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第97話
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◆神坂冬樹 視点◆
まったく気が乗らないけど、この期に及んで避けて通れない美波とのビデオチャット約束の時間になった。
こちらは、いつもの通り僕と美晴さんで、すぐ近くには仕事から帰ってきて寛いでいるみゆきさんがスマホ片手にこちらの様子を見ている。
パソコンの向こう側はビデオチャットでははじめてのやり取りとなる美波と、既に恒例になりつつある姉さんとハルも一緒の予定だ。
「もしもし、冬樹です。映像や音声は大丈夫?」
『夏菜だ。こちらは見聞きできてる』
「良かった。こっちは隣に美晴さんもいるけど見えてる?」
『美晴お姉も見えてるよ』
「美波もいるのかしら?」
『うん、いるよ。お姉ちゃん』
「それじゃあ、準備もできたし始めようか。まずは美波、久しぶり」
『うん、久しぶり。冬樹は元気そうだね』
「そうだな。美晴さんのおかげもあって割りと落ち着いた気持ちで日々を過ごせてるよ。
美波はどうなんだ?」
『わたしはあんまりよくないかな?
二之宮さんとは仲良くなってるけど・・・』
「その二之宮なんだけど、姉さんから話を聞いてないか?
鷺ノ宮達を利用して僕の痴漢冤罪をでっちあげたらしいって」
『あのさ、それ本当なの?
二之宮さんがそんなことをした様には思えないんだけど・・・』
「そうか?少なくともはっきりしていることだけでも、1年以上前から多くのオジサンを相手にパパ活をやっててその内のひとりに拉致監禁されたんだぞ?
そんな奴のどこを信じられるんだ?」
『それは・・・そうかもしれないけど、話せばきっとなんか理由があるんじゃないかな?』
「どんな?」
『それはわかんないけど・・・』
「じゃあ、美波はわからないけどとにかく二之宮は信じられると言うんだな?」
『・・・うん』
わかっていたことだけど、美波は単純接触効果で二之宮に靡いてしまっているみたいだ。
ここからは賭けになるけど切り出すしかなさそうだ・・・
「わかった。じゃあ、二之宮の件で白黒がはっきりするまで、僕は美波とも距離を置く。
どれだけ時間がかかるかわからないけど、美波が二之宮を信じるというのなら決着するまでは関わらない様にするよ」
『なんで!?
そんなひどいことを言うの!?』
「なんで?
僕は現時点でも証拠がないだけで二之宮がクロだと思っている。
そのクロだと思っている相手を信じるというのなら、その信じると言う人間とも付き合いたくないと思うのは自然な話だろ?」
『わたしと冬樹の仲じゃない!』
「それはもう壊れただろ?
今の美波は僕にとっては、自分を冤罪で陥れた男と交際していて、更にその後ろで冤罪の絵図を描いていた人間を信じると言い、付き合っている人間だ。
それまで長年積み上げてきていた信頼は粉々に砕けているよ。
本当はこうやって話すのだって不快だよ。
それでも大事な美晴さんの妹だし、岸元の小父さん小母さんにもお世話になっていた感謝の気持ちがあるから話しているんだ」
『それは鷺ノ宮君が・・・わたしを陥れたから・・・
わたしだって鷺ノ宮君にひどい目に合わされたんだよ!
鷺ノ宮くんの友達たちに酷いことをされたんだよ!
それで妊ッ・・・
・・・とにかく大変だったの!可哀想だったの!何でわかってくれないの!』
「美波、僕だって二之宮と鷺ノ宮のせいで学校中が敵になり、姉さんやハルに美波だって見て見ぬふりをしていて孤立していたんだよ。
しかも、美波はわかるどころか、鷺ノ宮と付き合ってただろ?」
『だからっ!』
「もういいよ、美波。これ以上は平行線だよ。
姉さん、ハル、美晴さん。悪いけど、僕はこれで失礼するね。
あとは美晴さん、お願いします」
「ええ、わかったわ。
と言っても、私からも特に話すべきと思うことがないのだけど、そっちにはある?」
『いえ、今日はこれ以上話してても荒れるだけだと思いますので・・・
美波のことは私と春華に任せてください』
『うん、そうだね。美波ちゃんのことはあたし達で話してみるから、また今度お話してください』
「ふたりともごめんなさいね、駄目な妹で・・・よろしくお願いね」
そう言うと、美晴さんは早々にビデオチャットを切断した。
「すみません、美晴さん・・・やっぱり、美波のことは理解できないです」
「こっちこそ妹がごめんね。
ほんと、どうしちゃったのかしら・・・?」
「冬樹も美晴ちゃんも身内のことだからかしら?
