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第156話
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◆岸元美波 視点◆
凪沙さんと連絡が取れるようになって数日、その間そんなに積極的にやり取りはしなかったけど、凪沙さんから高梨先生に直接会って話をしたくて、でも学校へは近付きたくないからと自宅まで行ったら旦那さんの新しい奥さんという人から離婚して家から出ていったという話をされて会えなかったという話をされた。
その流れで学校ではない場所で会える様に先生に話をして欲しいと言うお願いをされ、そちらはわたしが学校へ行けば会えるだろうからと請け負った。
プライベートのことで他人に知られたくないような内容でも有るので口外するつもりはないけど、先生がお困りでないかは心配になる。凪沙さんのお願いの件と合わせてその辺りも聞いてみようと思う。
そんな事を考えていたら高梨先生から電話がかかってきて、明日から受け入れる準備が整ったということで、わたしの方がいつから登校するかという確認で明日から登校すると回答し簡単に説明を聞いてから、わたしから質問をさせてもらった。
「別件になるのですけど、お話して良いですか?」
『もちろん良いですよ。なんですか?』
「わたしは最近になって二之宮凪沙さんと仲良くさせてもらうようになったのですけど、その凪沙さんが学校ではない場所で高梨先生とお話をさせて欲しいと言っているのです。
お時間を作っていただくことは可能でしょうか?」
『二之宮さんが?
もちろん時間は作りますけど、彼女は今どういう状況なのですか?』
「簡単に言ってしまうと、両親に絶縁されて鷺ノ宮君のお姉さんに保護されています」
『ええ?鷺ノ宮君のお姉さんに保護?』
「やっぱり驚いてしまいますよね。わたしも最初に聞いた時はびっくりしました。
話を聞く感じだとお姉さんは人格者な様で、凪沙さんのせいで家族が不幸になっているのにその事に触れないそうです」
『そうなのですね。でも、気になっていたから現状を教えてもらえて良かったです。
それにしても、直接連絡をしてもらっても良かったのに・・・』
「それについても、両親とのいざこざでデータを引き継げないままスマホを親へ返してしまったので失ってしまったそうで、わたしもそれで最近まで連絡が取れなくて心配してました」
『そんなことがあったのですね。でしたら、わたしの連絡先を二之宮さんへ教えてあげてもらっていいですか』
「はい、先生が良いならそうさせてもらいます。
少し話が逸れるのですけど、凪沙さんが先生にお会いしたくて前の自宅まで行ったことがあったそうなのですけど・・・その・・・」
『なるほど、わたしの現状を知ってしまったということですね』
「はい・・・今のところ、知っているのは凪沙さんとわたしだけです」
『たしかに、恥ずかしいことなので知られたくないので気遣ってもらえるのはありがたいです。
学校でも知っているのはごく僅かな先生だけですから』
「そうなのですね。確かに吹聴されたくないですよね」
『ええ。でも、冬樹君と美晴さんには言わないとダメよね』
「ん?どうして、冬樹とお姉ちゃんに言わないとダメなんですか?」
『それはですね。冬樹君たちに迷惑をかけたわたしの友人も関係しているからなのです』
「また、妙なところで関係していたんですね」
『ええ、恥ずかしいことなのだけど・・・
そういうことですので近い内に冬樹君たちへは報告へ行きますので岸元さんからは言わないでもらえるとありがたいです』
「わかりました。わたしから口外しないようにします」
夕方になって春華ちゃんが帰宅してからわたしの部屋へ来てくれた。
「美波ちゃん、明日から学校へ登校するんだって?
