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第250話
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◆岸元美晴 視点◆
3月に入って、高校を卒業した夏菜ちゃんがよく来てくれるようになった。
夏菜ちゃんは本命でもあり私も通う国立大学に合格したので4月からも同じ学校の後輩になり、小学校から高校までにプラスして大学も同じという状況になった・・・本来なら先輩である私が後輩の夏菜ちゃんにあれこれ教えてあげる立場なのだけど、夏菜ちゃんは妊婦である私をサポートすることに意識が向いていて、私からサポートを受けるという事を考えていないみたい。
たしかに同じ学校へ通っていたとは言え、私が小学校を卒業してからの9年は夏菜ちゃんと私が同時期に同じ学校へは通っていなくて、卒業生として同じ学校の先輩だった存在でしかなく、夏菜ちゃんの気質からして私から何かサポートを受けるという意識がないのだろうと思う・・・けれども、夏菜ちゃんのお姉ちゃんという立場のつもりの私としては少し寂しくもある。
しかし、私が小学校を卒業してからは夏菜ちゃんに姉らしいことをしてあげられなかったし、逆に実際の弟妹である冬樹くんや春華ちゃんだけでなく岸元の美波すらも妹同然として面倒を見てきてくれてきたのだから夏菜ちゃんに軍配があがってしまうのは仕方がないとも思う。
それでいて年長者の私を立ててくれる配慮はしっかりしてくれるのだから余計に差を感じてしまう・・・実際、入学してからすぐに選ばないといけない単位やサークルなどのあれこれについて質問してくれるのだけど、ネットか何かで既に把握していているようで、夏菜ちゃんの情報はほぼそのままで問題ないどころか、聞いた私が今まで知らずにいて感心させられることもあるくらいで、同じ大学の先輩である私に何も尋ねないのは無視しているようで良くないと思ってわざわざ答えやすい話題を選んで尋ねてくれていることすら察せられる。
昔からしっかりしているとは思っていたけど、私が家を出ていて見ていなかった間に磨きがかかっているように思う。
「あの、美晴さん。大学とは関係のない話ですけど、伺って良いですか?」
「もちろん、何でも聞いて。答えられないことはごめんなさいだけど、できるだけ答えるようにするから。遠慮しないで言ってちょうだい」
今日も私の様子見を兼ねてなのか夏菜ちゃんがうちに来てくれて大学のことなどを話していたところで、突然断りを入れての話題転換で構えてしまったけど、頼られるならできる限り応えたいと思って促した。
「美晴さんは冬樹の何に惹かれているのですか?」
「え?いきなりだね?」
大学と関係ないとは前置きがあったけれど、夏菜ちゃんらしからぬ話題の振り方だったので思わず素で返してしまった。
「すみません・・・その・・・恋愛についてお伺いしたくて・・・」
夏菜ちゃんが唐突に今までに見せたことがない表情と曖昧な態度を見せてきて、更によく顔を見ると羞恥からか頬が赤くなっている。そうすると、想像できることは少ない。
「もしかして、誰かから告白されたの?」
「どうしてそれをっ!?」
私のことをエスパーか何かと思ったような反応を示す夏菜ちゃんを見て私は確信に至ったけれど、変に茶化すのは良くないと思って少し遠回りすることにした。
「いきなり恋愛について聞きたいなんて言われるとね」
「はっ。
たしかに、そんな事を言われたらそちらの方向に可能性を見出しますよね」
夏菜ちゃんは自分が恋愛について聞きたいと言ったことが私が思い至った理由だと気付いた様だ。
「茶化さないし、夏菜ちゃんが言いたくないなら聞かないけど、言ってくれるなら冬樹くんにも内緒で相談に乗るくらいはするよ」
いくら私が冬樹くん一番とは言え、夏菜ちゃんの恋愛事情を伝えるなんて駄目だとわかるし、夏菜ちゃんも普段の聡明さを持ってすれば私が冬樹くんに夏菜ちゃんの事を話さないと気付いてくれると思うのだけど、その辺りのことにすら思いが至らないくらいに混乱しているようだ。
「すみません・・・もちろん美晴さんが冬樹にも話さないと思っていますが、その・・・」
「いいのよ。言いたくないことは言わないでも」
「もちろん美晴さんが分別ある方だというのは重々理解していますし、信頼していますが・・・」
「恋愛ごとには気恥ずかしい感情が湧いたりとかあって当然よ。だから私は気にしてないし、夏菜ちゃんにも気にして欲しくないかな」
それから夏菜ちゃんの感情を整理しながら話を聞いていくと、夏菜ちゃんは同級生の男子に告白されたらしい。
その男子は冬樹くんの問題から夏菜ちゃんが孤立しかけた時にその雰囲気を壊して夏菜ちゃんの居場所を守ってくれた人だと言うことで、感謝の気持ちもあったし良い関係を築いていたらしい。
今回受験で同じ大学に合格したことをきっかけに告白されたらしい。
それでも、今まで恋愛対象として考えたことがないということでどうしたら良いのかと迷ってしまっているらしい。
更に突っ込んで今まで告白されたことがなかったのかと聞いてみたら何度も告白されたことがあったけれども、相手に興味がなかったりそもそも知らない人だったと言うことで断っていたらしい・・・今まで断ることができているのにも関わらず悩んでいるのなんかその相手が気になっているからとしか思えないのだけれど、それは飲み込んでできるだけ誠実に夏菜ちゃんに語ることにした。
「私はね、冬樹くんのことがずっと好きだったのだけど、当の冬樹くんが美波を好きなことがわかっていたし、美波も冬樹くんの事が好きなことがわかっていたからずっと引いて見ていたんだ。
それを見ているのがつらくて大学を理由にして家を出て距離を取ったんだよね。去年の夏に美波が助けを求めるようなメッセージを送ってきたから実家に顔を出したけど、それがなかったらたぶん家に近付こうとしなかったと思う」
「じゃあ、一連の事件がなかったら・・・」
「うん、遠くから冬樹くんと美波が付き合うのだろうなと思いながらつまらない大学生活を送って、その後も就活で採用してくれた会社に就職し、実家にもあまり寄り付かないでつまらない生活を送っていたと思うよ」
「すみません。美晴さんがそこまで冬樹のことを思っていてくれたとは想像すらできずに・・・」
「夏菜ちゃん、気にしないで。
私が望んで誰にも悟られないようにひた隠しにしていたことだし、むしろ敏い夏菜ちゃんにも気付かれていなかったことが良かったと思うよ。
それより今は夏菜ちゃんのことでしょ」
そこからも色々話をしたけれど今日のところは結論が出ず、でも夏菜ちゃんはその告白してくれた子のことを憎からず思っていることがわかったので、これから何かあれば応援してあげたいと思った。
3月に入って、高校を卒業した夏菜ちゃんがよく来てくれるようになった。
夏菜ちゃんは本命でもあり私も通う国立大学に合格したので4月からも同じ学校の後輩になり、小学校から高校までにプラスして大学も同じという状況になった・・・本来なら先輩である私が後輩の夏菜ちゃんにあれこれ教えてあげる立場なのだけど、夏菜ちゃんは妊婦である私をサポートすることに意識が向いていて、私からサポートを受けるという事を考えていないみたい。
たしかに同じ学校へ通っていたとは言え、私が小学校を卒業してからの9年は夏菜ちゃんと私が同時期に同じ学校へは通っていなくて、卒業生として同じ学校の先輩だった存在でしかなく、夏菜ちゃんの気質からして私から何かサポートを受けるという意識がないのだろうと思う・・・けれども、夏菜ちゃんのお姉ちゃんという立場のつもりの私としては少し寂しくもある。
しかし、私が小学校を卒業してからは夏菜ちゃんに姉らしいことをしてあげられなかったし、逆に実際の弟妹である冬樹くんや春華ちゃんだけでなく岸元の美波すらも妹同然として面倒を見てきてくれてきたのだから夏菜ちゃんに軍配があがってしまうのは仕方がないとも思う。
それでいて年長者の私を立ててくれる配慮はしっかりしてくれるのだから余計に差を感じてしまう・・・実際、入学してからすぐに選ばないといけない単位やサークルなどのあれこれについて質問してくれるのだけど、ネットか何かで既に把握していているようで、夏菜ちゃんの情報はほぼそのままで問題ないどころか、聞いた私が今まで知らずにいて感心させられることもあるくらいで、同じ大学の先輩である私に何も尋ねないのは無視しているようで良くないと思ってわざわざ答えやすい話題を選んで尋ねてくれていることすら察せられる。
昔からしっかりしているとは思っていたけど、私が家を出ていて見ていなかった間に磨きがかかっているように思う。
「あの、美晴さん。大学とは関係のない話ですけど、伺って良いですか?」
「もちろん、何でも聞いて。答えられないことはごめんなさいだけど、できるだけ答えるようにするから。遠慮しないで言ってちょうだい」
今日も私の様子見を兼ねてなのか夏菜ちゃんがうちに来てくれて大学のことなどを話していたところで、突然断りを入れての話題転換で構えてしまったけど、頼られるならできる限り応えたいと思って促した。
「美晴さんは冬樹の何に惹かれているのですか?」
「え?いきなりだね?」
大学と関係ないとは前置きがあったけれど、夏菜ちゃんらしからぬ話題の振り方だったので思わず素で返してしまった。
「すみません・・・その・・・恋愛についてお伺いしたくて・・・」
夏菜ちゃんが唐突に今までに見せたことがない表情と曖昧な態度を見せてきて、更によく顔を見ると羞恥からか頬が赤くなっている。そうすると、想像できることは少ない。
「もしかして、誰かから告白されたの?」
「どうしてそれをっ!?」
私のことをエスパーか何かと思ったような反応を示す夏菜ちゃんを見て私は確信に至ったけれど、変に茶化すのは良くないと思って少し遠回りすることにした。
「いきなり恋愛について聞きたいなんて言われるとね」
「はっ。
たしかに、そんな事を言われたらそちらの方向に可能性を見出しますよね」
夏菜ちゃんは自分が恋愛について聞きたいと言ったことが私が思い至った理由だと気付いた様だ。
「茶化さないし、夏菜ちゃんが言いたくないなら聞かないけど、言ってくれるなら冬樹くんにも内緒で相談に乗るくらいはするよ」
いくら私が冬樹くん一番とは言え、夏菜ちゃんの恋愛事情を伝えるなんて駄目だとわかるし、夏菜ちゃんも普段の聡明さを持ってすれば私が冬樹くんに夏菜ちゃんの事を話さないと気付いてくれると思うのだけど、その辺りのことにすら思いが至らないくらいに混乱しているようだ。
「すみません・・・もちろん美晴さんが冬樹にも話さないと思っていますが、その・・・」
「いいのよ。言いたくないことは言わないでも」
「もちろん美晴さんが分別ある方だというのは重々理解していますし、信頼していますが・・・」
「恋愛ごとには気恥ずかしい感情が湧いたりとかあって当然よ。だから私は気にしてないし、夏菜ちゃんにも気にして欲しくないかな」
それから夏菜ちゃんの感情を整理しながら話を聞いていくと、夏菜ちゃんは同級生の男子に告白されたらしい。
その男子は冬樹くんの問題から夏菜ちゃんが孤立しかけた時にその雰囲気を壊して夏菜ちゃんの居場所を守ってくれた人だと言うことで、感謝の気持ちもあったし良い関係を築いていたらしい。
今回受験で同じ大学に合格したことをきっかけに告白されたらしい。
それでも、今まで恋愛対象として考えたことがないということでどうしたら良いのかと迷ってしまっているらしい。
更に突っ込んで今まで告白されたことがなかったのかと聞いてみたら何度も告白されたことがあったけれども、相手に興味がなかったりそもそも知らない人だったと言うことで断っていたらしい・・・今まで断ることができているのにも関わらず悩んでいるのなんかその相手が気になっているからとしか思えないのだけれど、それは飲み込んでできるだけ誠実に夏菜ちゃんに語ることにした。
「私はね、冬樹くんのことがずっと好きだったのだけど、当の冬樹くんが美波を好きなことがわかっていたし、美波も冬樹くんの事が好きなことがわかっていたからずっと引いて見ていたんだ。
それを見ているのがつらくて大学を理由にして家を出て距離を取ったんだよね。去年の夏に美波が助けを求めるようなメッセージを送ってきたから実家に顔を出したけど、それがなかったらたぶん家に近付こうとしなかったと思う」
「じゃあ、一連の事件がなかったら・・・」
「うん、遠くから冬樹くんと美波が付き合うのだろうなと思いながらつまらない大学生活を送って、その後も就活で採用してくれた会社に就職し、実家にもあまり寄り付かないでつまらない生活を送っていたと思うよ」
「すみません。美晴さんがそこまで冬樹のことを思っていてくれたとは想像すらできずに・・・」
「夏菜ちゃん、気にしないで。
私が望んで誰にも悟られないようにひた隠しにしていたことだし、むしろ敏い夏菜ちゃんにも気付かれていなかったことが良かったと思うよ。
それより今は夏菜ちゃんのことでしょ」
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