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509.閑話 とあるアパートの情景1
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千晴は清涼に誠一の現在地を伝えると外出した。
天気は快晴。歩いているだけで気分が良くなった。
特に資格所得勉強やスキルアップの講座へ
個人的に参加することが皆無である千晴にとって、
洗濯・掃除が完了すれば、後は自由な時間であった。
千晴、歩きながら両手を大きく広げた。
「あーんんんー」
自然と声がでる千晴であった。
向かう先は誠一が住んでいたという学生向けのアパートであった。
昨夜のマップ検索で外観は確認済みであった。
私立翔陵国際大学から電車と自転車で
片道通学時間1時間半もかかる場所に
彼の主張するアパートはあった。
わざわざ何故、1人暮らしをするのに
そのような離れた場所にアパートを借りたのか、
千晴は不思議でならなかった。
歩きながらマップで周囲の地理を確認していくと
国定第7大学を始めとした幾つかの
世に言う有名な大学や高校があった。
それらの集まりが学園都市を形成していた。
入学難易度は別として、知名度では劣る翔陵大学は
そこから離れた場所にぽつりとあった。
「まさかねえ」
学園都市に住むことで有名どころの大学生の気分を
感じたかのだろうか。
だとしたら誠一という人物は相当屈折した性格なのかもしれないと思った。
千晴は頭を左右に振り、今の考えをかき消した。
本命の大学にぎりぎりまで欠員が生じて繰り上げ合格することを
期待していたのだろうか。
そのためアパートを探すのが遅れてしまい今の場所に
なったのかもしれないと考えた。
「あーもう。なんだかなあ」
どうにも嫌な方に考えがちな千晴は声を出して
その考えを振り払った。
気を取り直して、何か都合があったのだろうと思い、
近場に何か美味しそうな食事が取れそうなお店の検索を始めた。
最寄りの駅で千晴は降りた。学生が主に利用する駅であった。
そのため休日の今日、駅は規模の割に閑散としていた。
千晴は混雑に巻き込まれることなく駅の改札口をでた。
駅前には人がそれなりにいたが、20歳前後の学生が主であった。
遅い朝食を外食で済ましているのだろう。
お気楽でいいもんだ、今のうちに親のすねでも
齧れるだけ齧っておけばいいさ。
朝からたまに感じる不快な視線のせいで
千晴はどうもひねくれた考え方をしてしまっていた。
千晴は、高度に自動化された店、そんな言葉に無縁なおんぼろな店、
お洒落なカフェ等が雑多に立ち並ぶ街並みを散策しながら目的地に向かった。
普段なら絶対に入らないようなお洒落なカフェで
珈琲をテイクアウトで注文した。
学生らしき客が店内で遅い朝食を取っており、
モーニングセットも気になってしまった。
しかし、サイフォンで珈琲が抽出され始めると、
千晴の視線はサイフォンの醸し出す雰囲気に釘付けになった。
手間暇のかかった珈琲の注がれたカップを手渡されると店を出た。
千晴は、カップを口に近づけた。
まず、芳醇な香りが千晴を楽しませた。
そして、それはこれから訪れる幸福な時間を約束していた。
天気は快晴。歩いているだけで気分が良くなった。
特に資格所得勉強やスキルアップの講座へ
個人的に参加することが皆無である千晴にとって、
洗濯・掃除が完了すれば、後は自由な時間であった。
千晴、歩きながら両手を大きく広げた。
「あーんんんー」
自然と声がでる千晴であった。
向かう先は誠一が住んでいたという学生向けのアパートであった。
昨夜のマップ検索で外観は確認済みであった。
私立翔陵国際大学から電車と自転車で
片道通学時間1時間半もかかる場所に
彼の主張するアパートはあった。
わざわざ何故、1人暮らしをするのに
そのような離れた場所にアパートを借りたのか、
千晴は不思議でならなかった。
歩きながらマップで周囲の地理を確認していくと
国定第7大学を始めとした幾つかの
世に言う有名な大学や高校があった。
それらの集まりが学園都市を形成していた。
入学難易度は別として、知名度では劣る翔陵大学は
そこから離れた場所にぽつりとあった。
「まさかねえ」
学園都市に住むことで有名どころの大学生の気分を
感じたかのだろうか。
だとしたら誠一という人物は相当屈折した性格なのかもしれないと思った。
千晴は頭を左右に振り、今の考えをかき消した。
本命の大学にぎりぎりまで欠員が生じて繰り上げ合格することを
期待していたのだろうか。
そのためアパートを探すのが遅れてしまい今の場所に
なったのかもしれないと考えた。
「あーもう。なんだかなあ」
どうにも嫌な方に考えがちな千晴は声を出して
その考えを振り払った。
気を取り直して、何か都合があったのだろうと思い、
近場に何か美味しそうな食事が取れそうなお店の検索を始めた。
最寄りの駅で千晴は降りた。学生が主に利用する駅であった。
そのため休日の今日、駅は規模の割に閑散としていた。
千晴は混雑に巻き込まれることなく駅の改札口をでた。
駅前には人がそれなりにいたが、20歳前後の学生が主であった。
遅い朝食を外食で済ましているのだろう。
お気楽でいいもんだ、今のうちに親のすねでも
齧れるだけ齧っておけばいいさ。
朝からたまに感じる不快な視線のせいで
千晴はどうもひねくれた考え方をしてしまっていた。
千晴は、高度に自動化された店、そんな言葉に無縁なおんぼろな店、
お洒落なカフェ等が雑多に立ち並ぶ街並みを散策しながら目的地に向かった。
普段なら絶対に入らないようなお洒落なカフェで
珈琲をテイクアウトで注文した。
学生らしき客が店内で遅い朝食を取っており、
モーニングセットも気になってしまった。
しかし、サイフォンで珈琲が抽出され始めると、
千晴の視線はサイフォンの醸し出す雰囲気に釘付けになった。
手間暇のかかった珈琲の注がれたカップを手渡されると店を出た。
千晴は、カップを口に近づけた。
まず、芳醇な香りが千晴を楽しませた。
そして、それはこれから訪れる幸福な時間を約束していた。
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