早かったよね。色々不安もあるけど、やっぱり一緒のクラスになれるのは嬉しいよ」
「もう聞いてたんだ。そうなの。明日から登校するからよろしくね。
それはそうと、春華ちゃんはわたしのクラスに異動してどうだった?」
「まだ初日だけど今後もうまくやっていけると思う。
元々フユや美波ちゃんがいるクラスだし、一応生徒会長という肩書きも有るからさ。
それよりも、転校生と仲良くなったよ。すっごく美人で雰囲気があって可愛いの!」
「そうなんだ、じゃあ明日登校したらわたしにも紹介してね」
「うん、美波ちゃんにも紹介するよ!」
春華ちゃんと話していて不安よりも楽しみの方が大きいことを再認識した。春華ちゃんの話には冬樹の事は出てこなかったけど、わたしにとっては春華ちゃんと同じクラスになれたこと以上に楽しみなのが冬樹と同じクラスで過ごすことなので、それは相当なものだ。
◆梅田香織 視点◆
転校初日は無事過ごす事ができたと思います。
クラスメイトになった神坂春華さんにわたくしが声優の愛島唄であることを知られてしまいましたけれど、その事は秘密にしてくださると約束をしてくださいましたし、うっかりでもわざとでもわたくしの秘密を明かしてしまいそうな気配すらなく、まずもって心配することはなさそうです。
しかも、春華さんはわたくしが先週お会いした時に一目で気になった神坂冬樹さんの双子の妹さんということで目下一番仲良くしたい相手であり、そういう意味でも幸先よい新生活が始められたと思います。
先週お会いした冬樹さんは高校生離れした雰囲気を纏っていて驚かされました。超高校生級どころか芸能活動を長年続けているようなベテランに似た雰囲気で、高校生の見た目とのギャップが魅力的に感じるものでした。
見目は声優の活動でお会いする役者やアイドルと言った方達に見劣りするところはあれど決して悪いものではなく、けれどもいくらでも繕える見た目よりも内側から滲み出る雰囲気が何よりも人間としての深みを感じさせるもので・・・お付き合いをする相手として望むかどうかは一先ず置いて・・・どういうお方なのかを知りたいと思い、転校したらお会いしに行こうと考えていた方なので春華さんが仲良くしたいと仰ってくださって渡りに船でした。
春華さんもわたくしの事をひと目で看破したにも関わらず愛島唄だから仲良くしたいという下心ではなく、わたくしに学校生活を楽しんで欲しいという気持ちが伝わる心遣いで接してくださって久しぶりに学校生活を楽しめた様に思います。
前の学校で問題を起こされ転校をしなければならないとなった時に紹介された秀優高校は大きな問題があったばかりという事で不安もありましたが、周囲の方々が言っていた様に問題を起こした生徒は退学していなくなり学校側も再発防止で力を入れているので、逆に今転校するなら悪くないという説明は的を射ていたと思います。
もう一つ、学力レベルがわたくしの学力より高いので授業へついて行けるかという心配もありますが、こちらも春華さんがサポートしてくださるということですので大丈夫だと思いたいところです。
凪沙さんと連絡が取れるようになって数日、その間そんなに積極的にやり取りはしなかったけど、凪沙さんから高梨先生に直接会って話をしたくて、でも学校へは近付きたくないからと自宅まで行ったら旦那さんの新しい奥さんという人から離婚して家から出ていったという話をされて会えなかったという話をされた。
その流れで学校ではない場所で会える様に先生に話をして欲しいと言うお願いをされ、そちらはわたしが学校へ行けば会えるだろうからと請け負った。
プライベートのことで他人に知られたくないような内容でも有るので口外するつもりはないけど、先生がお困りでないかは心配になる。凪沙さんのお願いの件と合わせてその辺りも聞いてみようと思う。
そんな事を考えていたら高梨先生から電話がかかってきて、明日から受け入れる準備が整ったということで、わたしの方がいつから登校するかという確認で明日から登校すると回答し簡単に説明を聞いてから、わたしから質問をさせてもらった。
「別件になるのですけど、お話して良いですか?」
『もちろん良いですよ。なんですか?』
「わたしは最近になって二之宮凪沙さんと仲良くさせてもらうようになったのですけど、その凪沙さんが学校ではない場所で高梨先生とお話をさせて欲しいと言っているのです。
お時間を作っていただくことは可能でしょうか?」
『二之宮さんが?
