学校の空き教室へ仕掛けた防犯カメラにマズい映像が映っていた

したらき

文字の大きさ
240 / 252

第240話

しおりを挟む
鷺ノ宮隆史さぎのみやたかし 視点◆

姉貴から電話があり、中条なかじょうさんとりを戻し今度こそ結婚するという事で話が進んでいるという話をされた。
厳密には縒りを戻すという表現は間違っていて、俺が起こした問題に巻き込まれて姉貴が身を引いただけで、姉貴も婚約解消は本意ではなかったはずなので俺が問題を起こす前に戻ったということだろう。

電話ということもあるし、言いにくいこともあるだろうから詳しくはわからない。
俺のせいで家と家の繋がりで迷惑をかけない様にという考えがあったはずだし、それ以外にも姉貴が多額の損害賠償に応じるための金を用意するために風俗で働いたこともその理由だったはずで、そういった事に関しては固い考えの姉貴が考え直したことは不思議に思ったけど、何はともあれ元に戻ってくれたのは本当に良かったと思う・・・

姉貴の知らせを受けて気持ちが落ち着くと涙が流れてきた。姉貴に苦労をかけ、幸せになる邪魔をしたことがずっと引っ掛かっていて、それが目に見える形で解消に向かっていることを感じたから安堵したからだ。
俺自身が厳しい状況になってしまうのは自業自得でその事はいくらでも償っていきたいと思っているけど、姉貴は何も悪くないのに巻き込んでしまって、後で復帰したとは言え仕事を追われることになったし、金銭的にも負担をかけ本来ならしなくて良かった風俗勤めまでさせてしまった事は何よりも辛かった・・・
・・・とは言え、仲村なかむら先輩や美波みなみ芳川よしかわさんの家族はもっと理不尽に家族が性のはけ口にされたのだし、俺には姉貴を思うことすら許されないのではないかという気持ちにもなる。


美波とは主にメッセージでのやり取りだけだったけど、毎日欠かすことなくやり取りを行いクラスメイトと楽しく学校生活を送っている様子がうかがえる・・・もちろん、俺に対して負の部分を見せていないだけの可能性もあるけど、そんなことを疑いだしたらきりがない。
最新の話題は仲の良い友人たちで集まって神坂かみさか兄妹きょうだいの誕生日会を開催することで、プレゼントの用意で神坂兄妹きょうだいには秘密して友人たちで買い物へ行ったことを楽しそうに伝えてくれている。



今日も仕事を終えてスマホを確認するとメッセージの着信があり、美波だと思ってよく確認せずにロック画面から直接メッセージのやり取り画面を開くと仲村先輩とのやり取りの画面だった。

【久し振り】
【隆史に直接聞きたいことがあるから電話してくれないかな?】
【今日なら20時以降に出られるようにしておくし、今日が駄目ならいつなら大丈夫なのか教えて欲しい】

仲村先輩が今更俺に何の用があるのかわからなかったけど、俺のせいで一番不幸になったとも思える相手でもあるので無下にするわけにいかず、夕食を食べ風呂を済ませてから電話することにした。

