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第206話
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◆鷺ノ宮那奈 視点◆
警察での手続きが終わって病院へ戻り、改めて病室に手掛かりがないか探っていたら、凪沙が見付かったという知らせとともに本人も眼の前に現れた。
居ても立っても居られない気持ちで凪沙に駆け寄り思い切り抱きしめたのだけど、当の凪沙は何があったのかわかっていないようでキョトンとした表情で私にされるがままになっていた。
私の気持ちが落ち着いて、凪沙と看護師さんの話を聞くと間が悪かっただけだということがわかった。
・凪沙は本来行くべきとは違う現在は待合室として使われていない部屋へ行ってしまっていた。看護師さんが言い間違えたのか寝不足で思考がはっきりしていなかった凪沙が勘違いしたのか可能性はどちらも考えられるとのこと。
・凪沙の検査の直前に事故で搬送されてきた急患がいてその患者の検査が優先になり、凪沙は後回しになっていた。
・その状態で看護師さん達の間での連絡に行き違いが生じてしまっていた。
・その様な状況の中、私と凪沙のやり取りを知っていて気に掛けてくれてた看護師さんが凪沙がいないことに気付き探してくれていた。
・凪沙は間違えて待っていた部屋の一番奥に椅子に座って待っている間に寝てしまい床に横たわってしまっていた。
・手分けをして探していた看護師さんの1人が凪沙がいた部屋を覗いていたけど、床に横たわってしまっていた凪沙を見つけられず居なかったと判断した。
・忙しい状態だったので手分けして一通り見渡して凪沙が病院内に居なくなっていたと判断し、失踪する危惧があると思っていたので私へ連絡してくれた。
そんな色々な人達の混乱と善意で病院内に居たのに居なくなってしまっていたという誤解をしてしまったのが顛末だった。
病院の方達も美波さん達も警察の方達も迷惑をかけたのに異口同音で『気にしないで良い』『何事もなくてよかった』と声を掛けてくださり、感謝の気持ちでいっぱいだった。
◆二之宮凪沙 視点◆
私が・・・原因が誰にあるのかは別にして・・・行くべき待合室を間違えてしまっていたことに加えて寝てしまったことが原因で行方不明という事になってしまって、那奈さんや病院の人たちだけでなく那奈さんが連絡した色々な人を心配させ迷惑をかける事になってしまった事は申し訳なく思う。
しかし、悩んでいた『このまま那奈さんの元に居て良いのか』の答えは出せた。少なくとも私が独り立ちできない状態では認めてくれないだろうし、だからと言って失踪みたいな事をしたら今回の様に要らぬ迷惑をかけてしまうことは明らかなので、できる限り過去の問題と遭遇しないように気を付け、早く独り立ちをするしかないと思う。
やはり大学へ行くべきだし、しかもその先の就職を考えたらレベルの高い大学を目指すべきで、しかも国立で授業料などの費用を抑えることが第一になると思う。
でも、それを独力で目指すのは難しいので美波さん達にも力を貸してもらおう・・・そして、貸してもらったことは今まで迷惑をかけた分も合わせて返していけたらと思う。
せっかく那奈さんが妹だと言ってくれたのだから、せめて今からでも自慢の妹になれるように努力だけはしていきたいと思う。
◆神坂冬樹 視点◆
二之宮さんが行方不明になったことを受け美波を中心に高梨先生やハル、それに有志で集まってくれたローラン君や江藤君、二之宮さんに対して思うところがあってもおかしくない大山さんや新谷君なども集まって担当決めをし皆で探すことになった。
梅田さんはバイトがあるからと申し訳無さそうにしていたけど、用事があるなら当然そちらを優先するべきで気にしない様にして欲しいと僕ら皆で送り出した。
姉さんと姉さんに声を掛けられた何人かの3年生が協力してくれると名乗り出てくれたけど人によっては私大の推薦受験がすぐだったこともあり、『受験生からは気持ちだけいただく』として『もし二之宮さんを見掛けたら連絡を欲しい』というお願いだけして丁重にお断りさせてもらっていた。
二之宮さん探しをしていたら捜索チームのために作ったグループに二之宮さんが見付かった旨のメッセージが届き、詳しいことは明日美波からするということで、今日はそのまま解散ということになった。
◆松本明良 視点◆
佐々木先輩との顔合わせ?の最中に美晴さんに連絡が入った美晴さんの妹の友達の女の子が行方不明になった事で捜索に協力して探していたけど、すぐ後に見付かったという連絡がありそのまま解散することとなった。
美晴さんからは後日お礼をしたいと言われたけど、そもそも今まで何度も迷惑をかけていて今日だって巻き込んでいたのだからとお断りをさせてもらったし、後日改めて言われたとしても当然固辞するつもりだ。
その、今日かけた迷惑の発端である佐々木先輩は、印象が大きく変わった。以前は男だと思って気安かったのかシモネタなど下世話な話をされた事があったし、たまに女性関係がだらしないと言う様な噂話も聞いていたけど、今日は女らしい格好をしているぼくを相手に緊張していて『この人は本当に女性関係にだらしがないのだろうか?』という疑問が湧いたし、美晴さんの妹の友達を探すという時には真剣な表情で要領よく状況を確認したり、ファミレスを出て駅まで移動する時には真後ろについて電話のやり取りを聞いていたけど、電話相手とのやり取りが相手ごとに違い恐らくそれが的確なのだろうと考えると、先輩の伝手があるとは言え会社の役員を任せられるだけの事はあるのだと思う。
想像になるのだけど、佐々木先輩の言うシモネタだってコミュニケーションの方法の一つで男の人同士だとそういう事を言って仲良くなるというのがあるのかもしれない。ぼくは見た目はともかく女で、しかも中高は女子校だったし、大学に入ってからも男性とは上辺の付き合いだけで深く知ろうとしてこなかったし、ぼくが見えていないことがあるのだと思うと偏見を持っていて申し訳なかったと思う。
今日は何も話せないままだったし、佐々木先輩とは仕切り直してちゃんと話をしてみたいと思う。
警察での手続きが終わって病院へ戻り、改めて病室に手掛かりがないか探っていたら、凪沙が見付かったという知らせとともに本人も眼の前に現れた。
居ても立っても居られない気持ちで凪沙に駆け寄り思い切り抱きしめたのだけど、当の凪沙は何があったのかわかっていないようでキョトンとした表情で私にされるがままになっていた。
私の気持ちが落ち着いて、凪沙と看護師さんの話を聞くと間が悪かっただけだということがわかった。
・凪沙は本来行くべきとは違う現在は待合室として使われていない部屋へ行ってしまっていた。看護師さんが言い間違えたのか寝不足で思考がはっきりしていなかった凪沙が勘違いしたのか可能性はどちらも考えられるとのこと。
・凪沙の検査の直前に事故で搬送されてきた急患がいてその患者の検査が優先になり、凪沙は後回しになっていた。
・その状態で看護師さん達の間での連絡に行き違いが生じてしまっていた。
・その様な状況の中、私と凪沙のやり取りを知っていて気に掛けてくれてた看護師さんが凪沙がいないことに気付き探してくれていた。
・凪沙は間違えて待っていた部屋の一番奥に椅子に座って待っている間に寝てしまい床に横たわってしまっていた。
・手分けをして探していた看護師さんの1人が凪沙がいた部屋を覗いていたけど、床に横たわってしまっていた凪沙を見つけられず居なかったと判断した。
・忙しい状態だったので手分けして一通り見渡して凪沙が病院内に居なくなっていたと判断し、失踪する危惧があると思っていたので私へ連絡してくれた。
そんな色々な人達の混乱と善意で病院内に居たのに居なくなってしまっていたという誤解をしてしまったのが顛末だった。
病院の方達も美波さん達も警察の方達も迷惑をかけたのに異口同音で『気にしないで良い』『何事もなくてよかった』と声を掛けてくださり、感謝の気持ちでいっぱいだった。
◆二之宮凪沙 視点◆
