154 / 252
第154話
しおりを挟む
◆神坂冬樹 視点◆
学校での今後の相談が終わって、美波から相談したいことがあると言われて法律研究部の部室へハルも含めて3人で移動した。
「実はね、凪沙さん、つまり二之宮さんと連絡が取れなくなってしまったの。
メッセージの返信が来なくなったどころか既読も付かなくなって電話をしてみたのだけど『現在使われておりません』ってアナウンスが流れてくるだけで、どうしても気になったからお家へ行ったのだけどお父さんから『縁を切って出ていったから知らない』と言われたの。
心配だからどうにかして連絡を取るか会うかしたいのだけど、どうすれば良いのかわからなくて・・・」
「二之宮は鷺ノ宮のお姉さん、那奈さんの元にいるよ」
「ええ?どうして?」
「二之宮の両親がネグレクトみたいな状況で食事も与えないような状況だったらしくて、見かねた那奈さんが警察や児童相談所と連携して二之宮を保護したらしい。
連絡を取りたいなら那奈さんに聞いてみるからちょっと待っててくれ」
美波達と他愛のない雑談をしながら、那奈さんへメッセージで美波が知りたがっているから教えて欲しいという旨のメッセージを送ったら、5分も待たされることなく返信が来て今のメッセージアプリのIDと電話番号を教えてもらったので美波に共有した。
◆岸元美波 視点◆
近い内に冬樹とクラスへ復帰できることになった。しかも春華ちゃんもうちのクラスに異動してくるし、3年生に進級してもこの3人は同じクラスになる様に学校から約束をしてもらったのでこの半年の台無しにした時間を取り戻していくチャンスをもらえたと思う。
もちろんみんなが言うように嫌なことを掘り起こして面白おかしくわたしを傷付けようとしてくる人も居ると思うけど、実際に悍ましい事をされたあの日の絶望に比べれば些細なことだと思う。そんな傷付けられるかもしれないという事を気にして楽しい学生生活を送るチャンスを無駄にすることはしたくないと言うのが率直な想い。
第一冬樹のことが大事な存在だと再認識した今は関係を深めていきたいと思うし、今はお姉ちゃんと付き合っているけど未来がどうなるのかなんてわからないから、恋愛対象として見てもらうためのアピールをするためにも必要なことで、虎穴に入らずんば虎児を得ずということわざの通りだと思う。
連絡が取れなくなっていた凪沙さんは鷺ノ宮くんのお姉さんの元にいるらしい・・・どういう経緯なのかはすぐに飲み込めなかったけど、連絡先を教えてもらえて良かった。
◆二之宮凪沙 視点◆
冬樹の幼馴染みが私の連絡先を知りたがっているとメッセージが来たけど教えて良いかと那奈さんから言われた。
その幼馴染みは美波さんのことだろうし、連絡が取れなくなって心配をさせてしまっていたのだろうと思いすぐに了承し、那奈さんは冬樹へ返信していた。
そんな事があった11月ももう終わるという日の夜に想像していた通り美波さんからメッセージが届いて、私からもメッセージを返したのをきっかけに通話アプリに切り替え近況を教えてもらった。
内容は私との連絡が取れなくなって心配していたことから始まり、美波さん達が特別教室で登校していることが裏サイトで暴露され悪意のある書き込みがされたのを冬樹が撃退したこと、そんなことがあった流れで美波さんと冬樹が元のクラスへ復帰することになったことまで・・・
私からも那奈さんの元に引き取られることになった経緯を伝えた。
時期の約束こそしなかったものの、お互いが落ち着いたら会おうという約束を交わして通話を終えた。
そんな様子を側で見ていた那奈さんは「心配してくれるお友達がいて良かったわ」と喜んでくれたけど、彼女は私が余計なことをしなかったら冬樹と付き合って幸せになれていたかも知れないし、そうでなくとも集団凌辱されることはなかったはずの被害者なので胸が張り裂けそうな思いになる。
那奈さんといる様になってからこういう事が多い。以前は何も痛痒を感じなかったことでも、ひとつひとつ罪を掘り起こされ自分の醜悪さ愚かさ残酷さを突き付けられ胸が痛む。那奈さんもその対象のひとりではあるけど、そういった枠を超えて那奈さんの考え方が私へ牙を剥いてくる。
ただ、人として壊れた感覚でいた私を受け入れて崇高な善意で再構成してくれていることは感謝している・・・できることなら、私が大きな過ちをしでかす前に出会いたかった。
学校での今後の相談が終わって、美波から相談したいことがあると言われて法律研究部の部室へハルも含めて3人で移動した。
「実はね、凪沙さん、つまり二之宮さんと連絡が取れなくなってしまったの。
メッセージの返信が来なくなったどころか既読も付かなくなって電話をしてみたのだけど『現在使われておりません』ってアナウンスが流れてくるだけで、どうしても気になったからお家へ行ったのだけどお父さんから『縁を切って出ていったから知らない』と言われたの。
心配だからどうにかして連絡を取るか会うかしたいのだけど、どうすれば良いのかわからなくて・・・」
「二之宮は鷺ノ宮のお姉さん、那奈さんの元にいるよ」
「ええ?どうして?」
「二之宮の両親がネグレクトみたいな状況で食事も与えないような状況だったらしくて、見かねた那奈さんが警察や児童相談所と連携して二之宮を保護したらしい。
連絡を取りたいなら那奈さんに聞いてみるからちょっと待っててくれ」
美波達と他愛のない雑談をしながら、那奈さんへメッセージで美波が知りたがっているから教えて欲しいという旨のメッセージを送ったら、5分も待たされることなく返信が来て今のメッセージアプリのIDと電話番号を教えてもらったので美波に共有した。
◆岸元美波 視点◆