『もしもし、隆史?』

「はい、鷺ノ宮です」

『ごめんね。電話ありがとう』

「いえ、仲村先輩にはとんでもないことをしてしまっていましたし・・・」

『そう思ってくれてるんだね』

「当然です・・・一番悔いていることです」

『わかった。じゃあさ、どうして岸元きしもとさんと付き合うの?』

「それは・・・償わないといけないですから・・・」

『私は?』

「え?」

『私への償いはどうなるの?』

「それはさせてもらいますけど・・・」

『じゃあ、私とも付き合ってくれるの?』

「それは・・・さすがに二股はできないです」

『私も付き合って償って欲しいんだけど。
 ちゃんとは聞いてないけど、岸元さんより私のほうがたくさん汚されたはずだよね?』

「それはそうですけど・・・」

『あの時も今も隆史の事が好きだし・・・だからあのゲスな連中に凌辱されても堪えたんだよ!
 どうして私じゃダメなのよ!』

仲村先輩が声を荒らげて訴えてきた。

「そのことは本当に申し訳ないと思いますし、他のことで償わせてもらえないですか?」

『それなら、岸元さんと別れて私と付き合って!』

「それだけは・・・」

『じゃあ、岸元さんと別れるまでは二股でいいから付き合ってよ!』

「それも・・・」

『何だったら良いのよ!
 私が岸元さんと話をして隆史と別れてもらえば良いの!?』

「それはやめてください!」

『岸元さんと別れたくないから?』

「彼女をこれ以上傷付けたくないからです」

『私は傷付いても良いってこと?』

「そんなことはないです。
 でも、先輩に償いをするために美波を傷付けることだけは・・・」

これ以上言葉が浮かばなくて、また仲村先輩も言葉を発さずしばしの沈黙が訪れた。

『・・・たしかに、私が悪かったわ。
 岸元さんは悪くないのに腹立たしく思ってしまって行き過ぎたわ。ごめんなさい』

「いえ、まさかあんなことをされ続けた先輩が俺なんかと付き合いたいと思っていてくれたなんて想像もできずにすみませんでした」

『今更ね。でも、隆史がいつかマトモに戻ってくれると信じて堪えてたし、警察や学校にだって最後まで隆史に不利になるようなことを言わなかったのよ』

「そうだったんですね・・・本当にすみません。
 美波から付き合おうと言われて・・・それで償えるならって思って・・・」

たしかに凪沙なぎさが真実を証言してから俺の処遇が急に軽くなったのには違和感があったけど、繰り上がって一番の被害者になっていた仲村先輩が俺に不利にならないようにしてくれていたからと考えると辻褄が合う。

『岸元さんが隆史に好意を抱いたことは悪くないし、それで拒めなかった隆史の気持ちもわかるわ。
 そして、隆史が岸元さんに対してどれほど不満を持っても償いだと思って自分からは別れるつもりがないのでしょう?』

「はい・・・」

『わかったわ。それで、岸元さんだけでなく私に対しても償いをする気持ちがあるわけよね?』

「それは当然です」

『なら、まず私とも頻繁に連絡を取り合って。
 それと、名前で呼んで。岸元さんは名前で呼び捨てにしているのに、私に対して仲村先輩呼びはよそよそしくて嫌』

「・・・梨子りこさんで良いですか?」

『さんは要らない』

「・・・梨子・・・でいいでしょうか?」

『うん。ぎこちないけど、まだしょうがないわよね。これから言い慣れてね』

「はい。これだけで良いですか?」

『これだけで良いはずないでしょう。
 岸元さんと別れた時は私と付き合うこと』

「・・・それなら。でも、な・・・梨子も美波へ俺と別れるように働きかけるようなことはしないでください」

『そうね。それは約束するわ。
 いくらなんでも岸元さんに悪いし。
 でも、そういう約束をしたってことは伝えるわよ』

「それは・・・しょうがないですよね・・・でも、それは俺から伝えさせてください」

『そうね、私からそんな話をしたらそれだけで拗れちゃいそうだし、隆史が言うべきね』

「それと、電話やメッセージで伝えたくないので俺が九州こっちの仕事が終わって、東京そっちへ戻ってからでいいですか?」

『3月の終わりまでだっけ?
 わかったわ。それまでは岸元さんにも言わないで良いわよ。
 その代わり、東京こっちへ戻ってきたらすぐに話してちょうだいね』

それからは梨子が大学へ合格した話や連絡を取り合わなかった間の日常的な話をして通話を終えた。


電話が終わってから整理する様に思考を巡らせてみた。
あんな酷い目に遭わせたのに俺と付き合いたいという梨子・・・俺のどこにそんな好意を持ってもらう価値があるのかわからないけど、美波と同様に誠心誠意償いをしていきたいと思う。
当然、あと一人の被害者である芳川さんに対しても償いをしなければならないけど、俺から連絡をするのはおろか、誰かに間に入ってもらって俺が何をすれば償えるのか聞いてもらうことすらもすべきではないと思う。俺と関わらないことで平穏な生活を送れているとしたら俺が関わることで壊しかねないので、ひたすら待つしかない。
そして、梨子との約束を美波へどう伝えればよいのかを考えると今から気が重い・・・
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について

沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。 かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。 しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。 現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。 その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。 「今日から私、あなたのメイドになります!」 なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!? 謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける! カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!

