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217.輜重隊出征6
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幾人かの騎士の言葉に誠一は、
それは今日のお前らだろうがと
喉から手が出るほどに言いたかったが、
無用に敵を作る愚は犯さなかった。
ひとまず、隊のトップへ輜重を火による攻撃から
防衛することに喚起できただけで良しとした。
「アルフレート君の意見は充分に参考になった。
下がってよろしい。明日に備えて、ゆっくりしなさい。
常識だが、竜騎士は夜間に行動しない」
騎士の1人が誠一に向けて、
己の知見を誇るように語った。
周囲の騎士もそれに同調した。
一礼をして、宿所を後にした。
誠一は、夜空を見上げながら、寝所に向かって、
歩いていた。
地上では、火が至る所で焚かれており、
夜空には幾万もの星々が輝いていた。
星々の運行を頼りに飛竜に騎乗する騎士が
侵攻してきたら、地上の焚き火は
格好の攻撃目標になるだろう。
既に反乱勢力の竜騎士が北関の後方奥深くまで
侵入している。そして、輜重を幾度も壊滅されていた。
ここに至って、戦場の常識を語られても誠一は、
納得も感心もしなかった。
もし、自分なら夜間に2,3回程度、
安全を確保した場所から、牽制程度の攻撃を
仕掛けるだろう。
結果、軍が大混乱に陥れば、重畳であるが、
敵軍に終始、緊張を強いることができるだけでも
十分であった。
寝所では既にヴェルがいい感じで眠っていた。
同期生が火の番をしていた。
誠一も交代まで眠るために横になった。
「まあ、考えるのは隊長たちの仕事だし、
明日のためにもさっさと寝るかな」
自然と呟いた言葉に反応した同期生は、
眠たげな眼を誠一に向けた。
しかし、既に瞳を閉じていた誠一を見ると、
聞き違いと思い、再び眠そうな目を火に向けた。
翌日、昨日と同様に5騎の竜騎士が飛来してきた。
十分に離れた距離から、火矢を何本も放って来たが、
輜重隊の前衛にすら、届かなかった。
「こちらも矢玉で応戦するぞ」
カリバーが矢を放つように指示を出した。
お互いに届かない距離から無駄に矢を放っていたが、
2発の炎の塊が竜騎士より放たれた。
「後退だ、下れ。爆発に巻き込まれるぞ」
前衛の騎士団は、急ぎ後退した。
そのタイミングで弓による攻撃も一時、
止まってしまった。
炎の塊の後方から3騎の竜騎士が飛来した。
そして、炎の塊が地を燃やすと同時にその炎の前方、
つまり騎士団の前に何かを放り投げた。
地より空に向かって、3つのどす黒い柱が一瞬、
立ち上がった。
地には、どす黒い魔術陣が浮き上がっていた。
そして、そこから魔物が溢れ出した。
魔物の後ろは炎が遮っており、巻き込まれないために
前進するしかなかった。
様々な魔物は、騎士団に向かって、狂ったように前進した。
それは今日のお前らだろうがと
喉から手が出るほどに言いたかったが、
無用に敵を作る愚は犯さなかった。
ひとまず、隊のトップへ輜重を火による攻撃から
防衛することに喚起できただけで良しとした。
「アルフレート君の意見は充分に参考になった。
下がってよろしい。明日に備えて、ゆっくりしなさい。
常識だが、竜騎士は夜間に行動しない」
騎士の1人が誠一に向けて、
己の知見を誇るように語った。
周囲の騎士もそれに同調した。
一礼をして、宿所を後にした。
誠一は、夜空を見上げながら、寝所に向かって、
歩いていた。
地上では、火が至る所で焚かれており、
夜空には幾万もの星々が輝いていた。
星々の運行を頼りに飛竜に騎乗する騎士が
侵攻してきたら、地上の焚き火は
格好の攻撃目標になるだろう。
既に反乱勢力の竜騎士が北関の後方奥深くまで
侵入している。そして、輜重を幾度も壊滅されていた。
ここに至って、戦場の常識を語られても誠一は、
納得も感心もしなかった。
もし、自分なら夜間に2,3回程度、
安全を確保した場所から、牽制程度の攻撃を
仕掛けるだろう。
結果、軍が大混乱に陥れば、重畳であるが、
敵軍に終始、緊張を強いることができるだけでも
十分であった。
寝所では既にヴェルがいい感じで眠っていた。
同期生が火の番をしていた。
誠一も交代まで眠るために横になった。
「まあ、考えるのは隊長たちの仕事だし、
明日のためにもさっさと寝るかな」
自然と呟いた言葉に反応した同期生は、
眠たげな眼を誠一に向けた。
しかし、既に瞳を閉じていた誠一を見ると、
聞き違いと思い、再び眠そうな目を火に向けた。
翌日、昨日と同様に5騎の竜騎士が飛来してきた。
十分に離れた距離から、火矢を何本も放って来たが、
輜重隊の前衛にすら、届かなかった。
「こちらも矢玉で応戦するぞ」
カリバーが矢を放つように指示を出した。
お互いに届かない距離から無駄に矢を放っていたが、
2発の炎の塊が竜騎士より放たれた。
「後退だ、下れ。爆発に巻き込まれるぞ」
前衛の騎士団は、急ぎ後退した。
そのタイミングで弓による攻撃も一時、
止まってしまった。
炎の塊の後方から3騎の竜騎士が飛来した。
そして、炎の塊が地を燃やすと同時にその炎の前方、
つまり騎士団の前に何かを放り投げた。
地より空に向かって、3つのどす黒い柱が一瞬、
立ち上がった。
地には、どす黒い魔術陣が浮き上がっていた。
そして、そこから魔物が溢れ出した。
魔物の後ろは炎が遮っており、巻き込まれないために
前進するしかなかった。
様々な魔物は、騎士団に向かって、狂ったように前進した。
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