単純な事が見えてないのね?」
まったく気が乗らないけど、この期に及んで避けて通れない美波とのビデオチャット約束の時間になった。
こちらは、いつもの通り僕と美晴さんで、すぐ近くには仕事から帰ってきて寛いでいるみゆきさんがスマホ片手にこちらの様子を見ている。
パソコンの向こう側はビデオチャットでははじめてのやり取りとなる美波と、既に恒例になりつつある姉さんとハルも一緒の予定だ。
「もしもし、冬樹です。映像や音声は大丈夫?」
『夏菜だ。こちらは見聞きできてる』
「良かった。こっちは隣に美晴さんもいるけど見えてる?」
『美晴お姉も見えてるよ』
「美波もいるのかしら?」
『うん、いるよ。お姉ちゃん』
「それじゃあ、準備もできたし始めようか。まずは美波、久しぶり」
『うん、久しぶり。冬樹は元気そうだね』
「そうだな。美晴さんのおかげもあって割りと落ち着いた気持ちで日々を過ごせてるよ。
美波はどうなんだ?」
『わたしはあんまりよくないかな?
二之宮さんとは仲良くなってるけど・・・』
「その二之宮なんだけど、姉さんから話を聞いてないか?
鷺ノ宮達を利用して僕の痴漢冤罪をでっちあげたらしいって」
『あのさ、それ本当なの?
二之宮さんがそんなことをした様には思えないんだけど・・・』
「そうか?少なくともはっきりしていることだけでも、1年以上前から多くのオジサンを相手にパパ活をやっててその内のひとりに拉致監禁されたんだぞ?
そんな奴のどこを信じられるんだ?」
『それは・・・そうかもしれないけど、話せばきっとなんか理由があるんじゃないかな?』
「どんな?」
『それはわかんないけど・・・』
「じゃあ、美波はわからないけどとにかく二之宮は信じられると言うんだな?」
『・・・うん』
わかっていたことだけど、美波は単純接触効果で二之宮に靡いてしまっているみたいだ。
ここからは賭けになるけど切り出すしかなさそうだ・・・
「わかった。じゃあ、二之宮の件で白黒がはっきりするまで、僕は美波とも距離を置く。
どれだけ時間がかかるかわからないけど、美波が二之宮を信じるというのなら決着するまでは関わらない様にするよ」
『なんで!?
そんなひどいことを言うの!?』
「なんで?
僕は現時点でも証拠がないだけで二之宮がクロだと思っている。
そのクロだと思っている相手を信じるというのなら、その信じると言う人間とも付き合いたくないと思うのは自然な話だろ?」
『わたしと冬樹の仲じゃない!』
「それはもう壊れただろ?
今の美波は僕にとっては、自分を冤罪で陥れた男と交際していて、更にその後ろで冤罪の絵図を描いていた人間を信じると言い、付き合っている人間だ。
それまで長年積み上げてきていた信頼は粉々に砕けているよ。
本当はこうやって話すのだって不快だよ。
それでも大事な美晴さんの妹だし、岸元の小父さん小母さんにもお世話になっていた感謝の気持ちがあるから話しているんだ」
『それは鷺ノ宮君が・・・わたしを陥れたから・・・
わたしだって鷺ノ宮君にひどい目に合わされたんだよ!
鷺ノ宮くんの友達たちに酷いことをされたんだよ!
それで妊ッ・・・
・・・とにかく大変だったの!可哀想だったの!何でわかってくれないの!』
「美波、僕だって二之宮と鷺ノ宮のせいで学校中が敵になり、姉さんやハルに美波だって見て見ぬふりをしていて孤立していたんだよ。
しかも、美波はわかるどころか、鷺ノ宮と付き合ってただろ?」
『だからっ!』
「もういいよ、美波。これ以上は平行線だよ。
姉さん、ハル、美晴さん。悪いけど、僕はこれで失礼するね。
あとは美晴さん、お願いします」
「ええ、わかったわ。
と言っても、私からも特に話すべきと思うことがないのだけど、そっちにはある?」
『いえ、今日はこれ以上話してても荒れるだけだと思いますので・・・
美波のことは私と春華に任せてください』
『うん、そうだね。美波ちゃんのことはあたし達で話してみるから、また今度お話してください』
「ふたりともごめんなさいね、駄目な妹で・・・よろしくお願いね」
そう言うと、美晴さんは早々にビデオチャットを切断した。
「すみません、美晴さん・・・やっぱり、美波のことは理解できないです」
「こっちこそ妹がごめんね。
ほんと、どうしちゃったのかしら・・・?」
「冬樹も美晴ちゃんも身内のことだからかしら?
単純な事が見えてないのね?」
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