友達の妹が、入浴してる。

つきのはい
恋愛
 「交換してみない?」  冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。  それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。  鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。  冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。  そんなラブコメディです。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

恋人、はじめました。

桜庭かなめ
恋愛
 紙透明斗のクラスには、青山氷織という女子生徒がいる。才色兼備な氷織は男子中心にたくさん告白されているが、全て断っている。クールで笑顔を全然見せないことや銀髪であること。「氷織」という名前から『絶対零嬢』と呼ぶ人も。  明斗は半年ほど前に一目惚れしてから、氷織に恋心を抱き続けている。しかし、フラれるかもしれないと恐れ、告白できずにいた。  ある春の日の放課後。ゴミを散らしてしまう氷織を見つけ、明斗は彼女のことを助ける。その際、明斗は勇気を出して氷織に告白する。 「これまでの告白とは違い、胸がほんのり温かくなりました。好意からかは分かりませんが。断る気にはなれません」 「……それなら、俺とお試しで付き合ってみるのはどうだろう?」  明斗からのそんな提案を氷織が受け入れ、2人のお試しの恋人関係が始まった。  一緒にお昼ご飯を食べたり、放課後デートしたり、氷織が明斗のバイト先に来たり、お互いの家に行ったり。そんな日々を重ねるうちに、距離が縮み、氷織の表情も少しずつ豊かになっていく。告白、そして、お試しの恋人関係から始まる甘くて爽やかな学園青春ラブコメディ!  ※夏休み小話編2が完結しました!(2025.10.16)  ※小説家になろう(N6867GW)、カクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想などお待ちしています。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

隣の家の幼馴染と転校生が可愛すぎるんだが

akua034
恋愛
隣に住む幼馴染・水瀬美羽。 毎朝、元気いっぱいに晴を起こしに来るのは、もう当たり前の光景だった。 そんな彼女と同じ高校に進学した――はずだったのに。 数ヶ月後、晴のクラスに転校してきたのは、まさかの“全国で人気の高校生アイドル”黒瀬紗耶。 平凡な高校生活を過ごしたいだけの晴の願いとは裏腹に、 幼馴染とアイドル、二人の存在が彼の日常をどんどんかき回していく。 笑って、悩んで、ちょっとドキドキ。 気づけば心を奪われる―― 幼馴染 vs 転校生、青春ラブコメの火蓋がいま切られる!

イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について

のびすけ。
恋愛
春から一人暮らしを始めた大学一年生、天城コウは――ただの一般人だった。 だが、再会した義妹・ひよりのひと言で、そんな日常は吹き飛ぶ。 「お兄ちゃんにしか頼めないの、私の“中の人”になって!」 ひよりはフォロワー20万人超えの人気Vtuber《ひよこまる♪》。 だが突然の喉の不調で、配信ができなくなったらしい。 その代役に選ばれたのが、イケボだけが取り柄のコウ――つまり俺!? 仕方なく始めた“妹の中の人”としての活動だったが、 「え、ひよこまるの声、なんか色っぽくない!?」 「中の人、彼氏か?」 視聴者の反応は想定外。まさかのバズり現象が発生!? しかも、ひよりはそのまま「兄妹ユニット結成♡」を言い出して―― 同居、配信、秘密の関係……って、これほぼ恋人同棲じゃん!? 「お兄ちゃんの声、独り占めしたいのに……他の女と絡まないでよっ!」 代役から始まる、妹と秘密の“中の人”Vライフ×甘々ハーレムラブコメ、ここに開幕!

処理中です...