もちろん時間は作りますけど、彼女は今どういう状況なのですか?』
「簡単に言ってしまうと、両親に絶縁されて鷺ノ宮君のお姉さんに保護されています」
『ええ?鷺ノ宮君のお姉さんに保護?』
「やっぱり驚いてしまいますよね。わたしも最初に聞いた時はびっくりしました。
話を聞く感じだとお姉さんは人格者な様で、凪沙さんのせいで家族が不幸になっているのにその事に触れないそうです」
『そうなのですね。でも、気になっていたから現状を教えてもらえて良かったです。
それにしても、直接連絡をしてもらっても良かったのに・・・』
「それについても、両親とのいざこざでデータを引き継げないままスマホを親へ返してしまったので失ってしまったそうで、わたしもそれで最近まで連絡が取れなくて心配してました」
『そんなことがあったのですね。でしたら、わたしの連絡先を二之宮さんへ教えてあげてもらっていいですか』
「はい、先生が良いならそうさせてもらいます。
少し話が逸れるのですけど、凪沙さんが先生にお会いしたくて前の自宅まで行ったことがあったそうなのですけど・・・その・・・」
『なるほど、わたしの現状を知ってしまったということですね』
「はい・・・今のところ、知っているのは凪沙さんとわたしだけです」
『たしかに、恥ずかしいことなので知られたくないので気遣ってもらえるのはありがたいです。
学校でも知っているのはごく僅かな先生だけですから』
「そうなのですね。確かに吹聴されたくないですよね」
『ええ。でも、冬樹君と美晴さんには言わないとダメよね』
「ん?どうして、冬樹とお姉ちゃんに言わないとダメなんですか?」
『それはですね。冬樹君たちに迷惑をかけたわたしの友人も関係しているからなのです』
「また、妙なところで関係していたんですね」
『ええ、恥ずかしいことなのだけど・・・
そういうことですので近い内に冬樹君たちへは報告へ行きますので岸元さんからは言わないでもらえるとありがたいです』
「わかりました。わたしから口外しないようにします」
夕方になって春華ちゃんが帰宅してからわたしの部屋へ来てくれた。
「美波ちゃん、明日から学校へ登校するんだって?
早かったよね。色々不安もあるけど、やっぱり一緒のクラスになれるのは嬉しいよ」
「もう聞いてたんだ。そうなの。明日から登校するからよろしくね。
それはそうと、春華ちゃんはわたしのクラスに異動してどうだった?」
「まだ初日だけど今後もうまくやっていけると思う。
元々フユや美波ちゃんがいるクラスだし、一応生徒会長という肩書きも有るからさ。
それよりも、転校生と仲良くなったよ。すっごく美人で雰囲気があって可愛いの!」
「そうなんだ、じゃあ明日登校したらわたしにも紹介してね」
「うん、美波ちゃんにも紹介するよ!」
春華ちゃんと話していて不安よりも楽しみの方が大きいことを再認識した。春華ちゃんの話には冬樹の事は出てこなかったけど、わたしにとっては春華ちゃんと同じクラスになれたこと以上に楽しみなのが冬樹と同じクラスで過ごすことなので、それは相当なものだ。
◆梅田香織 視点◆
転校初日は無事過ごす事ができたと思います。
クラスメイトになった神坂春華さんにわたくしが声優の愛島唄であることを知られてしまいましたけれど、その事は秘密にしてくださると約束をしてくださいましたし、うっかりでもわざとでもわたくしの秘密を明かしてしまいそうな気配すらなく、まずもって心配することはなさそうです。
しかも、春華さんはわたくしが先週お会いした時に一目で気になった神坂冬樹さんの双子の妹さんということで目下一番仲良くしたい相手であり、そういう意味でも幸先よい新生活が始められたと思います。
先週お会いした冬樹さんは高校生離れした雰囲気を纏っていて驚かされました。超高校生級どころか芸能活動を長年続けているようなベテランに似た雰囲気で、高校生の見た目とのギャップが魅力的に感じるものでした。
見目は声優の活動でお会いする役者やアイドルと言った方達に見劣りするところはあれど決して悪いものではなく、けれどもいくらでも繕える見た目よりも内側から滲み出る雰囲気が何よりも人間としての深みを感じさせるもので・・・お付き合いをする相手として望むかどうかは一先ず置いて・・・どういうお方なのかを知りたいと思い、転校したらお会いしに行こうと考えていた方なので春華さんが仲良くしたいと仰ってくださって渡りに船でした。
春華さんもわたくしの事をひと目で看破したにも関わらず愛島唄だから仲良くしたいという下心ではなく、わたくしに学校生活を楽しんで欲しいという気持ちが伝わる心遣いで接してくださって久しぶりに学校生活を楽しめた様に思います。
前の学校で問題を起こされ転校をしなければならないとなった時に紹介された秀優高校は大きな問題があったばかりという事で不安もありましたが、周囲の方々が言っていた様に問題を起こした生徒は退学していなくなり学校側も再発防止で力を入れているので、逆に今転校するなら悪くないという説明は的を射ていたと思います。
もう一つ、学力レベルがわたくしの学力より高いので授業へついて行けるかという心配もありますが、こちらも春華さんがサポートしてくださるということですので大丈夫だと思いたいところです。
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