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第198話
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◆高梨百合恵 視点◆
二之宮さんが入院している病院へ向かっている最中に先に病院へ着いていた鷺ノ宮君のお姉さんからメッセージが届き、二之宮さんが意識を取り戻したものの記憶を失ってしまっていてお姉さんの事がわからない状態で、したがって二之宮さんがいつの認識でいてどういう精神状態でいるかもわからないからお見舞いをやめて引き返すことも勧める内容だったけれどもわたしは今度こそ二之宮さんとしっかり向き合いたいと思い、予定通りお見舞いに伺わせてもらう事とした。
「こんにちは、二之宮さん。ご様子はいかがですか?」
「高梨先生、わざわざお越しいただきありがとうございます。
見ての通り包帯を巻いてはいますが、痛みはほとんどなく問題はないように思います」
「そうですか、一先ずは良かったと言って良いのでしょうか?」
「そうですね。私としては・・・ただ、記憶を失ってしまっているようでして、気遣ってくれている鷺ノ宮君のお姉さんには申し訳ないです」
「それでその、記憶についてですけれど、どういった状況なのか二之宮さんは感覚が掴めているのですか?
例えば、何月何日までの記憶があるとか」
「それは医師にも尋ねられたのですが、はっきりとは・・・ただ、自分が自分でないようなおかしな感覚もあります」
「そうですか・・・」
病室へ着いて二之宮さんと挨拶がてら記憶についての話をしたものの、二之宮さん自身も掴みかねているようで、次には鷺ノ宮君のお姉さんへ向いて話を続けた。
「この度は何と申し上げて良いのか・・・」
「お気遣いありがとうございます。こちらこそわざわざ休日にご足労いただき感謝いたします」
「わたしが来たくてお邪魔させていただいているのですから、頭を下げないでください。
それと、先程メッセージでもお伝えしました通りお力になれることはさせていただきますので遠慮なく申し付けてください」
「繰り返しになってしまいますが、本当にありがとうございます。
それとですね、先程岸元美波さんと連絡を取らせていただいて、岸元さんもこちらへお見舞いにお越しくださって協力してくれるということです」
「岸元さんがですか・・・それでしたら、彼女とも協力できるところは協力しあって良い方向へ、進めるようにしたいですね」
改めて二之宮さんの方へ向き、思い切って一番気になっていたことを尋ねてみた。
「二之宮さん、8月の下旬頃に遭ったことは覚えていらっしゃいますか?」
「8月の下旬・・・ですか?
思い当たることはないです」
「そうですか・・・複雑ですがその時のことを中途半端に覚えていないのでしたら良かったのかもしれないです」
これは本心で監禁された時のことを変に思い出し、それが悪影響を及ぼさないかは心配でしたのでまずは良かったのかもしれないです。
「それでは、神坂冬樹君についてはどう思っていますか?」
「神坂君ですか・・・神坂君へは好意を持っていますし、お付き合いをしたいとも思っていますよ」
「そうですか・・・それでは、岸元美波さんについてはいかがですか?」
「神坂君の幼馴染みで、神坂君と付き合いたいと思う私にとっては大きなライバルになる女性だと思います」
「それでは、岸元さんのお姉さんはご存知ですか?」
「はい、大学生のお姉さんがいらっしゃることは知っています」
「ありがとうございます。
ちなみに、神坂君が学校で居場所を失ってしまっていたことはご存知ですか?」
「はい。私が誤解をしてしまったことが広まってしまったためで、申し訳ないと思っています」
「そして、その居場所を失ってしまったために、わたしの音楽準備室に来て過ごしてもらっていたことはご存知でしたか?」
「具体的には知りませんでしたけど、神坂君が音楽の授業を取っていないのに高梨先生と良く一緒にいらっしゃるので何かご縁があるのかとは思っていました」
◆岸元美波 視点◆
お見舞いのために凪沙さんの病室へ入ると、ベッドに横たわっている凪沙さんと一番枕に近い椅子に座っている高梨先生が話し合いをしていて、その隣の椅子に座っている鷺ノ宮君のお姉さんは黙って二人のやり取りを見守っている様子だった。
「こんにちは。凪沙さん、まだ激しく痛んだりしてないですか?」
「お見舞いありがとうございます、美波さん。
おかげさまで痛みはあまりないです。
医師や那奈さんが仰るには記憶が欠落しているところがあるみたいですけど、あまり問題はなさそうです」
「そうなんだね・・・と、お話しているところに割り込んでしまってすみません、先生」
「良いのですよ。岸元さんも二之宮さんが心配だったのですよね?」
「それはもちろんそうですよ。
せっかく仲良くなれたのに、記憶を失くしちゃったとか・・・残念ですし悔しいです。
お姉さん、凪沙さんの記憶は戻らないのですか?」
高梨先生との話から続けざまに鷺ノ宮君のお姉さんの方へ向き一番気になる質問をさせてもらった。
「診てくださった医師が仰るには、一過性全健忘は1日とかで回復することが多いから待っていればその内に戻る可能性が高いということです。
よくドラマや小説などである様な記憶がずっと戻らないという事は滅多にないそうです」
「そうなんですね・・・良かった・・・って、まだはっきりしてないですよね、すみません」
「いいのですよ。希望が見えるだけでホッとするのは当然ですから。
私も早く思い出して欲しいですし、医師からそのお話を伺った時にはホッとしましたもの」
「ありがとうございます。
ところで、凪沙さん。何か不安なこととか知りたいこととある?
わたしでできることなら何でも協力するよ」
鷺ノ宮君のお姉さんとの話から改めて凪沙さんへ向き尋ねてみた。
そうしたら、凪沙さんは急に泣き出したので、わたし達は慌てて凪沙さんへ近寄った。
二之宮さんが入院している病院へ向かっている最中に先に病院へ着いていた鷺ノ宮君のお姉さんからメッセージが届き、二之宮さんが意識を取り戻したものの記憶を失ってしまっていてお姉さんの事がわからない状態で、したがって二之宮さんがいつの認識でいてどういう精神状態でいるかもわからないからお見舞いをやめて引き返すことも勧める内容だったけれどもわたしは今度こそ二之宮さんとしっかり向き合いたいと思い、予定通りお見舞いに伺わせてもらう事とした。
「こんにちは、二之宮さん。ご様子はいかがですか?」
「高梨先生、わざわざお越しいただきありがとうございます。
見ての通り包帯を巻いてはいますが、痛みはほとんどなく問題はないように思います」
「そうですか、一先ずは良かったと言って良いのでしょうか?」
「そうですね。私としては・・・ただ、記憶を失ってしまっているようでして、気遣ってくれている鷺ノ宮君のお姉さんには申し訳ないです」
「それでその、記憶についてですけれど、どういった状況なのか二之宮さんは感覚が掴めているのですか?
例えば、何月何日までの記憶があるとか」
「それは医師にも尋ねられたのですが、はっきりとは・・・ただ、自分が自分でないようなおかしな感覚もあります」
「そうですか・・・」
病室へ着いて二之宮さんと挨拶がてら記憶についての話をしたものの、二之宮さん自身も掴みかねているようで、次には鷺ノ宮君のお姉さんへ向いて話を続けた。
「この度は何と申し上げて良いのか・・・」
「お気遣いありがとうございます。こちらこそわざわざ休日にご足労いただき感謝いたします」
「わたしが来たくてお邪魔させていただいているのですから、頭を下げないでください。
それと、先程メッセージでもお伝えしました通りお力になれることはさせていただきますので遠慮なく申し付けてください」
「繰り返しになってしまいますが、本当にありがとうございます。
それとですね、先程岸元美波さんと連絡を取らせていただいて、岸元さんもこちらへお見舞いにお越しくださって協力してくれるということです」
「岸元さんがですか・・・それでしたら、彼女とも協力できるところは協力しあって良い方向へ、進めるようにしたいですね」
改めて二之宮さんの方へ向き、思い切って一番気になっていたことを尋ねてみた。
「二之宮さん、8月の下旬頃に遭ったことは覚えていらっしゃいますか?」
「8月の下旬・・・ですか?
思い当たることはないです」
「そうですか・・・複雑ですがその時のことを中途半端に覚えていないのでしたら良かったのかもしれないです」
これは本心で監禁された時のことを変に思い出し、それが悪影響を及ぼさないかは心配でしたのでまずは良かったのかもしれないです。
「それでは、神坂冬樹君についてはどう思っていますか?」
「神坂君ですか・・・神坂君へは好意を持っていますし、お付き合いをしたいとも思っていますよ」
「そうですか・・・それでは、岸元美波さんについてはいかがですか?」
「神坂君の幼馴染みで、神坂君と付き合いたいと思う私にとっては大きなライバルになる女性だと思います」
「それでは、岸元さんのお姉さんはご存知ですか?」
「はい、大学生のお姉さんがいらっしゃることは知っています」
「ありがとうございます。
ちなみに、神坂君が学校で居場所を失ってしまっていたことはご存知ですか?」
「はい。私が誤解をしてしまったことが広まってしまったためで、申し訳ないと思っています」
「そして、その居場所を失ってしまったために、わたしの音楽準備室に来て過ごしてもらっていたことはご存知でしたか?」
「具体的には知りませんでしたけど、神坂君が音楽の授業を取っていないのに高梨先生と良く一緒にいらっしゃるので何かご縁があるのかとは思っていました」
◆岸元美波 視点◆
お見舞いのために凪沙さんの病室へ入ると、ベッドに横たわっている凪沙さんと一番枕に近い椅子に座っている高梨先生が話し合いをしていて、その隣の椅子に座っている鷺ノ宮君のお姉さんは黙って二人のやり取りを見守っている様子だった。
「こんにちは。凪沙さん、まだ激しく痛んだりしてないですか?」
「お見舞いありがとうございます、美波さん。
おかげさまで痛みはあまりないです。
医師や那奈さんが仰るには記憶が欠落しているところがあるみたいですけど、あまり問題はなさそうです」
「そうなんだね・・・と、お話しているところに割り込んでしまってすみません、先生」
「良いのですよ。岸元さんも二之宮さんが心配だったのですよね?」
「それはもちろんそうですよ。
せっかく仲良くなれたのに、記憶を失くしちゃったとか・・・残念ですし悔しいです。
お姉さん、凪沙さんの記憶は戻らないのですか?」
高梨先生との話から続けざまに鷺ノ宮君のお姉さんの方へ向き一番気になる質問をさせてもらった。
「診てくださった医師が仰るには、一過性全健忘は1日とかで回復することが多いから待っていればその内に戻る可能性が高いということです。
よくドラマや小説などである様な記憶がずっと戻らないという事は滅多にないそうです」
「そうなんですね・・・良かった・・・って、まだはっきりしてないですよね、すみません」
「いいのですよ。希望が見えるだけでホッとするのは当然ですから。
私も早く思い出して欲しいですし、医師からそのお話を伺った時にはホッとしましたもの」
「ありがとうございます。
ところで、凪沙さん。何か不安なこととか知りたいこととある?
わたしでできることなら何でも協力するよ」
鷺ノ宮君のお姉さんとの話から改めて凪沙さんへ向き尋ねてみた。
そうしたら、凪沙さんは急に泣き出したので、わたし達は慌てて凪沙さんへ近寄った。
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