学校の空き教室へ仕掛けた防犯カメラにマズい映像が映っていた

したらき

文字の大きさ
232 / 252

第232話

しおりを挟む
高梨百合恵たかなしゆりえ 視点◆

鷺ノ宮さぎのみや君が九州へ出発する当日、その直前の時間に鷺ノ宮君のお宅を訪問させてもらう事になっている。

目的は昨日学校で用意した受験勉強のための資料などを渡すためで、二之宮にのみやさんの分と合わせて持ってきている。


マンションへ着くと岸元きしもとさんも来ていてどういう事なのかと思ったら、鷺ノ宮君とお付き合いすることになったそうで吃驚した。岸元さんは鷺ノ宮君が原因で酷い目に遭った被害者とも言える立場なのに、それを許し交際までするという懐の広さはすごいと思う。
考えれば、同じく岸元さんが酷い目に遭った原因の二之宮さんとも友好的な関係を築いているし本人が反省しているのなら過去を気にしない考え方をしているのかもしれないし、それは見習いたい考え方だと思う。

わたしに置き換えると悠一ゆういちさんとの関係と重なるところがあって、悠一さんとの関係が離婚で壊れた後でも、妊娠できなかった原因が自分にあったことや凝り固まった価値観の押し付けで傷付ける物言いを行っていたことを謝罪し、心の底から悪かったと反省している様だった。その時は金輪際会いたくないと思ったけれど、高校生の岸元さんが過去に囚われずこれからを考えていく姿勢を見せているのを見て、落ち着いたら悠一さんと話をしてみたいと感化される。

それはそれとして鷺ノ宮君は昨年末に会った時よりも表情が陰っていて、岸元さんとのお付き合いについて迷いがある様に察せられる。こればっかりは本人の考え方だからわたしがどうこう言えた義理ではないけど、できたら少しでも晴れて欲しいと思う。

鷺ノ宮君が出発し、それに付き添って岸元さんも一緒に出ていったので、わたしと二之宮さんと鷺ノ宮君のお姉さんの那奈ななさんの3人で少し掘り下げて二之宮さんの進路についてお話させてもらった。二之宮さんは具体的には決めていないものの、何を学びたいと言うよりは先々を見据えて就職で有利な大学へ進学したいと考えているそうで、就職ありきの考えに那奈さんは思うところがある様だけれど進路自体は都内で通える有名大学ということなので呑み込んで様子を見るつもりのようだ。

たしかに、わたしから見ても那奈さんへ恩返しをしたいという本当の目的が透けて見えるし、那奈さんもそれを感じて思うところがあるのでしょうけど、合格できそうで挙げた大学が都内でも有名大学のラインなので、考えを変えるのは進学してからでも良いと長期戦で考えているのかもしれない。


進路についての話が終わって雑談をしていたら、スマホにマンションの管理会社から電話の着信があったので断りを入れて応答させてもらった。

電話の内容はわたし達が借りているマンションで隣の部屋の失火で火事が起きてしまったため、すぐに戻って燃えてしまったものの確認をして欲しいということだった。

ありがたいことに那奈さん達はわたしとみゆきが当面住む場所として居候させてくれると申し出てくれて、厚意に甘えさせていただくことにした。


一度マンションへ戻りみゆきと合流し、消防の方と一緒に部屋の状況を確認して火事を発生させたお隣側の部屋はかなりひどく燃えてしまっていたものの、反対側の部屋は無事だったものもあり貴重品を中心に持てるだけ持って後の事は明日以降に対応ということにした。



「初めまして、高梨百合恵の友人で同居人の赤堀あかほりみゆきと言います。今回はご縁がなかった私にまでご厚意をいただきありがとうございます」


「いいのですよ。困った時はお互い様です。それに、見ての通りで空き部屋がありますからお気になさらないでください」


「改めまして、わたしの友人というだけなのに赤堀まで居候させていただいてありがとうございます」


「先生も大変だったのですから気を楽にしてください。
 私こそ隆史たかし凪沙なぎさのために色々良くしてくださってる先生にご恩をお返しできる機会ができたのは良かったです。
 もちろん火事は良くなかったですけど・・・」



