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379.入城1
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グレートウォールへの行軍は順調そのものであった。
曇り空が多く、時節、雨に晒される以外に
大した魔物や盗賊の集団も現れずにほぼ予定通りに
グレートウォールに到着しそうであった。
誠一たちの目に横長に伸びる巨大な城壁が映り始めた。
「あれがグレートウォールか」
誠一はその規模に圧倒された。
古来より北方の蛮族の襲来を幾度となく防ぎ、
王国を守ってきた城であった。城壁の終わりを誠一たちが
目にすることが出来ない程の長城であった。
横長の城壁は歴代の領主が拡張していった。
その長さの正確なところは誰にも分からなかった。
「あれだけ長い城壁に兵を配置するには
随分と兵員が必要になるような気がしますが、
それほどの兵数をダンブルが囲っているということですか?」
誠一は、右隣に位置するキャロリーヌに尋ねた。
「そっか、アルは始めて見るのね。
あの城壁は長さだけでなく幅もあるのよ。
馬車が通れるくらいにね。
つまり、城壁に一定間隔に配置された砦から
伝令が居城に送られると直ちに派兵される仕組みみたいなの」
左隣に位置するロジェが補足した。
「中心となる本城は、王国の主城とほぼ同じ規模だ。
兵は、質実剛健で実戦経験も豊富だ。
後方からの物資の支給と援軍が確保されていれば、難攻不落となる。
事実、王国からの援軍と輜重が確保されているために
蛮族どもがあの城を超えてヴェルトール王国の地を踏むことは
今まで一度たりともなかった」
「そうね、ロジェの言う通りね。
彼らがヴェルトール王国の地を踏むときは、
主城で王に拝跪する時だけとまで言われているからね」
「さてと、そろそろ話も終いだ。
この距離となると城から我々を観察している者たちもいるだろう」
誠一は頷いた。そして、後方に控えるヴェルに話しかけた。
ヴェルは頷くと、兵士たちに隊列を改めて整える様に伝令して、走り回った。
同行しているバラムは、先行して、誠一たちの到着を
グレートウォールに伝えに向かった。
同様に同行しているジェイコブは、誠一たちから数キロ離れて行軍していた。
先頭を闊歩するのは、誠一、両脇を固めるはロジェとキャロリーヌ。
そのすぐ後ろをヴェル、シエンナ、サリナが続いた。
兵士は白い鎧を装備して、4列並びで行軍した。
城の城壁から歓声が上がっていた。
それに応じるかのように誠一は7面メイスを高々と掲げた。
歓声は更に大きくなっていた。
正門を通過して、入城してもそれは変らなかった。
路の左右を埋める住民たちは、一様に不安そうな表情であったが、
誠一たちに歓声と手を振っていた。
曇り空が多く、時節、雨に晒される以外に
大した魔物や盗賊の集団も現れずにほぼ予定通りに
グレートウォールに到着しそうであった。
誠一たちの目に横長に伸びる巨大な城壁が映り始めた。
「あれがグレートウォールか」
誠一はその規模に圧倒された。
古来より北方の蛮族の襲来を幾度となく防ぎ、
王国を守ってきた城であった。城壁の終わりを誠一たちが
目にすることが出来ない程の長城であった。
横長の城壁は歴代の領主が拡張していった。
その長さの正確なところは誰にも分からなかった。
「あれだけ長い城壁に兵を配置するには
随分と兵員が必要になるような気がしますが、
それほどの兵数をダンブルが囲っているということですか?」
誠一は、右隣に位置するキャロリーヌに尋ねた。
「そっか、アルは始めて見るのね。
あの城壁は長さだけでなく幅もあるのよ。
馬車が通れるくらいにね。
つまり、城壁に一定間隔に配置された砦から
伝令が居城に送られると直ちに派兵される仕組みみたいなの」
左隣に位置するロジェが補足した。
「中心となる本城は、王国の主城とほぼ同じ規模だ。
兵は、質実剛健で実戦経験も豊富だ。
後方からの物資の支給と援軍が確保されていれば、難攻不落となる。
事実、王国からの援軍と輜重が確保されているために
蛮族どもがあの城を超えてヴェルトール王国の地を踏むことは
今まで一度たりともなかった」
「そうね、ロジェの言う通りね。
彼らがヴェルトール王国の地を踏むときは、
主城で王に拝跪する時だけとまで言われているからね」
「さてと、そろそろ話も終いだ。
この距離となると城から我々を観察している者たちもいるだろう」
誠一は頷いた。そして、後方に控えるヴェルに話しかけた。
ヴェルは頷くと、兵士たちに隊列を改めて整える様に伝令して、走り回った。
同行しているバラムは、先行して、誠一たちの到着を
グレートウォールに伝えに向かった。
同様に同行しているジェイコブは、誠一たちから数キロ離れて行軍していた。
先頭を闊歩するのは、誠一、両脇を固めるはロジェとキャロリーヌ。
そのすぐ後ろをヴェル、シエンナ、サリナが続いた。
兵士は白い鎧を装備して、4列並びで行軍した。
城の城壁から歓声が上がっていた。
それに応じるかのように誠一は7面メイスを高々と掲げた。
歓声は更に大きくなっていた。
正門を通過して、入城してもそれは変らなかった。
路の左右を埋める住民たちは、一様に不安そうな表情であったが、
誠一たちに歓声と手を振っていた。
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