学校の空き教室へ仕掛けた防犯カメラにマズい映像が映っていた

したらき

文字の大きさ
118 / 252

第118話

しおりを挟む
神坂冬樹かみさかふゆき 視点◆

美波みなみと約束した土曜日になった。美晴みはるさんとふたりで家を出ようとしたら、みゆきさんも職場へ行くのに一緒に出るというので途中まで同行する事になった。


「いつもより30分以上早い時間ですけど、良いのですか?」


「いいの、いいの。こういうのも新鮮でいいじゃない」


「たしかに、たまに違うことをすると新鮮なのはありますよね」


「でしょ?
 しっかし、早いと言えばそっちじゃない?
 遊びに行くにしては早い時間よ」


「そうなんですけど、今日の目的のボードゲームカフェの開店時間に合わせているんですよ。
 開店からフリータイムで入ると夕方まで同じ料金で居られるので」


「ボードゲームって人生ゲームみたいなの?」


「そうですね、人生ゲームもボードゲームですね。
 対象が大人のものとか凝った物なんかもあるんですよ。
 人狼ゲームとか聞いたことありませんか?」


「それはあるけど、ボードなんか無いんじゃない?」


「そうですよね。厳密には違うのですけど、ボードゲームとして扱われているんですよ」


「へぇー。じゃあ、そういった頭を使う感じのゲームなんかもやるってことね」


「そんな感じです・・・」



話している内にボードゲームに興味を持ったみゆきさんへ僕と美晴さんで説明していたら、あっという間にみゆきさんと別れる駅になった。


「それでは、お仕事頑張ってください」


「そっちこそ、思いっきり楽しんできなさいよ!」



みゆきさんと別れたらすぐに待ち合わせた駅に到着した。


「美波たちはまだ着いていないみたいですね」


「そうだね。でも、約束の時間まではまだちょっとあるし、ちょっとメッセージを送ってみるね」


「はい、お願いします」


美晴さんはスマホを操作してメッセージを送ったらすぐにスマホが震えた。


「あと、5分くらいで到着するって」


「わかりました。ありがとうございます」



ちょうど5分経ったくらいで、見慣れた人影がこちらへ向かってくるのが見えた。


「おまたせ!」


「ごめんね、待たせちゃって。
 美波ちゃんが髪のセットが上手くいかないとか言い出してドタバタしてたら電車1本乗り遅れちゃったの」


春華はるかちゃん!
 それは言わないでよ!」


「まぁまぁ、美波。まだ待ち合わせた時間にはなっていないし、気にしてないよ。
 ハルも相変わらず美波をおちょくっているんだな」


「おちょくってなんかないよ。事実を言っただけだもん」


「ううぅ、春華ちゃんのいじわる!」


「ほら、ふたりとも周りを見てみろ。
 こんなところで騒いでたら迷惑だろ」


「そうよ、夏菜かなちゃんの言う通り、周りに迷惑だから落ち着きなさい」


「お姉たちの言うとおりだね。ちょっとはしゃいじゃったかも。
 って、フユ!?」


「ハル?僕がどうかした?」


「笑顔だったからからさ・・・すごく嬉しいよ!」


「うん、春華ちゃんが言うようにすごく良い笑顔だったよ」


「美波まで・・・って、姉さんに美晴さんも?」


「うん、久しぶりに冬樹の笑った顔を見たな」


「そうね、冬樹くんの心の底からと感じられる笑顔は最近見なかったわよ」


みんな口々に僕が笑顔だという。実感はないけど、きっとそうなのだろう。

ハルと美波のやり取りを見て懐かしいと思ったし、心が安らぐ思いがした。



目的のボードゲームカフェの開店直前に到着し、開店と同時に入店をした。

受付から見やすく、バックヤードとの出入り口のすぐ側の席に陣取った。

手前味噌になるけど、うちの女性陣はみんな見た目が良くナンパをされやすいのでその対策だ。


「何からやろうか?
 せっかくだから冬樹が決めてよ」


いきなり美波から振られて面食らったけど、方向性だけは決めていたのでとりあえずそれを口にした。


「久しぶりだし仲直りの意味もあるから協力型のゲームが良いかな?」


「さすがフユ!良いこと言うね!」



そんな流れで協力型のゲームで場を温めてから、チーム戦や個人戦のゲームもやったりした。

やはりボードゲームは楽しいし、楽しい時間を共有できたことで美波たちとのわだかまりもずいぶん和らいだような気がする。



◆神坂春華 視点◆

夏休み前にフユの住んでいたマンションへ泊まりに行った時のことはまだ脳裏に焼き付いていた。

お姉が入院した時はお姉のことで頭が一杯で時間も短かったからそれどころじゃなかったけど、今日は考える余裕があったからずっとフユに拒絶されたらどうしようかという恐怖心があった。

