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第139話
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◆岸元美晴 視点◆
冬樹くんと居るのがどことなく気不味くて「講義の前にやらないといけないことがあるから」と嘘をつき早く家を出たため、結果かなり早く大学に着いてしまった。
講義が始まるまで教室の近くの休憩所で課題のレポートを作成していたら声を掛けられた。
「岸元さん、おはようございます」
視線を向け声の主を見たら、黒髪で地味メイクをした落ち着いた服装の見慣れない女性だった。
「おはようございます?
えーと、私に何か御用でしょうか?」
「ごめんなさい。アタシ、津島です。津島玲香」
名乗られてから改めて見ると、顔立ちは津島さんその人で間違いなかった。見た目も喋り方も普段からの印象が違うので、気付けなかった。
「ごめんなさい。あまりにも変わられていたので気付きませんでした。
それで、何の御用でしょうか?」
「金曜日のこと、改めて謝罪をさせてもらいたくて・・・」
「もしかして、その格好に他人行儀な話し方はそのためにですか?」
「はい、いくら言葉で謝罪しても反省していると思ってもらえなかったら意味がないですから・・・」
「でも、金曜日に私も父達も謝罪を受け入れましたよね?」
「そうですけど、ごめんなさいって言っただけで許されることじゃないと思うし・・・
実際、自分の妹に電話してアキラくんの様な事を言って電話を切られたら気が気ではないし、ましてやそんな事をした相手が特別親しい仲でなかったら許せないなって思って・・・」
「私は津島さん・・・玲香さんと仲良くなれたと思っていましたけど、私の思い違いでしたか?」
「え?」
「仲良くなりたいと声を掛けてくれて言葉を交わして、親しくなったと思っていましたよ。
親しくなったと思ったから楽しくなってつい飲みすぎて酔い潰れてしまったわけですし、ね」
そこまで言ったところで、玲香さんは顔を歪めて抱き着いてきた。
「みはるん、ありがとう!そして、ごめん!」
「だからもう謝罪は受け取ったと言ったじゃないですか」
「でも、でもぉ・・・みはるん、もう次はないって言ったから」
「飲み会は行かないというつもりで言ったのでしたけど、そういう風に取られていたのですね」
「これからも話しかけて良い?」
「もちろんですよ。友達に話しかけるなと言うほど変わり者のつもりはないですよ」
「み゛は゛る゛~゛ん゛」
玲香さんは私に抱き着いて号泣し始めた。私よりも10cmくらい身長が高いので傍から見たら不格好に見えると思うけどそれどころじゃないのだろう・・・まだ早い時間で人が少ないのも今は良かったと思う。
それからずっと玲香さんと共に行動し、ひとコマ目の講義を終えたところで問いかけられた。
「アキラくんが、みはるんに謝るためにここへ来たいと連絡をしてきたのだけど、大丈夫かな?」
「謝罪は要らないですけど、会うのは良いですよ」
「ありがと。じゃあ返信するね。たぶん5分も掛からずに来ると思う」
対面に座っていた玲香さんが突然笑い出したので、振り返ってみるとそこには清楚なワンピースを着たモデルと言っても違和感がない長身の美女・・・アキラさんが息を切らせて立っていた。
「アキラくん、何その格好!アキラくんのスカート姿なんて中高の制服以外で初めて見たよ」
「笑うなよ、玲香。そっちだってそんな地味な格好をしているのは初めて見たよ。
ぼくだって先週の件は反省しているんだ。大元の誤解の原因を無くすのが誠意だと思って男だと間違われない格好をしたんだよ」
「アキラさんも玲香さんも似た者同士ですね。格好から入るなんて。
でも、アキラさん。玲香さんにも言ったのですけど、謝罪は受け取っているのですから、追加での謝罪は要りませんよ。
それにしても、髪の毛はどうしたんですか?すごく長くなっていますけど」
「美晴さんがそう言ってくれるのは感謝するけど、だからと言って許されないことをしたのは間違いないから・・・
ぼくだって女だし、玲香や家族が出た電話であんな事になったらと思ったらどうしても、許せなくてね。
それと、これはウィッグさ。男っぽい感じがある顔付きだからスカートを履くと違和感を持たれ易いから誤魔化すためにね」
「そうなんだよ、みはるん。高校までのアキラくんは制服に合わせるためにってロングだったんだよ。
高校を卒業してすぐにバッサリ切って男っぽい格好しかしなくなってたから忘れてたけど、くくっ」
「笑うな!
