512 / 978
506.使節団19
しおりを挟む
「アル、止めを刺すのが無理なら。そのまま放置して!行くわよ」
シエンナに急かされると、アルは馬を急ぎ、走らせた。
「ジェイコブを探して、倒すぞ!それでこの戦は終いだ」
誠一は大声で叫んだ。その情報は直ぐにジェイコブ軍の隅々まで伝搬した。
なすすべもなく『清き兵団』に殺されている一部の
ジェイコブ軍の兵たちは、血眼になって王であるジェイコブを探した。
奴を差し出せば、自分だけは助かるという思いが
ジェイコブ軍の兵士たちに浸透した。
ジェイコブの顔を知っている兵はごく一部であった。
そのため彼の派手で特徴的な鎧が兵たちにとっての目印となった。
しかし鎧は脱ぎ捨ててあり、ジェイコブは逃亡する兵に混じって、
取り巻き達と早々に戦線を離脱したようであった。
ジェイコブ軍を誠一たちは無事に突破することができた。
暫く進み安全が確保されると『清き兵団』のリーダーが笑った。
「アルフレートさん、上手いですね。咄嗟の機転が素晴らしい。
戦術の妙とはこういうことを言うのですかね」
「たまたま、運が良かったんでしょうね。
そもそもクラン『清き兵団』と竜公国が現れなかったら、
恐らく捕縛されるか化物の群れに殺されていたでしょうし」
ジェイコブ軍を突破した誠一は北関の方へ目を向けた。
手の施しようがない程にジェイコブ軍は瓦解してしまっていた。
追い打ちをかける様にグロウを中心とした竜公国の軍が
ジェイコブ軍に襲いかかっていた。
反攻の意思は全く考えらえずにジェイコブ軍の兵は
散り散りなり逃亡していた。
北関からの追撃は無さそうであった。
グレイガーは兵を北関に撤収した様であった。
「埋伏している兵でもこの先にいるのだろうか?」
目の前に広がる平野には兵が身を隠す場所などありそうになかった。
一体、ダンブルは使節団に対して何をしたかったのだろうか。
いまいち誠一には意図が掴めなかった。
「それは無さそうだけど。
実際のところ、ダンブルの軍には全くの損耗がなかったね。
ゾンビとスケルトンの群れ、それにジェイコブ軍。
もしかして、その辺りを処分したかったのかしら」
シエンナもダンブルの差配の意図が掴みかねていた。
「それにしてはちょっと計画が杜撰かしらね。
そもそも『清き兵団』と竜公国が動かなければ、
この結果にならなかったわよ」
キャロリーヌもダンブルが何をしたかったのか掴みかねていた。
誠一たちは後方で竜公国の軍に蹴散らされているジェイコブ軍を眺めていた。
『誠一さん、ダンブルの目的とするところは、
停戦の使者に会わなかったという結果を得ることですよ』
突然の千晴の声に誠一は驚いた。
シエンナに急かされると、アルは馬を急ぎ、走らせた。
「ジェイコブを探して、倒すぞ!それでこの戦は終いだ」
誠一は大声で叫んだ。その情報は直ぐにジェイコブ軍の隅々まで伝搬した。
なすすべもなく『清き兵団』に殺されている一部の
ジェイコブ軍の兵たちは、血眼になって王であるジェイコブを探した。
奴を差し出せば、自分だけは助かるという思いが
ジェイコブ軍の兵士たちに浸透した。
ジェイコブの顔を知っている兵はごく一部であった。
そのため彼の派手で特徴的な鎧が兵たちにとっての目印となった。
しかし鎧は脱ぎ捨ててあり、ジェイコブは逃亡する兵に混じって、
取り巻き達と早々に戦線を離脱したようであった。
ジェイコブ軍を誠一たちは無事に突破することができた。
暫く進み安全が確保されると『清き兵団』のリーダーが笑った。
「アルフレートさん、上手いですね。咄嗟の機転が素晴らしい。
戦術の妙とはこういうことを言うのですかね」
「たまたま、運が良かったんでしょうね。
そもそもクラン『清き兵団』と竜公国が現れなかったら、
恐らく捕縛されるか化物の群れに殺されていたでしょうし」
ジェイコブ軍を突破した誠一は北関の方へ目を向けた。
手の施しようがない程にジェイコブ軍は瓦解してしまっていた。
追い打ちをかける様にグロウを中心とした竜公国の軍が
ジェイコブ軍に襲いかかっていた。
反攻の意思は全く考えらえずにジェイコブ軍の兵は
散り散りなり逃亡していた。
北関からの追撃は無さそうであった。
グレイガーは兵を北関に撤収した様であった。
「埋伏している兵でもこの先にいるのだろうか?」
