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第218話
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◆若林幸博 視点◆
夕食後に早速春華が勉強を見てくれると言うので勉強を見てもらってた。
春華がつきっきりで教えてくれて、春華のことを異性として意識しているので近くに居てドキドキする。
最初の10分くらいは心臓が早鐘を打ちすぎて集中できなかったけど、受験に合格できないと前へ進めないと自分に言い聞かせて気持ちを落ち着けて取り組んだ。
春華に勉強を教えてもらうのは初めてだったけど、わからないところを聞くと説明がわかりやすく、その場ですぐに自分でやり直させてくるので記憶に残りやすい。気持ちを切り替えて勉強に集中していたら今までにない密度で学習できたと思う。
「ユッキーさ、悪いんだけどこれから見たい動画番組があるからちょっと休憩して良い?」
集中してたのであっという間に時間が過ぎてて、春華が自分でセットしてたスマホのアラームが鳴り、それを止めながら尋ねてきた。
「いいよ。俺も疲れたし。春華の見る番組を一緒に見て良い?」
「別に良いけど、テレビじゃないよ?」
「別にいいよ。春華が見るやつに興味があるだけだから」
「変なの?
自分が見たいの見ればいいじゃん」
「ひとりで見るより誰かと見る方が楽しいだろ?」
「そうかなぁ・・・あたしはひとりでも自分が見たいものを見る方が良いけど」
「俺は違うんだよ」
口ではそんなことを言ったけど、普段はだいたいひとりで見ている。そもそも春華が好きだと言うから俺もアニメやマンガや声優といったコンテンツに触れるようになり、今では春華とは関係なく趣味になっていて嗜むようになっている。残念ながら家族はこどもの趣味みたいな感覚で俺に共感してくれないけど、だからといって禁止など制限はせずに放っておいてはくれるのでその点では助かっている。
「ユッキーも見るならパソコンで見た方が良いかな。ちょっと用意するから待ってて」
春華はそういうとパソコンを取ってきて、起動し動画サイトへアクセスした。
「これ、来週最終回のアニメの番宣特番?」
「そうだよ。ユッキーも知ってたの?
愛島唄ちゃんが出るから見たかったの」
「愛島唄!?
出るって情報見てなかったけど?」
「今日急遽決まったみたいだよ。月島さんが病気になっちゃってその代わりだって」
「そうだったんだ・・・俺も愛島唄が出るなら見たかったから助かった」
「ユッキーも唄ちゃん好きなの?」
「ああ、年齢が近いしけっこう出てるから応援してる」
「そっか、あたしと一緒だね」
春華と同じ愛島唄が好きだという共通点があるのを知って嬉しかった。愛島唄は現役高校生としては活躍している方だと思うけど、それだって何年も活躍している声優と比べれば実績は全然ないしファンだってそんなに多くはない。それでも一致するのはなかなかない巡り合わせだと思う。
春華はひとりで見ることに慣れている様で、俺が隣りにいても画面に集中している。この動画サイトだとコメントを投稿する機能があるけど、そう言ったコメントを送る気もないらしい。
たまに横顔を見るけど真剣に見ている表情も可愛いと思う・・・2つ歳上なので本当は姉貴分として見ないといけないのだろうけど、ずっと昔から好きな相手なので今更姉として見る気にもならない。時々声を出して笑ったりするとドキッとするけど、すぐ側でその鼓動を感じられるのは嬉しい。
春華に気を取られていたから番組の内容があまり入ってこないうちに終わってしまったけど悔いはない・・・春華の側に居て同じ物を楽しめた感覚がとても嬉しい。
動画番組が終わったタイミングで伯母さんからお風呂に入るように言われ、俺が先に入りその次に春華が入ることになった。
俺は風呂から上がり、春華が入っている間も勉強をし、春華が出てきたところでもう一度教えてもらう流れになった。