玲香だってその格好、相当違和感があるぞ!」
「アタシは普通だし。アキラくん、ウィッグだけじゃなくメイクまで清楚な感じでキメてるじゃん」
◆津島玲香 視点◆
みはるんは自分が飲みすぎたのが悪かったと言って許してくれ、友達として付き合ってくれると言ってくれたので、それはとても嬉しかった。とは言え、やはりけじめを付けたいとご家族やカレシにも直接お詫びをさせて欲しいとお願いしたところ、カレシはともかく家族はダメだと断れてしまい、理由を聞いたら妹さんが数ヶ月前に性的暴力の被害に遭っていて、その事件を想起させる様な話題を持ち込みたくないと言うのでそれ以上は何も言えなかった。
ご両親にはアタシとアキラくんが深く反省していると伝えてくれるとのことだけど、そんな背景があるみはるんのご両親に余計な心配をさせることになったのは重ねて申し訳ない気持ちになった。
みはるんのカレシに連絡を取ってくれて今日の夕方以降なら会ってもらえるというのでアキラくんとふたりでお邪魔させてもらうことにした。
みはるんがカレシとふたりで住んでいるマンションの前まで着いて、この建物だと言われた時には驚きアキラくんとふたりであれこれ問い質してしまった。みはるんのカレシに投資の才能があって若くしてそれなりに蓄えを持っててその一部で購入できたそうだ。
冬樹くんと居るのがどことなく気不味くて「講義の前にやらないといけないことがあるから」と嘘をつき早く家を出たため、結果かなり早く大学に着いてしまった。
講義が始まるまで教室の近くの休憩所で課題のレポートを作成していたら声を掛けられた。
「岸元さん、おはようございます」
視線を向け声の主を見たら、黒髪で地味メイクをした落ち着いた服装の見慣れない女性だった。
「おはようございます?
えーと、私に何か御用でしょうか?」
「ごめんなさい。アタシ、津島です。津島玲香」
名乗られてから改めて見ると、顔立ちは津島さんその人で間違いなかった。見た目も喋り方も普段からの印象が違うので、気付けなかった。
「ごめんなさい。あまりにも変わられていたので気付きませんでした。
それで、何の御用でしょうか?」
「金曜日のこと、改めて謝罪をさせてもらいたくて・・・」
「もしかして、その格好に他人行儀な話し方はそのためにですか?」
「はい、いくら言葉で謝罪しても反省していると思ってもらえなかったら意味がないですから・・・」
「でも、金曜日に私も父達も謝罪を受け入れましたよね?」
「そうですけど、ごめんなさいって言っただけで許されることじゃないと思うし・・・
実際、自分の妹に電話してアキラくんの様な事を言って電話を切られたら気が気ではないし、ましてやそんな事をした相手が特別親しい仲でなかったら許せないなって思って・・・」
「私は津島さん・・・玲香さんと仲良くなれたと思っていましたけど、私の思い違いでしたか?」
「え?」
「仲良くなりたいと声を掛けてくれて言葉を交わして、親しくなったと思っていましたよ。
親しくなったと思ったから楽しくなってつい飲みすぎて酔い潰れてしまったわけですし、ね」
そこまで言ったところで、玲香さんは顔を歪めて抱き着いてきた。
「みはるん、ありがとう!そして、ごめん!」
「だからもう謝罪は受け取ったと言ったじゃないですか」
「でも、でもぉ・・・みはるん、もう次はないって言ったから」
「飲み会は行かないというつもりで言ったのでしたけど、そういう風に取られていたのですね」
「これからも話しかけて良い?」
「もちろんですよ。友達に話しかけるなと言うほど変わり者のつもりはないですよ」