◆赤堀みゆき 視点◆

マンションのお隣が火事を起こし私達が住む部屋も半分くらい燃えてしまって住めなくなっていたところに、百合恵の学校の伝手で一時的に居候させてくれると申し出てくれている方がいると言われ、そのご厚意に甘えさせてもらうことにした。

最初はバタバタしているところでの話だったので最低限の情報しかなかったけれども、荷物を持って向かう先を聞いた時には驚いた・・・少し前に居候させてもらっていたマンションだったからだ。

目的のマンションへ向かいながら百合恵から話を聞くと、冬樹ふゆきの冤罪事件を起こした張本人と一番の実行犯の姉ということ。これまでも度々話に聞いていた相手だけど、張本人の女の子は家庭環境に問題があったらしいとか、改心して反省しているから気にかけているとか聞いていたし、実行犯の男の子についてもつい先日会ってきて深く反省をしているようで力になってあげたいなどと言っていたので更生するのは良いことだし、百合恵に感謝していてそのお返しにと声を掛けてくれたのもわかるけど、冬樹がそのマンションを貸してあげたという事に懐の広さを再認識した。

『反省しているから許す』までは私でも納得できる感情ではあるけど、そこから更に手を差し伸べてあげるというのはなかなかできることじゃないと思う。しかも持ち家を貸すというのは転居するまでずっと関係が続くということで、嫌なことを思い出すきっかけが付き纏うということでもあるのでお金の問題を別に置いてもなかなかできる決断ではないと思う。

冬樹は精神的に弱ってお医者さんにかかっていたけど、そんなことなど感じさせない強さを感じられる。



「それにしても、またここの部屋に居候させてもらう事になるとは思ってもなかったわ」


これからお世話になるマンションへ着き、家主の鷺ノ宮那奈さん達に挨拶をし、その際に『お互いフランクにして堅苦しい言葉遣いをしない様にしましょう』と申し合わせたところで思わず口にした。


「赤堀さんは神坂かみさかさんがお住まいの時にもここに居候していた事があるのですか?」


那奈さんが尋ねて来たので少し考えてから答えを口にした。


「ええ、百合恵をきっかけに冬樹と知り合い、それから親しくしてもらっていて、その頃ちょうど問題が起きて私が住むところがなくなって困っていた時に少しお世話になっていたの」


「そうだったのですか。それにしても神坂さんは本当に優しい方ですよね。
 私達も本来なら気に掛けてもらえるような間柄ではないのに、凪沙のためにセキュリティがしっかりしている住まいを探していると知ってここのお家を手数料とかかからない様にお貸しくださいましたし、損得の前に関わり合いになりたくないと思うのですが、そう言った素振そぶりも見せたりしなかったのです」



◆二之宮凪沙 視点◆

高梨先生の住んでいるマンションが火事に遭い、那奈さんの申し出で急場の住まいとしてこのマンションの空いている部屋をお貸しすることになった。もちろん私としても高梨先生には返しきれない御恩があるので、それを少しでもお返しできるならと賛成した。

そして、高梨先生は離婚されてからご友人とルームシェアをされていたということで、そのご友人も一緒に居候することになった。

高梨先生のご友人というので高梨先生の様な方かと想像していたけど、想像していたよりも砕けた性格のようで最初の挨拶の時に堅苦しい言葉遣いをしないようにと提案され、私と那奈さんが了承すると本当にフランクな話し方になり、馴れ馴れしくも思える言い回しなのだけれど不思議と嫌な気分にはならなかった。

それと共通の話題が少ないというのもあるのだけれど冬樹の事をよく話され・・・高梨先生のことよりも・・・しかもそれは愉しそうで、赤堀さんが意識しているのかどうかはわからないけど、冬樹への強い好意を感じさせられるものだ・・・少し前の私だったら嫉妬に狂っていたかもしれないくらい。

赤堀さんは高梨先生と同世代の様だし、そんな年の差があるのに好意を持たれる冬樹はすごいと思う。この気持ちは思慕でなく尊敬・・・冬樹に対しては善き友人になりたいという思いはあっても、もう付き合いたいという気持ちは湧いてこない。私では笑顔を向けてもらえない事が心の奥底で理解できてしまったから・・・
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について

沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。 かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。 しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。 現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。 その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。 「今日から私、あなたのメイドになります!」 なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!? 謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける! カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!

