもしてあげたいと思ってしまったし、そのことで後悔もしてない。少しは気が晴れたみたいだったので、身体を張った甲斐はあったと思う。
しかし、みゆきさんの本心が見えない。第一印象から飄々としたところがある人だとは思っていたけど、これから俺とどうしていきたいのかわからない。昨夜のことは大したことではない日常のコミュニケーションと思っているのではないかと見えるくらいには雰囲気が変わらない。
みゆきさんはもう立派な大人だし子供の俺とは感覚が違うのかもしれないけど、それにしたってみゆきさんにとっても初めてだったのにそれで良かったのだろうか?
◆岸元美晴 視点◆
泣き明かして寝不足気味だったけど、朝はちゃんと起きられた。
朝食のとき、冬樹くんと赤堀さんは少し緊張気味だったけど平静を装っていたのが、とてつもない疎外感を覚えさせた。
朝食が終わった後、赤堀さんから話をしたいと声を掛けられて私の部屋ですることになった。
本当は話をしたくなかったけど、冬樹くんも見ているのに露骨な態度を取るのも憚られて話を聞くことにした。
「美晴ちゃんに謝らないといけない事があるの」
「なんでしょうか?」
「あのね、昨日の夜にね、冬樹の部屋へ行って彼と寝たの。
あなたから寝取るつもりがあったわけではないけど、どうしても心が苦しくて縋ってしまったの」
「寝取るなんて・・・私は冬樹くんと付き合っているわけではないですし」
「泣いていたんでしょ?こっそり見ていたんじゃないの?」
「・・・見ては・・・少しドアのところで聞いてましたけど・・・」
「そう、面と向かって言われると気恥ずかしいわね」
「それは・・・すみません」
「私が悪いんだし、気にしないで。
それに繰り返しになるけど、本当にごめんなさい。
ただね、別に冬樹と付き合いたいと思っているわけではないから、それは安心して欲しいかな」
「私は冬樹くんが幸せになるならそれで良いのですけど、逆にヤリ捨ては無責任ではないですか?」
「じゃあ、やっぱり責任を取ってちゃんとお付き合いを・・・
・・・って、やっぱり嫌なんじゃない」
「・・・顔に出てました?
ずっと冬樹くんのことを想っていましたから・・・
1ヶ月以上二人きりで一緒に暮らしていたのに、色々と考えてしまって何もできなかった私が悪いんですよ。
赤堀さんが付き合う気がないというのなら、本当に手遅れになってしまう前に冬樹くんに想いを伝えます」
「私が言うのも変な話だけど、頑張ってね」
「はい、ありがとうございます。
でも、お互い初めて同士が良かったなんて子供みたいなことを言うつもりはないですから気にしないでくださいね」
「そう言ってもらえると助かるわ」
「本心から良い刺激だったのだと思ってますよ。
これまでの関係を壊したくなさすぎて身動きが取れなかったんですから。
あと伝えていなかったのですけど、冬樹くんは・・・」
1ヶ月前に赤堀さんが泊まった後に起きた春華ちゃんが家に泊まって冬樹くんが嘔吐してしまい、その後に病院で診断されたことなどを話したら「知らなかったとは言え本当に悪いことをしたわ」と落ち込ませてしまった。
知っていたら自制してくれていたかと思うと、昨日の内にちゃんと話しておけば良かったという後悔する気持ちも出てきてしまう。
赤堀さんに言った通りで、このまま10年一緒に暮らしてても関係を壊したくなくて平行線のままだったと思うし、そんな中で冬樹くんと付き合いたいとアプローチしてくる女が現れて付き合い出してしまったら本当にチャンスすらないまま他の女と付き合うのを見守るしかない状態になっていた事は想像に難くない。
そう考えれば、昨夜は泣き明かしたけど自分の甘さを認識させてもらったのだから感謝しなければならないと思う・・・さすがに悔しい気持ちもあるから面と向かって言うつもりはないけど。
◆高梨百合恵 視点◆
みゆきから話があるから来て欲しいと言われ、仕事帰りに冬樹君の家へ訪問したらみゆきが宛行われた部屋へ通され、みゆきだけでなく岸元さんも隣に座り2対1で向かい合った状態になったところでみゆきが話し始めた。
「単刀直入に言うわね。
私は昨日の夜、冬樹と寝たわ」
「え?それって添い寝とかじゃないわよね?」
「そうよ、いわゆる男女の仲になったの」
「ええっ?
みゆき、あなた、わたしのことが好きと言っていたわよね?」
「ええ、そうよ。それは今でも変わらないわ。
でも、色々な葛藤があって冬樹に縋ってしまったの」
「ピアノ講師を辞めさせられたり、あんなに仲が良かったご両親と喧嘩してしまったりしていたから、気持ちがぐちゃぐちゃになってしまっていたのは察することはできるけど、それにしても・・・」
そう言いながら、みゆきの隣に座っている岸元さんの方へ目を向けると察した彼女がその先の言葉を繋げた。
「私はいいんです。1ヶ月以上二人きりで暮らしていたのに何の進展もできなかったんですから。
むしろ、危機感を持たせてくれて良かったと思っています。
美波が側に居なくなって自分しかいないと油断していた私が悪いんです」
「岸元さんが良いのならわたしから言えることは、せいぜい冬樹くんの年齢が16歳でそこが問題になりかねないってことくらいね」
「そこはね・・・さすがに悪かったと思うけど、冬樹って高校生離れした落ち着きを持っているじゃない。
私の知っている中では一番頼りになる感じよ」
「たしかにそうね。うちの悠一さんよりも頼りがいがあるわね」
みゆきの大胆な行動については驚かされたけど、悪影響は出ていなそうなので良かったと思う。
3人で話している間に冬樹君が夕食の用意をしてくれていてご相伴に与った上に悠一さんの分までお裾分けでもらってしまい、それを食べた悠一さんの感想が「今日の夕飯は特に旨いな」で非常に複雑な心境になってしまった。
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