「み゛は゛る゛~゛ん゛」
玲香さんは私に抱き着いて号泣し始めた。私よりも10cmくらい身長が高いので傍から見たら不格好に見えると思うけどそれどころじゃないのだろう・・・まだ早い時間で人が少ないのも今は良かったと思う。
それからずっと玲香さんと共に行動し、ひとコマ目の講義を終えたところで問いかけられた。
「アキラくんが、みはるんに謝るためにここへ来たいと連絡をしてきたのだけど、大丈夫かな?」
「謝罪は要らないですけど、会うのは良いですよ」
「ありがと。じゃあ返信するね。たぶん5分も掛からずに来ると思う」
対面に座っていた玲香さんが突然笑い出したので、振り返ってみるとそこには清楚なワンピースを着たモデルと言っても違和感がない長身の美女・・・アキラさんが息を切らせて立っていた。
「アキラくん、何その格好!アキラくんのスカート姿なんて中高の制服以外で初めて見たよ」
「笑うなよ、玲香。そっちだってそんな地味な格好をしているのは初めて見たよ。
ぼくだって先週の件は反省しているんだ。大元の誤解の原因を無くすのが誠意だと思って男だと間違われない格好をしたんだよ」
「アキラさんも玲香さんも似た者同士ですね。格好から入るなんて。
でも、アキラさん。玲香さんにも言ったのですけど、謝罪は受け取っているのですから、追加での謝罪は要りませんよ。
それにしても、髪の毛はどうしたんですか?すごく長くなっていますけど」
「美晴さんがそう言ってくれるのは感謝するけど、だからと言って許されないことをしたのは間違いないから・・・
ぼくだって女だし、玲香や家族が出た電話であんな事になったらと思ったらどうしても、許せなくてね。
それと、これはウィッグさ。男っぽい感じがある顔付きだからスカートを履くと違和感を持たれ易いから誤魔化すためにね」
「そうなんだよ、みはるん。高校までのアキラくんは制服に合わせるためにってロングだったんだよ。
高校を卒業してすぐにバッサリ切って男っぽい格好しかしなくなってたから忘れてたけど、くくっ」
「笑うな!
玲香だってその格好、相当違和感があるぞ!」
「アタシは普通だし。アキラくん、ウィッグだけじゃなくメイクまで清楚な感じでキメてるじゃん」
◆津島玲香 視点◆
みはるんは自分が飲みすぎたのが悪かったと言って許してくれ、友達として付き合ってくれると言ってくれたので、それはとても嬉しかった。とは言え、やはりけじめを付けたいとご家族やカレシにも直接お詫びをさせて欲しいとお願いしたところ、カレシはともかく家族はダメだと断れてしまい、理由を聞いたら妹さんが数ヶ月前に性的暴力の被害に遭っていて、その事件を想起させる様な話題を持ち込みたくないと言うのでそれ以上は何も言えなかった。
ご両親にはアタシとアキラくんが深く反省していると伝えてくれるとのことだけど、そんな背景があるみはるんのご両親に余計な心配をさせることになったのは重ねて申し訳ない気持ちになった。
みはるんのカレシに連絡を取ってくれて今日の夕方以降なら会ってもらえるというのでアキラくんとふたりでお邪魔させてもらうことにした。
みはるんがカレシとふたりで住んでいるマンションの前まで着いて、この建物だと言われた時には驚きアキラくんとふたりであれこれ問い質してしまった。みはるんのカレシに投資の才能があって若くしてそれなりに蓄えを持っててその一部で購入できたそうだ。
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