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478.王都7
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「さて、ここでアルフレート君。
このまま王都に残り首都防衛戦に参陣するか
今のうちに王都を出立するか。
話によると世界樹『生命の木』を探したいと聞いているが、どうする?」
ロジェより突然、話を振られたが、
誠一は即答することはなかった。
「いや、まだ考えていません」
北関陥落の話も今、聞いたばかりな上に
えっ俺に聞くっていう思いが脳裏に浮かんでいた。
「ちょっとアル。しっかりして。
勿論、ロジェも今直ぐに答えを求めているわけじゃいけどね。
そこはリーダーとして、上手く繕う答えをしないと駄目よ。
クランを立ち上げるなら尚更よ」
キャロリーヌの叱責に不貞腐れる誠一であった。
いつの頃からかリーダーに押し上げられていた。
元の世界でもクラス委員や生徒会役員、
部活動でのキャプテンといったポジションからは
程遠い場所で過ごしていた。
相に合わない今の立場に誠一は居心地の悪さと疲れを蓄積していた。
「キャロ、いくら婚約者だからといって、
あまり厳しいことを言うな。
立場が人を成長されると俺は思うが、
その速度は人それぞれだ。
あまり手厳しいことばかり言っていると、
アルフレート君が逃げ出すぞ」
ロジェに窘められたキャロリーヌは思うところがあったようで、
覗き込むように上目遣いで誠一を見つめた。
「ごめんなさい」
不安そうなキャロリーヌの表情を見て、誠一は慌ててしまった。
誠一は、普段の積極的で明るい彼女が好きだった。
彼女にこんな表情をさせてしまった。
餓鬼のように一瞬でも不貞腐れた自分が嫌でたまらなくなった。
「いやいや、キャロが謝ることじゃないしね。
僕もしっかりしないと。
うーん、クランを本当に立ち上げるとすれば、
城を捨てて出奔するのは大きくマイナスになるけど、
反乱軍と竜公国、あとおまけでジェイコブ王か。
兵力としては互角。諸将の実力もほぼ拮抗しているけど、
世に知られる高名な戦士の数は明らかに向こうが上」
「アル、大丈夫だ!俺たちが活躍するからな。
誰であろうと俺らの前に立つ敵は撃つ。
それにジェイコブを戦力に入れんなよ」
ヴェルが悲壮な表情で力強く宣誓した。
例えアミラであろうとも容赦はしない、
そんな思いが誠一に伝わって来た。
「残ろう。僕らが出奔したら、ラムデールやファブリッツィオを
出迎える人がいなくなるから。
それにあの二人が爵位を継げば後ろ盾になって貰わないと困るから、
精々、失望させないようにしないとね。
それとヴェル、あんまり無理するなよ」
「ちっ、何の事だかわからないけど、まあ、心配には及ばん」
普段のヴェルの顔つきに戻っていた。
さすがにヴェルを茶化す者は誰もいなかった。
このまま王都に残り首都防衛戦に参陣するか
今のうちに王都を出立するか。
話によると世界樹『生命の木』を探したいと聞いているが、どうする?」
ロジェより突然、話を振られたが、
誠一は即答することはなかった。
「いや、まだ考えていません」
北関陥落の話も今、聞いたばかりな上に
えっ俺に聞くっていう思いが脳裏に浮かんでいた。
「ちょっとアル。しっかりして。
勿論、ロジェも今直ぐに答えを求めているわけじゃいけどね。
そこはリーダーとして、上手く繕う答えをしないと駄目よ。
クランを立ち上げるなら尚更よ」
キャロリーヌの叱責に不貞腐れる誠一であった。
いつの頃からかリーダーに押し上げられていた。
元の世界でもクラス委員や生徒会役員、
部活動でのキャプテンといったポジションからは
程遠い場所で過ごしていた。
相に合わない今の立場に誠一は居心地の悪さと疲れを蓄積していた。
「キャロ、いくら婚約者だからといって、
あまり厳しいことを言うな。
立場が人を成長されると俺は思うが、
その速度は人それぞれだ。
あまり手厳しいことばかり言っていると、
アルフレート君が逃げ出すぞ」
ロジェに窘められたキャロリーヌは思うところがあったようで、
覗き込むように上目遣いで誠一を見つめた。
「ごめんなさい」
不安そうなキャロリーヌの表情を見て、誠一は慌ててしまった。
誠一は、普段の積極的で明るい彼女が好きだった。
彼女にこんな表情をさせてしまった。
餓鬼のように一瞬でも不貞腐れた自分が嫌でたまらなくなった。
「いやいや、キャロが謝ることじゃないしね。
僕もしっかりしないと。
うーん、クランを本当に立ち上げるとすれば、
城を捨てて出奔するのは大きくマイナスになるけど、
反乱軍と竜公国、あとおまけでジェイコブ王か。
兵力としては互角。諸将の実力もほぼ拮抗しているけど、
世に知られる高名な戦士の数は明らかに向こうが上」
「アル、大丈夫だ!俺たちが活躍するからな。
誰であろうと俺らの前に立つ敵は撃つ。
それにジェイコブを戦力に入れんなよ」
ヴェルが悲壮な表情で力強く宣誓した。
例えアミラであろうとも容赦はしない、
そんな思いが誠一に伝わって来た。
「残ろう。僕らが出奔したら、ラムデールやファブリッツィオを
出迎える人がいなくなるから。
それにあの二人が爵位を継げば後ろ盾になって貰わないと困るから、
精々、失望させないようにしないとね。
それとヴェル、あんまり無理するなよ」
「ちっ、何の事だかわからないけど、まあ、心配には及ばん」
普段のヴェルの顔つきに戻っていた。
さすがにヴェルを茶化す者は誰もいなかった。
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