目の前に広がる平野には兵が身を隠す場所などありそうになかった。
一体、ダンブルは使節団に対して何をしたかったのだろうか。
いまいち誠一には意図が掴めなかった。
「それは無さそうだけど。
実際のところ、ダンブルの軍には全くの損耗がなかったね。
ゾンビとスケルトンの群れ、それにジェイコブ軍。
もしかして、その辺りを処分したかったのかしら」
シエンナもダンブルの差配の意図が掴みかねていた。
「それにしてはちょっと計画が杜撰かしらね。
そもそも『清き兵団』と竜公国が動かなければ、
この結果にならなかったわよ」
キャロリーヌもダンブルが何をしたかったのか掴みかねていた。
誠一たちは後方で竜公国の軍に蹴散らされているジェイコブ軍を眺めていた。
『誠一さん、ダンブルの目的とするところは、
停戦の使者に会わなかったという結果を得ることですよ』
突然の千晴の声に誠一は驚いた。
1
あなたにおすすめの小説
転生特典〈無限スキルポイント〉で無制限にスキルを取得して異世界無双!?
スピカ・メロディアス
ファンタジー
目が覚めたら展開にいた主人公・凸守優斗。
女神様に死後の案内をしてもらえるということで思春期男子高生夢のチートを貰って異世界転生!と思ったものの強すぎるチートはもらえない!?
ならば程々のチートをうまく使って夢にまで見た異世界ライフを楽しもうではないか!
これは、只人の少年が繰り広げる異世界物語である。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
【第2章完結】最強な精霊王に転生しました。のんびりライフを送りたかったのに、問題にばかり巻き込まれるのはなんで?
山咲莉亜
ファンタジー
ある日、高校二年生だった桜井渚は魔法を扱うことができ、世界最強とされる精霊王に転生した。家族で海に遊びに行ったが遊んでいる最中に溺れた幼い弟を助け、代わりに自分が死んでしまったのだ。
だけど正直、俺は精霊王の立場に興味はない。精霊らしく、のんびり気楽に生きてみせるよ。
趣味の寝ることと読書だけをしてマイペースに生きるつもりだったナギサだが、優しく仲間思いな性格が災いして次々とトラブルに巻き込まれていく。果たしてナギサはそれらを乗り越えていくことができるのか。そして彼の行動原理とは……?
ロマンス、コメディ、シリアス───これは物語が進むにつれて露わになるナギサの闇やトラブルを共に乗り越えていく仲間達の物語。
※HOT男性ランキング最高6位でした。ありがとうございました!
最凶と呼ばれる音声使いに転生したけど、戦いとか面倒だから厨房馬車(キッチンカー)で生計をたてます
わたなべ ゆたか
ファンタジー
高校一年の音無厚使は、夏休みに叔父の手伝いでキッチンカーのバイトをしていた。バイトで隠岐へと渡る途中、同級生の板林精香と出会う。隠岐まで同じ船に乗り合わせた二人だったが、突然に船が沈没し、暗い海の底へと沈んでしまう。
一七年後。異世界への転生を果たした厚使は、クラネス・カーターという名の青年として生きていた。《音声使い》の《力》を得ていたが、危険な仕事から遠ざかるように、ラオンという国で隊商を率いていた。自身も厨房馬車(キッチンカー)で屋台染みた商売をしていたが、とある村でアリオナという少女と出会う。クラネスは家族から蔑まれていたアリオナが、妙に気になってしまい――。異世界転生チート物、ボーイミーツガール風味でお届けします。よろしくお願い致します!
大賞が終わるまでは、後書きなしでアップします。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
異世界転生漫遊記
しょう
ファンタジー
ブラック企業で働いていた主人公は
体を壊し亡くなってしまった。
それを哀れんだ神の手によって
主人公は異世界に転生することに
前世の失敗を繰り返さないように
今度は自由に楽しく生きていこうと
決める
主人公が転生した世界は
魔物が闊歩する世界!
それを知った主人公は幼い頃から
努力し続け、剣と魔法を習得する!
初めての作品です!
よろしくお願いします!
感想よろしくお願いします!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる