学校の空き教室へ仕掛けた防犯カメラにマズい映像が映っていた

したらき

文字の大きさ
197 / 252

第197話

しおりを挟む
岸元美波きしもとみなみ 視点◆

昨日は『凪沙なぎささんが怪我をして病院で処置をしてもらったものの、意識が戻らない』という連絡をもらってからずっと心配をしていた。

就寝時間になっても連絡がなかったので、申し訳ないと思いつつも鷺ノ宮さぎのみや君のお姉さんへ質問のメッセージを送り『まだ意識が戻っていません』という返答で不安が膨らんでしまい、ぐっすり眠れなかった・・・


そんな状況で眠りが浅かったせいで起きたのは昼過ぎになってからだった。

スマホの目覚ましアラームをセットしていたものの、無意識のうちに止めてしまっていたようだ。

テスト勉強をするつもりで特別な予定を入れていなかった日曜日なので問題はないけれど、さすがにちょっと寝坊が過ぎたように思う。

そして、鷺ノ宮君のお姉さんから連絡がないかとスマホを確認したらメッセージが入っていた。


【病院から凪沙さんが目を覚ましたという連絡をもらいました】
【わたしはこれから病院へ行って凪沙さんの様子を見てきます】
【病院で詳しいことがわかったらまた連絡します】


詳細はわからないけど目を覚ましたというのはホッとした。お見舞いに行って凪沙さんの顔を見たいけど、迷惑にならないだろうか?という不安もある。

とりあえず、お姉さんから追加の連絡が来たらその時に相談させてもらおうと思う。


続いて、メッセージアプリに着信していた岸元姉妹わたしとお姉ちゃん神坂かみさか姉弟妹きょうだいの5人が登録されているグループを見ると、お姉ちゃんから凪沙さんについて鷺ノ宮君のお姉さんから連絡があった事を共有していた。

内容はわたしがもらったものと同じで、それに加えて美波わたしも同じ連絡をもらっているはずだから、続報については美波わたしが先に共有するかもしれないという説明も書かれていた。


わたしはグループへ『お見舞いに行きたいけど、行っても大丈夫かな?』と書き込んだら、夏菜かなお姉ちゃんと冬樹ふゆきが鷺ノ宮君のお姉さんに迷惑になるだろうから我慢するようにと書いてきた一方で、春華はるかちゃんとお姉ちゃんは迷惑をかけて申し訳ないけれどと尋ねるのは良いのではないかと返してくれた。

ここは2対2なので、わたしの気持ちで3票にして鷺ノ宮君のお姉さんから次の連絡あって問題がなさそうなら打診をしてみようと思った。



遅すぎるブランチを食べ終えてから、勉強しようと机へ向かったものの凪沙さんの事が気になってしまい捗らないので、春華ちゃんや夏菜お姉ちゃんと一緒に勉強しようと思って勉強道具を持って神坂家お隣へ行こうと思ったら、スマホが通話着信した。


「はい、岸元きしもとです」


『お電話では初めましてになります、鷺ノ宮と申します。
 お休みのところすみません、今お話しても大丈夫でしょうか?』


「いえ、こちらからお願いしていましたし、わざわざ連絡していただいてありがとうございます。
 通話はもちろん大丈夫です」


『ありがとうございます。先程病院へ着いて凪沙さんに会ったのですが、最近の記憶を失ってしまっているようでして・・・
 医師せんせいが仰るには、脳に衝撃を受けたことが原因で記憶喪失の一種である一過性全健忘になってしまっているのではないかということです』


「記憶・・・喪失ですか?
 それはどのくらい前まで・・・?」


『はっきりとはわからないのですけど、少なくとも私の事は認識してくれませんでした』


「それは、言いづらいことをすみません・・・」


『いえいえ、事実ですから、岸元さんこそ気遣ってくれてありがとうございます。
 それで、お願いになるのですけど・・・凪沙さんが今言った状況なので、いつまでの記憶があっていつからの記憶がないのか、あるいは時期に関係なく記憶が失われてしまっているところがあるのかなどの確認をするのに協力をしていただけないかと言うのがお願いになります』


「もちろん協力させてもらいます。むしろ協力させてください・・・でも、さすがに冬樹や春華ちゃんに協力のお願いは言いづらいです」


『当然、無理はして欲しくないです。他に高梨たかなし先生が凪沙さんの事を気にしてくれていて、状況が分かる前からお見舞いに来てくださると連絡をくださっていたので、病院こちらへお見えになったら改めてお願いしようと思っていますし、すぐに好転しないようなら鷺ノ宮うち隆史たかしにも協力させようと連絡だけはしています』


「状況はだいたいわかりました。支度をしてすぐに病院へ向かいます」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

付き合う前から好感度が限界突破な幼馴染が、疎遠になっていた中学時代を取り戻す為に高校ではイチャイチャするだけの話

頼瑠 ユウ
青春
高校一年生の上条悠斗は、同級生にして幼馴染の一ノ瀬綾乃が別のクラスのイケメンに告白された事を知り、自身も彼女に想いを伝える為に告白をする。 綾乃とは家が隣同士で、彼女の家庭の事情もあり家族ぐるみで幼い頃から仲が良かった。 だが、悠斗は小学校卒業を前に友人達に綾乃との仲を揶揄われ、「もっと女の子らしい子が好きだ」と言ってしまい、それが切っ掛けで彼女とは疎遠になってしまっていた。 中学の三年間は拒絶されるのが怖くて、悠斗は綾乃から逃げ続けた。 とうとう高校生となり、綾乃は誰にでも分け隔てなく優しく、身体つきも女性らしくなり『学年一の美少女』と謳われる程となっている。 高嶺の花。 そんな彼女に悠斗は不釣り合いだと振られる事を覚悟していた。 だがその結果は思わぬ方向へ。実は彼女もずっと悠斗が好きで、両想いだった。 しかも、綾乃は悠斗の気を惹く為に、品行方正で才色兼備である事に努め、胸の大きさも複数のパッドで盛りに盛っていた事が発覚する。 それでも構わず、恋人となった二人は今まで出来なかった事を少しずつ取り戻していく。 他愛の無い会話や一緒にお弁当を食べたり、宿題をしたり、ゲームで遊び、デートをして互いが好きだという事を改めて自覚していく。 存分にイチャイチャし、時には異性と意識して葛藤する事もあった。 両家の家族にも交際を認められ、幸せな日々を過ごしていた。 拙いながらも愛を育んでいく中で、いつしか学校では綾乃の良からぬ噂が広まっていく。 そして綾乃に振られたイケメンは彼女の弱みを握り、自分と付き合う様に脅してきた。 それでも悠斗と綾乃は屈せずに、将来を誓う。 イケメンの企てに、友人達や家族の助けを得て立ち向かう。 付き合う前から好感度が限界突破な二人には、いかなる障害も些細な事だった。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

友達の妹が、入浴してる。

つきのはい
恋愛
 「交換してみない?」  冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。  それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。  鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。  冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。  そんなラブコメディです。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

処理中です...