学校の空き教室へ仕掛けた防犯カメラにマズい映像が映っていた

したらき

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第219話

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松本明良まつもとあきら 視点◆

雷斗らいとさんと仮のお付き合いをする様になって10日くらいしか経っていないけれど、恋人同士のイベントとされているクリスマスにデートをする約束をして迎えることになった。厳密には前日のイブなわけだけれど、日本ではイブの方が本番というイメージが強い。

しかも今年はそのイブが土曜日で当日が日曜日という最高のめぐり合わせになっている・・・雷斗さんには今日の夕方の暗くなり始める少し前の時間から夕食までで約束しているけど、明日まで予定は一切入れていない・・・元々雷斗さんに誘われるかもしれないと思ってイブと当日を全て空けていたからではあるけど、

また友達から女だけで集まろうというクリパの誘いはあったけれど、回答を避けて『悪いけど予定がはっきりしないから・・・行けたら行くよ』という曖昧に濁していたら、何故か『いいよ、来れたら来てね。でも、来れなくても全然構わないから』と理解を示してくれていて、その事を玲香れいかに話すと『そりゃ、カレシができたって思ってるからでしょ?偶然もあるけど、ここ2ヶ月のイメチェンでそう思っている人は多いよ。アタシも良く聞かれてるし』と、順序は違えど正解に近いところへ辿り着かれていたための配慮だったらしい。


待ち合わせ場所のある駅へ15分ほどの余裕を持って到着してしまった。玲香や他の友達も『女は少し待たせるくらいが良い』なんて言うのだけど、ぼくは性分から約束事は守りたいので時間厳守で行動してしまう・・・それに、せっかく会えるのだからその時間を自分で減らす様な事はしたくないというのもある。

早いと言っても15分なので、カフェへ入ったりするには短いしと待ち合わせ場所へ足を運ぶとしっかり服装を整えた雷斗さんが既に着いていた。


「すみません、雷斗さん。お待たせしました」


「全然待ってないよ。むしろまだ約束の時間にもなってないよ。
 でも一緒にいられる時間が長くなって嬉しいよ。
 それと、今日はいつも以上に可愛い服装だな」


「あ、ありがとうございます・・・雷斗さんもすごくカッコイイです・・・」


「そ、それは嬉しいかな。とりあえず、まだ完全に暗くなってないけどイルミネーションを見に行こうか」


「はい!」



今日の予定はイルミネーションを見てからディナーと言う流れになっていて、レストランは雷斗さんが予約してくれている。

まずイルミネーションの彩られた街区へ行ったら右も左も見物客だらけで見えづらくもあったけど、それを差し引いても幻想的で魅入っていた・・・ふと気付いて隣の雷斗さんを見るとぼくのことを見て微笑んでいて気恥ずかしくもなった。

ただ光っているオブジェを見ているだけだと言うのに思いのほか時間が早く過ぎ、雷斗さんが予約していたレストランの時間が近付いたので名残惜しさを感じつつも場を後にした。



入ったレストランは御洒落で雰囲気もよく他のお客さんのテーブルとの間隔も広くていかにも人気がありそうな感じだった。


「雷斗さん、よくこのお店の予約が取れましたね?」


「そう思ってくれたらな良かったかな?
 ネタバラシをすると、彼女と来るつもりで予約していたヤツから譲ってもらった」


「それって酷くないですか?」


「無理やり譲らせたんじゃなくて、彼女に振られて行き場がなかった予約だったので俺が巻き取ったんだよ」


「そういうことでしたか・・・でも、なんか申し訳ないですね」


「まぁ、自業自得なところがあったからしょうがないよ。
 付き合ってるという関係に甘えて彼女を放っていたらしいしよ」


「たしかに、放っておかれたら愛想を尽かしちゃうのもしょうがないかもしれないですね」



レストランでは対面に座っているので視界にずっと雷斗さんがいて今更ながら緊張する。

仮のお付き合いをする様になってから4回カフェやファミレスで向かい合って話をしたことがあったけど、普段と違うデート用の服装とお店の雰囲気とが相まってすごくカッコよく見えて、玲香には乙女の心がどうのと誂われたりもしたけど、たしかに乙女の心が疼いて好きという気持ちが大きくなる。

雰囲気に合わせたワインを飲んだことも有り感情の制御もいつもの様にできていない・・・



美味しい料理を残すことなくデザートまで食べ終え、食後のデザート酒を飲みながら雷斗さんが居住まいを正した。


「アキラ、少し俺の話を聞いてくれないか?」
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