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218.輜重隊出征7

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「魔物だ、来たぞ。距離が近い。
魔術師、補助魔術のサポートに切り替えろ。
盾を構えて、敵の勢いを削げ」
カリバーは、突撃するより
受けて立つことを選択した。
しかし、最前線は、魔物の勢いを
押し返すことが出来ずにそのまま、
乱戦となってしまった。

最前線の本職の騎士隊は、騎士見習いの学生たちを
サポートするどころの話では無かった。
既に見習い騎士たちも乱戦の中で戦っていた。
カリバーは、彼等の状況を気にはしていたが、
どうすることもできなかった。
戦死者でも出ようものなら、遺族から
どのような嫌がらせを受けるか、
戦場真っ只中にも関わらず、カリバーは
憂鬱になってしまった。

「うおおおっーアル。チャンスだ!
ここで一発かませば。
一番槍の功を超えるぞ。
行くぞ、フレイムチャージ」

「待て!それは魔術師の職分じゃないって!
命令違反になるから、ヴェル、落ち着いて」
ヴェルの暴走を何とか止めようと尽力したが、
その努力をあざ笑うかのように槍を模したような炎の塊が
魔物の群れに向かって突撃した。

「くそっ。無茶ぶりだ。エアチャージー」
誠一は叫び、ヴェルの後に続いた。
魔物は数だけは多かったが、難敵はいないように見えた。
しかし、流石に一人で敵陣奥深くに突っ込めば、
何か不測の事態が起こるかもしれない。
そう思い、急ぎ、ヴェルの後を追った。

 ヴェルの技は、魔物の群れを更に混乱に陥れた。
元々、後方の炎に加えて、前方から迫りくる炎の塊が
無秩序な状況に更に拍車をかけた。

魔物の群れの中央付近で、
ハルバートを振り回し、
魔物をなぎ倒すヴェルであった。

「うおおおぅー経験の稼ぎ時じゃー。
アル、背中は預けた」

「ヴェル、それは前に聞いたし、
シエンナにまた、突っ込まれるぞ。
新ネタを頼む」
追い付いた誠一は、シエンナが
いないために代わりに突っ込んだ。

「うるへーこれしか知らないんだよ。
とにかくアル、頼んだ」
そんな話をしつつもメイスを両手で掴み
手当たり次第に魔物を叩き潰す誠一だった。

この二人の光景を遠目から騎士たちは目撃していた。
「魔術師見習いどもに後れを取るな、行くぞおー」

「くそがぁ、勝手なことしやがって。
ここからが騎士団の本領発揮だ」

「雑魚を倒して、調子にのってる奴らに
本職の力を見せてやれ」

どうやら、士気は大いにあがってるようであったが、
カリバーは二人の魔術師が気味悪かった。
ありえない、あの歳でこれほど生物を
殺し慣れているなどありえない。
自分に置き換えてみれば、あのくらいの頃は、
ゴブリン一匹ですら、苦戦していたし、
魔物をコロスことを忌避することはなかったが、
躊躇はしていた。
普通の家庭に育てば、それが当たり前であった。

日常生活の一部の様に当たりに切り刻み、
叩き潰す二人がカリバーの眼には異常に映っていた。

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