友達の妹が、入浴してる。

つきのはい
恋愛
 「交換してみない?」  冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。  それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。  鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。  冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。  そんなラブコメディです。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

恋人、はじめました。

桜庭かなめ
恋愛
 紙透明斗のクラスには、青山氷織という女子生徒がいる。才色兼備な氷織は男子中心にたくさん告白されているが、全て断っている。クールで笑顔を全然見せないことや銀髪であること。「氷織」という名前から『絶対零嬢』と呼ぶ人も。  明斗は半年ほど前に一目惚れしてから、氷織に恋心を抱き続けている。しかし、フラれるかもしれないと恐れ、告白できずにいた。  ある春の日の放課後。ゴミを散らしてしまう氷織を見つけ、明斗は彼女のことを助ける。その際、明斗は勇気を出して氷織に告白する。 「これまでの告白とは違い、胸がほんのり温かくなりました。好意からかは分かりませんが。断る気にはなれません」 「……それなら、俺とお試しで付き合ってみるのはどうだろう?」  明斗からのそんな提案を氷織が受け入れ、2人のお試しの恋人関係が始まった。  一緒にお昼ご飯を食べたり、放課後デートしたり、氷織が明斗のバイト先に来たり、お互いの家に行ったり。そんな日々を重ねるうちに、距離が縮み、氷織の表情も少しずつ豊かになっていく。告白、そして、お試しの恋人関係から始まる甘くて爽やかな学園青春ラブコメディ!  ※夏休み小話編2が完結しました!(2025.10.16)  ※小説家になろう(N6867GW)、カクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想などお待ちしています。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

隣の家の幼馴染と転校生が可愛すぎるんだが

akua034
恋愛
隣に住む幼馴染・水瀬美羽。 毎朝、元気いっぱいに晴を起こしに来るのは、もう当たり前の光景だった。 そんな彼女と同じ高校に進学した――はずだったのに。 数ヶ月後、晴のクラスに転校してきたのは、まさかの“全国で人気の高校生アイドル”黒瀬紗耶。 平凡な高校生活を過ごしたいだけの晴の願いとは裏腹に、 幼馴染とアイドル、二人の存在が彼の日常をどんどんかき回していく。 笑って、悩んで、ちょっとドキドキ。 気づけば心を奪われる―― 幼馴染 vs 転校生、青春ラブコメの火蓋がいま切られる!

イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について

のびすけ。
恋愛
春から一人暮らしを始めた大学一年生、天城コウは――ただの一般人だった。 だが、再会した義妹・ひよりのひと言で、そんな日常は吹き飛ぶ。 「お兄ちゃんにしか頼めないの、私の“中の人”になって!」 ひよりはフォロワー20万人超えの人気Vtuber《ひよこまる♪》。 だが突然の喉の不調で、配信ができなくなったらしい。 その代役に選ばれたのが、イケボだけが取り柄のコウ――つまり俺!? 仕方なく始めた“妹の中の人”としての活動だったが、 「え、ひよこまるの声、なんか色っぽくない!?」 「中の人、彼氏か?」 視聴者の反応は想定外。まさかのバズり現象が発生!? しかも、ひよりはそのまま「兄妹ユニット結成♡」を言い出して―― 同居、配信、秘密の関係……って、これほぼ恋人同棲じゃん!? 「お兄ちゃんの声、独り占めしたいのに……他の女と絡まないでよっ!」 代役から始まる、妹と秘密の“中の人”Vライフ×甘々ハーレムラブコメ、ここに開幕!

処理中です...