ここ数年会えてなかった春華の風呂上がりの上気した顔にシャンプーの香りが刺激的で、心臓が苦しくなるほど鼓動が早くなり悟られないように落ち着かせるのが大変だった。
勉強をしだしてすぐに春華のスマホにメッセージが着信した様でスマホを見た。
「ユッキー、ごめん。用事があって作ったケーキを置いていった友達が近くまで来ているからケーキを渡しに行ってくるね」
と家を出る支度をし始めたので、女ひとりで出掛けるのは危険だからと言ってついていくことにした・・・最初春華には断られたらけど、夏菜姉が『邪険にせず幸博にボディーガードをさせてやれ』と口添えしてくれて、春華は同行を受け入れてくれた。マンションの前まででほぼ安全だろうと思うけど、それでも春華に万が一の事があったら嫌だから夏菜姉の後押しはありがたかった・・・というか、夏菜姉は俺の気持ちを察していそうで、それが知られてしまっている様な感じなのは気恥ずかしくもある。
「ユッキーさ、本当にここまでだよ?」
「それだって外には違いない」
「まぁ、そうだけどさ・・・っと、もう着くみたい。
あのタクシーかな?」
スマホにすぐ着くというメッセージを着信したみたいで、言葉を切るとマンションの前に止まったタクシーへ近寄った。
「香織ちゃん、わざわざ寄らせちゃってごめんね」
「いいえ、せっかく作ったケーキを家族に食べてもらえるので、むしろ気を遣ってくださって良かったです。
道もそんなに遠回りにはならないですし、今日は春華さんに感謝しかないです」
春華が話しているタクシーに乗っている友達には見覚えがあった・・・ただし、それは直接ではなくインターネットでだ。髪型こそ見慣れた黒髪ロングヘアと違うものの、顔は間違いなくさっき見ていた現役高校生声優の愛島唄で声も愛島唄そのものだ。
その愛島唄(?)と談笑している春華に近付いた。
「春華さん、そちらの男性は?」
「ああ、紹介するね。この子はね、あたしの従兄弟で名前は若林幸博。あたしはユッキーと呼んでるの」
「初めまして、春華の従兄弟の若林幸博です」
「こちらこそ初めまして。春華さんと仲良くさせていただいております、梅田香織と申します」
「えっ?愛島唄さんじゃないんですか?」
俺が思わず思っていた疑問を口にしたら春華も香織さんも『しまった』という表情をした。
「えっと、香織ちゃんゴメン。後で口止めしておくね」
「それほど深刻に考えなくても大丈夫ですよ。
ユッキーさんは春華さんを心配して一緒に来てくれていたんでしょう?」
「うん・・・そうだけど」
「そういう事で、ユッキーさん。
お察しの通りで、わたくしは声優の愛島唄です。本名が梅田香織で恐らくネットでも知られていないです。
事情があって学校では一部の教職員の方と生徒では春華さんしか知らないことです。
申し訳ございませんが、他言無用でお願いします」
愛島唄である香織さんが俺に対して事情の説明と秘密にするようお願いをされ、更に『ユッキー』と愛称で呼んでくれた事に感動した。
「もちろんです!絶対誰にも言いません!」
「ありがとうございます・・・そうだ、これ春華さん達が見に来てくれる新作アニメの上映会イベントのチケットです。
今日マネージャーさんからいただいたのですけど、わたくしが持っていても誰にも渡す宛てがなかったので良かったら見に来てくださいませんか?」
香織さんは手元のバッグからチケットを2枚取り出して俺に手渡してくれた。
「はい!絶対行きます!」
「よかった。春華さんは元々来てくれる予定でしたから、詳しいことは春華さんに伺ってくださいね」
「はい!」
タクシーに乗ったままだったのでそれほど長話をするわけにもいかず、簡単な別れの挨拶を交わしたら香織さんを乗せたタクシーは去っていった。
「失念して連れてきちゃったあたしが悪いんだけど、ユッキーも香織ちゃんの事はナイショでお願いね」
「ああ、もちろんだよ。でも、それにしても春華はすごいな・・・愛島唄と仲良くなってるなんて」
「それはあたしもびっくりしてる。うん、本当に不思議だよねぇ」
それから家へ戻りながら、春華から香織さんが変装をしてまで正体を隠している理由を聞いた。
春華だけでなく愛島唄も通う秀優高校は是が非でも合格をしないといけないと思った。
夕食後に早速春華が勉強を見てくれると言うので勉強を見てもらってた。
春華がつきっきりで教えてくれて、春華のことを異性として意識しているので近くに居てドキドキする。
最初の10分くらいは心臓が早鐘を打ちすぎて集中できなかったけど、受験に合格できないと前へ進めないと自分に言い聞かせて気持ちを落ち着けて取り組んだ。
春華に勉強を教えてもらうのは初めてだったけど、わからないところを聞くと説明がわかりやすく、その場ですぐに自分でやり直させてくるので記憶に残りやすい。気持ちを切り替えて勉強に集中していたら今までにない密度で学習できたと思う。
「ユッキーさ、悪いんだけどこれから見たい動画番組があるからちょっと休憩して良い?」
集中してたのであっという間に時間が過ぎてて、春華が自分でセットしてたスマホのアラームが鳴り、それを止めながら尋ねてきた。
「いいよ。俺も疲れたし。春華の見る番組を一緒に見て良い?」
「別に良いけど、テレビじゃないよ?」
「別にいいよ。春華が見るやつに興味があるだけだから」
「変なの?
自分が見たいの見ればいいじゃん」
「ひとりで見るより誰かと見る方が楽しいだろ?」
「そうかなぁ・・・あたしはひとりでも自分が見たいものを見る方が良いけど」
「俺は違うんだよ」
口ではそんなことを言ったけど、普段はだいたいひとりで見ている。そもそも春華が好きだと言うから俺もアニメやマンガや声優といったコンテンツに触れるようになり、今では春華とは関係なく趣味になっていて嗜むようになっている。残念ながら家族はこどもの趣味みたいな感覚で俺に共感してくれないけど、だからといって禁止など制限はせずに放っておいてはくれるのでその点では助かっている。
「ユッキーも見るならパソコンで見た方が良いかな。ちょっと用意するから待ってて」
春華はそういうとパソコンを取ってきて、起動し動画サイトへアクセスした。
「これ、来週最終回のアニメの番宣特番?」
「そうだよ。ユッキーも知ってたの?
愛島唄ちゃんが出るから見たかったの」
「愛島唄!?
出るって情報見てなかったけど?」
「今日急遽決まったみたいだよ。月島さんが病気になっちゃってその代わりだって」
「そうだったんだ・・・俺も愛島唄が出るなら見たかったから助かった」
「ユッキーも唄ちゃん好きなの?」
「ああ、年齢が近いしけっこう出てるから応援してる」
「そっか、あたしと一緒だね」
春華と同じ愛島唄が好きだという共通点があるのを知って嬉しかった。愛島唄は現役高校生としては活躍している方だと思うけど、それだって何年も活躍している声優と比べれば実績は全然ないしファンだってそんなに多くはない。それでも一致するのはなかなかない巡り合わせだと思う。
春華はひとりで見ることに慣れている様で、俺が隣りにいても画面に集中している。この動画サイトだとコメントを投稿する機能があるけど、そう言ったコメントを送る気もないらしい。
たまに横顔を見るけど真剣に見ている表情も可愛いと思う・・・2つ歳上なので本当は姉貴分として見ないといけないのだろうけど、ずっと昔から好きな相手なので今更姉として見る気にもならない。時々声を出して笑ったりするとドキッとするけど、すぐ側でその鼓動を感じられるのは嬉しい。
春華に気を取られていたから番組の内容があまり入ってこないうちに終わってしまったけど悔いはない・・・春華の側に居て同じ物を楽しめた感覚がとても嬉しい。
動画番組が終わったタイミングで伯母さんからお風呂に入るように言われ、俺が先に入りその次に春華が入ることになった。
俺は風呂から上がり、春華が入っている間も勉強をし、春華が出てきたところでもう一度教えてもらう流れになった。