近い内に冬樹とクラスへ復帰できることになった。しかも春華ちゃんもうちのクラスに異動してくるし、3年生に進級してもこの3人は同じクラスになる様に学校から約束をしてもらったのでこの半年の台無しにした時間を取り戻していくチャンスをもらえたと思う。
もちろんみんなが言うように嫌なことを掘り起こして面白おかしくわたしを傷付けようとしてくる人も居ると思うけど、実際に悍ましい事をされたあの日の絶望に比べれば些細なことだと思う。そんな傷付けられるかもしれないという事を気にして楽しい学生生活を送るチャンスを無駄にすることはしたくないと言うのが率直な想い。
第一冬樹のことが大事な存在だと再認識した今は関係を深めていきたいと思うし、今はお姉ちゃんと付き合っているけど未来がどうなるのかなんてわからないから、恋愛対象として見てもらうためのアピールをするためにも必要なことで、虎穴に入らずんば虎児を得ずということわざの通りだと思う。
連絡が取れなくなっていた凪沙さんは鷺ノ宮くんのお姉さんの元にいるらしい・・・どういう経緯なのかはすぐに飲み込めなかったけど、連絡先を教えてもらえて良かった。
◆二之宮凪沙 視点◆
冬樹の幼馴染みが私の連絡先を知りたがっているとメッセージが来たけど教えて良いかと那奈さんから言われた。
その幼馴染みは美波さんのことだろうし、連絡が取れなくなって心配をさせてしまっていたのだろうと思いすぐに了承し、那奈さんは冬樹へ返信していた。
そんな事があった11月ももう終わるという日の夜に想像していた通り美波さんからメッセージが届いて、私からもメッセージを返したのをきっかけに通話アプリに切り替え近況を教えてもらった。
内容は私との連絡が取れなくなって心配していたことから始まり、美波さん達が特別教室で登校していることが裏サイトで暴露され悪意のある書き込みがされたのを冬樹が撃退したこと、そんなことがあった流れで美波さんと冬樹が元のクラスへ復帰することになったことまで・・・
私からも那奈さんの元に引き取られることになった経緯を伝えた。
時期の約束こそしなかったものの、お互いが落ち着いたら会おうという約束を交わして通話を終えた。
そんな様子を側で見ていた那奈さんは「心配してくれるお友達がいて良かったわ」と喜んでくれたけど、彼女は私が余計なことをしなかったら冬樹と付き合って幸せになれていたかも知れないし、そうでなくとも集団凌辱されることはなかったはずの被害者なので胸が張り裂けそうな思いになる。
那奈さんといる様になってからこういう事が多い。以前は何も痛痒を感じなかったことでも、ひとつひとつ罪を掘り起こされ自分の醜悪さ愚かさ残酷さを突き付けられ胸が痛む。那奈さんもその対象のひとりではあるけど、そういった枠を超えて那奈さんの考え方が私へ牙を剥いてくる。
ただ、人として壊れた感覚でいた私を受け入れて崇高な善意で再構成してくれていることは感謝している・・・できることなら、私が大きな過ちをしでかす前に出会いたかった。
0
あなたにおすすめの小説
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
付き合う前から好感度が限界突破な幼馴染が、疎遠になっていた中学時代を取り戻す為に高校ではイチャイチャするだけの話
頼瑠 ユウ
青春
高校一年生の上条悠斗は、同級生にして幼馴染の一ノ瀬綾乃が別のクラスのイケメンに告白された事を知り、自身も彼女に想いを伝える為に告白をする。
綾乃とは家が隣同士で、彼女の家庭の事情もあり家族ぐるみで幼い頃から仲が良かった。
だが、悠斗は小学校卒業を前に友人達に綾乃との仲を揶揄われ、「もっと女の子らしい子が好きだ」と言ってしまい、それが切っ掛けで彼女とは疎遠になってしまっていた。
中学の三年間は拒絶されるのが怖くて、悠斗は綾乃から逃げ続けた。
とうとう高校生となり、綾乃は誰にでも分け隔てなく優しく、身体つきも女性らしくなり『学年一の美少女』と謳われる程となっている。
高嶺の花。
そんな彼女に悠斗は不釣り合いだと振られる事を覚悟していた。
だがその結果は思わぬ方向へ。実は彼女もずっと悠斗が好きで、両想いだった。
しかも、綾乃は悠斗の気を惹く為に、品行方正で才色兼備である事に努め、胸の大きさも複数のパッドで盛りに盛っていた事が発覚する。
それでも構わず、恋人となった二人は今まで出来なかった事を少しずつ取り戻していく。
他愛の無い会話や一緒にお弁当を食べたり、宿題をしたり、ゲームで遊び、デートをして互いが好きだという事を改めて自覚していく。
存分にイチャイチャし、時には異性と意識して葛藤する事もあった。
両家の家族にも交際を認められ、幸せな日々を過ごしていた。
拙いながらも愛を育んでいく中で、いつしか学校では綾乃の良からぬ噂が広まっていく。
そして綾乃に振られたイケメンは彼女の弱みを握り、自分と付き合う様に脅してきた。
それでも悠斗と綾乃は屈せずに、将来を誓う。
イケメンの企てに、友人達や家族の助けを得て立ち向かう。
付き合う前から好感度が限界突破な二人には、いかなる障害も些細な事だった。
友達の妹が、入浴してる。
つきのはい
恋愛
「交換してみない?」
冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。
それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。
鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。
冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。
そんなラブコメディです。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる