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第155話
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◆神坂春華 視点◆
いよいよクラス異動する日になった。
転校生と新谷君とあたしに対して直前の説明があるからと指示されていた通りSHRの15分前に登校し、職員室の隣の来賓室に着くと見知らぬ女子生徒だけがいて新谷くんはまだ来ていなかった。
「はじめまして、今日からの転校生ですか?」
「はい、そうです。わたくし梅田香織と申します。
どうぞ、よろしくお願いいたします」
「こちらこそ、あたしは神坂春華。こんなのでも生徒会長だから何か困ったことがあったら相談してね」
「生徒会長なのですね。高梨先生からお話を伺ってはいましたけど、わたくし達転校生の対応でクラスを変わることになったそうで申し訳ないです」
「ううん、大丈夫だから気にしないで。むしろ、あたしにとっても良いクラス異動だったからきっかけの転校生には感謝だよ」
「そう言っていただけると、気が休まります。
ところで、神坂と名乗られていましたけど、神坂冬樹さんと関係がある方でしょうか?」
「冬樹はあたしの双子の兄だけど、なんで知ってるの?」
「先週、手続きでこちらへ訪問した際に校内で迷ってしまっていたところを案内していただいたのです」
「そうだったんだ。相変わらずだなぁ」
「ところで、先週は修学旅行だったのですよね?
なんで冬樹さんは校内にいらっしゃったのですか?」
「あぁ、そう思うよね。どうせすぐにわかることだから言っちゃうけど、一学期に女子生徒に襲いかかったという冤罪をかけられちゃって、それが晴れるまでは距離を置かれたり嫌がらせをされていたし、晴れてからも色々あって通常のクラスから離れていたんだ。
まぁ、それも変わって近い内にあたし達のクラスへ戻ってくる予定になっているよ」
「まぁ、冬樹さんとは同じクラスなのですね」
「うん、そうだよ」
「それは楽しみです。その時はぜひちゃんと紹介してくださいね」
「もちろん紹介するよ!」
そんなやり取りをしている内に初対面のはずの梅田さんをどこかで会った事がある様な気がして気になっていた・・・
「ところでさ、梅田さん。あたしたち、何処かで会ったこと無いかな?」
「今が初対面だと思いますよ?」
「そうだよね。でも、さっきから何処かで会ったことが有るような気がしてるんだよね」
◆梅田香織 視点◆
わたくしは幼い頃からアニメが好きで小学生の時にはアニメ声優になりたいと思っていて、両親にも応援してもらえて中学へ進学する時に中学生でも通えるコースが有る養成所へ通わせてもらえ、必死に頑張った甲斐もあり中学3年生に進級するのと同時に養成所の系列の事務所へ所属することができ、中学生であるという若さも追い風になって1年目から主人公やメインヒロインの役もいただけていた。
そんな状況だったので高校1年の時にはアニメ関連のメディアやイベントにも顔を出すようになっていて、ありがたいことに応援してくださる方もいらっしゃった。
ただ、その中に応援の仕方が一般常識から掛け離れ、わたくしの周囲の方達・・・特に学校や級友たちへ迷惑という形で行う方が出てきてしまった。
その好ましくない応援をされる方には事務所や学校や警察に相応の対応をしていただき、一応の解決をしたもののわたくしが大元であるという事実は変えようがなく学校から理事同士の伝手がある学校への転校を提案された。
その学校は夏休みの前後で大きな問題が起きてしまっていて一時SNSで悪い盛り上がり方をしてしまっていたし、問題に関わった生徒も多く退学しているため欠員が多くわたくしが転校するには悪くない条件だろうというものだった。
諸々提示された条件を考慮し両親や事務所も勧めてくれたのでその学校へ転校する事にした。
そんな経緯もあり、わたくしが若手声優の愛島唄であることは隠すつもりでいて、学校にいる時には唄とはわからない姿をするようにすることにし、当然今もその姿にしている。
仕事の時だけウィッグをかぶるようにして、元々長かった髪をバッサリ切り、それ以外にも見た目の印象を化粧で変えて大人し目の印象の唄とは違い、明るくて派手ないわゆるギャルみたいな見た目に寄せている。この姿は落ち着かないけど、普段の格好では愛島唄と気付かれてしまう可能性が高まるだろうと割り切ることにしている。
なので、仮に今まさに相対している春華さんが声優愛島唄を知っていたとしても梅田香織が愛島唄だとは気付かれないはずだと思います。
「他人の空似ではないでしょうか?」
「うーん、そうだよね。でも、どこかで会ったことが有る気がする・・・
って、もしかして愛島唄ちゃんじゃない?」
「え?愛島唄?何者ですか?」
「あー、やっぱりそうだよ。そうだと思って声を聞いたら唄ちゃんだよ」
「そんな、わたくしが声優さんなわけないじゃないですか」
「そっか。でも、さっきは愛島唄ちゃんが何者かと尋ね返してたのに、なんで声優だって突然知ったの?
『マヌケは見つかったようだな』だよ、唄ちゃん」
どうやら観念しないといけないようです。
こう言っては失礼ですけど、見た目はあまり賢いという感じではない春華さんですけど、生徒会長になるくらいだけあって頭は良いようです。
「あの、ここだけの話にしてもらえませんか。
その職業が転校の理由になっていますし、学校にも芸名すら伝えず少し芸能活動をしているとしか伝えていないのです」
「うん、わかったよ。唄ちゃんのファンとして、唄ちゃんに迷惑をかける様な事はしないように秘密にするよ」
「あの、本当にお願いしますね」
「うん、任せといて」
そのやり取りが終わったところで、高梨先生と恐らく先生と思われる方が更におふたりと男子生徒の4名の方が来賓室へ入っていらっしゃった。
いよいよクラス異動する日になった。
転校生と新谷君とあたしに対して直前の説明があるからと指示されていた通りSHRの15分前に登校し、職員室の隣の来賓室に着くと見知らぬ女子生徒だけがいて新谷くんはまだ来ていなかった。
「はじめまして、今日からの転校生ですか?」
「はい、そうです。わたくし梅田香織と申します。
どうぞ、よろしくお願いいたします」
「こちらこそ、あたしは神坂春華。こんなのでも生徒会長だから何か困ったことがあったら相談してね」
「生徒会長なのですね。高梨先生からお話を伺ってはいましたけど、わたくし達転校生の対応でクラスを変わることになったそうで申し訳ないです」
「ううん、大丈夫だから気にしないで。むしろ、あたしにとっても良いクラス異動だったからきっかけの転校生には感謝だよ」
「そう言っていただけると、気が休まります。
ところで、神坂と名乗られていましたけど、神坂冬樹さんと関係がある方でしょうか?」
「冬樹はあたしの双子の兄だけど、なんで知ってるの?」
「先週、手続きでこちらへ訪問した際に校内で迷ってしまっていたところを案内していただいたのです」
「そうだったんだ。相変わらずだなぁ」
「ところで、先週は修学旅行だったのですよね?
なんで冬樹さんは校内にいらっしゃったのですか?」
「あぁ、そう思うよね。どうせすぐにわかることだから言っちゃうけど、一学期に女子生徒に襲いかかったという冤罪をかけられちゃって、それが晴れるまでは距離を置かれたり嫌がらせをされていたし、晴れてからも色々あって通常のクラスから離れていたんだ。
まぁ、それも変わって近い内にあたし達のクラスへ戻ってくる予定になっているよ」
「まぁ、冬樹さんとは同じクラスなのですね」
「うん、そうだよ」
「それは楽しみです。その時はぜひちゃんと紹介してくださいね」
「もちろん紹介するよ!」
そんなやり取りをしている内に初対面のはずの梅田さんをどこかで会った事がある様な気がして気になっていた・・・
「ところでさ、梅田さん。あたしたち、何処かで会ったこと無いかな?」
「今が初対面だと思いますよ?」
「そうだよね。でも、さっきから何処かで会ったことが有るような気がしてるんだよね」
◆梅田香織 視点◆
わたくしは幼い頃からアニメが好きで小学生の時にはアニメ声優になりたいと思っていて、両親にも応援してもらえて中学へ進学する時に中学生でも通えるコースが有る養成所へ通わせてもらえ、必死に頑張った甲斐もあり中学3年生に進級するのと同時に養成所の系列の事務所へ所属することができ、中学生であるという若さも追い風になって1年目から主人公やメインヒロインの役もいただけていた。
そんな状況だったので高校1年の時にはアニメ関連のメディアやイベントにも顔を出すようになっていて、ありがたいことに応援してくださる方もいらっしゃった。
ただ、その中に応援の仕方が一般常識から掛け離れ、わたくしの周囲の方達・・・特に学校や級友たちへ迷惑という形で行う方が出てきてしまった。
その好ましくない応援をされる方には事務所や学校や警察に相応の対応をしていただき、一応の解決をしたもののわたくしが大元であるという事実は変えようがなく学校から理事同士の伝手がある学校への転校を提案された。
その学校は夏休みの前後で大きな問題が起きてしまっていて一時SNSで悪い盛り上がり方をしてしまっていたし、問題に関わった生徒も多く退学しているため欠員が多くわたくしが転校するには悪くない条件だろうというものだった。
諸々提示された条件を考慮し両親や事務所も勧めてくれたのでその学校へ転校する事にした。
そんな経緯もあり、わたくしが若手声優の愛島唄であることは隠すつもりでいて、学校にいる時には唄とはわからない姿をするようにすることにし、当然今もその姿にしている。
仕事の時だけウィッグをかぶるようにして、元々長かった髪をバッサリ切り、それ以外にも見た目の印象を化粧で変えて大人し目の印象の唄とは違い、明るくて派手ないわゆるギャルみたいな見た目に寄せている。この姿は落ち着かないけど、普段の格好では愛島唄と気付かれてしまう可能性が高まるだろうと割り切ることにしている。
なので、仮に今まさに相対している春華さんが声優愛島唄を知っていたとしても梅田香織が愛島唄だとは気付かれないはずだと思います。
「他人の空似ではないでしょうか?」
「うーん、そうだよね。でも、どこかで会ったことが有る気がする・・・
って、もしかして愛島唄ちゃんじゃない?」
「え?愛島唄?何者ですか?」
「あー、やっぱりそうだよ。そうだと思って声を聞いたら唄ちゃんだよ」
「そんな、わたくしが声優さんなわけないじゃないですか」
「そっか。でも、さっきは愛島唄ちゃんが何者かと尋ね返してたのに、なんで声優だって突然知ったの?
『マヌケは見つかったようだな』だよ、唄ちゃん」
どうやら観念しないといけないようです。
こう言っては失礼ですけど、見た目はあまり賢いという感じではない春華さんですけど、生徒会長になるくらいだけあって頭は良いようです。
「あの、ここだけの話にしてもらえませんか。
その職業が転校の理由になっていますし、学校にも芸名すら伝えず少し芸能活動をしているとしか伝えていないのです」
「うん、わかったよ。唄ちゃんのファンとして、唄ちゃんに迷惑をかける様な事はしないように秘密にするよ」
「あの、本当にお願いしますね」
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