ここ数年会えてなかった春華の風呂上がりの上気した顔にシャンプーの香りが刺激的で、心臓が苦しくなるほど鼓動が早くなり悟られないように落ち着かせるのが大変だった。
勉強をしだしてすぐに春華のスマホにメッセージが着信した様でスマホを見た。
「ユッキー、ごめん。用事があって作ったケーキを置いていった友達が近くまで来ているからケーキを渡しに行ってくるね」
と家を出る支度をし始めたので、女ひとりで出掛けるのは危険だからと言ってついていくことにした・・・最初春華には断られたらけど、夏菜姉が『邪険にせず幸博にボディーガードをさせてやれ』と口添えしてくれて、春華は同行を受け入れてくれた。マンションの前まででほぼ安全だろうと思うけど、それでも春華に万が一の事があったら嫌だから夏菜姉の後押しはありがたかった・・・というか、夏菜姉は俺の気持ちを察していそうで、それが知られてしまっている様な感じなのは気恥ずかしくもある。
「ユッキーさ、本当にここまでだよ?」
「それだって外には違いない」
「まぁ、そうだけどさ・・・っと、もう着くみたい。
あのタクシーかな?」
スマホにすぐ着くというメッセージを着信したみたいで、言葉を切るとマンションの前に止まったタクシーへ近寄った。
「香織ちゃん、わざわざ寄らせちゃってごめんね」
「いいえ、せっかく作ったケーキを家族に食べてもらえるので、むしろ気を遣ってくださって良かったです。
道もそんなに遠回りにはならないですし、今日は春華さんに感謝しかないです」
春華が話しているタクシーに乗っている友達には見覚えがあった・・・ただし、それは直接ではなくインターネットでだ。髪型こそ見慣れた黒髪ロングヘアと違うものの、顔は間違いなくさっき見ていた現役高校生声優の愛島唄で声も愛島唄そのものだ。
その愛島唄(?)と談笑している春華に近付いた。
「春華さん、そちらの男性は?」
「ああ、紹介するね。この子はね、あたしの従兄弟で名前は若林幸博。あたしはユッキーと呼んでるの」
「初めまして、春華の従兄弟の若林幸博です」
「こちらこそ初めまして。春華さんと仲良くさせていただいております、梅田香織と申します」
「えっ?愛島唄さんじゃないんですか?」
俺が思わず思っていた疑問を口にしたら春華も香織さんも『しまった』という表情をした。
「えっと、香織ちゃんゴメン。後で口止めしておくね」
「それほど深刻に考えなくても大丈夫ですよ。
ユッキーさんは春華さんを心配して一緒に来てくれていたんでしょう?」
「うん・・・そうだけど」
「そういう事で、ユッキーさん。
お察しの通りで、わたくしは声優の愛島唄です。本名が梅田香織で恐らくネットでも知られていないです。
事情があって学校では一部の教職員の方と生徒では春華さんしか知らないことです。
申し訳ございませんが、他言無用でお願いします」
愛島唄である香織さんが俺に対して事情の説明と秘密にするようお願いをされ、更に『ユッキー』と愛称で呼んでくれた事に感動した。
「もちろんです!絶対誰にも言いません!」
「ありがとうございます・・・そうだ、これ春華さん達が見に来てくれる新作アニメの上映会イベントのチケットです。
今日マネージャーさんからいただいたのですけど、わたくしが持っていても誰にも渡す宛てがなかったので良かったら見に来てくださいませんか?」
香織さんは手元のバッグからチケットを2枚取り出して俺に手渡してくれた。
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「はい!」
タクシーに乗ったままだったのでそれほど長話をするわけにもいかず、簡単な別れの挨拶を交わしたら香織さんを乗せたタクシーは去っていった。
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「ああ、もちろんだよ。でも、それにしても春華はすごいな・・・愛島唄と仲良くなってるなんて」
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