美波ちゃんがせっかく作ってくれた機会だしと思ってセッティングしてもらう事にしてからも、不安で断れば良かったかもしれないという気持ちもあって、恐怖心と期待とが綱引きをしていた。

最初の協力型ゲームの最中からその不安な心を払拭することができて、チーム戦の時には横に並んで前のようにじゃれ付くこともできたので、案ずるより産むが易しだったと思うことができてる。


その道を切り開いてくれた美波ちゃんにはすごく感謝しているけど、同時に2ヶ月くらいでここまでフユをそこまで前向きにしてくれたであろう美晴お姉にも感謝している・・・




フユ達と別れて最寄り駅まで戻り、家まで歩いている最中に美波ちゃんへ思っていることを告げることにした。


「あのさ、美波ちゃん」


「なに?春華ちゃん」


「今日はありがとね。美波ちゃんが動いてくれなかったらフユと遊べなかったと思う」


「何言ってるの?
 冬樹と遊びたかったのはわたしもだよ?」


「うん、それでもありがとうだよ。
 でもね、それはそれで感謝しているけど、フユと美晴お姉がすごくお似合いだなって思ったんだよね。
 だからさ、美波ちゃんとフユのことは応援できない・・・と言うか、中立かな?」


「そっか、春華ちゃんは協力してくれないか・・・
 まぁ、わたしもお姉ちゃんと冬樹を見てたら、すごく強力なライバルだなって思ったけどね」


「口を挟んですまんが、私も美波に協力はしないぞ」


「夏菜お姉ちゃんも駄目かぁ。
 まぁ、ふたりとも冬樹のことが一番だもんね。
 今の冬樹を見ててお姉ちゃんよりわたしってならないよね」


「うん、ごめんね。
 でも、あたしが美波ちゃんのことも大事に思っているのは信じてほしいな」


「うん、わかった」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

付き合う前から好感度が限界突破な幼馴染が、疎遠になっていた中学時代を取り戻す為に高校ではイチャイチャするだけの話

頼瑠 ユウ
青春
高校一年生の上条悠斗は、同級生にして幼馴染の一ノ瀬綾乃が別のクラスのイケメンに告白された事を知り、自身も彼女に想いを伝える為に告白をする。 綾乃とは家が隣同士で、彼女の家庭の事情もあり家族ぐるみで幼い頃から仲が良かった。 だが、悠斗は小学校卒業を前に友人達に綾乃との仲を揶揄われ、「もっと女の子らしい子が好きだ」と言ってしまい、それが切っ掛けで彼女とは疎遠になってしまっていた。 中学の三年間は拒絶されるのが怖くて、悠斗は綾乃から逃げ続けた。 とうとう高校生となり、綾乃は誰にでも分け隔てなく優しく、身体つきも女性らしくなり『学年一の美少女』と謳われる程となっている。 高嶺の花。 そんな彼女に悠斗は不釣り合いだと振られる事を覚悟していた。 だがその結果は思わぬ方向へ。実は彼女もずっと悠斗が好きで、両想いだった。 しかも、綾乃は悠斗の気を惹く為に、品行方正で才色兼備である事に努め、胸の大きさも複数のパッドで盛りに盛っていた事が発覚する。 それでも構わず、恋人となった二人は今まで出来なかった事を少しずつ取り戻していく。 他愛の無い会話や一緒にお弁当を食べたり、宿題をしたり、ゲームで遊び、デートをして互いが好きだという事を改めて自覚していく。 存分にイチャイチャし、時には異性と意識して葛藤する事もあった。 両家の家族にも交際を認められ、幸せな日々を過ごしていた。 拙いながらも愛を育んでいく中で、いつしか学校では綾乃の良からぬ噂が広まっていく。 そして綾乃に振られたイケメンは彼女の弱みを握り、自分と付き合う様に脅してきた。 それでも悠斗と綾乃は屈せずに、将来を誓う。 イケメンの企てに、友人達や家族の助けを得て立ち向かう。 付き合う前から好感度が限界突破な二人には、いかなる障害も些細な事だった。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

友達の妹が、入浴してる。

つきのはい
恋愛
 「交換してみない?」  冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。  それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。  鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。  冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。  そんなラブコメディです。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

処理中です...