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第96話
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◆鷺ノ宮那奈 視点◆
「ちょっと!なんてことをするんですか!」
「那奈はこの男に無理やり腕を掴まれていたわけではないのか?」
「いててて。オレは何もしてないですよ」
「風見さん、すみません」
「えーと、(s)あなたが気にすることはないですよ、そちらの男性とはどの様なご関係なのですか?」
「・・・元婚約者です・・・」
「ああ、婚約者さんの腕を得体の知れない男が掴んでいたので引き離そうと殴ったんですね」
風見さんは義之さんの方を見ながら意図を問い質した。
「はい・・・すみませんでした。那奈の腕を掴まれているのを見てカッとなってしまいました」
「えーと、那奈さん?・・・は、『元』婚約者と仰っていますけど、違うのですか?」
「俺は破棄を認めていないので・・・まだ婚約者のつもりです」
義之さんは風見さんへ言いながら私の方へも力強い視線を送ってきた。
「私の方に事情ができてしまい義両親にも反対されてしまってたので、解消してもらったんです」
「だからっ!それは、説得するから待って欲しいと!
で、失礼ですがあなたは那奈とどういったご関係で?」
義之さんに問われた風見さんは私の方を見て一言「オレは言ってもいいですよ」と言ってくれたので、私から答えた。
「新しい職場での常連のお客様です」
「そうです、ただの客です。ちなみに、那奈さんの本名は今さっきあなたの口から聞いて初めて知りましたよ」
風見さんが言葉の端々に軽々しく個人情報を口にするなと釘を刺すように言葉を繋いでくれた。
「あっ・・・すまない、那・・・何と呼べば良いかな?」
「もう、風見さんの前では那奈で構いません。
風見さんもここでは那奈と呼んでいただけませんか?」
「それは構いませんよ、那奈さん」
「すまない、那奈・・・」
「それでは、改めて風見さん、私のせいで殴られることになってしまい申し訳ありませんでした」
そう言いながら風見さんに向かって深く頭を下げた。
「それは俺が悪かった話で、那奈が謝ることではないだろう。
風見さん、重ね重ねになりますが、本当に申し訳ありませんでした」
「いや、大丈夫ですよ。誤解させるような事をしていたオレも悪かったですし・・・」
義之さんが風見さんに謝罪をし終えたところで、義之さんに向かって話しかけた。
「私は風見さんとお話があるので、これで失礼しますね」
「ちょっと、待ってください。風見さん、連絡先を交換していただけませんか?
このあと何かあったら対応させていただきたいので、そのために連絡が取れるようにさせてもらいたいのです」
「そんな、オレは大丈夫そうですし、義之さん?の、お気持ちだけで十分ですよ」
私が話を打ち切ろうとしたところで義之さんが話に割り込んで風見さんに対して今後のための連絡先を求めたけれども、風見さんはやんわりと角が立たないようにしつつ断りを入れた。
「そうですよね。見ず知らずの男となんか連絡先を交わしたくないですよね。
風見さんは那奈とは連絡が取れるんですか?
そうであれば、那奈を通して連絡をもらっても構わないのですが・・・」
義之さんは私の様子を伺いつつ風見さんへ提案してきた。
「那奈さんを巻き込むのは違うと思いますので、連絡先の交換をさせてもらいますね」
風見さんはそう言って義之さんとの連絡先交換を行い、それらが終わったのを見届けたところで再度切り出した。
「それでは、今度こそ失礼しますね。
義之さんはもう二度と私の所へ来ないでください・・・よろしく、お願い、しま、す」
最後の方は気持ちが昂ぶってしまいうまく発音ができなかった。
「とりあえず、今日のところはこれで失礼するよ、那奈」
義之さんはそう言うと、もう一度風見さんへ深々と頭を下げてから去っていった。
義之さんの姿が離れていったのを見届けてから改めて風見さんへ声を掛けた。
「あの、風見さん。本当にお話をさせてもらいたい事があるのですけど、お時間をいただいても良いですか?」
「もちろん良いですよ!」
「それで、他の人に聞かれたくない話もあるのでカラオケが良いのですけど大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫です!」
風見さんとふたりでカラオケ店に入り、飲み物の用意ができたところで話を切り出した。
「先程、風見さんへかかってきた電話の件なのですけど、あれは私に関係がある話ではありませんか?」
「早桜さんの質問なのでお答えしたいですけど、守秘義務というやつで何も言えないです」
「そうですか・・・そうですよね・・・
ところで、風見さんは探偵さんなんですか?」
「申し訳ないですけど、それについても何も言えないです」
「知り合ったのは最近ですけど、風見さんの為人を信じて伺いますね・・・
風見さんの立場で私の為を考えて言えるアドバイスがあればなんでも言ってもらえませんか?」
質問をし始めてからずっと申し訳無さそうだった風見さん目が少し鋭くなって、雰囲気も変わった。
「そうですね・・・早桜さんが今の状況になることになった原因である弟さんと話をして、どれだけ信じられそうにない言い訳にしか聞こえない様な内容でも一旦ちゃんと聞き入れて、それが本当か嘘かの裏取りをしっかりした方が良いですね・・・」
風見さんが話してくれた事は本当は言ってはいけない事だろうと察せられるし、隆史に聞けば何かしらの手掛かりを得られることを知っている事も・・・それ以上は野暮な詮索になるわね。
◆神坂冬樹 視点◆
ハルから美晴さんへ、ビデオチャットの日程で早く決めるようにと美波から矢のような催促をされて困っているという話をされたので、3連休前の今夜やってしまおうということになった。
ハルが美波の事で困るとか、滅多にないんだけど大丈夫かなぁ・・・
「ちょっと!なんてことをするんですか!」
「那奈はこの男に無理やり腕を掴まれていたわけではないのか?」
「いててて。オレは何もしてないですよ」
「風見さん、すみません」
「えーと、(s)あなたが気にすることはないですよ、そちらの男性とはどの様なご関係なのですか?」
「・・・元婚約者です・・・」
「ああ、婚約者さんの腕を得体の知れない男が掴んでいたので引き離そうと殴ったんですね」
風見さんは義之さんの方を見ながら意図を問い質した。
「はい・・・すみませんでした。那奈の腕を掴まれているのを見てカッとなってしまいました」
「えーと、那奈さん?・・・は、『元』婚約者と仰っていますけど、違うのですか?」
「俺は破棄を認めていないので・・・まだ婚約者のつもりです」
義之さんは風見さんへ言いながら私の方へも力強い視線を送ってきた。
「私の方に事情ができてしまい義両親にも反対されてしまってたので、解消してもらったんです」
「だからっ!それは、説得するから待って欲しいと!
で、失礼ですがあなたは那奈とどういったご関係で?」
義之さんに問われた風見さんは私の方を見て一言「オレは言ってもいいですよ」と言ってくれたので、私から答えた。
「新しい職場での常連のお客様です」
「そうです、ただの客です。ちなみに、那奈さんの本名は今さっきあなたの口から聞いて初めて知りましたよ」
風見さんが言葉の端々に軽々しく個人情報を口にするなと釘を刺すように言葉を繋いでくれた。
「あっ・・・すまない、那・・・何と呼べば良いかな?」
「もう、風見さんの前では那奈で構いません。
風見さんもここでは那奈と呼んでいただけませんか?」
「それは構いませんよ、那奈さん」
「すまない、那奈・・・」
「それでは、改めて風見さん、私のせいで殴られることになってしまい申し訳ありませんでした」
そう言いながら風見さんに向かって深く頭を下げた。
「それは俺が悪かった話で、那奈が謝ることではないだろう。
風見さん、重ね重ねになりますが、本当に申し訳ありませんでした」
「いや、大丈夫ですよ。誤解させるような事をしていたオレも悪かったですし・・・」
義之さんが風見さんに謝罪をし終えたところで、義之さんに向かって話しかけた。
「私は風見さんとお話があるので、これで失礼しますね」
「ちょっと、待ってください。風見さん、連絡先を交換していただけませんか?
このあと何かあったら対応させていただきたいので、そのために連絡が取れるようにさせてもらいたいのです」
「そんな、オレは大丈夫そうですし、義之さん?の、お気持ちだけで十分ですよ」
私が話を打ち切ろうとしたところで義之さんが話に割り込んで風見さんに対して今後のための連絡先を求めたけれども、風見さんはやんわりと角が立たないようにしつつ断りを入れた。
「そうですよね。見ず知らずの男となんか連絡先を交わしたくないですよね。
風見さんは那奈とは連絡が取れるんですか?
そうであれば、那奈を通して連絡をもらっても構わないのですが・・・」
義之さんは私の様子を伺いつつ風見さんへ提案してきた。
「那奈さんを巻き込むのは違うと思いますので、連絡先の交換をさせてもらいますね」
風見さんはそう言って義之さんとの連絡先交換を行い、それらが終わったのを見届けたところで再度切り出した。
「それでは、今度こそ失礼しますね。
義之さんはもう二度と私の所へ来ないでください・・・よろしく、お願い、しま、す」
最後の方は気持ちが昂ぶってしまいうまく発音ができなかった。
「とりあえず、今日のところはこれで失礼するよ、那奈」
義之さんはそう言うと、もう一度風見さんへ深々と頭を下げてから去っていった。
義之さんの姿が離れていったのを見届けてから改めて風見さんへ声を掛けた。
「あの、風見さん。本当にお話をさせてもらいたい事があるのですけど、お時間をいただいても良いですか?」
「もちろん良いですよ!」
「それで、他の人に聞かれたくない話もあるのでカラオケが良いのですけど大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫です!」
風見さんとふたりでカラオケ店に入り、飲み物の用意ができたところで話を切り出した。
「先程、風見さんへかかってきた電話の件なのですけど、あれは私に関係がある話ではありませんか?」
「早桜さんの質問なのでお答えしたいですけど、守秘義務というやつで何も言えないです」
「そうですか・・・そうですよね・・・
ところで、風見さんは探偵さんなんですか?」
「申し訳ないですけど、それについても何も言えないです」
「知り合ったのは最近ですけど、風見さんの為人を信じて伺いますね・・・
風見さんの立場で私の為を考えて言えるアドバイスがあればなんでも言ってもらえませんか?」
質問をし始めてからずっと申し訳無さそうだった風見さん目が少し鋭くなって、雰囲気も変わった。
「そうですね・・・早桜さんが今の状況になることになった原因である弟さんと話をして、どれだけ信じられそうにない言い訳にしか聞こえない様な内容でも一旦ちゃんと聞き入れて、それが本当か嘘かの裏取りをしっかりした方が良いですね・・・」
風見さんが話してくれた事は本当は言ってはいけない事だろうと察せられるし、隆史に聞けば何かしらの手掛かりを得られることを知っている事も・・・それ以上は野暮な詮索になるわね。
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