私が・・・原因が誰にあるのかは別にして・・・行くべき待合室を間違えてしまっていたことに加えて寝てしまったことが原因で行方不明という事になってしまって、那奈さんや病院の人たちだけでなく那奈さんが連絡した色々な人を心配させ迷惑をかける事になってしまった事は申し訳なく思う。
しかし、悩んでいた『このまま那奈さんの元に居て良いのか』の答えは出せた。少なくとも私が独り立ちできない状態では認めてくれないだろうし、だからと言って失踪みたいな事をしたら今回の様に要らぬ迷惑をかけてしまうことは明らかなので、できる限り過去の問題と遭遇しないように気を付け、早く独り立ちをするしかないと思う。
やはり大学へ行くべきだし、しかもその先の就職を考えたらレベルの高い大学を目指すべきで、しかも国立で授業料などの費用を抑えることが第一になると思う。
でも、それを独力で目指すのは難しいので美波さん達にも力を貸してもらおう・・・そして、貸してもらったことは今まで迷惑をかけた分も合わせて返していけたらと思う。
せっかく那奈さんが妹だと言ってくれたのだから、せめて今からでも自慢の妹になれるように努力だけはしていきたいと思う。
◆神坂冬樹 視点◆
二之宮さんが行方不明になったことを受け美波を中心に高梨先生やハル、それに有志で集まってくれたローラン君や江藤君、二之宮さんに対して思うところがあってもおかしくない大山さんや新谷君なども集まって担当決めをし皆で探すことになった。
梅田さんはバイトがあるからと申し訳無さそうにしていたけど、用事があるなら当然そちらを優先するべきで気にしない様にして欲しいと僕ら皆で送り出した。
姉さんと姉さんに声を掛けられた何人かの3年生が協力してくれると名乗り出てくれたけど人によっては私大の推薦受験がすぐだったこともあり、『受験生からは気持ちだけいただく』として『もし二之宮さんを見掛けたら連絡を欲しい』というお願いだけして丁重にお断りさせてもらっていた。
二之宮さん探しをしていたら捜索チームのために作ったグループに二之宮さんが見付かった旨のメッセージが届き、詳しいことは明日美波からするということで、今日はそのまま解散ということになった。
◆松本明良 視点◆
佐々木先輩との顔合わせ?の最中に美晴さんに連絡が入った美晴さんの妹の友達の女の子が行方不明になった事で捜索に協力して探していたけど、すぐ後に見付かったという連絡がありそのまま解散することとなった。
美晴さんからは後日お礼をしたいと言われたけど、そもそも今まで何度も迷惑をかけていて今日だって巻き込んでいたのだからとお断りをさせてもらったし、後日改めて言われたとしても当然固辞するつもりだ。
その、今日かけた迷惑の発端である佐々木先輩は、印象が大きく変わった。以前は男だと思って気安かったのかシモネタなど下世話な話をされた事があったし、たまに女性関係がだらしないと言う様な噂話も聞いていたけど、今日は女らしい格好をしているぼくを相手に緊張していて『この人は本当に女性関係にだらしがないのだろうか?』という疑問が湧いたし、美晴さんの妹の友達を探すという時には真剣な表情で要領よく状況を確認したり、ファミレスを出て駅まで移動する時には真後ろについて電話のやり取りを聞いていたけど、電話相手とのやり取りが相手ごとに違い恐らくそれが的確なのだろうと考えると、先輩の伝手があるとは言え会社の役員を任せられるだけの事はあるのだと思う。
想像になるのだけど、佐々木先輩の言うシモネタだってコミュニケーションの方法の一つで男の人同士だとそういう事を言って仲良くなるというのがあるのかもしれない。ぼくは見た目はともかく女で、しかも中高は女子校だったし、大学に入ってからも男性とは上辺の付き合いだけで深く知ろうとしてこなかったし、ぼくが見えていないことがあるのだと思うと偏見を持っていて申し訳なかったと思う。
今日は何も話せないままだったし、佐々木先輩とは仕切り直してちゃんと話をしてみたいと思う。
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